作品集211

Last-modified: 2016-06-24 (金) 23:11:09
幻想闇市  執筆刑の刻印持ち 氏

【作品集】211
【タイトル】幻想闇市  【書いた人】執筆刑の刻印持ち 氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/211/1463329991
【あらすじ】
閉ざされた廃村で開かれる、妖怪の市場。そこにやって来た一人の少女。
市を見回る役目を負った霊夢とともに、幻想の闇市を巡る。
(本SS概要より)

「市を求める人間は食べてよく、迷い子なら食べちゃダメ」という掟
主人公の少女は「市を求める人間」として妖怪の市の闇に深く囚われていく

なお、本作には若干のグロテスクな表現があるため苦手な人は注意

【感想】
主人公は普段里の人間としておおむね幸せに暮らしていたんでしょうね
だからこそ、冒頭のルーミアとのやり取りで保護されていない
残酷な世界に足を踏み入れてしまったことが示唆されます

主人公は「チョコレートスープ」なるものを求めて妖怪の市に引き付けられたわけですが
その正体も分からないまま一心に「それ」を求める主人公に
嫌な予感は募り、はらはらさせられます

「それ」がどんなものなのは途中で何となく気づけるのですが、
主人公がそれを求めた理由はある種どこにでもありそうな話です
それだけにかえって日常を生きる中で
不意に足元に落とし穴が開くようなあやうさの感覚がリアルだと思いました

最後に幻想郷の星空を見るシーン、霊夢と主人公のやり取り、
それでもなお「市」は妖しく美しい幻想の光を浮かべるという描写が、
守られた日常から外れた闇の世界に(それがいいものであろうとなかろうと)
理性とは関係なくどこか惹かれてしまう人間の性のようなものを
浮かび上がらせている気がして
そんな一連のシーンは残酷ゆえにとても美しいものがあります

冒頭で闇をつかさどるルーミアを登場させたのは示唆的ですね
今後紅魔郷1面の
「目の前が取って食べれる人類?」
「良薬は口に苦しって言葉知ってる?」
を見るたびに「チョコレートスープ」を思い出すかもしれません

私の勝手な解釈ではチョコレートスープの正体が
本当に言われているようなものだったのかには異論を唱える余地がある気がしますが
まあそれも含めていろいろと想像を掻き立ててくれる作品でした

【どんな人にオススメか】
・暗い雰囲気が好きな人
・幻想郷の世界観に独自の解釈を加えた作品も好きな人
・あまり説明がなくても楽しめる人

【こんな人は避けた方がいいかも?】
・キャラクターへの思いれが強い人はちょっと受け付けないかもしれないので
ほのぼのしたり明るいキャラ以外見たくなければちょっと避けた方がいいかもしれません
・独自解釈が入ってくると嫌な人
・グロテスクな表現が苦手な人

とはいえ怖いもの見たさということもあると思うので挑戦してみてもいいんじゃないかなと
思います
私も普段はダークな作風のSSは開かないのですが今回なんとなく読んでみて
いいなと思いました。

龍の日  うぶわらい氏

【作品集】211
【タイトル】龍の日
【書いた人】うぶわらい氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/211/1464013034
【あらすじ】
十四日ぶりに地霊殿に帰ってきた妹、古明地こいしの傍らにはなんとも立派な長槍があった。聞けば、龍を仕留めるとこいしは言うが……

【感想】

全体を通して不思議な空気を持った物語なのですが、妹に「あんた」と呼びかけるさとりがまず良いです。これは確定です。
そして、うぶわらいさんの文章が相変わらず良いです。これは言うまでもないことかもしれません。

描写面で言えば、立派な長槍と鍋のアンバランスさが小さな冒険劇の奇妙さを際立たせているし、迫り来る”龍”の描写の迫力、そこからの過ぎ去ったあとの余韻が素晴らしいです。
あと、細かいところでは石門を強行突破するこいしなど細々とした行動が非常にらしいのでよかったです。
さりげない地底の描写もポイントを抑えていて想像力を刺激します。

読みは色々あると思うのですが、序盤から、こいしからさとりへ問いかけが繰り返され、さとりは答えを探します。これはこいしが出題した、”龍”をめぐるさとりの答え探しの冒険劇なのだろうと思いました。

誰に対してもおすすめできる作品なのですが、目の肥えた古明地好きにも胸を張っておすすめできます。
珠玉の短編です。読んでほしいですね。

キジも鳴かずばホトトギス  庵田氏

【作品集】211
【タイトル】キジも鳴かずばホトトギス
【書いた人】庵田氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/211/1460558364
【あらすじ&感想】
フランドールと魔理沙がじゃれる話

どこか不思議な空気感のなかでじゃれあう二人がかわいらしい話
文章が好き

最高になる  庵田氏

【作品集】211
【タイトル】最高になる
【書いた人】庵田氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/211/1466412793
【あらすじ&感想】
魔理沙とアリスの冒険が始まりそうで始まらない話
ゆるい空気でどこか笑えるやりとりが好き
強いて言えば異常に短くて、もうちょっと長いと満足感があると思った
テンポいいからこれでもいいかもしれんけど

モミー・ザ・ガーリー  ぐい井戸・御簾田氏

【作品集】211
【タイトル】モミー・ザ・ガーリー
【書いた人】ぐい井戸・御簾田氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/211/1464411748
【あらすじ&感想】

「あんたさぁ、もうちょい女の子っぽい恰好してみたいとか、思わないわけ?」

いつものように将棋の相手をしてくれていたにとりからのなにげない一言。
普段着は仕事着、髪は短くさっぱりと、口には愛用の細めの煙管。
なるほど、たしか『女の子』からはほど遠い。
その言葉にそこはかとなく傷ついてとぼとぼと帰る椛がふと川を覗くと自分の姿がうつっていた。
黒地に、舞い散る鮮やかな紅葉をあしらった、いかにも高級品と言わんばかりの着物姿の。

女の子らしくない女の子らしい悩みの作品
短く、簡潔で、さっぱりとしていて読みやすい
各人でキャラクター像に違いはあるだろうけれどきっとこの作品の椛には着物姿も似合うだろう