スマブラ個人小説/ななみの小説/亜空の使者 〜もう一つの物語〜6

Last-modified: 2011-03-02 (水) 13:52:21

亜空の使者 ~もう一つの物語~5の続きです。続編ではありません。
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第44話 勇気のありか

バルレルの一件も終わった後・・・。レノとバルレルは目を光らせていた。
その目線の先には・・・酒の入ったビン。
レノ「いいか?周りに誰も居ないかどうか・・・確認してから行くぜ?」
バルレル「ケッ、分かってらぁ!」
左右を見回す二人。周りには誰も居ない。
レノ「よっしゃあ!」
バルレル「ゲーット!」
二人は難なく酒の入ったビンを手に入れた。そして栓を開ける。
バルレル「ヒヒヒ、やっと酒にありつけるぜ!」
レノ「だな。じゃ、どっちから飲む?」
 ・ ・ ・ ・ ・ 
二人の間に訪れた沈黙。
バルレル「・・・先に飲むのはオレだっ!!」
レノ「あぁ!?この作戦考えたのは俺だろ!優先権は俺にある!!」
バルレル「んだとォ!?」
レノ「ンだよ!?」
睨みあう二人。その時。酒の入ったボトルが消えていた。
その場に居たのは・・・ゾロ。とシェイミ。
シェイミ『だからこっちだって言ったでしゅ!!』
ゾロ「うるせぇ!おれだって分かってたっつーの!」
そう言いながら、ゾロは酒をそのまま飲みながら戻っていった。
レノ「・・・おい、飲めそうで飲めなかったのって・・・何回目だ?」
バルレル「・・・オレはかれこれ4回目ぐれぇだ・・・。」
二人は呆然と立ち尽くしていた。
レノ「・・・帰るか?」
バルレル「・・・ンだな・・・。」
二人は肩を落としながら帰っていった・・・。

ナミ「あら、どこ行ってたの二人とも?・・・っていうか、元気ないわね?」
プリン「分かった。酒でも盗みに行ってたんでしょ?」
その言葉にぎくりとする二人。そして同時に叫んだ。
「「違ぁーーーーうッ!!」」
フォックス「いや、むしろその否定の仕方が逆に“そのつもりでした”って言ってる気が・・・。」
レノ「うっ、うるせぇっ!とにかく、急ぐんだろ?とっとと行こうぜ!」
スネーク「・・・・・。(強引な持ち込み方だな・・・。)」
そして、クルルはカタカタとパソコンを打ち出した。
ケロロ「あれ?クルル君、何してんの?」
クルル「ク~ックックック。ザキラの向かった方向をサーチしてた。あいつにこっそり付けた発信機は、例え亜空間の中にあろうと反応する。そこに向かってあいつを追えばOKだ。ちなみに反応は西の砦にある。クックック。」
マリオ「そうか。でも、どうやって亜空間の中に?」
するとクルルは「んあ~・・・」と呟いた後、言った。
クルル「それが問題だ。あいつは亜空間を行き来する方法を知ってるが、俺達はその方法を使えない。」
ゼット「なぁっ!?そんじゃ分からんのと同じじゃないかーッ!!」
ロディ「居場所が分かるだけでも十分だよ・・・。みんな、どうするの?」
するとマリオはう~んと考え、みんなの顔を見て手を打った。
マリオ「よし・・・じゃあそこへ行こう!」
そして、全員が立ち上がってサーチした場所へ向かった。

~砦~
マリオ一行は、クルルのサーチで反応した砦に着いた。
野久保「ねえ、クルル?本当にここなの?」
クルル「ここで反応してる。間違いねぇと思うが・・・。」
騒音おばさん「はよ出てき!はよ出てき!しばくぞーっ!」
だが・・・そんな中、陽平ら能力者4人は不思議そうな顔をしていた。
ロベルト「・・・どうしたんだい?浮かない顔だね?」
モン太「いや・・・なんか、みんなはここだって言ってるけどさ・・・何か変なんだよ?」
ファルコ「何が変なんだ?サーチではここだって出てるんだぜ?」
するとやはり4人は浮かない顔をしていた。
ブラック☆スター「おかしいぞ?オレは何も感じない!さっぱり!」
陽平「僕も同じ・・・。いつもなら、亜空間の近くに行ったら変な感じがするのに・・・。」
学「なんていうか、こう・・・。体がしびれるような感じがするんですけど・・・。ここは、何も・・・。」
椿「そうなの・・・?みんな、4人はああ言ってるけど・・・。」
上地「うーん、気になるものは見当たらないし・・・やっぱり違うんじゃない?」
上地が呟いた、その時である。
突然上からゴム玉が飛んできた。そしてそれが突然濃硫酸に変わった。
ヒデヨシ「!! 危ねぇ、伏せろッ!!」
そう叫んでヒデヨシは飛び出し、つるのをとっさに伏せさせた。濃硫酸になったゴム玉は、そのまま床に直撃した。そして床はジューッと音を立てて解けた。
ヒデヨシ「この能力は・・・まさかッ!?」
すると、そこに巨大な黄色い球が転がってきた。ヒデヨシはつるのを抱えたまま、それを回避する。すると球は止まった。

「あれあれ?奇襲失敗か?」
「上手く逃げるたぁ、ベリーベリーしつこいぜ!」

黄色い球と、上から声がした。
そしてヒデヨシは歯を食いしばった。目からは怒りが見える。
ヒデヨシ「隠れてんのは分かってんだ・・・。出てこいッ!!ウーゴ!マリオ!
マリオ「え、僕!?」
ルイージ「兄さん、違うと思う・・・。(汗)」
クルル「チッ・・・。ザキラはとっくに発信機に気付いてたってコトか。じゃあここにザキラは居ないな。」
すると、上から誰かが飛び降りてきた。そして黄色い球は人に姿を変えた。
ウーゴ「あれあれ?ヒデヨシも居たのか。じゃあ奇襲も失敗するわけか。」
Uマリオ「全くスーパーベリーラッキーな奴らだぜ!」
ヒデヨシ「お前らが居るって事は・・・カプーショの奴は元気かよ?」
するとウーゴが答えた。
ウーゴ「あれあれ・・・?あぁ、リーダーなら居るぞ。でもここに居ないだけだ。」
その途端、ヒデヨシの目からはさらに強い怒りが見えた。
ヒデヨシ「だったら・・・お前らを倒して、カプーショの居場所吐かせるだけだッ!!」
レオルド「(・・・ひでよしサン・・・?)」
ヒデヨシのその異様なまでの怒りに、レオルドは何かを感じていた。
すると能力者のマリオはハッハッハと笑った。
Uマリオ「残念だが、お前が俺達を倒す事はウルトラミラクルでも起きねぇ限りネバーネバーないぜ!」
その途端、ウーゴと能力者のマリオの背後から、大量のギラーンが現れた。
陽平「!? コイツらは・・・!?」
ウーゴ「あれあれ?待ち伏せしてたのに気付かなかったのか?俺達お前らが来るまでずっとここで待ってたんだぞ。改造ギラーンのカプセルたくさん持ってきて。」
Uマリオ「ここで全員大人しくフィギュアになるのがディスティニーなんだぜ!」
あまりにも大勢のギラーンに、誰も打つ手がない。その時、つるのが叫んだ。
つるの「みんな、ばらばらになるな!?固まって出入り口から逃げるんだ!!」
ナベアツ「お!?なんか今日つるの君冴えてるね!」
つるのの言葉に従い、全員が固まり、決してばらばらにならずに逃走を図った。その時である。
ギラーンの攻撃に、レシィとあいが巻き込まれたのだ!!
レシィ「うわぁッ!?」
あい「きゃあぁぁッ!!」
植木「!! レシィ!森ーーーーーッ!!」
その時だ。急いで二人の下へ向かおうとした時、植木の左足にギラーンの斬撃が命中した。
植木「!?(あ・・・足を・・・!?)」
レシィ「植木さん・・・!?植木さんッ!?」
植木「オレは・・・平気だ。他のみんなは・・・!?」
植木が安全を確認しようとしたその時である。
「なっ!?」
「きゃ・・・っ!!」
「うわぁぁッ!?」
「!?」
そして・・・逃げ出そうとしていた清一郎、鈴子、ヒデヨシ、ロベルトもまた、ギラーンに襲われていた。
植木「みんな・・・!威風堂々(フード)!!」
襲われそうになった4人を、植木は神器で助けた。だが・・・それを発動したせいで、ギラーンに囲まれ、逃げ遅れてしまったのだ。
その場に残っていたのは、植木、あい、清一郎、鈴子、ヒデヨシ、ロベルト、そしてレシィだった。
ウーゴ「あれあれ?置いてきぼりにされたのか?」
ギラーン達は、植木達の見ているようにも見えた。確実に襲おうとしているのは事実だ。
Uマリオ「ハッハッハ!どうする?これだけの数のギラーンの相手にファイティングすんのか?」
清一郎「く・・・っ!!」
鈴子「う・・・植木くん・・・。」
その時である。能力者のマリオが話しかけてきた。
Uマリオ「お前達!もしこの場で負けを認めてまたザキラ様に忠誠を誓うなら、植木、ロベルト!お前達だけは助けてやってもOKって話だぞ!お前達の能力は、なんだかんだ言って強いからなぁ!」
すると植木は尋ねた。
植木「みんなは・・・。あいつらは、どうなるんだよ・・・?」
ウーゴ「・・・? あれあれ、他はダメだと思うぞ?そういやザキラ様は『助けてやってもいいが、一生自分の手足となって働いてもらう』って言ってたぞ。」
ロベルト「だったら僕は降参なんてしないよ?彼らをザキラのオモチャにさせるなんて・・・ゴメンだからねッ!?」
そう叫ぶと、ロベルトは壊れた外壁を自分の能力で動かした。青くなった外壁の大きなレンガはウーゴと能力者のマリオの頭上へと飛び、そして赤くなり、落下した。
だが・・・。
Uマリオ「ベリーベリー無駄ベリーだぜっ!」
そう叫ぶと、能力者のマリオは先程の巨大な黄色い球に姿を変えた。すると・・・レンガはスリップしたように滑り、二人に直撃する事無く、地面に落ちて壊れたのだ。
ロベルト「ッ! ぐぅぅ・・・っ!」
その途端、ロベルトが胸の辺りを押さえて苦しみだした。
あい「ロベルト!?そっか、ロベルトは今、意識だけの存在だから!?」
鈴子「!? それって・・・意識だから寿命は減らないけど・・・負担が大きいって事ですの!?」
清一郎「ロベルト、無理すんなや!お前は能力使わんでもええ、俺らでどうにかするわ!」
そして、植木は二人を睨んだ。
植木「お前達には・・・ザキラには、仲間達は渡さねぇ!!」
ヒデヨシ「・・・植木・・・?」
すると、ウーゴが呆れたように言った。
ウーゴ「あれあれ?何で二人とも揃いも揃って役立たずのメトラルや能力者を庇うんだ?お前ら以外の能力者の能力、あんまり使えそうに無いし、メトラルの方も、魔力の源になる角が変な形に切られてるし・・・。」
Uマリオ「そもそも、お前はその使えない能力者達とメトラルを庇ったから逃げ損なったんだろう?」
それに便乗するように、能力者のマリオも言った。
あい「うっ・・・。」
清一郎「・・・・・!!」
鈴子「は・・・ッ!?」
ヒデヨシ「うっ・・・うぅっ・・・。」
ロベルト「く・・・ッ!」
レシィ「あ・・・!?」
自分を責めるあい達に、植木は言った。
植木「気にすんな、みんな?みんなのせいじゃない。あいつらの言う事なんて、聞かなくていい・・・。」
あい「で、でもっ・・・!!」
すると能力者のマリオはその情景を見て怒鳴った。
Uマリオ「何を揃いも揃って同情を引くよーなフェイスをしてんだ!?みぃ~んなお前らのせいだろ!?役立たずの弱虫能力者アーンド弱虫メトラル!!
鈴子「ッ・・・!!」
すると、植木がそれに負けないぐらい怒鳴った。
植木「うるさいッ!!オレの仲間をバカにしたら・・・許さないッ!!オレの大切な仲間達だからッ!!」
あい「うえ・・・き・・・。」
すると二人がほぼ同時に怒った。
ウーゴ「あれあれ!?なんだお前、ちょっと優しくしたらつけあがって!?」
Uマリオ「ベリーベリー腹立ったぞ!?再起不能になるまでボコボコにしてやるッ!!」
その途端、ギラーン達が動いた。すると植木はレシィに言った。
植木「レシィ・・・オレ達がこいつらと戦うから、みんなはその隙に逃げてくれ。」
レシィ「え・・・!?」
植木「オレの今の足じゃ、走れそうに無いし、電光石火(ライカ)も使えそうに無いし・・・。だから、みんなの所へ行って、助けを呼んできてくれないか?」
清一郎「安心せぇや。俺らだけでも植木はなんとかカバーできるで。」
レシィ「で、でも・・・っ!!」
鈴子「貴方は足が早いでしょう?ロベルトに神器を使わせるわけにもいきません・・・。貴方しか居ないんです!」
その間にも、ギラーン達は迫ってくる。
植木「さぁ、行ってくれッ!!」
「はいッ!!」
植木の後にそう叫ぶと、レシィは砦の外へと逃げていった。
Uマリオ「なっ!?お前、仲間を逃がしたな!?」
清一郎「お前達の相手ぐらい・・・俺らだけで十分や!」
すると・・・相手二人はあまり動じなかった。
ウーゴ「あれあれ?お前達みたいなのが束になって出てきても楽しくないぞ?」
Uマリオ「植木ぃっ!コイツらをすぐ倒してボコボコにされた恨みを100倍にしてリターンしてやるぜ!!」
ヒデヨシ「うるさいッ!!お前らなんかに・・・お前らなんかに負けてたまるかよぉぉぉッ!!」

