エリア1
こんな早朝から招集か…一体今日は何の訓練だ? お前は知ってるか? ……知らない?……そうか… | |
もう皆集まっているみたいだよ…急ごう、エレン! | |
…… | |
全員注目…! 本日は山岳地帯での実地訓練を行う! 諸君らはこれより訓練兵のみで、雪山での行軍を行ってもらう! ただし…壁内とはいえ、これはただの雪中行軍ではない 積雪下での巨人戦闘を想定した軍事演習も兼ねている! 下手をすれば命を失う危険性も伴う過酷な訓練だ 体力に自信のない者、怖気づいた者は、今すぐこの場で辞退しろ! 誰か辞退する者はいるか!? | |
…… | |
よし! これより各自に寒冷地用の装備を支給する また今回の訓練には、調査兵団も協力している! 無様なところを見せるんじゃないぞ!! | |
…… | |
厳冬期の冬山に訓練兵だけで入るなんて…危険すぎないかな | |
どこで巨人と遭遇するか分からない以上、訓練は必要だと思うぞ? それに……どんな場所だろうと、奴らは必ず俺が駆逐してやる | |
お前の頭にあるのは、年中巨人のことだけかよ? | |
ジャン? …お前、何が言いたいんだよ | |
巨人の前に、まず足元を見ろよ 教官も言ってただろ? 今回の訓練は”ヤバイ”ってな 無謀な奴のせいで、隊の足並みが乱されるのは歓迎できねぇ | |
お前の心配してるのは、自分の憲兵団入りだろ? | |
悪いか? 厳しい訓練だからこそ、高い評価が期待できる くれぐれも俺の足を引っ張るんじゃねぇぞ、エレン | |
意外と小心者だな、ジャン | |
なんだと…てめぇ! | |
二人ともそこまでだよ!出立の時間だ | |
忠告はしたからな…忘れんなよ! | |
あいつも変わらないな…内地の生活しか考えてねぇ | |
でも、ジャンの危惧も僕には理解できるよ…… 遅れる者がいれば、それだけ隊全体の行軍速度も遅くなる 僕は、この訓練を辞退するべきだったのかもしれない… | |
アルミン、厳しい状況下だからこそ、正しい判断が必要だろ? お前の知識は、その時きっと役立つはずだ | |
ごめん…弱音なんか吐いて。 行こう、エレン | |
ああ…まずは雪山まで移動だな |
エリア10
なぁ…ライナー、まだ訓練時場所には到着しねぇのか? もうだいぶ歩いたけどよ… | |
地図を見ると…どうやら前方のあの雪山が訓練地らしい | |
で、でけぇ! 本当に俺達だけであの山を登るのか…? | |
山の反対側にある村で、調査兵団が陣営を張っているそうだ そこが行軍のゴール地点になるらしい | |
うぅ…そ、それにしても、さびぃな… 畑耕してた頃を思い出すぜ… お前もさ、そう思わねぇか…?お…うなづいてくれるか…やっぱりそう思うよな | |
コニー、禿げ頭に冬山は辛いみてぇだな? 手足の前にその頭が凍傷にかかんねぇよう注意しろよ | |
ユミル…おれは禿げてるんじゃねぇ、剃ってるだけだ! | |
どっちでもたいして変わんねぇだろ、バカなのか? | |
ユミル、人の外見を揶揄するのは良くないよ! | |
コニー、ちょっと手を出してくれる? | |
こうやって…手で擦れば、少しは温まるでしょ? | |
クリスタの手…あったけぇ… | |
クリスタ、私も手が無性に冷たいんだけど? | |
お前は、ライナーとでも擦り合ってろよ | |
………禿げが………… | |
ああん!? なんだと、そばかす女!! | |
お前らな……訓練中だということを忘れるなよ ただでさえ慣れない立体機動装置を付けての行軍なんだ ふざけてると、すぐに体力を失くすぞ | |
いざとなったら頼りにしてるぜ、ライナー | |
・・・とにかく、気を引き締めて行くぞ! |
エリア11
