No82 グローウォーム/元ネタ解説

Last-modified: 2018-11-11 (日) 21:27:51
所属Royal Navy
艦種・艦型G級駆逐艦
正式名称HMS Glowworm (H92)
名前の由来Glowworm イギリスでグローウォームと言うとLampyris noctilucaのことを指すことが多い。日本でよく見るゲンジボタルとは異なる
モットーEx tenebris lux(Out of darkness light)
起工日1934.8.15
進水日1935.7.22
就役日(竣工日)1936.1.22
除籍日(除籍理由)不明(英Operation Weserübung/独Unternehmen Weserübung(ヴェーザー演習作戦) 1940.4.8沈没)
全長(身長)98.45m
基準排水量(体重)1350英t(1372t)
出力Admiralty式重油専焼缶3基Parsons式蒸気タービン2基2軸 34000shp(34471.6PS)
最高速度36.0kt(66.67km/h)
航続距離15.0kt(27.78km/h)/5530海里(10241.56km)
乗員137名(平時) 146名(戦時)
装備(建造時)4.7inch45口径Mk.IX単装砲4門
ヴィッカース0.5inch機関銃x8(2x4)
21inch五連装魚雷2基10門
爆雷投下軌条1基
爆雷投射機2基
装甲なし
建造所John I. Thornycroft & Company,Woolston, Hampshire
(ジョン・I.ソーニクロフト社 イングランド国南東イングランド地域ハンプシャー州サウサンプトン市ウォールストン)
  • イギリス海軍所属G級駆逐艦4番艦。船体番号はH92。
    1934年8月15日ソーニクロフト社にて起工。1935年7月22日進水。1936年1月22日に就役した。
    就役後は地中海艦隊第一駆逐隊に所属しスペイン内戦を受けてスペイン近海のパトロール任務などに従事する。
    第二次大戦勃発後、第二十二駆逐隊・第一駆逐隊と転属しスカパ・フローに駐留する。
    1940年4月5日、ウィルレッド作戦に向かうレナウンの護衛としてノルウェー沿岸へ出撃する。
    4月7日、船外へ転落した乗組員捜索のためグローウォームは艦隊を離れた。翌4月8日、艦隊へ戻ろうとするグローウォームはドイツ駆逐艦2隻と遭遇する。
    ドイツ駆逐艦は重巡アドミラル・ヒッパーに救援を要請、要請を受けたアドミラル・ヒッパーはグローウォームを捕捉、戦闘となる。
    煙幕による攪乱から接近戦に持ち込もうとしたグローウォームであったがレーダーに捕捉されており、砲撃を受け主砲を含む艦上構造物に多大な損傷を受ける。
    5連装魚雷を発射するも回避され、全ての武装を失ったグローウォームは体当たりを敢行した
    アドミラル・ヒッパーはこの攻撃で500トン以上の浸水があったが致命傷とはならなかった。
    一方のグローウォームは爆発炎上し沈没した。
  • その後アドミラル・ヒッパーの艦長はグローウォームの艦長の勇猛果敢な行動に感動し、国際赤十字を通じてイギリスにヴィクトリア十字章の叙勲を推薦。この推薦によってグローウォームの艦長はヴィクトリア十字章を死後授与した。敵国軍人の推薦でヴィクトリア十字章を授与した例はこれが唯一である。
    • このエピソードは漫画家、黒井緑氏によって漫画化されている。
  • G級駆逐艦は1924年度からイギリス海軍が第一次大戦に大量生産した駆逐艦の整理を進めるとともに、戦訓を生かした新たな駆逐艦として、まずはソーニクロフト社とヤーロウ社に試作品1隻ずつを発注。
    これらの運用実績をもとに毎年アルファベット順で建造を始めたシリーズの一環である。
    1924-5年度計画 「アンバスケイド」「アマゾン」(試作)
    1927-8年度 A級9隻
    1928-9年度 B級9隻
    1929-30年度 C級5隻
    1930-1年度 D級9隻
    1931-2年度 E級9隻
    1931-2年度 F級9隻
    1933-4年度 G級9隻 ←今ここ
  • おおよそ1350t前後の一般的な駆逐艦として武装などに細かな改良を加えつつ建造されてきたシリーズであるが、G級では軍縮条約に従い艦の大きさをさらに縮小することが求められ、
    この要求に応えてこれまでの運用実績から、15kt以下での速度で航行することがほとんどないことを踏まえて巡航タービンを撤去した。
    このためそれ以前の駆逐艦より1mほど全長が短い。
    またG級はいろいろな情勢により武装テストが多く施されている。特に日本の吹雪型(特型)駆逐艦登場の衝撃により、それまで装備されていた45口径4.7インチ砲から50口径5.1インチ砲の搭載を試みたが、この砲は試験結果が良くなかったことと、両用砲架が使えず対空射撃に支障が出ることを懸念され搭載は断念された。
    また33年の演習で駆逐艦が魚雷を発射した際、目標が一隻に集中しやすく魚雷が無駄になっていると判断され、広く魚雷を散布する方向に変わった。
    このため1隻当たりの発射線数を増やしたほうがいいのではと考えられ、それまでずっと53cm4連装だった魚雷発射管を試験的にグローウォームのみ5連装に交換している。
  • 開戦後魚雷発射管を撤去して対空火器を増設したりヘッジホッグの追加なども行われたが、G級駆逐艦はグローウォームをはじめ激闘に次ぐ激闘で、
    カナダとポーランドに貸与した2隻以外の7隻は1941年5月にグレイハウンドが沈没した時点で残存鑑定は大破状態のギャラントしかおらず、
    そのギャラントも全損判定により自沈したため1943年にG級駆逐艦は全滅した。
    その後1944年に3代目となるG級駆逐艦の建造が計画されたが、これは終戦により未成に終わった。