そして・・・砦の外では・・・。
レシィ「ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!?ごめんなさいぃっ!!もしボクがもっとしっかりしてたら・・・!!弱虫じゃ、なかったら・・・!!」
彼の心の中は、逃げ出してしまったという罪悪感と、自分が弱くなかったらという自分への憎さでいっぱいだった。
その時である。

-大丈夫だろ!1%でも可能性があるなら、やってみるんだ。-

レシィ「!? 植木・・・さん・・・?」

-あたし達の世界も守れるんだよ!-

-ああ。ちーっとばかり寝すぎたわな。-

-私達は・・・ザキラの計画の本来の形を見て・・・逃げてきたんですの。-

-ありがとな。二人とも。-

-安心していいよ・・・。戦いに来たんじゃない。-

レシィ「皆さん・・・?
あの人達の強さは・・・植木さん達は知ってるみたいだった・・・。植木さんが戦えない今、勝機は低いのに・・・それでも、ボクを逃がすため・・・。」
レシィは首を横に振った。
レシィ「ダメだ・・・ッ!ボクがやらなきゃいけない事は、助けを呼ぶために逃げる事じゃない!!ボクがやらなきゃいけない事は・・・っ!」

そして・・・砦では・・・。
Uマリオ「ハッハッハ!もう終わりかぁーっ!?ベリーベリーつまんねぇなー?」
植木「う・・・、ぐあぁ・・・っ!」
うめき声を上げる植木達は、全身傷だらけだった。
清一郎「クソッ・・・!もっと俺が強かったら、こんな連中俺一人で・・・!」
鈴子「ッ・・・。」
ヒデヨシ「ヤロォ・・・!」
あい「うっ・・・。うぅっ・・・。」
ロベルト「こんな・・・簡単に・・・?」
植木「気にすんな、みんな・・・。みんなのせいじゃない・・・。」
すると二人の能力者は植木達を見下ろした。
ウーゴ「あれあれ?いい加減、お前達の相手してるのも飽きたな?」
Uマリオ「そうだなァ・・・。そろそろフィギュアになってもらおうかァァァッ!!」
その時であった。

「やめろぉ~~~~ッ!!!」

砦の中に、誰かが駆け込んできた。
それは・・・逃げたはずのレシィだった。
ロベルト「!? どうして・・・どうして戻って来たのさ・・・!?」
鈴子「運命は・・・運命は貴方にかかってるのに!?」
すると清一郎はニッと笑って答えた。
清一郎「仲間だからに決まっとるやろ!!」
植木「・・・分かったような事言っていいのか?」
あい「・・・レシィが何か言いたそうだけど?」
レシィ「は、はいっ!そ、そ、そのぉ~~~・・・。」
植木「・・・早く言わないと攻撃きそうだけど?」

レシィ「あっ・・・!ボ・・・ボ・・・ボクは逃げないッ!逃げないで、皆さんを守ってみせるッ!!

ヒデヨシ「よく言ったぜ、レシィ!!」
レシィの叫びに、能力者のマリオは鼻で笑った。
Uマリオ「ハッハッハ!角の折れたメトラルに何が出来るってんだ!ベリーベリーバカだぜ!!」
ウーゴ「あれあれ?待って損したぞ・・・。」

「だったらお前が先だッ!!」

二人が同時に叫び、それと同時にギラーン達が迫る。

鈴子「おやめなさいッ!!」
先に大群の前に飛び出したのは、鈴子だった。鈴子は3つのビーズを手のひらに乗せ、はじいた。
爆弾となったビーズはギラーンに命中し起爆した。だが、効いたような様子は見られなかった。
鈴子「やはり・・・ダメですの・・・ッ!?」
ウーゴ「あれあれ?そんな能力じゃギラーンは倒せないぞ?ゴム玉喰らえッ!!」
ゴム玉が鈴子に迫る。

-もし・・・私が強かったら、こんなゴム玉くらい・・・ッ!!-

そう思いながら、鈴子はそれにビーズを放った。命中したビーズは爆発し、ゴム玉はギラーンの方へ飛んだ。そしてそれはギラーンに当たった。その瞬間である。

チュドーーーーーン!!!!

突然ゴム玉が爆発したのだ。ギラーンはそのまま横転した。
ウーゴ「あれあれッ!?俺の能力は“ゴム玉を濃硫酸に変える能力”だぞっ!?なんで爆弾になったんだ!?」
鈴子「まさか・・・これはっ!?」
鈴子は自分の手の中にあるビーズを見た。そしてギラーン達の近くにある崩れたレンガに向かって放った。そしてレンガは先程のゴム玉と同じように爆発したのだ。
鈴子「・・・!! 分かりましたわ!私のレベル2は・・・爆弾に変えたビーズに触れたものをさらに爆弾に変える力ですね!?」
鈴子の目に希望が見えた。鈴子はギラーン達にビーズを放つ。だが・・・ビーズはそのまま爆発した。ギラーン達が爆発する気配はない。
鈴子「!! これは生き物には通じないんですの・・・?」
ギラーンが襲い掛かる。すると後ろのレンガが飛び、ギラーンの後頭部に命中した。そしてそこに鉄になった手ぬぐいのブーメランが飛ぶ。そのギラーンは消滅した。
ロベルト「ッ・・・鈴子、大丈夫かい?」
清一郎「あんま無理すんなや!」
鈴子「す、すみません・・・。」
ヒデヨシ「うおぉぉぉぉッ!!」
ヒデヨシはジェネレイターを構え、ギラーンの大群に突っ込んでいく。そして大きく振るった一閃は、ギラーン達を切り裂いた。
ヒデヨシ「終わらせるかよ・・・!声を似顔絵に変える能力・レベル2!」
ヒデヨシが叫んだ。
ヒデヨシ「(・・・・・なっ!?)」
能力を使ったヒデヨシは何か違和感を感じた。

そしてあいは、落ちていた鉄の棒を握っていた。
あい「植木、下がってて・・・!あたしがやるから・・・!」
植木「森、無理だ!お前が下がってろ!」
あい「絶対イヤ!!」
あいが叫ぶ。そしてあいはその大声のまま続けた。
あい「だって・・・いつもあたしばっかり守られてるんだもん!あたしだって戦う!戦うもん!」
そう叫ぶあいに、ギラーンの鎌の一閃が迫った。
植木「森っ!!逃げろぉぉぉぉぉッ!!」
レシィ「植木さんッ!」
とっさに植木が飛び込んだ。植木はあいを庇うように前に飛び出した。

そして・・・鎌の一閃は誰も傷付けなかった。
植木「・・・・・?」
ゆっくりと植木は目を開いた。鎌が寸前で止まっている・・・。その時である。

「うおぉぉぉぉぉぉ~~~~ッ!!」

誰かの叫び声が聞こえた。レシィだ。
Uマリオ「なッ!?」
すると・・・ギラーン達の動きが止まっていく。
植木「ギラーン達が・・・石みたいに固まった?」
あい「!! 見て、植木・・・!レシィに角が!?」
そう叫んでレシィを見つめるあいの目先には、黄金に光り輝く、切り取られたはずのレシィの角があった。
ウーゴ「あれあれッ!?ザキラ様から聞いた・・・“メトラルの魔眼”!?いや、ザキラ様が言ってたのと違う!?こ、こんないっぺんに・・・!?」
Uマリオ「まさか・・・!昔メトラルの王しか使えなかったっていう・・・“伝説の審眼”!!?
そして角の生えたレシィは二人にゆっくりと歩み寄った。
レシィ「植木さん達は・・・ボクが・・・守る・・・。誰にも・・・傷付けさせない!!
レシィが叫ぶと、途端に二人が苦しみだした。
ウーゴ「く、来るなッ!? くる・・・ッ!ぎゃあぁぁぁぁぁぁっ!!
Uマリオ「げふっ!?く、苦しいっ!?息がッ、血がぁッ!止まるぅッ・・・!?
だ、誰か・・・ッ!たす・・・ッ、け!?うがぁぁぁぁぁッ!?
じりじりと迫るレシィ。苦しむ二人。
植木はとっさに叫んだ。
植木「もういいッ!やめろ、レシィッ!!オレは大丈夫だ!」
あい「そうだよっ!それ以上・・・傷付けちゃダメ!?二人とも死んじゃうっ!」
あいも叫んだ。するとレシィは我に返った。
レシィ「うえ・・・き・・・さん・・・っ。みな・・・さん・・・?」
レシィは植木達を見る。そしてほっとしたような顔をした。
レシィ「よかったぁ・・・。」
そう呟くと、レシィの角は元の切れた角に戻った。そしてふらりと倒れた。それを植木が受け止める。
植木「悪いな・・・。戦いが嫌いなお前に、こんな事をさせて・・・。」
そしてそれと同時に、ウーゴと能力者のマリオは荒れた呼吸をした。どうやら助かったらしい。
マリオ「みんなっ!大丈夫かい!?」
そう叫んで、マリオが駆け込んできた。それに他のメンバーも続くように入ってきた。
ワリオ「おいっ!角のガキっ!何で寝てるんだよ?」
植木「気を失ってるだけだ。レシィは・・・帰ってきて、それで・・・オレ達を助けるためにって・・・戦ってくれたんだ。」
眠ったように倒れたレシィを見て、ファルコンはふっと笑った。
ファルコン「そうか、彼が・・・。」
そして、ファルコは二人を睨んだ。
ファルコ「なら・・・こっからはこっちが踏ん張る番だよなァ!?」
その声と同時に、全員が戦闘態勢に入る。
ヒデヨシ「覚悟しろ・・・てめぇらッ!?」
ウーゴ「あっ、あれあれ!?かなり不利かっ!?」
Uマリオ「よってたかって叩こうってか!?ぬぅぅぅっ!?俺達の力を見せてやるッ!!」
そう叫ぶと、能力者のマリオは自分の体を巨大な黄色い球に変え、突っ込んできた。
Uマリオ「喰らえ、“体をスーパーダイナミックエレガントボールに変える能力”!!」
ヒデヨシ「たかだか巨大なビリヤード玉になった程度でオレを倒せっかよォ!?」
確かに・・・それはよく見ると巨大なビリヤード玉だった。ヒデヨシはジェネレイターを構え、切りかかろうとした。
Uマリオ「かかったな!?レベル2発動ッ!」
すると・・・ヒデヨシは突然滑って転んだ。
ヒデヨシ「!? なっ、何だよっ、コイツぁ!?」
ヒデヨシは必死で立とうとする。だが、全く立てない。迫る巨大なビリヤード玉に、ヒデヨシはジェネレイターを向けた。角度をずらし、自分の上を通過させた。勢いを失った巨大なビリヤード玉は、元の姿に戻った。するとヒデヨシはやっと立てたのだ。
ヒデヨシ「(足が滑った・・・。おかしいだろ、何があった!?)」
ウーゴ「ゴム玉を濃硫酸に変える能力・レベル2!!」
ウーゴがゴム玉をヒデヨシに投げる。ヒデヨシはジェネレイターでそれを防ごうとした。すると・・・ゴム玉はジェネレイターを避けるように動き、ヒデヨシの背後に回った。そして濃硫酸に変わる。ヒデヨシはそれをギリギリで避けた。
ヒデヨシ「こいつも・・・レベル2習得済みかよっ!?」
ウーゴ「あれあれ、避けられた。でも次は外さないぞ?」
ウーゴは何発もゴム玉を投げる。ヒデヨシは一個一個を切っていく。だが全てを避けきれない。一個がヒデヨシの左腕に迫った。
すると・・・それは銃弾のようなものに打ち落とされた。その先に居たのはレオルドだった。
レオルド「落チ着イテ下サイ、ひでよしサン・・・。一体ドウナサレタノデスカ?」
ヒデヨシ「・・・すまねぇ、だけど・・・あいつらだけは!!許せねぇんだよ!!
そう叫んでヒデヨシは再びジェネレイターを構えた。そして叫んだ。
ヒデヨシ「お前らのレベル2は見切った!マリオ!てめぇのは“自分がビリヤード玉になっている時に相手の足の裏と地面との摩擦を0にする”っつーモンだろ?そしてウーゴ!てめぇのは“ゴム玉を遠隔操作出来る”ってモンだろ!?」
Uマリオ&ウーゴ「(バッ!バレとる~~~っ!?)」
ヒデヨシ「だから・・・お前らを倒すッ!!」
そう叫んだヒデヨシはジェネレイターを握って二人に迫った。そしてジェネレイターを振った時だ。
寸前の所で、その腕は止められた。その腕を止めていたのは・・・長門だった。
長門「・・・やらせはしない。」
ヒデヨシ「!?」
そう言うと、長門は手を一瞬離し、ヒデヨシの腹に一撃パンチを入れた。
ヒデヨシ「ぐふ・・・っ!!」
長門は能力者のマリオとウーゴの顔を見て言った。
長門「・・・二人とも、帰っていい。ザキラ様が呼んでる。」
Uマリオ「そ、そうか・・・。」
ウーゴ「じゃ、じゃあ帰るぞ。」
そう言うと、二人はワープして消えた。そして残った長門は・・・うずくまるヒデヨシを見て言った。
長門「今のままのあなたでは・・・“赤の操縦者”には勝てない。」
ヒデヨシ「・・・・・!?」
そう言い残すと、長門もまたワープして消えた。
仲間達がヒデヨシの心配をする中、ヒデヨシの心には何か暗い、思い出したくないものが生まれていた・・・。