この山を登るのか… 頂上に登るだけなら、それほど困難にも思えないがな | |
幸い空は晴れてるみたいだけど… | |
それより、調査兵団が向こうで待機しているんだろ? 早く到着すれば、調査兵団の討伐術を直に学べる絶好の機会だぞ! | |
エレン、話聞いてたか? 行軍と並行して戦闘演習もやるんだよ! 何の為に、この立体機動装置を背負って来たと思ってんだ | |
予め教官たちが山に"仕掛け"を設置してるってあの話か 出てくるのは、どうせ通常時の訓練と同じものだろ? いつもと同じようにやれば問題ないさ | |
いや…それは軽率だよ、エレン 自然が相手なんだ、どんな不測の事態が起こってもおかしくない 変化する環境に対して、どう適切に対処するかも訓練の一部だよ | |
そういや、アルミン…お前、座学の成績は良かったな だけどな、まずは登りきるだけの体力がないと話になんねぇぞ? | |
…分かってる。みんなに迷惑はかけないよ | |
お前こそ点数に目が眩んで暴走するなよ、ジャン | |
どこぞの死に急ぎ野郎と違って、俺はいたって冷静だよ ここで点数稼いでおけば、後々楽できるからな | |
時間が勿体ない…さっさと登ろうぜ、アルミン | |
うん…そうだね… 雪か…何も起こらなければいいけど… 君も不安だって…?そうか… |
エリア20
そ…そんなぁ!私のパンがぁぁぁ! | |
バッカだなー、サシャ | |
どうかしたの? | |
こいつ、支給された携帯食を、滑って川に落したんだ まだ登り始めたばっかだつうのに、早速食おうとするからだ | |
うぅぅ……一生の不覚です…… | |
大丈夫? 頂上までだって、結構あるよ? | |
森で…狐でも狩ってきます! | |
た、隊から離れたら、ダメだよ! | |
これ…私の携帯食だけど、良かったら食べて | |
クリスタ…やっぱり神さま!? | |
また芋女に餌付けしてんのか? | |
ユミル…餌付けって、そんなんじゃないよ… | |
自分の食糧まで分けやがって… 拝まれて感謝されて、気持ちがいいか? だがな…そいつはただの自己満足ってやつだ | |
…… | |
お、おい、さすがに言いすぎだろ | |
いいの……コニー | |
サシャもなんか言えよ…て、お前もう食ってんのかよ! | |
……え? なにか言いましたか? | |
馬鹿ばっかりかよ…付き合ってられるか | |
なんだよ、ユミルの奴…なに一人でイラついてんだ よく分かんねぇ奴だな | |
…… |
エリア21
はぁ……はぁ…… | |
アルミン、大丈夫か? | |
平気だよ…それよりもこの雪、想像以上に厄介だね 固く凍った雪のせいで、歩くだけでも余計に体力が削られる | |
それだけじゃねぇよ この寒さで、ガスの出力がいまいち安定しねぇ そのせいで、立体機動中の姿勢制御に平地の倍は負担がかかってる 能力に不安がある奴は、麓に引き返した方がいいな それに、脱落者が多いひど、相対的に俺の評価も上がるしよ | |
お前は…そこまでして憲兵団に入りたいのかよ | |
悪いかよ 足手まといが出れば、そのケツを誰かが拭かなきゃなんねぇ 全員そろって訓練に失敗でもしたら、かなわねぇよ | |
役立たずは切り捨てる、か…… 戦場で、お前と同じ班にだけにはなりたくないな | |
それはこっちの台詞だ、死に急ぎ野郎 | |
お前な…! | |
エレン!…足が止まってる、行こう | |
……分かったよ | |
寒くなってきた…エレン、このマフラー使って | |
いいよ…お前が使えよ | |
……… | |
な…なぁ、ミカサ、ちょっといいか? | |
…なに? | |
あ、あのよ…いつもエレンばっかり構ってるけどよ… ほかに…気になる奴とかいないのか? | |
