【作品集】73
【作品】死ぬ方法みつけました
【作者】ほたるゆき氏
【あらすじ】
蓬莱の薬には凄い秘密があった。
【感想】
勘違いネタです。このネタ使って書いている人は以前見かけましたが
短い文章で綺麗にまとまっているところが面白かったです。
ちょっとおバカな三人が素敵。
【5段階評価】
文章★★★★☆
構成★★★★☆
蓬莱★★★★☆
総合評価★★★★☆
【作品集】73
【作品】東方御伽草子 花咲き
【作者】ぶらっと氏
【あらすじ】
ゆうかりん最強伝説。
【感想】
人のためでなく花のためといいはる幽香は実にツン。デレ無い。
語り部を置くあたり、その語り口にニヤっとしました。
あえて名前を書かないあたりが少し強引な気もしますが面白かったです。
【5段階評価】
文章★★★☆☆
構成★★★★☆
火事★★★☆☆
総合評価★★★★☆
【作品集】73
【作品】GHQベースボール
【作者】八重結界氏
【あらすじ】
野球というものが無かった幻想郷に野球がやってきました。
慧音先生が子供たちにベースボールのなんたるかを、解説しようとするものの。
【感想】
野球が食べたいです!
【5段階評価】
文章★★★★☆
構成★★★★☆
野球☆☆☆☆☆
総合評価★★★★☆
【作品集】73
【作品】GHQベースボール
【作者】八重結界氏
【あらすじ】
慧音はこどもたちに野球を教えました。
【感想】
影も形もない野球モノです。
タグのとおり、野球はかけらもありません。
ノリの良い子供たちと勘違いでぶっとんでく慧音が素敵。
お蕎麦美味しいです!
【5段階評価】
文章★★★★☆
構成★★★★☆
蕎麦★★★★★
総合評価★★★★☆
【作品集】73
【タイトル】ちくりん
【書いた人】稲葉チャコ
【あらすじ&感想】
酒蔵に行く途中で、密閉された竹の中に閉じ込められている不思議な酒を手に入れた霊夢と魔理沙。
二人で考えてもわからなかったその謎を、霖之助は外の道具を使うことで解き明かす。
蘊蓄具合と、霊夢と魔理沙と霖之助のやりとりは原作の「らしさ」が出ている感じ。
実にさらさらと読める。
川の字で寝る3人が微笑ましい。
【5段階評価】
文章★★★★☆
構成★★★★★
総合評価★★★★★
【作品集】73
【タイトル】ちくりん
【書いた人】稲葉チャコ氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1238721442&log=73
【あらすじ&感想】
霊夢と魔理沙が買ってきたのは、不思議な竹酒だった。
鈴仙から買ったという酒の器を手に首を傾げる霖之助。
というのも、その竹酒の容器は……
実在する、或るお酒を題材にした話。
霖之助らしい語り口の蘊蓄も楽しいが、何よりも衒いなく自然体でいちゃついている三人に和む。
さらっと流してるけれども、情景を脳内描写すると転げること請け合い。
仲良しだなお前ら!?
【作品集】73
【作品】四月馬鹿
【作者】大崎屋平蔵氏
【あらすじ】
4月1日の幻想郷に最も似つかわしくない閻魔様が練り歩きます。
【感想】
エイプリルフールを題材にした季節モノです。
惜しむらくは2日に投稿されたという点でしょうか。
紫も映姫も実にかわいらしい。さらに鬼二人組のかわいさがプラスされて
ほのぼの突き抜けております。はい。
【5段階評価】
文章★★★★☆
構成★★★☆☆
綿貫★★★★★
総合評価★★★★☆
【作品集】73
【タイトル】湯煙の中
【書いた人】yuz氏
【あらすじ】
サニーミルクとルナチャイルドが些細なことで喧嘩をしてしまう。
スターサファイアはそんな二人を、温泉へと誘うのだった。
【感想】
yuz氏の作品は前回の「ダーキニー」を読んだけど、やっぱり不思議ワールドだなと唸った。
今回の作品も中盤で読んでいて一瞬「ん?」と思ったが、それに対してなんの説明もなく話が進んでいく。
だというのにきちんと面白いという奇妙な感覚がある。
メインはお色気シーンと言えない事はないだろうに、文章から妙な渋さが伝わってきて笑った。
あと、本文中に出てくる「ぶすくれている」ってなにかと思ってググったら、岩手か長崎の方言らしい。
yuz氏はどっちかの出身なんだろうかねえ。
【作品集】73
【タイトル】 さとり座の女
【書いた人】 嫌な 氏
【あらすじ】
おりんりんの栄枯盛衰
【感想】
まずタイトルに騙された。
美川○一的な何かだと思ったのに!