起こった事:マリオ一行、Uマリオ&ウーゴの待ち伏せに遭う。
レシィ、植木達を救出。

第45話 激突!ザキラ軍・幹部

レシィ「・・・できました~!」
笑って言うレシィ。その手にはシチューの入った鍋が。
植木「あっ、レシィ!料理作ってたのか?」
レシィ「はい。サンジさんやカワサキさんだけが料理作るのって、大変だと思いますから、ボクも作らなきゃって思ったんです。」
あい「そっか。でもレシィってホントに家事得意だよね~。あたしちょっと苦手だけど・・・。」
鈴子「自分にない特技を持っている人にって、憧れますわよね。私も少しうらやましいって思ったんですの。」
そんな会話をしながら、レシィは仲間達の所へシチューを運んでいった。

レシィ「みなさ~ん!シチュー作りました~!」
サンジ「レシィ?お前料理出来たのか?」
レシィ「は、はいっ。ボク、戦うのよりお料理とか、お掃除とか、お洗濯とか、そっちの方が得意なんですっ。」
するとルフィがレシィに笑って言った。
ルフィ「レシィ!おめぇおれが出来ねぇ事ばっか得意だな!しっしっし!すげ~ぇな!」
レシィ「あ・・・!ありがとうございますっ!」
その様子を見て、清一郎が一声を上げた。
清一郎「・・・ま、そういう事でや!みんなで食おうや!」
クッパ「そうなのダ!腹減ったのダ!早く食べるのダ!」
ディディー「そうだね~!じゃ、早く食べようよ~!」
ドンキー「よし!じゃあみんな食うぞ!せ~のっ!」

「いただきま~・・・」

その次の瞬間である。
「あ~~~~~っ!」
突然こちらに向かって声がした。その“声”は料理の上に当たった。すると・・・料理はたちまち凍ってしまった。
ワリオ「なっ、何だ!?メシがカチカチに固まったぞ!?」
ヒデヨシ「!!!」
ヒデヨシが一気に声のした方を向く。そこには・・・4人の少年少女が立っていた。
「ちっ、避けに避けたか・・・。」
「・・・前にあなたの仲間が奇襲に失敗した。いきなり攻撃しても回避されるのは目に見えてる。」
そこに立っていたただ一人の少女は、長門だった。周りには帽子を被った少年、制服のようなものを着て、小さな生き物を連れた少年、そして青い服のフードを目元まで被った人物だった。
マリオ「何なんだ、君達は・・・。僕達に何の用だい!?」
すると制服の少年は答えた。
「ザキラが“そろそろファイター達を倒してこい”ってさ。」
「だからお前達全員・・・フィギュアにして連れ帰りに連れ帰るって事だ。」
帽子の少年が続いた。するとその様子を見て、英孝が「あ~」と呟いた。
英孝「すごい自信満々に言ってるけどさ~?ボク達倒す自信あるの?大人ナメてると怖いよ~?」
するとその英孝に対してエネルギー弾が飛んだ。
英孝「うひゃあぁぁっ!?」
英孝はとっさに避けた。それを放ったのはローブの人物で、手には戦隊ものに出てきそうな大きな銃があった。
「ハッキリ言って威嚇射撃だ。いきなり攻撃はしねぇ。あと・・・過信ならお前達もしない事だな。正直こっちは4人全員ザキラ軍の幹部なんだ。」
ローブの人物がそう言った直後・・・制服の少年が言った。
空海「あッ、俺、相馬空海(そうま くうかい)!よろしくなッ!」
ダイチ「オレは空海のしゅごキャラのダイチだ!」
プリン「しゅ、しゅご・・・しゅ?何ソレ、知らない。」
カプーショ「何でわざわざ名前を教えに教えたか知らないけど・・・ボクはカプーショ・コール。能力者さ。」
長門「長門有希。ザキラ軍の頭脳(ブレーン)と戦闘(ファイト)の幹部。」
それに便乗するように、フード以外の二人も名前を名乗った。そして・・・。
「オレは名乗る程のモンじゃない。ただ・・・オレの目的のために戦いに来ただけだ。」
フードの人物はそう答えた。そして・・・。
空海「ほんじゃっ!そういうコトで・・・行くぜッ!!
そう叫ぶと、空海を除く3人はマリオ達に突っ込んで来た。
長門の拳がピーチに向かって飛ぶ。ピーチはパラソルを差し、それを防いだ。
ピーチ「まぁっ、女の子はおしとやかにするものですわよ?」
長門「・・・戦闘中。そもそも私には関係ない。」

ヒデヨシ「カプーショお・・・ッ!ネロのたいようの家と、たいようの家の子供(あいつ)らを傷付けたコト・・・ぶっちゃけ後悔させてやらぁぁぁぁッ!」
そう叫んでヒデヨシはジェネレイターを構え、カプーショに突っ込んでいこうとした。それをとどめた者が居た。サンジだ。
サンジ「引っ込んでろ、ヒデヨシ!コイツはおれがやる!」
ヒデヨシ「何言ってんだよ!?ぶっちゃけコイツはオレが・・・!!」
するとサンジは煙草を吸い、ふぅーっと煙を上に吐いた。
サンジ「あいつは・・・料理を粗末にしやがった!!!」
怒りの形相でそう言うと、サンジはカプーショに向かって走っていった。
サンジ「このクソ野郎がァ・・・っ!腹肉(フランシェ)っ!!」
カプーショ「自分の声を冷凍ガスに変える能力ッ!!」
カプーショは自分の手に向かって発声した。するとカプーショの手に鋭い氷の塊がついた。サンジの蹴りを、氷の塊で防ぐ。そしてそのまま攻撃に転じる。サンジは体を横に回転させ、その一閃を避けた。
スノウ「!! あれ・・・私のアイスリングと同じ!?」
カプーショ「君を参考にさせてもらったよ?なかなか使い勝手が良さそうだからねッ!」

クッパ「ン?見ロ!あのガキ、隙だらけなのダ!」
ワリオ「マジだ!あいつ言うだけ言っといて、全く何もしてねーな!よし、俺様はアイツをっ!!」
ワリオが空海に向かって突っ込む。すると空海はニッと笑った。
空海「行くぜ、ダイチ!」
ダイチ「おうっ!任せとけ!」

空海「オレの心、アンロック!!」

次の瞬間、空海の体は光に包まれた。そして光が晴れると・・・。

「キャラなり!スカイジャック!」

姿を変えた空海が現れた。代わりにダイチの姿はない。
ワリオ「なっ!?なんじゃこりゃ!?」
空海「ナメてんなよ?そら、喰らえっ!!」
空海は乗っているスケボーのようなものをワリオに向かって蹴りだした。スケボーはそのままワリオの顔面に命中した。
ワリオ「ぎゃあっ!存外に強ッ!?」
ガノンドロフ「馬鹿め、油断をするからだ・・・!!」
ロボット「先程ノ小サナ生物ノ力ヲ借リタ模様。理屈ハ不明デスガ・・・。」
Mr.ゲーム&ウォッチ「げ~っ?強かったんだ、こいつ~!?」
空海「さぁっ、どんどん行くぜぇッ!?」
再び空海はスケボーを蹴りだした。ガノンドロフに迫る。

「ハイ、失礼します!!」

誰かの剣がそれをはじいた。ボードははじかれたが壊れず、そのまま空海の足へと戻ってきた。
空海「!? ガ、ガイコツ!?」
現れたのはブルックだった。ブルックは剣を鞘に納めていた。
ガノンドロフ「お前・・・。」
ブルック「皆さん!ご無事ですか!?」
Mr.ゲーム&ウォッチ「ボクは平気~!」
ロボット「シカシ、助カリマシタ。彼ハトテモ速イ・・・。我々ノすぴーどデハ、追イツケナイデショウ。デスガ貴方ナラ・・・!」
するとブルックは全てを察したようにうなずいた。
ブルック「了解しました・・・!精一杯戦います!」
そう言うと、ブルックは再び剣を抜いた。
最善ガノンドロフ『・・・・・。』
その様子を、遠くから最善の未来のガノンドロフがじっと見つめていた。

ヒデヨシ「んにゃろォ・・・!ぶっちゃけカプーショはオレがやるっつってんのに!?」
ヒデヨシは再びジェネレイターを構え、カプーショに迫る。その時である。

「お前はオレの相手しなッ!」

フードの人物の飛び蹴りがヒデヨシのわき腹に当たった。ヒデヨシはそのまま地面に倒れた。
ヒデヨシ「・・・!? ぶっちゃけ邪魔すんなッ!」
そう叫び、ヒデヨシはジェネレイターを振り下ろした。フードの人物はさっと避けた。だがその一閃は左肩に命中した。
ヒデヨシ「!?(マズイ、腕が飛ぶ・・・!?そ、そんなつもりは全く・・・!)」
だが・・・フードの人物はニッと笑っている。左肩に大きい傷は出来たものの、切断されてはいなかった。
レオルド「・・・!?じぇねれいたーデ切断出来ナイモノハ存在シナイノデハ・・・!」
するとフードの人物は言った。
「ハッキリ言ってお前・・・知らねぇのか?ジェネレイターは確かに何でも切断出来る。でもそれは斬る物が“物質だった時”の事例だぜ?相手に命や意思のあれば、正直それはただの“すごく切れ味の良い大剣”でしかなくなるってよ。ま、正直危ない事に変わりはねぇけどな?」
ヒデヨシ「・・・“ただの”すごく切れ味の良い大剣?へへっ・・・。ぶっちゃけ十分じゃねぇか。相手を倒すのに不足はねぇ“力”だ!」
レオルド「(・・・ひでよしサン・・・?)」
そう叫んで、ヒデヨシは再びジェネレイターを振るった。するとフードの人物は戦隊ものに出てきそうな剣のオモチャを取り出した。そしてそれを持ったまま、ジェネレイターの斬撃を避け続ける。
そしてしばらくし、その剣をジェネレイターの前に出した。
ヒデヨシ「たかだかオモチャの剣でジェネレイターが防げっかよ!?」
そのままジェネレイターを振り下ろした。だが・・・相手の剣はジェネレイターを防いでいた。
ヒデヨシ「!? な・・・ッ!?」
「・・・“滅悪戦隊ライティンジャー”って知ってっか?」
突然フードの人物は尋ねた。するとヒデヨシはふと答えた。
ヒデヨシ「え・・・?ぶっちゃけそれって、オレが小1ぐらいの時にやってた戦隊ものの番組だろ・・・?それが何だってんだよ・・・!?」
するとフードの人物は笑った。
「これ、ハッキリ言ってそれのオモチャの剣なんだけどな。その番組だとこの剣は“絶対に折れない剣”ってなってた。これは・・・その剣そのものだぜ?」
ヒデヨシ「!? んなアホな!さっきまでそれ、ぶっちゃけただのオモチャだったじゃねぇか!?」
「・・・じゃあもしその“オモチャ”が“本物”に変わってたら・・・どうする?」
ヒデヨシ「!!」
ヒデヨシは何か思い当たるものを感じた。
ヒデヨシ「まさかお前・・・能力者か!?」
「アタリ。でも正直どんな能力で限定条件は何なのか分からねーとハッキリ言って意味ねぇぜ?」
そう言うと、フードの人物はやはり戦隊ものに出てきそうな赤いカラーリングのライオンのような姿のロボットを模したプラモデルを取り出した。そしてしばらくして・・・そのライオンのプラモデルが輝き、巨大なライオンのロボットになったのだ!
『さァ、行くぞヒデヨシ!久々にケンカといこうじゃねぇか!!』
ヒデヨシ「(“久々にケンカ”!?どういう事だ、それにこいつ・・・ぶっちゃけどうしてオレの名前を!?)」
あれこれ考えているうちに、ロボットは迫る。
ヒデヨシ「!!! ぶ、ぶっちゃけ反則だろーーーーーーッ!!
ヒデヨシは逃げるほか無かった。それに続くように、レオルドはヒデヨシの後に続いて逃げた。

所変わって。サンジとカプーショの戦いは、サンジがやや圧倒していた。
カプーショ「ちぃ・・・っ!怒りに怒りやがって・・・!ここまで蹴りが強力とはね・・・!」
サンジ「たりめぇだクソ野郎・・・!料理を粗末にしやがって、オロしてやるっ!」
サンジがカプーショに迫る。
カプーショ「くっ・・・!!自分の声を冷凍ガスに変える能力っ!あ~~~・・・っ!」
カプーショは目の前の地面に向かって冷凍ガスを放った。地面がたちまち凍る。
サンジ「転ばせようって作戦かよ!?」
サンジはジャンプして凍った地面を避けた。そのまま左足の蹴りを放とうとした、その時である。
カプーショ「自分の声を冷凍ガスに変える能力っ!あ~~~・・・っ!」
空中に飛んだサンジの左足に、冷凍ガスが命中した。左足が凍る。サンジはそのまま落下し、転倒した。
サンジ「な・・・っ!?あ、足が・・・!」
こどもリンク「じ、地面を凍らせたのは、空中へ行かせて隙を作るための罠だったんだ・・・!?」
カプーショ「残念だったね。ボクは策略家なんだ。簡単に負けたまま終わると思う?」
そう言うと、カプーショは再び右手に鋭い氷の刃を作り出した。
カプーショ「それじゃそろそろ・・・とどめだっ!!
カプーショの氷の刃がサンジに迫る。そこへ飛び出した者が居た。スノウだ。
スノウ「サンジは・・・やらせないよっ!」
カプーショ「おや、ご本家さんの登場か。ならお前から先に倒しに倒す!」
そう言ってカプーショはスノウに狙いを変えた。だがスノウも負けてはいない。
スノウ「私・・・サンジさんとあなたの戦いを見てる間、ずっと魔力を練り上げてたの・・・。それを今使う時だよ・・・っ!いっけー、ユキちゃん!!
そう叫んでスノウは首から下げていた雪だるまの付いた首飾りを握り締めた。すると・・・巨大な雪だるまがスノウの傍らに現れ、カプーショに突進していった。
カプーショ「な・・・っ!ぐはっ!?」
突進攻撃を受け、カプーショは後ろに吹き飛ばされた。
スノウ「もっかいユキちゃん!」
それに追い討ちをかけるように、上から巨大な雪だるまが降ってきた。そして轟音を上げてカプーショの上に落ちた。
こどもリンク「・・・ちょっとやりすぎじゃ・・・。」
スノウ「え?あ・・・!ホントだっ!?ちょっとやりすぎちゃった!?」
スノウは慌ててカプーショが潰された所へ駆け出した。その時である。

