スマブラ個人小説/ネスリュカの小説/一つの命

Last-modified: 2020-03-19 (木) 05:56:58

この小説は?

この小説は名のとおりシリアスです。
シリアスが苦手な人は注意して読んでください。
こちらもなるべく気をつけます。
それでも暗くなるかもしれないので、お気をつけください。

小説



…はあ、はあ、はあ…


何なんだよここ………


そこはまさしく地獄とよぶにふさわしい場所だった…


ビルらしき建物はボロボロに崩れ去り、家という家は原型をとどめぬほど壊されており、人の気配すら感じない…


お願いだよ…誰かいてくれよ…


彼はこの地獄の場所を、もう三時間ほど歩いている


もはや人はいないのか、と思って引き返そうとも思ったが、彼は知らぬ間にここにいたのだ、引き返せるわけがない


いい加減にしてくれよ…もうやだよ…


もはや体力も気力も限界に達している…


ついに彼は立ち止まった


帰りたい…帰りたいよ…


彼は、もう歩けない、歩けそうにもない


…このまま、ずうっとこうしたままなのかな…


彼はついにあきらめの言葉を口にした…


………え?


今何か声が…


…ック、……ック、……スン


誰かいるんだ!


彼は声のする方へと急いだ


彼は走って走って…ようやくそこにたどり着いた


そこは、もはや地面と呼べる踏み位置のない、町のようだった。


でも、確かにここのどこかに誰かがいる…そう確信していた


しかし、さがすまでもなかった


その、地獄の土地に彼は一人、子供を見つけた


その子は気づいてはいない


彼は近づいて…驚きを隠せなかった


その子の足の下には地面がないのだから…


驚きながらも彼はそっと手をかけて


「君、早く帰ろう。きっとみんな心配しているよ」


そういって自分もびっくりした


どうして帰ろう、なんて言いだすんだろう。それに誰だよ、みんなって。この子には家族がないかもしれないのに…


だがそれよりも行動が先に出た


なにせ、彼の後ろから、異形とだけでは言い表せない、醜い何かが出てきた


もはや迷っていられない


彼はその子を立たせて、無理やり走り出した










扉があった


しかし、もはや気にすることが出来ない


あの、醜きものがいつ襲ってくるかで頭がいっぱいだった


しかし…


彼は今自分が何を連れているかようやく分かった


子供のような後姿だったが、この子の胴体は真っ赤な血で染まっていた


足には鎖がつながっており、顔は口以外消えていた


そしてその子が発した言葉…


「お前が来なければ、あいつに天国へ連れられた。お前のような、気持ちを踏みにじるような物は地獄に落ちてしまえ」















「……………」  …何?聞こえないよ…。


「………イ…」  …体の節々が痛いよ……。


「……」  …頭が…ずきずきする…。


「…ロイ!!」  …え? ここは…?


マルス「いつまで寝てんだか、風邪引くよ?」


……え……………夢…………?


そこは、見慣れた自分の部屋。もう、すでに朝だ。


マルス「先に、ご飯食べてるから、さっさと来てね」


…あれは全部…夢…だったのか?


考えていると、マルスが ああ、そうだ、といって


マルス「花飾っといたよ。気分向いたし」


黄色いバラだよ、と言い残して、部屋から出て行った。


なんだか頭の整理がつかないまま、花を見てみた。


きれいなバラだな…それしか思い浮かばなかった。


だが……………


ロイ「…!?っ」


みるみる赤く染まりだしたバラ。


そのバラの奥で……………     あの子が笑ってた………ような気がした。

~fin~