作品集158

Last-modified: 2015-05-24 (日) 17:27:21
核融号事件  保冷剤氏

【作品集】158

【タイトル】核融号事件  【書いた人】保冷剤氏
【URL】coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1323441032&log=158
【あらすじ&感想】
 このssに登場する地底の妖怪達は皆、活き活きしている。「どうせ…私は嫌われ者です…」なんて呟いて、ニヒルを気取ってる奴なんか誰もいない。そんなことを考える余裕があるほど、地底は豊かじゃないんだ。どうしようもない事にウダウダ言ってる暇もない。ここで登場するのは、ほっといても飯が運ばれてくる10代の少女達の物語ではなく、自分の今日の食い扶持を稼ぎ、家来を喰わせている女性たちの物語だ。
 だから自分の片腕が吹き飛んでも、メソメソしないしひきづらない。次の事を考えているんだ。その大人びた性格にはリアリティがあって良い。そして、そんなかっこいい登場人物にほれます。

 時代は間欠泉異変のなんと数十年前からはじまり、間欠泉異変解決まで進む。その数十年間で地底は大きな変化がおきる。その変化を進める者と拒む者で、地底妖怪同士、殺しあう抗争も起きる。これが「核融号事件」だ。革命だ! そしてなぜその事件が起こったのかを知るには、革命家、霊烏路空の変化を知らなければいけない。そのために話は間欠泉異変の数十年前から始まるのだ。
 百合ssでちゅっちゅしているはずのキャラ達が互いに、殺意を持つのは嫌な感じ。でも、彼らだって、好きで殺しあっているわけではない。彼らには、彼らの生活に基づいた信念がそれぞれある。そしたらたまたま利害が合わなくなった。その解決方法の一つとして武力行使を選んでいるだけなのだ。「世界征服のため!」とか「うおおおお!俺はお前を絶対に許さないぞおおおお!」とか「ひひ…!!もっと人を殺したいぜぇ…」とかそんな、非現実的な動機ではない。彼らはもっと現実的にクールに戦うのだ。その大人びた性格にはリアリティがあって良い。そして、そんなかっこいい登場人物にほれます。

 キャラの性格にとてもリアリティがあることについて褒めましたが、世界観も私は好きだ。このssではさとりが高速道路でシボレーを運転し、地底の中にはゲリラ活動を行うだけの大きな山脈が横たわっている。地底は大きな洞穴とか深い洞窟ではないんだ。利害が一致しない集団が生まれるほどの広大な世界になっているんだ。「みんな仲間です~♪」な世界ではない、私たちの社会と似た世界。それが好きでした。
 車については、なぜあるのか作中で説明されているので安心です。個人的にキャラの性格と周りの環境が、現代に近づけば近づくほど嬉しいので、まぁこれだけで私は飯3杯はいけますね。

 最後に、あなたがこのssを読み始めた時に一番最初に気付くことについて…。作者の小ネタの引き出しの多さが異常! ニコニコ動画常連の方ならきっとわかるネタがたくさんある…。だけじゃないのだ!ssで登場する舞台、小道具にこれでもか!これでも説明が足りないのか!と言うぐらいの科学的裏付けが記されているのだ。この小ネタの大爆撃(!?)に本筋のストーリーが力負けしている気もする。これが私がこのssを★5にしない大きな理由です。でも私はあなたのその広い根に敬意を表したい。

【五段階評価】

★★★★☆(これはッ!!自分一人で楽しんではいけないッ誰かにッ他の誰かに薦めねばッ!!)

知られざる楽園/Undiscovered Paradise   詩所 氏

【作品集】158
【タイトル】知られざる楽園/Undiscovered Paradise
【書いた人】詩所 氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1323777084&log=158
【あらすじ】

地上との結界が張られる前、地底世界は牢獄と化していた。
妖怪が争い、死んだ妖怪を食料として扱うような世界。
そんな札付きの妖怪が犇めく中で水橋 パルスィは生きる。
嫉妬を抱えながらも、どこか赤くて暗い平穏な日々が続いていく。
――彼女こと、黒谷 ヤマメが現れるまでは。