…質問の意図がよく分からないんだけど | |
いや、なんだ…世界には、エレン以上に優秀な男はいるわけで す、少しは周りにも目を向けることも、大切じゃねぇかと… | |
……? | |
ミカサ…!訓練巨人が出たぞ! | |
分かった…ジャン、話は後にして | |
お、おう… | |
おい!ジャン! 聞いてるのかよ!戦闘訓練だぞ! | |
…うるっせぇな!!分かってんだよ! エレン、お前には一体も仕留めさせねぇ… 全部俺の獲物だ! | |
は?いきなりなに熱くなってんだ、お前… | |
どけよ!立体機動に移るぞ! |
エリア30
敵目標発見!俺がやる! | |
エレン、遅い… | |
…!ミカサ! くそっ!あの距離から、なんで追いつけるんだよ…! | |
とは言っても…こう訓練巨人ばかりじゃな 襲ってこないと分かってる分、イマイチ張り合いに欠けるな 早く実践に出て……奴らをこの手で仕留めてやる… | |
…… | |
…アニ?どうかしたか? そういえば、この間技を教えてもらった時の礼がまだだったな あの時は、ありがとう | |
別に礼を言われるほどのことじゃない それと……あまり調子に乗らない方がいい | |
調子に…?訓練なら、いつもどおりにやってるだろ? | |
そうじゃないよ…あんたはいつでも戦いたがってる なぜ? | |
なぜって…兵士なんだから、戦いは当たり前だろ? | |
義務だけで、命のやり取りができる人間は多くないよ でも、あんたは違う… 絶望的な状況でも、抗い続けることのできる人間だ それは…誰もが持ってるものじゃない | |
俺がおかしいって、言いたいのか? | |
正しいのは、きっとエレンの方さ でも……あんたは、私たちとは違う人間だ 正直、あんたのそばにいるのは、怖いよ | |
お、おい!アニ! …行っちまった… アイツ…一体何が言いたかったんだ? | |
みなさん…!ちょっといいですか!? | |
サシャまでなんだよ…また飯でも落としたのか? | |
違いますよ!向こうの山を、見てください! 頂上付近に雲がかかり始めてます 急がないと、天候が荒れるかもしれません… | |
こんなに晴れてるのにか? ……冗談だろ お前もそう思うって? ……やっぱ違うよな | |
天気が崩れてからだと遅いんですよ! 山を侮ってると、死にますよ!! なんとか…間に合えばいいですけど… |
エリア31
おい…ガキ共はまだ到着しないのか? | |
行程表によると、山頂付近に到着した頃だと思います… | |
遅せぇ…いつまでオレたちリヴァイ班を待たせる気だ… そもそもなんで俺達が、訓練兵に付き合わなきゃいけないんだ | |
うちの兵団の人員不足は深刻だからね 調査兵団の存在を早いうちから喧伝する為じゃない? | |
どうせどいつも腰抜けの役立たずだろ? 別にいらねぇよ | |
入団したらしたで、あんたが一番威張るくせに… | |
分かってるぞ、ペトラ それは、お前なりの俺への愛情表現なんだろ? | |
オルオ…うぬぼれも大概にしないと、痛い目見るよ? いま見せてあげようか? | |
みんな…!ここにいたのかい! 緊急事態だよ! | |
どうした…クソが便器から溢れたのか? | |
違うよ!吹雪だよ、吹雪! 急に山の天候が崩れ出したんだ! 現地は大雪と風のせいで、ほとんど視界もきかない状態だよ 訓練兵達も、この吹雪の中じゃ身動きはとれないはずだ このまま気温が低下すれば…最悪、凍死の危険性だってある 状況が悪化する前に、すぐに救出に向かわないと!! | |
人数を絞るか……ハンジ、オルオはオレについてこい 山に入るぞ | |
了解! | |
ペトラは、ここでエルヴィンからの指示を待て | |
