No314 イェータ・レヨン/元ネタ解説

Last-modified: 2021-11-22 (月) 01:24:18
所属Svenska marinen→Armada de Chile(1971)
艦種・艦型トレ・クロノール級軽巡洋艦
正式名称HMS Göta Lejon→Almirante Latorre(CL-04)(1971)
名前の由来Gustav II Adolf(1594-1632) スウェーデン王国最盛期の国王 通称「北方の獅子 Lejonet från Norden」 バルト海の制海権を奪取するなど対外戦争を続ける一方で司法行政の制度を整え、商工業を奨励、教育の振興にも努めている。また武器工場の近代化を推進し他国へ輸出するまでに成長させた。
→Juan José Francisco Latorre Benavente(1846-1912) チリ海軍軍人 太平洋戦争(Guerra del Pacífico)で数々の戦いに参加し、アンガモスの戦いで英雄と呼ばれる活躍をした。
起工日1943.9.27
進水日1945.11.17
就役日(竣工日)1947.12.15
除籍日1970.7.1
チリ海軍就役日1971.9.17
チリ海軍除籍日(除籍後)1984(1986.9.15台湾に売却後解体)
全長(身長)180.2m
基準排水量(体重)7283.1英t(7400t)
出力メーカー不詳重油専焼缶4基De Laval式蒸気タービン2基2軸 100000shp(101387.0PS)
最高速度33.0kt(61.11km/h)
航続距離14.0kt(25.93km/h)/4350海里(8056.2km)
乗員445~783名
装備(竣工時)15.2cm60口径M1942三連装砲1基連装砲2基7門
ボフォース40mm機関砲x10
20mm70口径機関砲x7
53cm三連装魚雷発射管2基6門
機雷120個
装備(1950)15.2cm60口径M1942三連装砲1基連装砲2基7門
ボフォース40mm機関砲x21
ボフォース40mm70口径機関砲x6
53cm三連装魚雷発射管2基6門
装備(1958)15.2cm60口径M1942三連装砲1基連装砲2基7門
ボフォース57mm機関砲x4
ボフォース40mm70口径機関砲x17
53cm三連装魚雷発射管2基6門
装甲舷側:76~100mm 甲板:20~25mm 艦橋:20mm
建造所Eriksbergs Mekaniska Verkstads AB,Eriksbergs, Gothenburg,Västra Götaland
(エリクスベルグ機械工場社 スウェーデン王国ヴェステルイェートランド地方ブーヒュースレーン地方ヴェストラ・イェータランド県イェーテボリ市エリクスバーグ地区)
  • 1930年代にゴトランドを配備してそれなりに近代化を整えたスウェーデン海軍であったが、他の小型艦艇も老朽化が進む中、世界情勢はどんどん不穏になっていっていた。
    そこで海軍は新しい大型艦の配備に意欲を見せたのだが、結局予算不足のためひとまず旧式化した小型艦艇の更新でお茶を濁しつつ、新しい巡洋艦の配備をどうするか考えた。
  • 5000t級のゴトランドは当時スウェーデン海軍で海防戦艦に次ぐ大型軍艦だったが、巡洋艦の砲撃力に加えて水上機運用能力と機雷160発を敷設するという目的を要求されたためどれもちょっと半端な性格となっていた。
    水上機の大型化や性能向上もあって航空巡洋艦が非現実的なものとなると、標準的な巡洋艦を5000t級でまとめるというところまでは決まったものの、
    5000t級の巡洋艦は色々半端な性能のため、7000tかそれ以上の船が要求を達成する性能の船の規模として妥当であろうと判断された。
    ところがスウェーデンにはそんな大きな船を作る施設はまだ存在しなかったので、海外から買ってこようという計画が持ち上がる。
    この時候補に上がったのはアメリカのペンサコーラとイタリアのアルベルト・ディ・ジュッサーノ型二番艦アルベリコ・ダ・バルビアーノであった。
    しかしスペイン内戦などの勃発によりどちらも現役続行が決まっていたため、この交渉はご破断となる。
    仕方がないのでオランダ海軍の5000t級の巡洋艦を真似たものを4隻作って運用しようと考えたものの、結局これには予算が下りず、スウェーデン海軍は悶々とした日々を過ごすことになる。
  • 転機が起きたのは1940年の春だった。
    当時スウェーデンの名門ボフォース社はオランダ海軍の新型艦デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン級向けに6インチ砲を製造していた。
    この新型艦は3連装砲塔2基と連装砲塔2基の合計10門を装備するかなり強力な巡洋艦となるはずだったが、
    ドイツがオランダに侵攻・占領してしまったため、この6インチ砲を買う相手がいきなり居なくなったのである。
    ボフォース社に泣きつかれこの主砲は国で買い取って海軍が使うことになったのだが、6インチ三連装砲塔を使える船が当然あるわけもない。
    結局渇望していた大型船は、なし崩し的にこの三連装砲と連装砲をそのまま転用するサイズの建造が承認されたのであった。
  • このような変則的な経緯で生まれたトレ・クロノール(英語ではスリークラウン、スウェーデンの国章のこと)級は
    前方に三連装砲塔1基、後方に連装砲塔2基を背負式配置するというちょっと変わった配置を取り、
    基準排水量8000tの立派な大型巡洋艦となった。
    設計にあたってはイタリア・アンサルド社の助言を受け、21インチの三連装魚雷発射管を両舷1基ずつ装備した他、スウェーデン海軍の特徴として機雷160発を搭載可能。
    1943年より起工されたが初めての大型船ということもあり完成は1番艦トレ・クロノールが1944年11月、2番艦イェータ・レヨンは1945年11月、すでに未曾有の国難と呼べる世界大戦は去っていた。
  • それでもスウェーデン海軍の象徴として二隻は長く現役に付いており、1950年代に近代化改修を受け対空砲をさらに増設した。
    その後も1970年まで現役についていた後、イェータ・レヨンはチリ海軍に売却されている。
  • チリに売却されたイェータ・レヨンは「アルミランテ・ラトーレ」と名付けられた。
    これはチリ海軍にかつて在籍し、1958年売却された(そして一部の部品が戦艦三笠の補修用になった)超弩級戦艦の名前を受け継いだもので、オヒギンズと並んでチリ海軍で任務を勤めたのち、
    オヒギンズより一足先の1984年に除籍され、台湾に売却・解体された。

小ネタ

  • 工期短縮のため、一部の装甲板に、解体された海防戦艦オーディンおよびトールの装甲板がそのまま転用されている。