「しょうがないよ、生まれてきただけで罪になるのがこの厭世的世界なんだからさ」

【感想】

監獄所があり血の色が目立つ歓楽街。地下に居る妖怪は囚人であり、獄卒は鬼。
こうした世界感で書かれる地底は珍しい気がします。
パルスィを通して緻密で腐敗した世界観が広がっていく。
……殺戮系アイドルのヤマメは割と貴重な存在かもしれないですね。面白くて良いキャラクターだと思います。
広い構想は破たんすることなく丁寧に最後まで書かれており、読み手側にも無理なく理解できるよう書かれている点に好感が持てます。
鬱蒼とした日々は地底世界を作った張本人たち、十王の手によって終わりを告げる。
ヤマメは十王の勝手な思惑に憤り、復讐を考える。
幸福とは何か?
ヤマメに問いかけられてパルスィは応えに悩む。
十王の居る地上を目指し、その結末を越えて見つけた幸せとは何か?
忌み嫌われ、欠陥だらけの妖怪が朗らかに笑う。その光景が目に浮かびます。
地底の妖怪がどういったものか、その形の一つが作中の末尾には書かれていると感じます。
文量があって見慣れぬ世界感はとても読み応えがありました。
あと、モブキャラの描写がさりげに光る。(個人的には酒場のグールが気に入りました)

【五段階評価】
★★★☆☆(量はありますが、読んで損はしません)

晩秋の夜の夢  可南 氏

【作品集】158
【タイトル】晩秋の夜の夢
【書いた人】可南 氏
【URL】coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1323452951&log=158
【あらすじ】
紫と霊夢がお祭りに行くだけ。
基本的に霊夢の主観で話が進んでいく話。
【感想】
約11Kbの短編。
所々のブツ切り感がきつかったが文章と会話の雰囲気は楽しめた。
終盤で一部紫に視点変更するのも読みにくかったけど、淡々とした描写の中に紫の思いを感じれたのはよかった。
せっかくだからもっと話全体の枠組みをしっかりしてくれればなと思う。
紫がなんで霊夢誘ったのかも文章として表現してほしかった。
【五段階評価】
★★☆☆☆(ゆかれいむ好きなら+1 霊夢に感情移入できるなら更に+1)

燐「友達について本気出して考えてみた」   M&M 氏
「落ち着いて聞いてくださいね。わたしは暗殺されます」

【作品集】158
【タイトル】燐「友達について本気出して考えてみた」

【書いた人】M&M 氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1324219133&log=158
【あらすじ】
火焔猫 燐は夢を見た。大事なトモダチがさようならと告げる夢を。
これが最後ならば笑って送りたい。自身の言葉を呑みこんで、さようならと応えてやった。
夢は記憶を整理するための行為らしい。
夢から醒めて部屋の空白に気づく。夢を見たからだろう。
ソイツの名残を惜しみながら、主の部屋に行くと驚くような言葉を告げられた。
「落ち着いて聞いてくださいね。わたしは暗殺されます」
さとりの部屋には神様が姿を見せた。
八坂 神奈子とさとりの話に、燐は地上との争いに巻き込まれていった。

【感想】
お燐の一人称で語られる話で、お燐が好きになる内容です。
あらすじで語ったソイツとはお空の事ですが、神奈子とさとりの思惑に付きそう形で描かれるお燐の葛藤は見事でした。
全体的な構想も丁寧で、しっかりとテーマを書ききっているのが良い。
また神奈子とさとりの立場の作り方もハッキリと明言されている。恐らくは時間をかけて構想を練られたのかと思います。
サブキャラクターである椛が作中でも良い働きをしていました。
個人的に天狗といっても種族はばらける、その中で派閥も別れている。
その別れている天狗たちと敵対している為、椛の活躍が良い意味で目立ちます。
……反面、文が裏方に徹して台詞の一つさえない、ぐぅっ。
良い仕事していると作中からも分かるのですが、それがちゃんと理解はできているのですが……。
文の活躍を期待して読むと、ちょっと残念でした。構成から言えば、無理に出す必要もなさそうでしたが。
この話は作者さんが、テンポよりも質実に書くことを意識していたかもしれないですね。
腰を据えてじっくり読むと楽しめるカタチの作品だと思います。

【五段階評価】
★★★★☆(十人十色好みはあれど、是非読んで頂きたい)

