No125 コロッサス/元ネタ解説

Last-modified: 2019-06-09 (日) 20:49:25
所属Royal Navy→Marine nationale(1946)
艦種・艦型航空母艦→対潜ヘリ母艦(1968)
正式名称HMS Colossus (15)→Arromanches (R95)
名前の由来Colossus of Rhodes ロドス島の巨像 紀元前3世紀頃にエーゲ海のロドス島に建造された世界七不思議の一つ。アポロの巨像とも呼ばれる。全長34m
→Arromanches-les-Bains フランス共和国ノルマンディー地域圏アローマンシュ
モットーOn The Ball
起工日1942.6.1
進水日1943.9.30
就役日(竣工日)1944.12.16
除籍日1946.7.23
フランス海軍貸与日1946.8.6
フランス海軍購入日1951
フランス海軍退役日(除籍後)1974.1.22(1977.12売却後解体)
全長(身長)211.8m
基準排水量(体重)13400英t(13615t)
出力Admiralty式重油専焼缶4基Parsons式蒸気タービン2基2軸 40000shp(40554.8PS)
最高速度25.0kt(46.30km/h)
航続距離14.0kt(25.93km/h)/12000海里(22224km)
乗員1300名
装備(1946)ヴィッカース2ポンド機関砲x24(6x4)
ボフォース40mm機関砲x19(19x1)
艦載機x48
装甲無し
建造所Vickers-Armstrongs Limited,Elswick,Newcastle upon Tyne
(ヴィッカース・アームストロング社ニューキャッスル造船所 イングランド国北東イングランド地域タイン・アンド・ウィア州ニューカッスル・アポン・タイン市エルツィック))
  • イギリス海軍が設計・建造した軽空母。戦時急造艦のひとつ。
    レンドリース法により護衛空母を受け取っていたイギリス海軍だったが、逆に艦隊用の空母は不足していた。
    船団護衛用の空母は多数あったものの、速力は低く、また新鋭艦載機が使えず攻撃力が不足していた。
    そうした艦隊用空母の不足を補うために建造されたのがコロッサス級である。
  • イラストリアス級を基礎として設計された艦であり、排水量は同級の半分まで下げられている。
    また、生産性を優先した戦時設計であるため、軍艦ではなくむしろ商船に近い設計方法で作られている。
    搭載数は48機、飛行甲板の長さもイラストリアス級と変わらないながら量産向きの空母という性能に仕上がったが、装甲や防御力はその分オミットされた。
  • 同級は全16隻の建造が計画されていたが、後半の6隻は建造が中断、大型化されマジェスティック級航空母艦として竣工している。
    しかし、アメリカ海軍の空母のように建造スピードはそれほど速くなく、ほとんどの艦は戦争後半や戦後になって進水している。
  • 戦時設計の急造艦ながら使い勝手は良く、改装を施されながら戦後も長く使用された。
    フランス・オランダ・ブラジル・アルゼンチンへと渡った艦もあり、最後のコロッサス級が退役したのは2001年であった。
    また、アルゼンチンに渡った「ベインティシンコ・デ・マヨ」(旧・ヴェネラブル)は1982年のフォークランド紛争で生まれ故郷のイギリスと対峙した。
     

イギリス海軍でのコロッサス

  • ネームシップであるコロッサスは1942年6月19日に起工、翌43年9月30日に進水、さらに翌年の44年12月16日に就役した。
    名前のコロッサスは「巨像」の意味を持つ。
  • 就役後はイギリスの太平洋艦隊(東洋艦隊)へと所属した。
    もっとも、すでに太平洋戦争は日本の敗戦濃厚となった時期であり、目だった戦闘も経験しないまま航空機の輸送、船団護衛と言った任務をこなした。
    そして1945年8月15日に日本がポツダム宣言を受諾、第二次世界大戦は終結。
    戦時急造艦であったコロッサスは役目を終えるかと思われた。
     

仏海軍空母“アローマンシュ”として

  • コロッサスに転機が訪れたのは1946年。コロッサスはフランスへの貸与が決定し、5年期限で貸し出されフランス海軍で運用される事となった。
    ノルマンディー上陸作戦の戦地に因む「アローマンシュ」の艦名を授かったコロッサスは、フランス海軍艦として活躍したのである。
  • フランス海軍内での評判は上々であり、戦時急造艦ながら使い勝手が良かったが、あくまで貸与艦でありいずれはイギリスへ返還する手筈となっていた。
    そこでフランス海軍は貸与期限である1951年に150万ポンドでイギリスからコロッサスを買い取り、引き続き運用を図ったのである。
  • 1958年には改装が施され、アングルト・デッキ化されている。
    また、レーダーなどの更新作業や、新型艦載機ブレゲー アリゼ運用のための改修を行った。
    その結果、武装の多くが撤去されている。
  • アローマンシュは多くの作戦行動に参加し、フランス海軍空母として戦果を残している。
    1948年の第一次インドシナ戦争に参加、その後イギリス海軍からの購入を経て、再びベトナムへ派遣。
    1954年、インドシナ戦争最大の激戦と呼ばれるディエンビエンフーの戦いにおいては搭載機による航空支援を行い、包囲された友軍を支援した。
  • 1956年から発生した第二次中東戦争に参加した際は、僚艦「ラファイエット」と共にエジプトに対する空襲を行った。
    中でも、カイロにおける空襲ではエジプト海軍の駆逐艦2隻を撃沈する輝かしい戦果を挙げている。
    この駆逐艦の撃沈戦果が、第二次大戦後のフランス海軍初となる軍艦の撃沈戦果となっている。
  • しかし時代の流れには追いつけず、フランスの国産空母であるクレマンソー級の就役が実現し、アローマンシュは練習空母へと変更された。
    1957年には飛行甲板の改修を行い、近代的な空母の象徴でもあるアングルドデッキを手に入れている。
    その後は、対潜ヘリコプターの運用能力を付与され、1960年代末まで対潜ヘリ空母としても活躍した。
    1974年1月22日、30年近い軍務を終え、戦後フランス海軍の主力空母として活躍したアローマンシュは除籍、1978年にトゥーロンにて解体された。
     

因みにコロッサスとは

  • 英語で巨大な彫像のことであるが、特に世界七不思議とされるロドス島の巨像が最も有名であろう。
    太陽神ヘーリオスを模った彫像であり、その大きさは台座含めると約50mほど。自由の女神像とほぼ同等だという。
  • 既にそれだけでも名前負けしそうなくらいであるが、先代のコロッサス級弩級戦艦を始め歴代「コロッサス」は押しも押されぬ海軍の主力として建造されたものばかりであった。
    巨大な彫像から転じて巨人の意味も持つコロッサス。その名前を継いだのが、このちっぽけな戦時急造型空母なのである。
    しかしその活躍は、間違いなくその名に恥じることのない輝かしいものであったことは、既に挙げた通り。
    彼女を筆頭とするコロッサス級航空母艦の活躍は、まさしく小さな巨人の如くであろう。