「あ~~~・・・!!」

突然声が聞こえた。そして・・・気付くとスノウは赤い氷に氷付けにされていたのだ!!
カプーショ「・・・油断したよ。まさかあんなÄRMを持ってるなんて、情報になかったからね。でも・・・それも終わりに終わった。ボクの自分の声を冷凍ガスに変える能力・レベル2にかかれば、どんな強さの相手だろうと関係なく粉々に出来るからね。」
サンジ「な・・・っ!?どういう事だ!?」
するとカプーショはフンと鼻で笑った。
カプーショ「ま、仲間の最期の瞬間を見る事になるんだから・・・教えてあげるよ。ボクの能力のレベル2の赤い氷で凍った物は、氷自体ももろいんだけど、ボクの攻撃に対してクッキー並みにもろくなってしまうんだよ。だからボクが凍ったこの子にちょっとでも攻撃を加えれば・・・この子は赤い氷と一緒に粉々に砕け散る。
こどもリンク「そ、そんな・・・!?」
カプーショ「もうすぐこの子はフィギュアになる。そしてボクの能力のレベル2でフィギュアを氷付けにすれば、攻撃を加えてフィギュアも壊せる。まぁ・・・もしかしたら最初で死ぬかも知れないけど。最期を見届けてあげる事だね?」
そう言うと、カプーショは凍ったスノウに対してデコピンにも似た攻撃を加えようとした。
サンジ「な・・・っ!やめろぉーーーーーーッ!!」
サンジは立ち上がって走ろうとした。だが凍った左足のせいで全く立てない。
その時であった。
獅子歌歌!!
カプーショに居合い切りが炸裂する。ゾロだ。それを追うようにシェイミが飛んできた。すでにスカイフォルムだ。
サンジ「てめぇ、クソマリモ・・・!」
シェイミ『ミーはマリモじゃないです!』
ゾロ「バーカ、スノウを助けただけだ。」
サンジ「うるせぇ、おれも今まさに行こうとしてたんだよッ!!」
いつものように言い争いがスタートする。それに対しシェイミが
シェイミ『こんな事やってる場合じゃないです!』
とツッこんだ。それにはサンジもゾロも同調した。
ゾロ「だな・・・。とっとと済ませて加勢に行くぞ!」
サンジ「分かってらぁ、クソマリモ共!」
シェイミ『だからミーはマリモじゃないです!』
その時、ゾロの懐から何かが落ちた。七色に輝く錠剤の入った・・・あのビンだ。
サンジ「? おい、なんだこりゃ?」
ゾロ「コイツか?コイツはこないだ戦った青いタヌキ達が持ってたんだが・・・。」
その時、シェイミはゆっくりと地面に降り、くんくんと薬のにおいをかいだ。そしてそれを一つ飲んだのだ。
サンジ「お、おい!何かも分かんねぇモン食うんじゃ・・・!」
すると・・・シェイミの目が金色に光った。体からは七色のオーラが見える。だが目からは殺気にも似た何かが宿っていた。
ゾロ「な・・・っ!シェイミ・・・!?」
シェイミ『しぇ~~~い・・・みぃーーーーッ!!』
突然上空に飛び出したシェイミは、周りの空間から何かを吸い取り始めた。それは毒素だった。そしてシェイミは空中でそのまま緑色の波導を放ちながら爆発を起こしたのだ。シードフレアだ・・・!!
カプーショ「な・・・っ!うわぁぁぁぁぁっ!!」
カプーショは爆風に巻き込まれ、地面に倒れた。そして凍ったスノウの氷が爆風で砕けた。スノウは無事だった。そしてゾロとサンジは吹き飛ばされまいと足を踏ん張っていた。
そして爆発がやみ・・・シェイミは地面に落ちていった。
ゾロ「!? シェイミッ!」
ゾロが走る。だが、間に合いそうにない。だがそれでもゾロは走るのをやめなかった。
もうすぐ地面だ。ゾロの脳裏に「助けられない」という言葉が浮かんだ。だがゾロはそれを否定した。
ゾロ「関係ねぇ・・・!落ちんなよッ!シェイミーーーーーッ!!」
その叫びの後、地面にシェイミは激突した・・・と思われた。シェイミはあるものの上に落ちて助かった。それはスノウのÄRMであるスノーマンの伸ばした手だった。
ゾロ「!! このÄRMは・・・!」
スノウ「パウダースノー・スノーマンだよ。ありがと、ユキちゃん!」
そう言ってスノウはユキちゃんにシェイミを降ろさせると、ユキちゃんをÄRMに戻した。
ゾロ「お前、砕ける氷の中に閉じ込められたんじゃ・・・!」
スノウ「うん。でもシェイミの攻撃で氷だけ壊れて助かったの。」
ゾロ「そうか、あいつそういや“ボクの攻撃に対して”って・・・。にしてもシェイミの放ったあの殺気・・・何だったんだ?」
スノウ「早く戻ろう、ゾロ!サンジさんが心配だよっ!」
ゾロ「ああ、そうだな。あのクソコックの事だから負けはしねぇと思うが、左足凍ってんだ。戻るか!」
シェイミを抱えたまま、ゾロはスノウと共にサンジの元へと向かった。

そして・・・スノウとゾロ、そして抱えられたシェイミはサンジの元へ辿り着いた。
スノウ「サンジ!だいじょ・・・っ、 !!?
ゾロ「こ、こいつは!?」
そこでスノウとゾロが見たものは、右足を真っ赤に加熱させたサンジだった。明らかにサンジの方が優勢である。
ゾロ「・・・悪魔風脚(ディアブルジャンプ)!?どうしてこのタイミングでそれを!?」
サンジ「知るかッ!ただ、あの薬飲んだらこれを使わなきゃならねぇ気がしたんだよっ!」
そう言いながら、サンジはカプーショに高熱の蹴りを繰り出す。カプーショは氷の剣でそれを防ぐが、氷は高熱には勝てず、そのまま溶け始めた。
カプーショ「!? そんな・・・バカなッ!?」
サンジ「画竜点睛(フランバラージュ)ショットぉぉぉぉッ!!!」
そこにすかさずサンジは灼熱の連続蹴りを繰り出した。その蹴りを全てその体に受け、カプーショは吹っ飛ばされた。そして落ちてきたカプーショはフィギュアと化していた。それと同時に、サンジの足の熱も消えた。
スノウ「サンジ、すごい技だったけど・・・あの人をあそこまでやる必要はなかったと思うよ!?」
スノウに言われると、サンジは片手で頭を押さえた。
サンジ「それは分かってる、スノウちゃん・・・。だが、あれを使った瞬間・・・どうにも体が止まらなくなったんだ。“コイツをブチのめしたい”・・・そうとしか思えなかったんだ。妙な感じだ・・・。」
ゾロ「まさか・・・あの薬・・・?」
ゾロが不吉なものを感じたその時である。

「うっぎゃあぁぁぁぁぁぁッ!!」

誰かがこちらへ駆けてくる。ヒデヨシだ。後ろからはレオルドが続き、そのさらに後ろにはライオンのロボットが迫る。三者とも、ゾロ達の方へ一気に駆けてくる。
ゾロ「何だ、こいつぁ!?」
ヒデヨシ「反則だ、反則ッ!ぶっちゃけあんな奴相手になるかよッ!?」
ヒデヨシはジェネレイターを持ったまま言う。ライオンのロボットはじりじりと迫ってくる。
レオルド「危険!停止不可ノ場合、戦闘不能率80%以上・・・!!」
スノウ「止めなきゃ・・・止めなくちゃッ!」
スノウはライオンのロボットの足に向かってアイスドアースを放った。だが、全く動きは止まらない。そしてライオンのロボットはもうすぐ目の前に迫っていた。
サンジ「ッ! みんな!伏せろっ!!」
その声と同時に、全員が一斉に地面に伏せた。

だが・・・ライオンのロボットはこちらを襲ってこなかった。その姿すら消していたのだ。
そして乗っていたフードの人物は、フィギュアとなったカプーショに、心配そうに近づいていっていた。
「カプーショ・・・大丈夫か?安心しろ、すぐに戻してや・・・」
フードの人物が言いかけた時、ヒデヨシは猛ダッシュで接近し・・・フードの人物に向かって切りかかった。フードの人物はそれに気付き、カプーショのフィギュアを抱えたままとっさに避けた。だが、避けた拍子にフードが脱げた。
その顔を見た途端・・・。
ヒデヨシ「・・・!!! え・・・え!?」
ヒデヨシは愕然とした。それと同時にスノウ達も顔を上げた。その途端、彼らも息を呑んだ。
ゾロ「こいつは・・・一体!?」
レオルド「・・・マサカ!?」
スノウ「ど、どういう事!?」
サンジ「ヒ・・・ヒデヨシが・・・二人!?

ヒデヨシ達の前に現れたのは、髪と眉毛が真っ赤なヒデヨシだったのだ・・・!!
そしてそれは、ヒデヨシの中にある、思い出したくない憎しみを掘り返す事となる・・・!!

起こった事:マリオ一行、ザキラ軍幹部に襲われる。

第46話 悲しみと憎しみの過去!血を分かつ二人のヒデヨシ(※オリジナル設定があります)

周りに流れた、不穏な空気・・・。
目の前に居るのは、服装や髪の色を除いてはヒデヨシにしか見えない。
一体何者なのか・・・誰なのか・・・。
そんな空気を断ち切ったのは、ヒデヨシだった。
ヒデヨシ「なんで・・・なんでお前がここに・・・ッ!」
「・・・・・。」
するともう一人のヒデヨシはじっとヒデヨシの隣で呆然と立っているレオルドを見た。そして・・・一気に駆けてきたのだ。
ヒデヨシ「!? レオルドに触るなッ!!
ヒデヨシはジェネレイターを振るう。それをもう一人のヒデヨシはあの剣で防いだ。そして剣を持たない左手でそっと、レオルドの右腕に触れた。そしてそっと呟いたのだ。
「お前・・・相当無理してんな。」
レオルド「・・・・・?」
「ボディがめちゃめちゃ傷だらけだぜ。内部も痛ぇトコねぇか?」
そう言って、心配そうにレオルドを見つめていた。
レオルド「貴方ハ・・・一体・・・?」
ヒデヨシ「だから馴れ馴れしくしてんじゃねぇよッ!!
ヒデヨシは持ち方を変え、切りかかった。もう一人のヒデヨシは・・・避ける事さえしなかった。そのまま斬撃をその身に受けたのだ。
ヒデヨシ「!? 何で・・・何で避けねぇんだよ・・・っ!?」
もう一人のヒデヨシは、傷口に左手を当てた。血が手にべったりと付く。そしてその血を地面にこすり付けると、ヒデヨシに対して言った。
「もしオレが避けてたら・・・間違いなくこいつが喰らってた。正直お前そんな事も分かんねぇのか?やっぱまだ・・・子供だな?」
ヒデヨシ「ッ・・・! うるせぇっ!!」
「迷ってんなら戦うな。何で戦うんだ?ハッキリ言って迷うんだったら拳をぶつけねぇべきだ。言葉で解決できる事もさ、世の中にはたーんとあるんだぜ?」
するとヒデヨシはぐっと歯を食いしばった後、大声で叫んだ。
ヒデヨシ「アンタなんかに・・・アンタなんかに何が分かるんだよ!?ずっとアンタに負け続けてきたオレの気持ちが・・・アンタなんかに分かるかよッ!ぶっちゃけどうして・・・どうして同じ日にこの世に生まれたってのにこうもアンタが優遇されてんだよ!?」
スノウ「!? “同じ日にこの世に生まれた”・・・って!?」
ゾロ「・・・なるほど、そういう事か・・・!」
サンジ「こりゃまた問題が多そうだな・・・。」
するともう一人のヒデヨシ(?)はほっとため息をつくと、ヒデヨシに言った。
「お前さぁ・・・正直オレの方が優遇されてると思ってんのか?」
ヒデヨシ「たりめぇだろッ!勉強も・・・運動も・・・才能も・・・名誉もッ!何もかもアンタの方が勝ってんだ!ぶっちゃけどうしてだよっ!?何で双子の兄弟なのに差がついてんだよ!?だったら何もかもより勝ってて良いってのか!?えぇッ!?
大声で叫んだ。その言葉が表していたのは、二人の複雑な“過去”だった。
レオルド「オ二人ガ・・・双子?」
スノウ「でも、どうしたんだろ・・・。ヒデヨシ、すっごく怒ってる・・・。」
するとゾロはスノウに言った。
ゾロ「あれは怒りなんてレベルじゃねぇぞ、スノウ。あれは怒りを通り越して・・・“憎しみ”だ。」
サンジ「二人の間に何があったか知らねぇが、ヒデヨシの言葉を聞く限り・・・兄であるあいつの方が優れてて、優遇されてたみてぇだな・・・。」
タバコをふかしながら、サンジはそう言った。すると赤髪のヒデヨシはハハハと笑い出した。
「ハッキリ言って、んな事誰も言ってねぇだろ?ただちょっと・・・オレには“目に見える”お前にない物があっただけ。お前には・・・」
ヒデヨシ「何もねぇ、そう言いてぇんだろ?アンタなんか・・・アンタなんか嫌いだぁぁぁぁッ!!
そう叫んでヒデヨシはジェネレイターを振るった。赤髪のヒデヨシは先程の剣を構える。ヒデヨシはニッと笑った。
ヒデヨシ「かかったな!わざわざ正面から行くわけねぇだろッ!ぶっちゃけオレが能力者だって事忘れてたか!?」
ヒデヨシは指を折り曲げる。だが・・・
似顔絵は現れさえしなかった。そこに赤髪のヒデヨシの剣が振り下ろされる。ヒデヨシは体にそれをまともに受けてしまった。
ヒデヨシ「ッ・・・!ちぃ・・・っ!」
ヒデヨシは傷口を押さえながら、体勢を立て直した。
「お前・・・気付いてねぇのか?」
突然赤髪のヒデヨシがヒデヨシに対して言った。
「プロテクトを解除してないジェネレイターが、刃を出すわけねぇだろ?だがジェネレイターは刃を出してる・・・正直それが何でか分かるか?
ハッキリ言ってお前はなぁ、本来能力や神器以外には使わないはずの天界力をジェネレイターのプロテクトの一時的解除に使ってんだよ。だからお前はジェネレイターを使ってる間能力は使えないし・・・ジェネレイターはお前にしか使えない。」
ヒデヨシ「!!!」
ヒデヨシはあの時の事を思い出した。
ギラーン達に囲まれた時、彼はジェネレイターを持ったまま能力を、レベル2を使おうとした。だが全くそれは現れなかった・・・。
その原因は全て、ジェネレイターだったのである。
スノウ「あの人、すごく能力とか機械に詳しいけど・・・どうして?」
すると赤髪のヒデヨシはスノウに対して答えた。
「あ~、ハッキリ言ってオレの名前“あの人”でも“アンタ”でもねぇぜ。オレの名前は宗屋ヒデノリ。カプーショチームの新入りで、ついでにザキラ軍の戦闘の幹部『赤の操縦者』だ。それはともかく、双子の弟のヒデヨシが、えらく世話になったっぽいな・・・。
ま、能力者として能力について知っておくのは常識。機械が好きなのは昔っからだ。特に、戦隊ものの機械はガキの頃から大好きでさ。」
そう言ってヒデノリは笑顔を向けた。その表情や物腰を見て、サンジは何か引っかかるものを感じた。
サンジ「(あんな野郎が恨まれるような奴には見えねぇが・・・。どういう事だ?)」
ヒデヨシ「オレにしか・・・ジェネレイターは・・・使えない?」
するとヒデノリはうなずいた。
ヒデノリ「ああ。正直お前のその天界力の使い方は、よく分かんねえ。多分どの能力者がマネする事も無理だ。お前は無意識のうちに、そのプロテクト解除の方法を使ってんだな・・・。
だが、その使い方は・・・ハッキリ言ってやめた方がいい。その使い方は、体に負担をかけすぎる。それに能力も使えなくなるんだ、良い方法じゃねぇぜ。」
だが・・・ヒデヨシは握る手を緩めなかった。むしろ強くそれを握った。
ヒデヨシ「関係あるか・・・!関係ねぇよッ!アンタの大事な物なんて・・・何もかもブチ壊してやるッ!!
そう叫んで、ヒデヨシはジェネレイターを構えたままヒデノリの所へと飛び込んでいった。