熱い展開と丁寧で判りやすい描写で、長編でもだれることなく読ませてくれた作品。

【タイトル】燐「友達について本気出して考えてみた」(96.55KB) 【書いた人】エムアンドエム(M&M)氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/158/1324219133
【タグ】はたらく地霊殿 火焔猫燐 霊烏路空 古明地さとり 八坂神奈子
【あらすじ&感想】
お空が間欠泉地下センターに出向してからのこと、お燐はどうも調子が出ていないことを自覚しつつ、
さとりに大事な用があると呼び出されて彼女の執務室へと足を運ぶのであった。
そこで聞かされたのは「落ち着いて聞いてくださいね。わたしは暗殺されます」というとんでもないものであった。

熱い展開と丁寧で判りやすい描写で、長編でもだれることなく読ませてくれた作品。
中盤以降の展開は単純に面白くて、余計なことを考えずに素直に楽しめました。
燐好きには是非とも読んで欲しいと思えます。

前作が気になるw 時間を見つけて読んできます。

【五段階評価】
★★★★☆
作品としては間違いなく面白いので、地霊殿好きならば読んでみて欲しい。

あと物語の面白さには関係のない部分ではあるけども、
作中の騒動について書きこんである割りに軽く流しちゃっている部分や、
神奈子の大物っぷりが書かれているわりに(あと天狗の)行き当たりばったり感が目立ったのが惜しかった。

地始凍(ち はじめて こおる)  やっぱりレティが好き 氏

【作品集】158
【タイトル】地始凍(ち はじめて こおる) 【書いた人】やっぱりレティが好き 氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1323170077&log=158
【あらすじ】
幻想郷縁起を手に入れた白蓮は、今の幻想郷の妖怪を知ると共に、編纂者である阿求に興味を抱いた。
それを機会に阿求と交流を始めたが、白蓮には気がかりがあった。
何かと来訪者の多い命蓮寺。体の弱い阿求に足を運ばせてばかりでこちらから出向くことが少なく、
一方的に負担を強いているのではないかと。
ある日、阿求が風邪を引いた。しかもその要因は命蓮寺にあるかもしれない。
そう思うと居ても立ってもいられない白蓮は阿求の元へ見舞いに行き、そこで阿求の悲鳴を耳にした――

【感想】
阿求が自宅で悲鳴を上げることになるまでの過程を、白蓮と阿求の双方から描いた作品。
白蓮らしく真面目で、最後は剣呑な雰囲気の漂う序盤と、それを踏まえた上で
追っていくと真相が明らかになる本編とのギャップが、後書きも含めてお菓子い。
タグには無いものの、作者名から分かるとおりレティが出てきます。
真相にたどり着いたならきっと、阿求に萌えること受け合いです。

長い夜  サブレ揚げ 氏

【作品集】158
【タイトル】長い夜   
【書いた人】サブレ揚げ 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1324388384&log=158
【あらすじ】
 人里の子供に泣きつかれた霊夢が妖怪退治に向かう。
 その先は洞窟で、忌むべき妖怪達が住まう土地。
 そこで霊夢は黒谷ヤマメが人間の子供を嬲っている光景を目にする。
 土蜘蛛の病に冒された子供を助け出した霊夢はそれを永遠邸に預けるのだが、土蜘蛛が操るのは感染症。
 霊夢も神社に戻ってから悪寒と震えに襲われ、血の混じる胃液を吐き、倒れてしまうのだった。
 病を広げぬよう、神社に人も妖怪も寄せ付けない結界を張り、一枚の張り紙を門前に残して。

 その後、神社には霊夢を心配する人妖が集まって来るのだが……。

【感想】
 霊夢と、それを取り巻く妖怪の話。
 あと、ヤマメと人間の話。
 基本的に愛されいむ。だけど霊夢自身は巫女の仕事にすごく真面目な感じ。
 霊夢を心配する妖怪達も、そんな霊夢をそれなりに尊重している風。だけど、妖怪等を寄せ付けず一人で解決を図る霊夢には、気を揉まずにはいられない。(グロだし)
 人と妖怪の危ういバランスと、明るい未来を同時に感じさせるのがすごいと思った。
 ぜんぶ終わってから長い夜に思いを馳せる、そんな作品だと思う。

 お勧め度  ★★★★☆(感情移入するキャラが多いほど楽しめると思う)

