■スペルカード

Last-modified: 2014-04-26 (土) 10:35:39

スペルカードに関して

 スペルカードルールは東方シリーズや幻想郷の最大の特徴と言うべきものであり、幻想郷を舞台にTRPG を行うのであれば必須であると言えます。
この章では、スペルカードに関する一般的なルールについて解説しています。

 スペルカードの効果に関しては、キャラクターの能力をベースに強化する、という形式を取ることで、多様な形で自由に設定できるようにしました。
 また、スペルカード戦闘のルールについても、原作におけるボムとしての使用方法とボスの弾幕としての使用方法の両方を含め、できる限り「スペルカード戦闘」らしさを表現できるように作成しています。

スペルカードと戦闘の扱いの難しさ

 しかし、スペルカードルール自体は、TRPG でのルール設定としては非常に扱いが難しいものでもあります。基本的に自由に行動できることを特徴としているTRPGにおいて、キャラクターの行動に「スペルカードルールの取り決めには従わなければならない」というルールを付加してしまうためです。

 
 例えば、PCにとってどうしても実現させたい目標があり、スペルカード戦闘で負けて諦めなければならなくなったとします。この場合、スペルカードルールの存在はキャラクターに「目標を諦める」ことを強制してしまいます。
プレイヤーがどれほど違和感や疑問を感じたとしても、その違和感や疑問をPCに転嫁することは、幻想郷という世界設定にとって危険な要素となります。
 スペルカードルールに従うこと否定した場合、より本気に近い戦闘を行わなければならず、これらはいずれ殺し合いに近い戦闘にエスカレートしてしまい、結果として「幻想郷の雰囲気」とされている平和さを破壊し、今度はプレイヤーが「幻想郷のTRPG」として想定する雰囲気を楽しむことが不可能になってしまうためです。

 言い換えれば、「キャラクターが本気になるような要素は回避することが望ましく、せいぜい『スペルカードルールに従う程度の』本気さしか許容できない」ということになります。
 TRPG に限らず、この点が創作に与える難しさは既に何回か指摘されていることでもあると思います。

 

 もう少し冷めた目で見るならば、「スペルカードルールは、詳細に突き詰めれば無理があるSTGとしての弾幕戦闘を説明するために導入したものであり、STG(あるいは、行動が規定されるコンピューターゲーム)を外れてしまえば、どうしても無理が見えてきてしまう」ということでもあるのでしょう。

 また、衝突を解決する手段が「ルールに基づく戦闘」に限定されている、という点も問題となります。
例えば、敵に勝つために様々な手段を駆使して不意打ちを行った場合、スペルカードルールからの逸脱でしょうか? 
wikipediaの解説などを見る限り、不意打ちはスペルカードルールと相容れないものである可能性が高いでしょう。
  しかし、正面から名乗っての戦闘しか許されていないのであれば、戦闘に至るまでの工夫を行う余地が非常に限定的で、TRPGとしてはかなり窮屈さを感じる状況となってしまいます。

 もちろん、これらに加えて、ゲームバランスの問題やゲームの進行しやすさの問題も考慮しなければなりません。

千幻抄でのスペルカードの扱い

 千幻抄としては、最初に述べた通り、スペルカードは幻想郷を再現する上で必要なものである、という立場を取ります。
従って、ルールや世界設定で行うべきことは、「幻想郷の雰囲気の再現」と「TRPGを遊ぶ上での違和感や窮屈さの軽減」のバランスを提示する枠組み作りとなります。

 このような目的のため、幾つかスペルカードルールの扱いや設定を追加しました。スペルカードルールの位置づけにも言及を加えましたし、違反した場合についても記述を加えています。
戦闘に関するルールとしては、スペルカードを持たない雑魚との戦闘も含めた「通常の戦闘」も可能なようにルールを設定して、区別を明確にしました。
 また、不意打ちなどの工夫も許可される、という設定を追加した上でルールを設定しています。(スペルカードルールの位置づけも含めた、千幻抄における戦闘の取り扱いについては、6章「戦闘」にまとめていますので、そちらを参照して下さい)

 
 しかし、スペルカードルールのある幻想郷でのセッションを円滑に楽しむには、結局のところは「スペルカードルールの存在を受け入れ、それを前提にシナリオに参加する」ことが重要になってくると思います。
この点が千幻抄や幻想郷という背景世界を楽しむことができるかどうかの限界になりうる、とも言えるでしょう。

 また、GMがシナリオを作成する際に気をつける事も重要です。
「本気の戦い」になってしまい、幻想郷のTRPGとして違和感が生じる可能性が予測できるなら、PCやNPCにとっての目的の重要度を下げて設定する、などの対応を取り、弾幕戦闘の雰囲気を軽くするように努めるべきです。 また、プレイヤー側に弾幕ごっことしては狡すぎるような(普通のTRPGでは許容範囲であるとしても)下準備が可能な場合、時間の制限や状況の制限を追加してこれらの可能性を狭めておく事も重要になります。

 
 それでもGMとプレイヤーの間で違和感が残るようであれば、この点について話し合い、必要であればルールや設定を追加してみて下さい。
 もちろん、互いに納得のうえであれば、本気の戦闘を行ってしまう、という極端な選択肢を含め、どのような形で楽しんでいただいても構いません。