所変わり・・・。
ピーチ「あら・・・お強いのですね・・・。うぅっ・・・。」
状況は思わしくなかった。長門の強さに、マリオ達は対抗出来なかったのだ。
マリオ「何なんだ、彼女は・・・!?まるで・・・ついていけない・・・ッ!!」
長門「・・・・・。」
長門はじりじりとマリオ達に近寄った。その時である。
「く~っくっくっく。その辺にしとけ。」
誰かが現れた。クルルである。
クルルは長門の前に立ち塞がるかのように現れた。
長門「・・・・・!!」
ドンキー「カエル、てめぇ!何だ、いきなり!?」
クルル「黙って下がってろ。やられかけのお前らは・・・いつやられてもおかしくねぇ。安全な所で安静にしてろ。俺はこいつと戦う。」
ルイージ「で、でもっ!彼女、相当強いよ!?」
するとクルルはくっくっくと笑った。
クルル「く~っくっくっく。心配すんな。俺には秘密兵器がある・・・。秘密兵器があるからこそ、お前らはどっか安全な所へ行け。ここに居られたら巻き添えにする可能性がある。」
その言葉を受け、マリオ達はうなずいた。
ディディー「戻ろう、みんな・・・っ!」
よろよろとしながら、マリオ達は安全な所へと逃げた。そしてその影が見えなくなると、クルルは長門を見た。
クルル「そっちはどうなってんだ・・・?長門。」
長門「・・・順調に進んでる。」

さらに所は変わり。
ブルック「革命舞曲(ガボット)ボンナバン!!」
ブルックの突進からの突きが炸裂する。だが空海はそれを避けた。
空海「へへっ!どんなに強くったって、当たらなきゃ意味ねぇぜ?」
そう言って、空海はボードを蹴る。ブルックはそれを避けた。
ブルック「くっ・・・!当たらなければ伴いませんね・・・!」
その時・・・ロボットは空海に向かって言った。
ロボット「少年ヨ・・・一ツ聞ク!何故ざきら軍ニ手ヲ貸ス!?“コノ世界”ヲ滅ボシタイノカ!?ソレトモ理想郷ヲ求メルノカ!?」
すると・・・空海は首をかしげた。
空海「? 何言ってんだ、お前?“この世界滅ぼす”とか、“理想郷を求める”とか・・・。そんなつもり、ざらにねぇぞ?」
するとそこにMr.ゲーム&ウォッチは質問をぶつけた。
Mr.ゲーム&ウォッチ「じゃあどうしてザキラに協力するの!?キミは何か憎いって言うの!?」
すると空海は「あ~」と呟いた後、答えた。
空海「オレは誰も憎くねぇ。でも、ここがゲームの中の世界だから攻撃してるだけだ!ゲームの中なら、誰も傷つかねぇだろ?」
空海は笑顔でそう答えた。それは・・・衝撃的な事であった。
ワリオ「何ぃッ!?俺様達の居る“この世界”がゲームの中の世界だとぉっ!?」
空海「ああ!ザキラはそう言ってたぜ?“ここはゲームの中の世界だ、だから誰を攻撃しても誰も傷つかない。だからゲーム感覚で楽しんでくれ”って!」
やはり空海は笑顔でそう答えた。その時・・・空海の腹に剣の鞘が突き当たった。それはブルックだった。剣ではなく、鞘を突き立てていた。
空海「・・・っ!?か、は・・・っ!」
空海はそのまま地面に伏した。ぜぇぜぇと荒い息をする。
ブルック「ゲームの中の世界、ですと・・・?ふざけないで下さい。あなたのその考えが、人を苦しめていると・・・分からないのですか!?
腹の痛みをぐっとこらえ、空海は無理に笑顔を作った。
空海「は・・・はははっ・・・。すげぇ世界だな、おい・・・。痛みまで・・・再現されてんのか?」
その時、空海の頬に斬撃が飛んだ。ガノンドロフだった。幅の広いあの大剣を振るっていたのだ。空海の頬をかする。そして空海の頬からつぅーっと血が流れた。空海の顔色は、みるみる青ざめていった。
ガノンドロフ「・・・どうした?さっきまでどんなにこっちを傷付けても・・・何も言わなかったろう?それでいて・・・自分が傷付けられてやっとか?やっと騙されていると分かったか?」
空海「あ・・・。あぁ・・・っ!?」
流れた血を指でぬぐい、そしてその血を見て・・・空海の目には恐怖が映った。
ガノンドロフ「この世界がゲームの中の世界だと?よくそんなふぬけた事を口に出来たモンだ。ならばその腹への一撃の痛みも嘘か?その流れた血も嘘か?違うだろう・・・本物だ。お前はそれを知らず・・・人を傷付けるために戦っていたのだ。」
空海「あぁ・・・あああ・・・あぁっ!?」
空海は頭を抱える。同時にキャラなりが解けた。
ダイチ「お、落ち着けって空海!?」
空海「ウソだろ・・・!?だって、話と違うっ!?」
空海はダイチの言葉にすら耳を傾けなかった。どうやらややパニック状態に陥っているようだ。
クッパ「・・・・・ン?」
クッパはガノンドロフの近くに、何か半透明のガノンドロフに似た存在を見た。それがガノンドロフと同じように動いている・・・いや、その存在がガノンドロフを動かしている。そう見えた。
言葉も全て・・・その存在が放っているものがガノンドロフの口から出ているようだ。
最善ガノンドロフ『そこで自分を責めてどうする?そこから立ち直ることも出来ないのか?』
ガノンドロフ「確かにお前のした事は、何も知らなかったお前にとっては辛いだろう。だが・・・それを受け止め、もう二度と同じ事を起こさない事の方が、よっぽど男だ。よっぽど人間だ・・・。」
その言葉を聞き、空海は涙ながらに言った。
空海「どうすれば・・・どうすればいいっ!?オレ、これから・・・どうすりゃいい!?」
するとブルックは笑って言った。
ブルック「相手と分かり合う事です。そして・・・人をむやみに傷付けない事。それさえ守れれば、誰も泣きはしませんよ。ヨホホホホ!」
空海「・・・・・。」
空海の口元が笑った。すると最善の未来のガノンドロフも笑顔を浮かべ、ふっと姿を消した。

-んな事は、オレも分かってるよ・・・薄々気付いてはいた、ここがゲームの中じゃないぐらい。-

-でも・・・オレは戦わなきゃなんねぇんだよ!?-

その目は、心から笑えてはいなかった。

所は戻り、ヒデヨシ達は・・・。
ヒデヨシ「うわぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」
ヒデノリ「キョーボーな振り方だなぁ?そんなにオレが・・・憎いかよっ?」
ヒデヨシ「お前なんか・・・お前なんか消えっちまえぇぇぇぇッ!!
大声で叫びながら、ヒデヨシはジェネレイターを振るい続ける。それをヒデノリはずっと受け止め続けていた。そして隙を見つけたヒデノリは、ヒデヨシに向かって突きを繰り出した。ヒデヨシの足の真上を刺す。ヒデヨシはよろりと倒れ、傷口を押さえた。
ヒデヨシ「うっ、ぐうぅ・・・ッ!あ、がぁ・・・っ!」
ヒデノリは倒れたヒデヨシを見下ろしながら、ヒデヨシに尋ねた。
ヒデノリ「お前の今したい事って何だ?」
ヒデヨシ「・・・・・?」
ヒデノリ「お前の望みって・・・何なんだ?」
そう尋ねるヒデノリを睨みつけながら、ヒデヨシは言った。
ヒデヨシ「悪を、潰す事・・・。それが、オレの正義だから・・・。」
するとヒデノリはふーんと呟いた後、答えた。
ヒデノリ「正直それってよ、お前にとって悪であっても、相手にとっては正義なんじゃね?」
ヒデヨシ「ぶっちゃけそんな訳あるかよ!悪だって判断したら悪なんだ!みんなもそう思ってる!」
ヒデノリ「そら、見方によっちゃ悪は悪だってなるよな。でもな、多分その悪に加担してる奴にとっちゃ、お前達の方が悪って見方もあるだろ?
自分の信じてるモンって、どうしても“正義”って言い張りたくなるんだよ。でもな、ハッキリ言って正義ってのは、人それぞれ違うモンなんだよ。たとえ似ててもな。自分にとって正義でも、相手にとっちゃそこまで正義だと思えるようなモンじゃない時だってある。」
ヒデヨシ「・・・何が言いてぇんだ、アンタ・・・?」
ヒデノリ「つまり、だ・・・。」
そう言ってヒデノリは少し考えた。そして次の瞬間・・・怒ったように叫んだ。
ヒデノリ「正義なんていっちばん曖昧な言葉・・・簡単に口にしてんじゃねぇよッ!!」
その言葉にヒデヨシは一瞬攻撃をためらった。だが、今のヒデヨシはその言葉を認めたくなかった。
ヒデヨシ「う・・・うるさいっ!オレにとっての正義は、絶対正義なんだ!お前なんかに曲げられてたまるかぁぁぁぁッ!!」
ヒデヨシはヒデノリに突っ込んでいった。ジェネレイターを、構えたまま。ヒデノリは持っていた剣を降ろした。