それはともかくとして…
話の流れ自体はあらすじにも書いた通り、お燐の栄枯盛衰とお燐とさとりの出会い的な何かだと思ってた時期が(ry。
オチ直前までは、ここからどうやって主従関係にまで発展するんだよ!とも思ったが、オチの2行に「ほぉ」っと膝を打った。
ただ元ネタの神話知らないとぼやけるか?知らない人は少ないと思うけども。
【作品集】73
【作品】Trick and Trip of Yakumo
【作者】PNS氏
【あらすじ】
「橙は、紫様が怖い?」
【感想】
主と式、式と式の式、主と式の式の関係がほほえましいお話です。
橙と紫の微妙な距離感が上手く表現されている良作。
可愛すぎる橙と、寂しさを見せまいとする紫に思わずニヤニヤ。
心があたたかくなる一作でした。
【5段階評価】
文章★★★★★
構成★★★★☆
悪戯★★★★★
総合評価★★★★★
【作品集】73
【タイトル】Trick and Trip of Yakumo 【書いた人】PNS 氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/73/1238861013
【あらすじ&感想】
橙は紫様が怖い。
橙の視点を軸に橙、紫、そして藍の関係を描く。人によりけりであるが
橙の視点を中心にした文体がやや入りづらさを感じるかもしれない。
読むときはご注意を。
【五段階評価】
【作品集】73
【作品名】鐘の声が響きました。
【作者名】大崎屋平蔵氏
【あらすじ】
「鐘がおかしい」と、ある時を境に、不明瞭で不可解な異変が人里に舞い込んだ。
原因の所在と思しき大きな鐘櫓は、しかし霊的な障壁が施されており、
解決に臨もうにも、人体に恐ろしい影響を及ぼすため近付くことさえ適わない。
八方塞の現状に窮した人里の守護者、上白沢慧音は異変解決の専門家、博麗霊夢を訪ねた。
慧音に連れられて人里へ訪れた霊夢は、件の異変の概要を聞くも、どうにも判然としない。
曰く、鐘の音が鳴るべき刻限になると、突然、鐘の「声」が聞こえると言う。
聞く限りでは、異変と言うよりも手の込んだ悪戯だ。事実、里人も叩かなくとも鳴る鐘程度の思慮でしかない。
一体何のために声を聞かせるのか。霊夢を以ってしても意図の掴めぬ異変に、難しい顔を浮かべる。
そして、今日も鐘は鳴る。涼しい風が運んできたその鐘の音は、ただの一声で博麗の巫女を打ちのめすのだった。
【感想】
ここから感想。まずは読み易さが最も際立っているように思える。
すっきりと短く要点をまとめられているのでさっくり読めるのが嬉しい。
ただ欲をかけば、もう少しボリュームが欲しかったかな、なんて思うのはやはり面白かったからか。
逆に言えば、これくらい短かったから良かったのかもしれない。
と、言うのも、登場キャラクターの一人がタグからも判るように完全にオリジナルだから。
下手に(と言うのも失礼だが)含みを持たせると、余計な描写が際立ってキャラが一人歩きしてしまいかねない。
オリジナル部分を前面に押し出しすぎると全体がくどくなり作者以外、つまり読者はついていけない。
その点、この作品は必要最小限に描写を抑えてあり、要点だけが淀みなく読み手に伝わってくる。
実際にいてもおかしくはない、むしろいて欲しいキャラクター像がそう思わせるか。作者の独創性に乾杯。
読者の多くはレーゾンデートルにも等しい一言を好いているようだが、
むしろ「少し自慢をしても良いですか?」のくだりこそが秀逸と思う。読んで知るべし。
あと、カフェオレ飲むと腹が緩みやすい私に、是非、博麗印の御札を売ってください霊夢さん。
文章力 ★★★★☆(充分上手いと思う。特に前作の四月馬鹿では打ちのめされた)
独創性 ★★★★★(オリジナルキャラクターがとても魅力的。採用して欲しい。何に?)