了解! | |
ちっ…胸糞の悪くなるような雲だな…… |
エリア40
くそっ!雪で全然前が見えねぇぞ! | |
ハンジ、現時点でどの程度進んだ? | |
ちょっと待って!地図が風に煽られて…! いや…駄目だよ。 山に入ってから、1キロも進んでない | |
闇雲に探しても埒があかないな… | |
恐らく彼らも吹雪を避けるため、どこかに避難してるはずだ その避難先に見当をつけるしかない | |
……リヴァイ兵長! | |
ペトラか…エルヴィンは何と言ってる? | |
山の中腹に放置された廃城があるそうです!そこへ迎えと! | |
廃城……確かに地図上にはあるね 彼らの内の誰かが、この場所に気づいてくれれば… | |
時間が惜しい…これ以上、視界が悪くなる前に急ぐぞ | |
リヴァイ兵長!それと……団長からの言伝です 日没までに、訓練兵を発見できなかった際は… 救出作業は中止し、早急に山を降りろ、とのことです | |
……分かった |
エリア41
この吹雪…さっきよりも強くなってないか? | |
天候は崩れる一方だ…もう訓練どころじゃないよ どうやったら生きて帰れるかを考えないと… | |
俺達はいまどのあたりにいるんだ | |
さっき距離を概算したけど… まだ山頂を越えたあたりだよ | |
ようやく半分か…ぐずぐずしている暇はないな | |
動ける体力があるうちに、一か八が下山を試みるしかない | |
いや……吹雪に中の強行軍は賛成できないよ 現在地を見失って、遭難する恐れがある | |
かといって、ここも夜になれば、気温はもっと下がる この防寒具だけじゃ、乗りきれないぞ | |
訓練中に凍死か…さすがに笑えねぇ冗談だな | |
せめてこの風だけでも防げる場所があれば…… …!見てくれ。地図のここだ…城跡がある 距離もそれほど離れてない…ここなら風雪も凌げるはずだ 一旦、この城跡に避難しよう | |
よく見つけたな…でかしたぞ、アルミン | |
それと、一つ…提案があるんだけど、聞いてくれるかな? | |
どうした? | |
廃城へのルートには、尾根沿いと渓谷沿いの二つがある 途中、障害物に阻まれて立ち往生する可能性もゼロじゃない 少しでも生還率を上がるためにも、班を分けるべきだと思う | |
片方が駄目でも…もう片方が帰還できるかもしれない、か …分かった。今から班を分けよう エレン、ジャン、マルコ、ミカサ…お前達はアルミンの班だ 他の奴らは、俺と一緒に行くぞ! | |
お前も俺達の班か…頑張ろうな! | |
エレンと一緒の班かよ…ついてねぇな… | |
死にたくなかったら、無駄口叩かず歩けよ お互い雪山で死にたくはないだろ? | |
俺の死に場所は、内地のベッドの中と決まってんだよ それまで、くたばってたまるかよ…! |
エリア50
城は、まだ見えないのかよ! あと、どれぐらいあるんだ…! | |
エレン、一人で先行し過ぎた!ペースを落とせ! 訓練用の罠だって、まだ活きてるんだ 迂闊すぎるんだよ、お前は! | |
時間をかければ、状況はそれだけ悪化するんだろ 多少無理をしてでも、ここは急ぐべき時だろ! | |
二人とも、一度止まってくれ …おかしい……この場所…… この一帯だけ森林が途切れて、地面が剥き出しになってる まるで何かに削られたみたいだ…… | |
どうかしたの、アルミン? | |
僕も本で読んだだけだから確証はないけど…… 斜面に大量に積もった新雪に、この地形……これは…… | |
待って…何か変……地面が揺れてる…… | |
何も感じないぞ……気のせいじゃないのか? | |
エレン、不用意に動かないで…! | |
ゴゴゴゴ…! | |
なんだ……この音……? | |