「ふざけんな。」

周りのスノウ達にその声が聞こえた次の瞬間には、ヒデヨシの腹にヒデノリの拳が飛んでいた。
ヒデノリ「相手の正義を聞かずムリヤリ押し付ける正義なんて・・・正直そんなのただの“わがまま”の一種だぜ?ハッキリ言って正義だなんて言葉は簡単に使える。『正義は必ず勝つ』って言うけどな、あれはふざけた考えだ。相手にとっちゃ、こっちとは反対の事が正義だったりすんのによ。その正義が、全ての人間に受け入れられない事なんて普通にあるのによ・・・。だからな、絶対正義なんて言葉、存在しねぇんだ。
自分の正義をムリヤリ押し付ける奴が、一番の悪じゃねぇかってオレは思う。相手の正義と自分の正義、どっちも尊重できる・・・そんな奴が一番良い奴なんだろうけど、難しいんだよな。それは・・・。」
そう言って拳を下ろすと、ヒデヨシは気を失ったように後ろに倒れ、そしてフィギュアになっていた。
スノウ「ヒデヨシっ!」
スノウが飛び出した。すぐに金の台座に触ろうとする。だが、それをサンジは止めた。
サンジ「今はやめとけ、スノウちゃん。」
スノウ「なんでっ!?ヒデヨシが倒れたままなんてかわいそうだよっ!!」
サンジ「復活させんなとは言ってないぜ。だがな・・・あいつと戦ってるヒデヨシは、明らかにおれ達の知ってるヒデヨシじゃなかったろ?憎しみの塊だった。コイツには・・・少し時間が必要だ。それに今またここで起こしても、また話がこじれるだけだろ?」
スノウ「あ・・・。」
サンジの言葉を聞き、スノウはそっと手を下ろした。
ゾロ「一つ聞きてぇが・・・お前。ヒデノリっつったな。お前とヒデヨシの間に、一体何があったってんだ?」
その言葉を受けると、ヒデノリはふぅーっとため息をついて言った。
ヒデノリ「あいつ・・・ガキの頃から、ずっと“目に見える”差を見続けなきゃなんなかったんだ。テストの点はいつもオレの勝ち、運動の記録もそう。何やってもオレの方が上手いって言われて、その上・・・それがきっかけで、学校の先公はオレばっかり褒めるしよ。
ハッキリ言ってあいつはそれをずっと見てきたんだぞ・・・。今思えば、あいつにだって目に見える才能を見せてやりたかったよ。あいつにだって、自信持たせてやりたかった・・・ッ!」
そう言うヒデノリの目には何かが光っていた。涙だ。きっと、これほどとまでに、弟の憎みの根源となる多大な才能など・・・持ちたくなかったのだろう。それは後悔にも似た感情だった。
サンジ「? 何だ、その目に見える才能ってのは?」
ヒデノリ「例えばだよ。運動だの料理だのダンスだのの才能は、色んな人の目に見えるだろ?でもな、優しさとか、人に頼りにされる事とか・・・。それって、目に見えないモンだろ?見えたとしても、差とか点数なんて付けられない。あいつは“目に見えない”才能をたっくさん持ってんだ。それ含めて見れば、オレもあいつもどっちも同等・・・いや、きっとオレの方が負けてる。だけど、やっぱり目に見える方が印象強く見るんだよな、人間って。あいつ、ずっと悔しがって・・・。少し前・・・いや、もっと昔からかも知れねぇ。オレに憎しみを向けてた。
・・・オレらが小1の時、親父とお袋が大ゲンカしてさ・・・離婚って訳じゃねぇらしいけど、親父が家を出て行くって言い出して、オレは親父に引き取られてさ。それ以来、ヒデヨシとも会ってなかったけどよ・・・やっぱり昔の事、恨まれてたか・・・。」
ヒデノリはそこまで話すと、ほぅっとため息をついた。
ヒデノリ「あんたら。もし、ヒデヨシが道に迷いそうになったら・・・一緒に道、探してやってくんねぇか?あいつ・・・本当は、寂しがり屋なんだよ。正直一人にしてやりたくねぇけど、オレは・・・。」
レオルド「・・・了解シマシタ。」
その言葉に先に応じたのはレオルドだった。それに安心したかのように、ヒデノリは笑顔を見せた。
ヒデノリ「サンキュー。お前達が仲間で・・・きっとヒデヨシも安心してると思うぜ。」
その時、ヒデノリの手に付けていた発信機が鳴った。声が聞こえる。
『ザキラ様より命令が下った。成果に関わらず、今すぐ帰って来い。以上だ。』
それで通信は切れた。するとヒデノリは「あーあ」と言って頭をかいた。
ヒデノリ「正直、もちっとここに居たかったけどなぁ?じゃ、オレはこれで帰るぜ。」
そう言ってヒデノリは装置のようなものを取り出した。そしてボタンを押そうとしたが、その寸前にその指を止めた。スノウ達の方に振り返り、言った。
ヒデノリ「そうだ。こっちの世界に来てる能力者の能力と限定条件、それとレベル2まとめてある紙あっから、あんたらにやるよ。あとまぁこっちの軍の連中の事についてもちぃっと書いてあるけどな。」
そう言ってヒデノリは即席で紙飛行機を作ると、手の空いているサンジに向かってそれを飛ばした。サンジはそれを受け取る。
サンジ「・・・おい、いいのか?もしこれをお前んトコの連中に知られたら・・・。」
するとヒデノリは笑顔で言った。
ヒデノリ「ハッキリ言って、そん時はそん時だ!」
そう言うと、左腕にヒデノリはカプーショのフィギュアを抱え、右手で装置のボタンを押し、ワープして消えた。そして他の場所でも、ワープする音が聞こえた。どうやら幹部全員帰ったようだ。

ピカチュウ「・・・あ、スノウ!それにゾロも居たでチュか!大丈夫でチュか?」
スノウ「あ、私達は平気だよ。でも・・・ヒデヨシは・・・。」
そこには、ヒデヨシのフィギュアが置きっぱなしだった。
ピカチュウ「ピカピっ!?やられちゃったでチュか?じゃあ早く戻すでチュ?」
だが、誰も首を縦には振らなかった。レオルドはピカチュウに言った。
レオルド「ぴかちゅうサン・・・ひでよしサンニハ今、心ト体・・・ドチラニモ休養ガ必要デス。今休養サセナケレバ、キット彼自身、破滅シテシマウデショウ・・・。」
ピカチュウ「そ、そうなんでチュか・・・?」
怒りと憎しみ・・・そして悲しみだけを伴ってしまっている今、その心には確実に休みが必要だった。

~ザキラ軍基地~
長門「・・・長門有希、帰還。」
空海「こちら相馬空海。帰ったぜ、っと!」
ヒデノリ「こちら宗屋ヒデノリ!カプーショがフィギュアにされた以外、問題はないです。」
幹部達の帰りの報告を受け、ザキラは通信を出した。
ザキラ「ご苦労だった。潰せは・・・できなかったのかね?」
長門「・・・相手は多い。全てを倒す事は出来ない。」
その言葉を聞き、ザキラはハッハッハと笑った。
ザキラ「それもそうだな・・・。だがまあいい。向こうがこちらに挑んで来ようとそうでなかろうと、私が赴けば奴らは負ける・・・。」
そう言った後、ザキラはさっと立ち上がった。
ザキラ「計画は進んでいるか?頭脳(ブレーン)幹部・ネスティ、いや召喚術の研究者よ。」
ネスティと呼ばれた青年は、ザキラの方を向いて答えた。
ネスティ「計画は順調です。ただ、ケロロ小隊が寝返ったため、クルルのパソコンの中にあるデータのコピーは、時間がかかると思われます。」
ザキラ「そうか・・・。まぁいい。どうあがこうと、“この世界”は我々の理想郷の拠点となるのだからな・・・。」
そう言うと、ザキラはにやりと笑った。

起こった事:ザキラ軍・幹部、マリオ達を倒しにかかるが途中、命令で全員撤退。

第47話 目覚める能力者

陽平「おーい!みんなーっ!大丈夫ー!?」
陽平の叫び声が聞こえる。それと同時に、学、モン太、ブラック☆スター、椿も木の穴倉から顔を出した。
フォックス「お前達、隠れてて正解だったな・・・。多分。」
学「それはそうと・・・皆さん、本当に大丈夫ですか?」
マリオ「うん、僕らは平気だけど・・・。」
マリオはそっと後ろを見た。そこにはフィギュア化したままのヒデヨシが居た。
モン太「ヒデヨシ!?まさか、やられたのか!?」
その言葉を聞き、スノウはこくりとうなずいた。
スノウ「うん・・・。でも、今は起こしちゃダメって・・・。なんか、ヒデヨシ、苦しそうだから・・・。」
ブラック☆スター「そ、そうか・・・。じゃあさっきの叫び声は、ヒデヨシの・・・。」
サンジ「・・・聞こえてたのか?」
椿「はい。あの声には、憎しみの感情ばかりが宿っていた・・・。“鬼神の卵と化した魂”にも似た、恐ろしいの波導を放っていました・・・。」
フォックス「・・・休憩って所だな。しっかり休めよ、ヒデヨシ・・・。」
そう言ってフォックスはヒデヨシの頭をぽんぽんと叩いた。
マリオ「さて・・・僕達も少し休もうか。」
リンク「そうだな。ザキラ軍も、幹部を送ってきた以外は別にこれと言って動きは無かったし・・・。」
そして、彼らは休む事になった。
だが、そう決めた直後に事件は起きた。まるで、誰かが休ませまいと仕向けているかのように。

ブーーーーーン・・・。

何かが飛んでくる。触角が蛾のような、巨大な変な虫だ。
その虫はその長い手で陽平、モン太、学、ブラック☆スター、椿の片腕を掴んだ。そしてそのまま・・・さらっていってしまった。
オリマー「・・・も・・・持ってかれたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!
プリン「えッ!?何アイツ!?なんか5人とも持ってかれたわよ!?」
オリマー「あれはサライムシです!飛んできてはピクミン達をさらうんですが、傷付けるわけじゃなく、どこかへ置いて行くんです。でも、置いていく場所が場所だったら危険ですよ!」
オリマーの言葉に、全員が耳を疑った。
ファルコン「それは一体どういう事だ?」
オリマー「例えば、かなり高い所から放られたとか、海へ叩き落されたとか、あとは・・・」
スネーク「もういい(汗) どちらにしろザキラ達に狙われているあいつらを単独にされたら危険だ!追うぞ!」
スネークの声の直後、マリオ達は陽平達をさらったサライムシを追いかけていった。

一方、さらわれた5人は・・・。
陽平「ちょ、タンマっ!高度高すぎだろっ!高度高すぎ!降ろせ!降ろせって!」
モン太「ぎゃあぁぁぁぁぁッ!死ぬーーーーーっ!!」
ブラック☆スター「離せ、コラーっ!オレは世界一ビッグな男だぞーっ!?」
椿「それ・・・理由になってない・・・。でも、このままどこに連れて行かれるんだろう・・・。」
4人はあまり冷静ではなかった。そこに一喝を入れたのは・・・学だった。
学「バカみたいに騒いでないで落ち着くっ!?ここで降ろされても海面に叩きつけられるだけだよ!?」
少し厳しい口調で、学はそう言った。4人から少し焦りが消えた。
学「ここは冷静に降下を待つんだ!それまでは変に抵抗しないっ!そうすれば・・・」
そして学が次の事を言いかける前に、サライムシが手をぱっと離した。

「ぎゃあーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!」

叫び声を上げながら、5人は真っ逆さまに落ちていった。
モン太「落ちたぁーーーーっ!死ぬーーーーーッ!!」
陽平「おい、学!?冷静になっても全然解決してな・・・」
陽平は学の方を向いた。だが・・・学の様子がおかしい。
口に手を当てながら、何かブツブツ呟いている。
学「いや、待てよ・・・?この虫がそう都合よく降下してくれるかな?いや、それ以前に・・・」
モン太&陽平「「もう落ちてるよ、アンターーーーーーーッ!!!!」」
そして二人もパニック状態に陥る。だがそんな中、ブラック☆スターと椿は冷静になっていた。
椿「・・・風向きが、変わった・・・。」
ブラック☆スター「・・・今しかないッ!!
ブラック☆スターは手を天に向かって伸ばした。その瞬間、椿が鎖鎌に変わる。
それを両手に持ち、ブラック☆スターは片方を3人の体に巻きつけた。
モン太「!? な、なんだよっ!?」
ブラック☆スター「風が陸の方へ流れてる!このまま風に上手く乗って陸の方へ行く!上手く海の浅い所とか、木の上にでも飛び込むんだ!」
陽平「助かるの、そんな無謀な方法でーーーーーっ!?」
ブラック☆スター「任せろ!オレはビッグな男だ!」
そう言って、ブラック☆スターは風に身を任せた。強い突風は、ブラック☆スター達を陸へと運ぶ。
そして・・・彼らは落ちた。
陸の木の上に。
陽平「・・・た、助かったの・・・?」
ブラック☆スター「本当に助かるかどうかの保証は無かったけどな。だがまぁ助かったし、いいだろ!」
そう言いながらブラック☆スターは椿を鎖鎌から元の姿に戻した。
椿「だけど・・・どこだろう、ここ。かなり遠くへ連れて行かれてしまったみたいだけど・・・。」
その場所は、マリオ達が居た場所からは明らかに遠かった。歩いて帰るのも難しいだろう。
学「?? あれ、もう落ちてた・・・?」
モン太、陽平「「とっくの昔にねぇっ!?」」
二人がステレオでツッこんだ。学はごめんごめんと言いながら頭をかくと、4人に対して言った。
学「下手に動いたらむしろ危険だよ・・・。敵も居ないとは言い切れないし。ここで大人しく、みんなが迎えに来てくれるのを待とう。」
陽平「でも・・・みんなここに来るぅ?」
学「可能性はゼロじゃない。まずはとにかく待ってみようよ。」
その言葉に、4人はうなずいた。

野久保「お~い!み~んな~!どこ~?」
つるの「・・・この辺じゃないよな。あの虫飛んでったの、かなり遠くだったし。」
よしお「でもでもでもでも・・・そんなの関係ねぇ!そんなの関係ねぇ!はい、オッパッピー。」
プリン「ギャグやってる時間あったら探せオラァ。 てかそれ以外にネタないの・・・?」
よしお「すんません(滝汗) ネタ・・・やばいな~、これだけはやっぱキツイよな。考えとこ。」
そんな話をしながら、マリオ達は5人を探していた。
マリオ「くっ・・・!僕がもっとしっかりしていれば、5人を助けられたかも知れないのに・・・!!」
オリマー「落ち着いてください、マリオさん。きっと5人は無事です。早く迎えに行ってあげましょう。」
オリマーの言葉に落ち着けられ、マリオは帽子を被りなおした。
マリオ「みんな・・・すぐ助けに行くよ!」
その時である。バケローが何かおかしい。
オタコン「ど、どうしたんだい?バケ?」
バケロー「いや、分からん・・・。ただ、この前入れてもらったクォーツが熱いような・・・。」
鬼太郎「クォーツ?」
オタコン「クォーツって言うのは・・・」
スネーク「オタコン、説明はいいからバケローを診てやれ(汗)」
オタコン「あ、ごめん・・・。それじゃ、ちょっと外して・・・」
オタコンがそう言った時である。突然バケローの中に入れたクォーツが光を放った。
そしてそこから何かが形を成して現れた。