いきもの知求奇行  青茄子氏

【作品集】158
【タイトル】いきもの知求奇行   【書いた人】青茄子氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1324405638&log=158

【あらすじ&感想】
妹紅の生態は全くと言って良いほど解明されていない。極めて目撃数が少ないのである。
満月の夜に、一度妹紅と出会った慧音はその美しさにひと目で心を奪われてしまった。
慧音は手探りのまま、竹林にキャンプを設営し、捕獲用の罠にコンニャクとか納豆とかリグルとかを仕掛けるのであった。
はたして再び妹紅との邂逅はかなうのか。慧音にあこがれる助手の阿求君の恋の行方はどうなるのか。
ツッコんだら負けなのだろうか。
どうもすみませんでした。(←あとがきより)

確かな筆力で丹念に前提がおかしい状況を描いていくコメディ。妹紅が野生動物扱いになっていて、
その妹紅に執心する慧音の手段を選ばぬ一直線ぶりと、慧音にツッコミを入れ続ける助手の阿求の
テンポよいやりとりが楽しい。
野生の妹紅がそなえている生まれたままの美しさや、自然の中で生きる動物が持つ生命の輝きと知恵、
また野生動物を観察・捕獲する際の苦労がよく描かれた、『シートン動物記』ばりの
ドキュメンタリータッチの感動的な作品です(うそ)。
青茄子さんは万点をいくつもとっている実績のある作家さんで、ギャグと真面目がいい感じで混ざり合った
変な作風が特徴。個人的には、ギャグはないけど『オトモダチ』があざやかな語り口で好み。

好き梳き藍さま  がま口氏

がま口氏の『好き梳き藍さま』はエロティック可愛い
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1323094893&log=158

書き慣れてるなぁこの人、とまず最初に思う。落ち着いた語り口ながらも確信を外さない言葉選びと描写力が光る
そして何より、ただゆかりんが乱射魔の夏毛をブラシで梳いてやるというだけの話なのに、たくさんの物語が詰まっている
やや仰々しい意見だけれども、この話は、生物はいかにして冬を乗り越えてきたのかというテーマに行き着くのだ

今でこそ冬支度などという言葉は死語に近いが、ちょっと前までは冬支度こそがその一年の締めのイベントであった
来るべき冬を迎えんとする人間たちは、厳しい冬を耐え凌ぐため、冬の前には必ず干し柿を吊るしたり、雪囲いを取り付けたりしていた
それはこの話のように、きっと穏やかで、ゆったりとしていて、のんびりとしていたに違いないのだ

この作品には、日々人間が忘れていっている、冬の前の穏やかな時間の経過があると個人的に思う
八雲家の冬支度という一面から読むと、この作品はもっと面白くなると思う

わたしの知ってる猫のこと  アン・シャーリー氏

【作品集】158
【タイトル】わたしの知ってる猫のこと   【書いた人】アン・シャーリー氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1323429894&log=158

【あらすじ】
アリスがダルシムを拾う

【感想】
基本的に新しい作品をとりあげてきた本レビューですが、正直言って飽きはじめているのもあり
ちょっと目先を変えてみたい。ということで、うぎぎを活用し、まずは記念すべき東方Project
最初のボスキャラであるルーミアでレートの一番高いものを読んでみた。変化球だった。
魔法の森に住んでいるアリスが魔理沙が猫を拾ったのを見つける、魔理沙には動物を育てるなんてできないだろう、
と判断したアリスは、その猫を無理やり自分の家に連れ帰ってしまう。
猫は金髪で、黒い服に赤いリボンをつけていて、「そーなのかー」とかなく猫だった。
アリスはその猫を、「ダルシム」と名付ける。
と書いた時点でわかっていただけると思うがテクニカルなものである。そういう基本の設定自体がテクニカルなんだけども、
文章自体は素朴で読みやすく、なんだかふんわりやさしい感じなのがまたテクニカルであるともいえる。
猫を着せ替えしたり、髪型を変えようとしてみたり、人形作ったりするアリスとダルシムの日々を
こまごまとつづる作品。地の文多めなので、その地の文が合うか合わないか、楽しめるか楽しめないかで
評価は変わるだろう。設定を適当に変なものにしといて、その上に作者の好みの文章を載せていく、という設計思想である。
物語全体の動きよりかは、あきらかに文章に注意が向いている。はぐれ刑事文章派。
ところで紅魔郷で一番ベドいのはフランちゃん、カッコイイのはおぜうさま、バカなのはチルノであることは論をまたないが
ミステリアスなのはルーミアと言ってしまっていいのではないだろうか。ミステリアスなのはエロいことの条件の
ひとつでもあるので、つまるところルーミアが一番エロい可能性もある。
パッチェさんの巨乳、咲夜さんのメイドをおさえてルーミアがエロいというのは衝撃の事実として私の胸に刻まれている。
さすが闇の妖怪はハンパないぜ。人肉も食うし。
次回、チルノ作品をレビュー予定。