……斜面の上からだ!雪が押し寄せてきてる! | |
くそっ……雪崩かよ!! | |
皆! 流されない様、あの高木にアンカーを打ち込むんだ!! | |
……!分かった! | |
ゴゴゴゴゴゴゴ…! | |
……ゆ、雪に押し潰されそうだっ! | |
くそっ!アンカーの固定が緩い……!! この勢い……駄目だ……もたないっ!! | |
エレン!!こっちに手を…! | |
アルミン!?……うわぁぁぁ!! | |
エレン! | |
くそったれがぁっ! | |
ジャンッ! | |
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…! | |
エレン! | |
…そ、そんな……二人とも流されたのか…… 僕がこの道を選択したから……二人が…… |
エリア60
ダズ…どこに行ったの!? お願い!戻ってきて! どうしよう…とにかく探さないと… | |
…う……う…う…… | |
ダズ…!大丈夫!? 酷い傷…血だってこんなに… この上の崖から、落ちたのね | |
……う…う…… | |
早く治療しないと…そのためにもとにかく移動しなきゃ ダズ、ちょっとだけ我慢してね 雨具で体を固定して… 木の枝を下にとりつけて、ソリ代わりにすれば… 待っててね…すぐ連れて行ってあげるから | |
お前…なにしてんだ? | |
ユミル…!どうしてここに!? | |
二人が怪しい動きしてるから、後をつけてきたんだ ダズは、怪我してるのか? | |
うん…重傷だよ。すぐ手当てしないと… | |
手当も何も、どこでする気だよ? お前…ここがどこだか、分かってるのか? | |
……え? | |
まさか、気絶しているそいつしか道を知らないってオチか? | |
…… | |
オイオイ……マジかよ… 遭難決定だな… |
エリア61
はぁ…はぁ… | |
…ここはどこだ?俺はどうなったんだ… | |
ようやく起きたか、くたばったかと思ってたぜ | |
ジャン!?…アルミン達は……? | |
雪崩に巻き込まれたマヌケは俺とお前だけだ ただ流された場所の近くに、洞穴があったのは助かった | |
アルミン達は、無事かな… | |
人の心配してる場合かよ 現在地も分からねぇ上に、ザックも雪に流された 待ってても救助は来ねぇ。 自力で麓まで下山するしかねぇぞ | |
アルミン達との合流も無理か… | |
ったく、ついてねぇぜ…ホント疫病神だな、お前 | |
ジャン、あの時…俺を助けようとして | |
咄嗟に手が出ちまっただけだ 借りが出来たと思ったなら、百倍にして返しやがれ とにかく気付いたなら、すぐ出発するぞ | |
それは分かったが…さっきから、なにしてんだよ? | |
雪崩の衝撃で、立体機動装置がガタついてたからな それの応急修理だ | |
変なとこで器用だな | |
ヌカセ…こんなもん少し仕組みに通じてりゃ、誰でもできる つっても、弄れんのは周辺部品だけだがな ホラよ…お前の立体機動装置だ | |
俺のを…直してたのか? | |
これ以上のお荷物は勘弁だからな エレン、いいか…次にお前がミスっても、今度は助けねぇ 他人の世話して、死ぬほど俺はお人好しじゃねぇ | |
上等だ。 お前にこれ以上の借りなんてぞっとしないからな | |
とりあえずコンパスを頼りに、麓の方角に進むぞ あとは、まぁ神頼みだ | |
アルミン達は……城にだどり着けたかな |
エリア70
止まれ……エレン | |
どうした? | |
ちっ……地面に訓練用の罠が念入りに仕掛けられてやがる ここから先の移動は、立体機動を使わないと無理そうだな | |
こっちも万全じゃない……迂回して通ることはできないのか? | |