「フォフォフォ。」

・・・何やら機械のようである。手はプロペラのようで、ボディはまるでガチャポンのカプセルのようで、透けた頭の部分からは中の機械が見えた。そして目も中にあり、頭には羽のような装飾、そしてコンセントのようなものを尻尾のようにぶらさげていた。
宙にふわふわと浮いた“それ”は、じーっとオタコン達を見た。
「マスター・・・違ウ?」
カービィ「ほえ?」
その時、ふとオタコンはその機械の腕を見た。少しだがコードが火花を放っている。オタコンは心配そうに言った。
オタコン「キミ、腕が壊れて・・・」
「!! テキッ!テキッ!」
その機械は手を高速回転させた。どうやら防衛手段らしい。コードはますます火花を放った。
オタコン「お、落ち着いてくれ!それにそんな事したら、ますます悪化する!」
だが機械はやめない。完全に敵だと勘違いしているようだ。
オタコン「・・・そうだ!Mk.Ⅱを使えば・・・!」
そう言ってオタコンはMk.Ⅱを取り出し、操作した。そしてそのまま言った。
オタコン「・・・安心してくれ、僕は敵じゃない。」
「・・・テキ、違ウ?」
オタコン「そう。キミは腕が壊れてるだろう?キミの腕を直したいんだ。」
その機械はじっとMk.Ⅱを見た。するとしばらくして、手の回転をやめた。そしてゆっくりとオタコンの所へ飛んできたのだ。
フォックス「・・・言う事、聞いてくれたな。」
オタコン「多分、Mk.Ⅱを見たからだと思う。技術が伴っていないと、安心できないからね。
それじゃ、ちょっと電源を切ってくれないかい?」
するとその機械は自分で電源を切った。そしてオタコンは早速修理に取り掛かった。

学「・・・・・。」
陽平「誰も、来ないね・・・。」
モン太「・・・だーーーーっ!もう待ってらんねぇ!こうなったらこっちから行こうぜ!?」
椿「ダメよ、変に動いたら。それにマリオさん達が今どこに居るかも分からないのに、どうやって帰るの?」
モン太「うぅ・・・。」
その時、学はふと何かに気付き、ゆっくりと木から下りた。そして地面に落ちている“何か”を拾い上げ、よく見ながら少し触っていた。
学「・・・いてっ!」
突然学が声を上げた。その直後に、その声を聞きつけた4人は急いで下りてきた。
ブラック☆スター「おい、どうした!?」
学「あ、平気・・・。ちょっとこの石で指を切っちゃっただけ。」
そう言って学は小さな切り傷の出来た右手の人差し指をちょっとくわえた。それから4人に言った。
学「ほら、これ・・・。ここの“ふち”がすごくとがってるの分かる?」
モン太「お、ホントだ。ここで指切ったんスか?」
モン太の言葉に、学はうなずいた。
学「うん、ちょっと気になって触ってみたらね。でも平気。お陰でこれが、ナイフ代わりに使えそうだって分かったから。」
陽平「ナイフ代わり?まぁ・・・一応切れ味はあるからね。で、これをどうしたいの?」
学「これであのツタを切って、ロープ代わりに出来ないかなぁ・・・と思って。」
そう言って学が指差したのは、木の上に絡まった長いツタだった。
ブラック☆スター「確かにアレならな。でも切るだけなら椿だけでも・・・」
学「一人に仕事を全部押し付ける訳にはいかないよ。協力し合わないと。」
そう言って学はその石を持ってその木の上に登っていった。そしてゆっくり枝先に向かい、ツタの一方を切った。もう一方は向こう側にあるようだ。
学「すみませーん!こちら側は切ったので、向こう側も切っていただけませんかー?」
椿「あ、はいっ!」
椿は高いジャンプで向こう側の木の上に登ると、残ったもう一方のツタを忍者刀で切った。そしてツタはぼとりと地面に落ちた。
学「とりあえず、3つぐらいは持っておく?」
ブラック☆スター「そうだなぁ、何か作る時は必要になるよなぁ・・・。よし、じゃあオレ達は食料でも調達して来るか!」
陽平「魚とか草中心になりそうだけどね(汗)」
モン太「そん時はそん時だ!じゃあ気合MAXで行ってくるか!」
そう言って、彼らは二手に分かれた。

学「よいしょ・・・っと。」
学は慎重に木から下りた。椿は木の上から飛び降り、着地した。
学「これで大丈夫ですかね・・・。」
椿「たくさん採っちゃったけど、何があるか分からないし、これぐらい持っておいた方が良いかも。」
そして二人が眠れそうな所を探し始めた時である。

「お~~~~い!!学~~~!椿ちゃ~~~ん!こっち来てごら~~~ん!?」

陽平の大声が聞こえる。二人は顔を見合わせると、ちょっと困ったように笑って、その声の方へ向かった。

二人が声のした方へ行くと、そこは海辺の砂浜で、陽平とブラック☆スターが何かを指差して笑い転げていた。
椿「ど、どうしたの!?二人とも・・・。」
ブラック☆スター「あ、あははははっ!あれっ!あれ・・・見てみろよっ!」
そう言ってブラック☆スターは遠くを指差した。そこには・・・。
学「・・・!? ちょっと!モン太くんどうしたのっ!?
学は急いでモン太に駆け寄った。
なんとモン太は首から砂の山に突っ込んでいた。一応手は動いている。学は思い切ってモン太の両足を引っ張り、モン太を助け出した。
モン太「は、はぁ・・・。た、助かったッス・・・。」
学「モン太くん、どうしてキミ砂山に首から埋もれたりなんかしてたの!?」
学はモン太の顔をペットボトルに汲んだ水で洗いながら言った。だが水をかけすぎて今度はモン太の口の中に水がどんどんたまっていく。
モン太「ごべごばごぶっ?! ぶへっ!!」
学「あ・・・ごめん・・・。」
モン太「いや、平気ッス。お陰で口ん中の砂が取れた・・・。」
モン太は荒い呼吸をしながら呼吸を整えていた。そこに椿は陽平に尋ねた。
椿「・・・ねぇ、陽平くん?一体何があったの?」
すると陽平は笑いながら言った。
陽平「いや、あいつがここの上にある木の実を採ろうとしてね?そしたら木がちょっとぐにゃ~って曲がって!そしたらあいつ『木の実採るまで葉っぱ押さえといてくれ』って言うから僕達二人で幹の上の方押さえてたんだよ?で、そしたら木がすごくぐにゃ~って曲がって!
で、あいつが『もういいぞ~』って言うから手を離したらあいつそんままポーンって飛び出してって・・・あーっはっはっはっはっは!!」
学&椿「(二人の責任じゃ・・・。)」
するとその時、椿がその木を見て何かを思いついた。
椿「・・・あの、これを使って発信を出来ないでしょうか?」
ブラック☆スター「発信だぁ!?お前、こんなのじゃ電波も出せないぞ!?」
すると椿は首を横に振った。
椿「そういう機械の発信じゃないよ。これを使って大きい石や漂流物を上に飛ばして、それでみんなに気付かせようって思ったの。」
陽平「そっか・・・。通信手段が無くても、そこに居るって確認してもらえば迎えに来てもらえるしね。」
モン太「よし!じゃあさっきのロープはこのままで、目に入りそうなデッカイ石、たくさん探そうぜ!」
その言葉に、4人はうなずいた。そしてそれぞれが飛ばせそうなものを探し始めた。

数分後。
モン太「27、28、29・・・30!これだけありゃ十分だろ!」
学「何回も飛ばしていれば、きっと気付いてくれるよね。ただ・・・」
陽平「ただ?」
学の言葉に、陽平は首をかしげた。学は答えた。
学「仮にここに敵が居た場合、そっちにも気付かれる可能性があるんじゃ・・・。」
ブラック☆スター「そん時はそん時だ!それにこんなジャングルみたいな所に、誰か来るとは思えないし。」
学「・・・だよ、ね・・・。じゃあ、始めようか。」
そして5人は発信をしようと始めた。
モン太「キャッチMAX!」
モン太は得意の高いジャンプで木の上の方に捕まった。木は少し曲がる。
モン太「おーい!ロープ貸してくれ!」
椿がロープを投げる。モン太はそれを受け取ると、幹の上の方にくくりつけた。4人が一斉にロープを引っ張る。木はもっと曲がった。
そして葉の生え際の所にモン太が大きな石を置いた。そして・・・
「せーーーーのっ!!」
全員が一斉に手を離す。すると大きな石はポーンと飛んでいった。
高く飛んだ石は、モン太が落ちた砂山の少し手前ぐらいに落ちた。
陽平「おぉっ!結構高く飛んだんじゃない?」
ブラック☆スター「でも一発だけじゃなんだか分からないだろ。何回も繰り返すぞ!10発ぐらい撃てば誰か気付くだろ!」
椿「そうだね・・・。じゃあ、もう少し頑張ろう!」
5人はまた発射に取り掛かった。

しばらくして・・・。
ブラック☆スター「・・・おい。何発撃った?」
モン太「・・・かれこれ13発目だ。」
陽平「・・・まさか誰も気付いてないの?まったくも~・・・。」
事を悲観的な方に考えようとする3人を、椿はなだめた。
椿「だ、大丈夫よ。きっとみんな今気付いて、来てくれてる頃だと思う。」
モン太「・・・ん?」
その時、モン太が何かに気付いた。
陽平「来た!?」
モン太「いや・・・雪さ~ん!何やってんスか~!?」
モン太が声をかけた。学はずっと石を放った方の砂浜を調べていた。石を飛ばして出来たくぼみをじっと見ている。そして近くにある石との距離も少し測っていた。
モン太「雪さん、何やってんスか?」
学「あ・・・ごめん。いや、ちょっと気になって・・・。」
陽平「気になった?何が?」
学「石の落ちた位置。測ってみたら、全部発射台代わりにした木から9mぐらいの位置に落ちてるんです。それに、落ちた位置も、大きく変えてない時はあまり変わってないし・・・。」
学の言葉に、陽平は「あ~」と呟いた。
陽平「それってつまり・・・なんかに使えんじゃないかって思ったの?」
学「はい。いざって時に、もしかしたら・・・。」
その時である。突然草陰から誰かが現れた。しかも一人ではないようだ。次々に飛び出してくる。
モン太「!? な、何だぁ!?」
そこに現れたのは、ドラえもん、のび太、しずか、スネ夫、ジャイアンだった。
ブラック☆スター「お前ら、ザキラ軍の・・・!!」
のび太「どうしてここに居るのか知らないけど~、にひひっ!きみ達だけだなんてすごく都合がいいよ!」
ジャイアン「お前らは戦えないもんな~!大人しくついてきてもらおうか!」
だが、5人は誰も引き下がらない。だが、戦いに慣れない彼らでは不利だ。
ブラック☆スター「ちィ・・・ッ!椿!」
椿「はいっ!」
ブラック☆スターの掛け声の直後、椿は巨大な手裏剣に姿を変えた。
モン太「お、おい!戦うのか!?」
ブラック☆スター「それしかねぇだろ!それに、易々と逃がしてくれるはずがねぇ!」
そう言って手裏剣を構えたブラック☆スターだが、自分では無理なのではないかという想いも持っていた。
ブラック☆スター「(くそっ・・・!せめてマリオ達が来てくれれば・・・!!)」
その想いを持ちながら、ふとブラック☆スターは仲間達の顔を見た。
誰も頼れる者がなく、諦めも見せていたが、だが希望は絶対にあるという望みすらその目からは溢れていた。
ブラック☆スター「(・・・ヘッ、何をバカな事言ってんだ、オレは?すっかりマリオ達に頼るクセが付いちまったようだなぁ・・・。
考えてもみろ・・・。オレは世界一の男・ブラック☆スターだ!今のこいつらにはオレ以外頼れる奴は居ねぇ!だったらその頼る心に応えるまでよっ!!)」
自分の心にそう言い聞かせると、ブラック☆スターはのび太達に向かって人差し指を突きたてた。そしてそれをくいっと動かす。挑発だ。
ブラック☆スター「来いよ。まとめて相手してやるぜっ!!
その挑発に真っ先に乗ったのはジャイアンだった。
ジャイアン「こんにゃろ~~~!!ギッタンギッタンにしてやる!」
ジャイアンはブラック☆スターに向かってパンチを繰り出した。ブラック☆スターはそれをひらりと避けると、後ろののび太達に向かって手裏剣を投げつけた。
「「うわーーーーっ!!」」
ブラック☆スター「こいつらはオレが引き受ける!お前らはどっかに隠れてろ!」
ブラック☆スターは3人に指示した。だが・・・
その直後である。ジャイアンが陽平に背後から飛びかかったのだ。
ジャイアン「代わりだ~!お前の仲間をギッタンギッタンにしてやる!」
ブラック☆スター「!! 逃げろ、陽平!」
だが陽平は一歩も動かなかった。ブラック☆スターの言葉も聞かない。
ブラック☆スター「おい、何やってんだ!早く避け---」
ブラック☆スターが言いかけた次の瞬間、ジャイアンの顔面には陽平の右腕のエルボーが入っていた。そしてジャイアンはその場に転げ落ちた。
陽平「・・・黙って聞いてりゃ『どっかに隠れてろ』『逃げろ』『何やってんだ』って・・・な~にカッコつけて何もかも背負おうとしてんだよ、クソガキ。」
ブラック☆スター「く、クソガキって・・・!いや、それより・・・オレはお前らの身を心配して言ってんだぞ!?オレと椿以外、お前らは戦えないし・・・。オレ達以外に誰を頼るってんだよ!?」
陽平「『オレと椿以外、お前らは戦えないし』・・・?何だよクソガキ。お前つくづく自意識過剰。こっちがケンカのやり方の一つや二つ知らないとでも思ってんのかよ?」
ブラック☆スター「!? お前、一体・・・!!」
その瞬間、陽平はキッと目を開いた。
陽平「これでも僕は不良やってんだよ。いつまでもいつまでも目下扱いしないでくれる?ケンカなんて何回もした事あるから。」
ブラック☆スター「だけど・・・お前も巻き込む事になるんだぞ!?」
陽平「怪我が怖くて不良が務まるかっつーの。それに相手はただの小学生のガキ。ちょっと凶器持ってる程度だと思えばどうって事ないから。」
その陽平は、いつもとは雰囲気が違っていた。ケンカとなれば任せておけと言うような自信と、これ以上指図するなとでも言うような威圧感を漂わせていた。
ジャイアン「こ、この野郎~!ガキ大将をナメるな~!」
陽平「ガキはガキだろ。」
陽平がジャイアンを睨みつける。その眼光からは、やはり威圧感のようなものが漂っていた。
ジャイアン「!! ひ・・・っ!」
スネ夫「な、何やってんのさ、ジャイアン!怯んでる場合じゃないよ!」
ドラえもん「仕方ない!僕が援護射撃すr」
そう言って前に出ようとした時、ドラえもんは何かに足をとられて転んだ。
それは・・・ドラえもんの足を掴んだモン太だったのだ!
ブラック☆スター「!? モン太、お前まで・・・!」
モン太「仲間がみんなして戦ってる時に、オレだけ高見の見物じゃあ・・・気分悪ぃぜ!」
陽平「・・・ケンカは慣れてんの?殴られるの怖いとこっちからも殴れないけど?」
モン太「それならアメフトで鍛えてっから心配すんな!」
のび太「くっそ~~~!こうなったら・・・僕の射撃を喰らえっ!!」
のび太が射撃の弾を次々と放つ。その時である。