読み易さ ★★★★★(短いストーリーに要点をしっかりとまとめられていて余計な描写がない)
満足度 ★★★★☆(余計な描写がないのが良いなんて言っておきながら、やっぱりもっと読みたくあった)
総合点 ★★★★☆(お勧めできるレベル。むしろ読むことを推奨する。あれ、意味同じか?)
【作品集】73
【作品】人探しは酒を持って
【作者】津南氏
【あらすじ】
幼き頃の妖夢は幽々子に「出てけ」と言われた。
【感想】
妖忌爺ちゃん大活躍の巻。子どもの純心さが可愛い一作。
良い爺ちゃんってこんな感じなんだろうなぁとしみじみしました。
新人さんなので大いに期待したいところです。
【5段階評価】
文章★★★☆☆
構成★★★★☆
爺様★★★★☆
総合評価★★★★☆
【作品集】73
【作品】きゅっとしてあげる!
【作者】飛び入り魚氏
【あらすじ】
私は生きることに絶望し、樹海に立ち入り、ミスティアという夜雀の少女とであった。
【感想】
実に幻想郷らしいお話です。
ミスティアの優しさはやっぱりそうなのね、と納得しました。
オチは当たり前というかある程度予想できるものだったのですが、
読みやすい文章が上手く調和している感じがします。
さくっと読めてオススメ!
【5段階評価】
文章★★★★☆
構成★★★★★
糖分★★★★☆
総合評価★★★★☆
【作品集】73
【作品】終点『香霖堂前』
【作者】七々原白夜氏
【あらすじ】
かつて、外の世界にはボンネットバスという乗り物があったらしい。
【感想】
幻想郷にバスがやってきたお話。
乗り物単体だけでは幻想郷に存在することができないという発想が面白かったです。
お話自体は長くも無く、短くも無く、ワリとアッサリ読んでしまえるものでした。
コメントでも多いように私も野バスを連想してしまいました。【5段階評価】
【5段階評価】
文章★★★★☆
構成★★★★★
野良★★★★☆
総合評価★★★★☆
【作品集】73
【タイトル】終点『香霖堂前』
【書いた人】七々原白夜
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1239131111&log=73
【あらすじ】
少女の問いかけで魂に火が点る。
もう彼は、誰かに動かされる道具ではない。
雨降りしきる中で彼は付喪神として命を授かったのだ。
「……ようこそ、幻想郷へ」(本文より)
いつものように香霖堂へ暇をつぶしに来た魔理沙は、ボンネットバスのミニカーに興味を持った。だが、霖之助は幻想郷には
バスを受け入れるシステムがないから役に立たないという。
【感想】
愛情を持って使われた道具は魂を持つというのはけっこうある設定ですが、付喪神の別称のように99年律義に待つ気でいる
バスがかわいらしく感じました。無機物に心を見出す文化は他の国にもありますが、日本のそれは特に顕著で貴重だと思うので
無くなって欲しくないなぁと思います。
【五段階評価】
★★★★☆(たまにはしみじみしたっていいじゃない。幻想郷だもの)
七々原白夜氏の『終点『香霖堂前』』はいつ読んでも香霖堂ワールド
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1239131111&log=73
まず香霖堂という世界観が京極堂シリーズから着想を受けているとなると、当然方向性も似てくる
でもこれはそれとは物凄く近くにありながら、ちゃんと東方っぽく作ってあるのが非常にいい。うまく言えないが
寂しいような希望が持てるような、なんだか面映ゆい気持ちになるような終わり方も余韻があってよかった
【作品集】73
【タイトル】金色の人形姫
【書いた人】るちあ氏
【あらすじ】
咲アリ・ソフト百合と解釈した。
瀟洒を極めた咲夜さんがとにかくモテる。
そういう話。それ以上でもそれ以下でもない。
【感想】
プロットは可もなく不可もなくだが、この手の話では重要ではない。
難があったのはキャラ解釈か。
どのキャラも少し切り口が凡庸すぎると言うか、
扱いがテンプレ気味。美鈴さくさくなど、所々流行から外れたネタも見える。
なのだが。
キャラにやたらと少女マンガ的な可愛さがある。
アリスもレミィも可愛い。
作者は綺麗なものを表現する語彙がかなり豊富らしく、
読者を飽きさせずに「可憐さ」を強調するワザに長けている。
考えてみれば、会話でもストーリーでもなくて
描写のレベルでキャラを可愛く描ける人って希少じゃないかしら。
少なくとも、川原由美子絵でアリスが脳内に浮かぶのなんて初めてだよ!