無駄に時間を食うだけだ それにな……悪いことばかりじゃねぇ 正規のルートに近づいてきたという証拠だ この仕掛けを辿っていけば、現在地も分かるかもしれねぇ | |
…… | |
なんだよ?俺の方針に文句でもあんのか? | |
お前、こんな状況なのに結構落ち着いてるな | |
バァーカ、こんな状況だからこそ、だろ 俺は五体満足に帰還して、憲兵団に入るんだよ | |
そうだったな……内地野郎 | |
その内地野郎のケツの後ろを今からついて来るんだよ 俺が先行する……エレンは、俺と同じ場所を辿ってこい | |
………… | |
エレン!俺から離れるんじゃねぇぞ! | |
立体機動術なら、お前にも遅れはとらねぇよ! なんなら追い越してやってもいいんだぞ! | |
出来るもんなら、やってみやがれ! | |
……おい、ジャン…… お前の立体機動装置のタンクから…ガスが吹き出てるぞ! | |
あん…!聞こえねぇよ! | |
止まれ!落ちるぞ! | |
なんだ……急に出力が……うおっ! | |
ジャン! | |
(シーン切替) | |
大丈夫か、ジャン!? | |
くそっ……しくじったぜ。 俺のも雪崩でガタが来てたか | |
お前、足を…! | |
折れてはいねぇと思うが…自力で歩くのは無理そうだな まったく…ホントついてねぇぜ… |
エリア71
ここが城跡、か… | |
アルミン…!無事だったのか!? | |
ライナー…そっちも着いたんだね …良かった | |
ああ、なんとかな… エレンとジャンの姿が見えないが… | |
二人は、途中で雪崩に巻き込まれて… | |
そうか……こっちもクリスタとユミル、ダズがいない 恐らく移動中にはぐれたんだろう | |
アルミン…もう一度エレン達を探しに…! | |
この吹雪じゃ探索は無理だよ…僕達まで遭難してしまう | |
そんな…… | |
僕のせいだよ… 僕が、もっと早く異変に気づいていれば! | |
やめろ、アルミン! 全員が最善を尽くしたんだ それに命を失う覚悟は、兵団に入った時からしていたはずだ | |
……… | |
…ガキ共、ここにいたか… | |
リヴァイ兵士長!? | |
少しはマシなおつむを持ってる奴がいたようだな… 状況は最悪だが、まだツキは残っていたらしい | |
調査兵団が…救助に来てくれたのか…? | |
これで、全員か? | |
いえ、何人かはまだ山の中に… | |
そうか…だが、そっちは後回しだ。 一度、山を下りるぞ 下山ルートはこっちで確保してる | |
……!! 彼らを、見殺しにするんですか!? | |
ガキが…まずはてめぇの身を心配しやがれ | |
……! | |
早くしろ。 もたついたら、置いてくぞ… | |
行こう、ミカサ…今の僕達じゃ何もできない | |
アルミン… | |
それに、エレンだけじゃない…ジャンもいる 二人ならきっと戻ってこれる。 そう信じよう…… | |
…エレン…どうか無事でいて… |
エリア80
クリスタ……お前、どこを目指して進んでるんだ? 少なくとも城に向かうなら、反対側だろ | |
ダズはこっちの方角に行こうとしていた…… 帰り道があるって…… | |
功名心に駆られてドジったアホだぞ? こんな奴のいうことを信じるのかよ | |
信じるよ……他にできることなんかないから…… | |
…… | |
見て、大きな崖がある……! 地図上だと…… この崖沿いに進めば、麓まで辿りつけるよ! | |
で、どれだけ進めば、その麓とやらまで行けるんだ? 地図を見る限り、かなり遠回りな道だぞ、コレ | |
そ、それは…… | |
おまけにダズを引いてるせいで、さっきからほとんど進んでない 麓に着くまでに、私達が凍死しないって保障があるのか? | |