妖精は二進法を採用しました  maruta氏

【タイトル】妖精は二進法を採用しました(46.58KB) 【書いた人】maruta氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/158/1323458111
【タグ】チルノ 八雲紫
【あらすじ&感想】
妖精は多くを記憶することができない。
大切なことさえ忘れてしまうことに怖れるチルノが苦悩して手にしたのはコンピュータに使われる二進数と呼ばれるものであった。
それはとても優しさに満ちた物語で、それはとても残酷な物語。

創想話のチルノの話ではダントツで印象に残っている作品。
始まりから終わりに至るまで、ずっと夢中になって読んでしまっていた記憶があります。
これほど引き込まれた経験はほとんどない。創想話で印象に残った作品を上げろと聞かれたら、幾つかの作品の一つには必ず上げる。

それぐらいに面白い作品でした。
好み関係なく読んでほしい。

【五段階評価】
★★★★★
創想話にある話で最高の作品の内の一つだと個人的に思ってます。

長い夜  サブレ揚げ氏

【作品集】158
【タイトル】長い夜 【書いた人】サブレ揚げ氏
【分類タグ】霊夢 グロ
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/158/1324388384
【POINT】約6000(2013/12/15時点) 【容量】55.59KB
【あらすじ&感想】
「グロ」タグでは12件のSSがあり、当作品はそれらの最高得点。
ただ、似たようなタグに「微グロ」「ややグロ」「グロ注意」「マグロ」などといったものがあり、それらに該当するSSはその12件に入ってはいない。
さて、「長い夜」のSSの話に戻るが、内容はそれほどグロくはない。ヤマメからの病魔に罹患した霊夢の姿をイラストに起こしてみたら、なかなか酷いことになるかもだが、字で見るぶんにはそれほど陰惨な感じは受けないのである。
「本当は怖い幻想郷」が見どころではないのー?という人がいるかもしれないが、そこが見どころではないと考える。そう思えるのは冒頭だけだ。
では、どこが見どころかと言うと、はっきりと「つんでれいむ」と「あいされいむ」であると断言する。
霊夢の芯の通ったツンデレっぷりと、周囲の者たちの霊夢に対するアプローチの数々を存分に楽しめる一品なのである。ツンデ霊夢ハーレムは至高。

>「広いところに行こうぜ……久々に……切れちまったよ……」

このネタは紫のパンツと同じく、違和感を覚えたのだが、話の内容を陰惨にしない配慮なんだろうかな、と思った次第。

ハイカットマイマスター  深山咲 氏

【作品集】158
【タイトル】ハイカットマイマスター   【書いた人】深山咲 氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/158/1324548849
【あらすじ&感想】
あたいは頭に来ると、そこらへんの廃材で爪を研ぐ。
おくうはもっと正直に喚く。
こいし様は、怒らない。笑って膨れる程度だ。
そして我らが主、さとり様。あのひとも怒らない。他人にも物にも寛大だ。

我らが主、さとり様は怒らない。

 

たかだか20KB程度の容量で古明地さとりの複雑な人格を複雑なまま描き切った小型爆弾なSS。
このSSのすごい点は、さとりが結構イヤな奴みたいな書かれ方をしているのに憎めず愛らしいとすら感じてしまうところだ。
中盤はやや辟易してしまうかもしれないが、それもラストシーンへ向けてのタメである。
視点キャラクターであるお燐が果たす役割も大きい。美点を認め欠点を許す深い愛情に、さとりのみならず読者も救われる。
静かで透明感のある文章も良い雰囲気を出している。心にじわりと染み渡る良作。

【五段階評価】
★★★★☆(お燐とさとりの組み合わせが好きなら+1)