「みんな、伏せてッ!!」

学の叫び声がした。その言葉に従い、3人は伏せた。すると・・・

ゴッチーーーーーーーン!!!

のび太の頭に、大きな石がぶつかった。どうやら飛んできたようだが・・・。
学「あ、当たった!」
ブラック☆スター「学!?にしてもよくもまぁ器用に・・・!」
すると学はふふっと笑った。
学「さっき何回も石を飛ばしたお陰で、大体どこに落ちるのか、どのくらいの距離に落ちるのか分かったから。だから・・・攻撃に応用利くんじゃないかって!
モン太「雪さん、ナイス!」
モン太が親指を突き立てる。学はそれに笑顔と、同じように親指を突き立てて返した。
のび太「う~・・・どうして守ってあげようと思ってるのにこんなに拒否されるのかな~?」
陽平「・・・は!?今、なんて・・・!?」
するとしずかが答えた。
しずか「あなた達はみんなマリオって人達に騙されているの。あの人達はあなた達の能力を借りて悪い人達をもう一度呼び出そうとしてるのよ?それで、私達が倒した人達を色んな世界に解き放とうって・・・。
私達の世界だけじゃないわ。色んな世界の悪い人を色んな世界に解き放って、壊そうとしてるっていうのよ?」
ブラック☆スター「ば・・・バカ言うんじゃねぇ!あいつらはそんな事しないッ!!」
今度はジャイアンが口を開いた。
ジャイアン「本当だ!それでオレ達はその力が悪用されないように、ザキラ軍に連れて行こうとしてんだ!」
学「違うッ!彼らはそんな事しない!騙されているのはキミ達だよ!?あんな人の言う事を聞いちゃダメだ!」
するとスネ夫はへらへらと笑い出し、4人に尋ねた。
スネ夫「じゃあ、マリオ達には騙されてない、マリオ達は騙してないって証拠はあるの?見せてよ。」
モン太「そ・・・それは・・・ッ!!」
証拠などない。スネ夫の言葉を聞き、4人は一瞬、マリオ達の事を疑った。だが・・・否定した。
陽平「するかよ・・・あいつらがそんな事するかよッ!!」
ドラえもん「世界の平和のためにも、キミ達の協力が必要なんだ!お願い、ザキラ軍に来て!」

「「断るッ!!」」

しずか「じゃあ・・・色んな世界の人が襲われても構わないって言うの!?」
「構わない。」
突然学がそう答えた。その言葉には、ドラえもん達も、3人も驚いていた。学は続けた。
学「例えマリオさん達がそんな事を企んでいたとしても・・・ザキラって人のやる事の方が狡猾で卑劣で残酷じゃんか。だったら僕はマリオさん達を信じる。」
ジャイアン「それじゃあ・・・!あんたはあのオッサン達を信じるって言うのか!?」
学「無論だよ。それに・・・誰が何を企んでいようとも、僕達が手を貸さなければ済む事じゃないか。もし双方が同じぐらい残酷な事を考えていれば・・・僕は逃げる。何があっても、逃げ切ってみせる。」
学の言葉に、全員が言葉を失った。ブラック☆スターははっとした。
ブラック☆スター「煙玉ぁっ!!」
椿を瞬時に煙玉に変え、ブラック☆スターは地面に投げつけた。辺り一面が煙に覆われる。
ドラえもん「わッ!?4人が逃げちゃう!?」
のび太「待って、逃げちゃ・・・って、もう居ない・・・。」

ブラック☆スター「・・・なんとか撒いたか?」
ブラック☆スターがそう言うと同時に、椿は元の人間の姿に戻った。
陽平「学、さっきお前が言った事・・・!!」
学「あれ・・・? 本気だよ。」
その言葉に、やはり4人は言葉を失った。
モン太「そんな・・・!?雪さん、マリオ達は仲間じゃないッスか!?」
学「うん、それは分かってる。でも・・・今思えば、僕は彼らの事を何一つ理解してない。何を考えているのかも・・・分からない。だから・・・もしもそんな事があれば・・・僕はその決心をする。それだけの事。」
その言葉に、4人は黙ってしまった。すると学は笑顔を向けた。
学「でも、あくまでも“もしも”だから。僕は・・・彼らの事は、信じられる。」
陽平「・・・脅かすなよ、全く!」
椿「でも、それぐらいの心は持っていなくてはダメかも。あなた達4人は、狙われる存在だから・・・。」
椿がそう呟いた。その時である。
ヒュッと何かの音がした。その直後、椿の後頭部に何かが命中し、椿はそのまま倒れた。
ブラック☆スター「!? 椿っ!?」
ブラック☆スターは椿を抱える。どうやら今の一撃で気絶しているようだ。ブラック☆スターは椿を抱えたまま、辺りを見回した。
陽平「まさか・・・もう気付かれたのかよ!?」
モン太「あんにゃろお・・・!」
ブラック☆スター「・・・こっちだ!」
ブラック☆スターが駆け出す。それに続き、3人も駆けていった。

「ふふふ・・・そっちは崖。もう・・・手はないよね・・・?」

ブラック☆スターは走った。それを追うように3人も走る。

「おい!見つけたぞーッ!!」

-畜生・・・!椿は倒れてる・・・、どうしろってんだ!-

-どこへ行けば・・・!どこへ行けば良いって言うの!?-

-何で!?何で僕達ばっかりこんな目に・・・!!-

-何でだよ・・・何でアンタらは来ないんだよッ!-

悔しさと、不安と、マリオ達に対する怒りが、4人の中に積もってきていた。

ブラック☆スター「・・・はっ!?」
突然ブラック☆スターが足を止めた。足元には・・・崖があった。
下には海がある。だがここは高すぎる。落ちれば、命は無いだろう。もしフィギュア化で済んだとしても・・・この海を沈んでいくに違いない。
どちらにしろ・・・落ちれば命は助からない。
「見つけたぞーっ!」
ブラック☆スター達は後ろを振り向いた。のび太達が、もうすぐそこに居たのだ。
スネ夫「もう逃げられないぞ!っていうか、僕らはキミ達を助けたいんだぞ!?」
しずか「あなた達を騙している人達の所へ戻る必要はないわ!それに私達にはあなた達の力が必要なの!」
ジャイアン「お前らの世界も、俺達の世界も、“この世界”も、全ての世界の運命がかかってるんだ!」
のび太「大丈夫だよ、ザキラさんは悪い人じゃないから・・・!」
ドラえもん「何かあれば、僕達が守るよ!だから・・・さぁ、こっちへ!」
ドラえもんが手を差し出した。だが・・・4人は誰一人として動かない。
モン太「さっきも言ったろ。“断る”って。」
学「僕達には、きみ達に付いていく理由が無い・・・。」
陽平「助けたい助けたいって・・・余計なお世話だっつーの。」
ブラック☆スター「それにこんなトコで手を引くっていうのは申し訳ねぇからなぁ・・・。」
4人は動かない。そこにジャイアンが言った。
ジャイアン「じゃあこの状況からどう脱出すんだ!?ザキラ軍に来れば、助けてやれるし・・・!」
「こうする。」
そう言って4人は、ゆっくりと・・・後ろに倒れた。そして崖から落ちていったのだ。
「あぁっ!?」
ドラえもん達が慌てて様子を見る。だが・・・既に4人の姿は小さく、小さくなっていた。

-どうしてこんな事したんだろうな~、僕?-

-命惜しいのは分かってるし、クリスマスボウルって夢もあるのにな・・・。-

-理由・・・理由なんて、表現出来ないかなぁ。-

-ただ、分かるのは・・・。-

-マリオ達を信じてたから、こうしたんだ。-

-だって・・・オレ達は・・・-

-僕達は・・・-

「みんなの所へ・・・みんなの所へ帰るんだァーーーーーーーーーッ!!」

その時だった。
4人の体が、強烈な光を放った。それはそのまま4人と椿を包み込んだ。
そしてその強い光を放ったまま、4人は海へと落ちていった。そして椿も落ちた。
ドラえもん「あぁッ!みんな落ちちゃった・・・!」
スネ夫「この高さから落ちたら、助からないよ!?」
「その心配は要りませんよ?」
誰かがゆっくりと現れた。出来杉だ。
のび太「で、出来杉君!?どうしてここに?」
出来杉「ザキラ様に頼まれたんです。あと、彼らの事は心配しなくていいですよ?」
ジャイアン「な、なんでだよ!?」
出来杉「彼ら・・・能力が目覚めましたから。

そして、マリオ達は・・・。
オタコン「・・・よし、直った!電源を入れても良いよ?」
オタコンに言われ、その機械は自分で電源を入れた。目がチカチカと光り、そしてその機械は宙に浮いた。
オタコン「大丈夫かい?どこかまだ悪い所は無いかい?」
すると・・・どこかから声がした。
「アリマセン。アリガトウゴザイマス。」
オタコン「・・・えっ?」
その声を発したのは、その機械だった。
ライザー「申シ遅レマシタ。僕ノ名前ハ“ライザー”デス。」
オタコン「そっか。ところで、ライザー?キミのマスターっていうのは、誰なんだい?」
ライザー「マスターデスカ?マスターハ・・・」
そう言いかけた時だ。何かがオタコンの近くにあった木から落ちてきた。
よく見ると、それは人の形をしている。・・・いや、人だ。
マリオ「だ、誰だ一体!?」
マリオは手袋の周りに炎をまとわせた。だが、相手は全く襲ってくる気配が無い。
ディディー「・・・? あぁぁッ!?
ドンキー「ど、どうしたディディー!?」
ディディー「陽平達だよ!さらわれた5人だよーっ!」
その言葉を聞いたマリオ達は、驚きを隠せなかった。
清麿「そんなバカな!?5人は海の方へ連れて行かれたんだぞ!?こんな所に落とされるはずが・・・!」
ガッシュ「きっと途中で虫が方向を変えたのだ!」
ダークライ「それはない。あの虫は一切方向を変えなかった。変える気すら無かったように見えた。」
ドクターマリオ「ともかく、5人の状態を調べます。」
ドクターマリオとチョッパーは、5人の体に異常は無いかどうか調べようとした。その時、陽平の服に触れたチョッパーが、何かに気付いた。
チョッパー「・・・服が、濡れてる?ここに雨なんか降ってないし・・・。普通に落とされたら、濡れるはずなんてないよ。それに、服から潮のにおいがする。でも海はここの下にあるし、木から落ちてくるなんて無いと思うぞ?」
ドクターマリオ「ふむふむ・・・。何かと引っかかる所がありますね。体に異常は無いし、怪我も無いようですが・・・。」

~ザキラ軍・基地~
ザキラ「遂に・・・目覚めたか。それは間違いないのだな、出来杉英才君?」
出来杉「はい、間違いありません。彼らが落ちる瞬間、4人の体が輝いているのが見えました。あれは間違いなく“覚醒の波導”です。
それと・・・監視もしましたよ。ザキラ様を、疑ってないみたいです。」
その言葉を聞き、ザキラはくっくっくと笑った。
ザキラ「まぁ多少の計算違いもあったが、どうせここからは全て私の筋書き通りになろう・・・。
全ての世界は!私のものとなるのだ!!

ゆっくりと、闇は近づいてきていたのである・・・。

起こった事:モン太、陽平、学、ブラック☆スター、椿の5人がさらわれる。
5人、原因不明だがマリオ達の元へ戻ってくる。

“この世界”はみんなの世界。みんなの世界は“この世界”。

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