だからって……ダズを置いていくの? 見捨てるなんて出来ないよ とにかく……行かなくちゃ…… | |
アイツ……本当に助かる気があるのか? 人助け?違うな…… もっとくだらない……馬鹿みてぇな理由だな ……イラつくな…… |
エリア81
おい、エレン!俺は置いてけっつっただろ!? | |
黙って担がれてろよ、ジャン | |
バカか!無駄に体力を消耗するだけだぞ! | |
おい、ジャン…あそこの小屋…補給施設の一つじゃないのか? 助かった…あそこなら物資もガスもあるはずだ | |
痛てぇな!もっと優しくできねぇのか! | |
少しは我慢しろ!包帯で固定すればギプス代わりにはなる | |
最悪だ…怪我した上に、お前の世話にまでなるなんてな これまで積み上げてきた俺の評価が台無しだ… 憲兵団を逃したら、待ってるのは不毛な消耗戦の日々だけだ | |
ジャン、お前の気に入らないところは… それほどの能力がある癖に戦いに活かそうとしないところだ お前は巨人と戦うことが、本当に無駄死にだと思ってるのか? | |
誰もがお前みたいにバカ正直には生きられねぇよ みんな、ちっせぇ幸せを抱きながら、みみっちく生きてんだ クソ垂れて、老いぼれて生きる人生を望むのは罪かよ? | |
だが、このままだと人類はずっと恐怖に怯えたままだ 何かを変えなきゃいけない…それを出来る人間が | |
お前の生き方を否定する気はねぇよ ただ…お前が思ってるより人間は脆くて弱ぇ生き物なんだよ | |
……… | |
ちっ……柄じゃねぇこと言ってんな とにかく、まずは生還することを考えるぞ 小屋にあった地図で現在地は分かった ここから下の崖沿いを進めば、麓に戻れるはずだ ただ問題は… | |
雪崩か… | |
ああ…この足じゃ、逃れられねぇ エレン…お前は先に行け | |
先にって…お前はどうする気だよ | |
俺は……なんとかうまくやるさ | |
こんな時に格好つけてる場合かよ! | |
俺の巻き添え食って死にたいのか? | |
二人よりも確実に一人が助かる方法を選べよ 情に流されて、判断を誤るのは兵士として失格だろ? | |
帰る為にはお前の判断力が必要だ …それが俺の考えだ | |
ちっ…馬鹿が珍しく頭を使ったみてぇだな 確かに、お前一人じゃ迷子になるかもしれねぇしな | |
これで……さっきの借りは返したからな | |
わあってるよ! ……ほら、とっとと歩くぞ |
エリア90
ジャン、足は問題ないか? | |
問題だらけだ。 ただ、歩くだけなら大丈夫そうだがな | |
あの林の奥に見えるのが例の崖か… あと少しだぞ | |
気をつけろよ、エレン…この場所、さっきと同じだぞ ここだけ森が開けてやがる… | |
だけど、ここを抜けないと、あの崖には辿り付けない | |
なるべく周囲に気を配れ…異変を見逃すなよ | |
おい…いま向こうの斜面で何か動かなかったか…? | |
雪崩か!? | |
違う…大きな影が飛んだように見えたんだが… | |
まさか、巨人って言いたいのか? ここは壁内だぞ | |
やっぱり……気のせいじゃない! なにかいるぞ! | |
……待て!エレン! | |
ジャン、俺は冷静だぞ… とにかくあいつの正体を確かめねぇと | |
違う! この音と振動…来やがったぜ…! | |
ゴゴゴゴ…! | |
こんな時に……ジャン!俺に掴まれ! | |
要領は分かってるな! なるべく深く木にアンカーを撃ち込め! | |
分かってる! | |
ゴゴゴゴゴゴゴ…! | |
ぐぁっ!…ジャン、いるか! | |
ああ!! | |
!! ジャン…さっきの黒い影がこっちに…お前の後ろだ! | |
謎の巨人 | ギャヤァヤァヤァァ!! |
な、なんだよ……巨人だと!? うおっ! | |
ジャンを離しやがれ! | |
(ガキン) | |
謎の巨人 | ギャヤァヤァヤァァ!! |
エレン…!? てめぇの相手はこの俺だ!! | |
くそっ…!放しやがれ!! | |
ゴゴゴゴゴゴゴ……! | |
不味いぞ…さっきよりもデカい雪崩が来やがった! エレン…!ひとまず、こいつにしがみつけ! | |
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……! | |
うわああああ!! |
エリア91
ようやく陣所に着いたようだな… ガキ共、地獄から戻ってきた気分はどうだ | |
本当に…帰ってこれた… | |
よぅ、ようやくのご到着か、お前ら | |
ユミル…!!はぐれたって聞いてたけど… | |
幽霊って言いたいのか?脚だってちゃんと二本あんだろ? 棺桶に片足は突っ込みかけたけどな… 助かったのは、ただの運さ そういや…あいつらもいるぞ | |
あいつら? | |
エレンとジャンだよ | |
二人とも、無事だったのか!? | |
雪崩に流されたところを、調査兵団に発見されたらしい | |
二人仲良くそろってな…あいつら、実はホモじゃねぇの? | |
良かった…本当に…生きてて…… | |
いま、クリスタが向こうの宿舎で介抱してるよ | |
……ユミル!エレン達が目を覚ましたよ! アルミン……!!帰ってこれたんだね!? よかった… | |
クリスタ…二人の様子は? | |
ジャンだけ足を負傷したてけど、他はたいした怪我はないみたい ただ…ちょっと混乱しているというか… 巨人がどうのって…… いま調査兵団の人たちが話を聞いてるの | |
巨人…? |
エリア100
はい…小柄な巨人が一体……いえ、本当です!嘘じゃありません! なぜ…信じてくれないんですか… | |
…ハハッ!コイツ、寒さで幻覚でも見たんすよ 俺なんか、雪の中からお袋が出て来たぐらいっすからね | |
ジャン…? | |
聞き取りは終わりっすか? なら、少し休ませてくれませんか? | |
…… | |
…… | |
なんで嘘をついたんだよ……お前も、見ただろ!? | |
ああ…ありゃーでっけぇ熊だったな | |
熊?…巨人だろ!? 殺されかけたじゃねぇか!? | |
あの寒さの上に体力も消耗してた、見間違えても不思議じゃねぇ | |
なんだよ…本当にあれが幻覚だったっていうのかよ… | |
少なくとも…今はそういことにしとけ 遭難のショックで、精神に障害をきたしたと判断されるぞ イカレ野郎の烙印を押されたら、下手すりゃ生産者に逆戻りだ | |
結局……お前は自分の将来が可愛いだけなんだな | |
始めからそう言ってんだろ 目的を達成する為に、今何をするべきか… それしか俺の頭にはねぇよ お前だって、調査兵団に入って巨人をぶち殺すんだろ? だったら、もう少しだけ賢く生きろよ バカ正直に進むだけで、お前の目的とやらは果たせるのか? | |
…… | |
エレン! | |
ミカサ…それに、アルミン! お前らも戻ったのか!? | |
エレン、それにジャンも…もう一度会えて嬉しいよ | |
俺は男に喜ばれても、嬉しくねぇけどな | |
ジャン… | |
あん?なんだよ…またさっきのこと蒸し返す気か? | |
俺は、お前のことはやっぱり気にくわない けど……実力だけは認めてやるよ、同じ兵士としてな | |
お前も頭は良くねぇが、腕だけはそこそこだな | |
卒業するときは、お前を抜いて俺が一位になってやるさ | |
バァーカ、一位指名で憲兵団に行くのはこの俺だ | |
言いたかったのはそれだけだ…じゃあな、スカシ野郎 | |
ああ…またな、死に急ぎ野郎 |