【五段階評価】
文章★★★★☆(リズムが偶に悪い。が、センスはかなり良い)
構成★★★☆☆(途中判りづらいところもあった)
演出★★☆☆☆(細かなネタや演出レベルで引き出しの少なさが目立つかも)
読み終わったあとの
俺のテンション★★★★★★★★(空も飛べる!)
【作品集】73
【作品名】銀の糸-The sun and the moon-
【作者名】電気羊氏
【あらすじ】
紅の長い髪を携えた妖怪、紅美鈴は日記に筆を走らせる。あれからもう一年経った。
生にしがみつく為に、一人の少女を犠牲にしたあの日。一年経った今でさえ、選択の正誤に煩悶を重ねる。
生きる為に、人間を喰わねばならない。誰であれ例外のない妖怪の性。そして美鈴は妖怪。
なればこそ選択に間違いはなく、むしろ少女自身が望んだこと。けれど、しかし、本当に―――
余念が渦巻く。妖怪の倫理観と人間の死生観の狭間で、美鈴は葛藤に苛まれた。
生きる為にはどうしようもなく犠牲が付きものである。それは判る。しかし、美鈴は未だに割り切れない。
自分を見失ってはそれこそ事だ。美鈴は折り合いを付ける時間が必要だろうと、日常に身を委ねた。
咲夜との何気ない会話、チルノやミスティア、ルーミアたちと共にした食事。そして噂話―――
なんでもないような日常が続いたある日のこと、慧音と妹紅の訪問が、美鈴の日常に変化の風を吹かせた。
【感想】
ここから感想。同作者のデビュー作である「妖怪、紅美鈴~ボーダーオブライフ」の続編であり、
前作同様、作品中に美鈴の日記が登場する。それにより、どことなく作者の思い入れが窺える気がした。
どこか寄り道をしているかのような文章だが、それがかえって日常を髣髴させて転機のインパクトが強い。
普通なら詳らかに描写するであろう肝の部分をわざと暈して描写しており、
前後の流れから上手く読者側の想像を湧き立てるスパイスになっている。なかなかの天邪鬼だが、それが上手い。
登場キャラクター一人一人をとても大事に描写されており、非常に好感が持てる。
文章も美鈴の一人称のお陰か、割と長く重い内容にも関わらず、会話を聞いているような感覚ですらりと読める。
それだけでなく、回りくどい表現がないのも特徴か。徹底して読みやすい描写を心掛けているように思えた。
最後に、あえて何がとは書かないが、人間には歩めない道の向こう側を、この美鈴に見た気がする。
文章力 ★★★★☆(充分上手い。一人称でこれだけ書ければどんなに良い事か)
構成力 ★★★★★(デビュー作と同じく日記を使った文章構成に何か来るものがあった)
読み易さ ★★★★★(前述したように、美鈴の会話文のような一人称とくどさのない文章で読みやすい)
満足度 ★★★★☆(充分満足できる仕上がりではあったが、あるシーンはやはりもう少し見たくはあった)
総合点 ★★★★☆(面白い。デビュー作も是非読んでほしい。しかし、それだとこれはネタバレすぎるか)
【作品集】73
【作品】毒薬、口に甘し。
【作者】新戸氏
【あらすじ】
輝夜はまたよからぬことを企んだ。
【感想】
二人が永遠から解放されたらどうなるか、なお話。
姫さまが程良くカリスマチック。
さくっと読めてしまいましたが、少し物足りなかった気もします。
【5段階評価】
文章★★★☆☆
構成★★★☆☆
百合★★★★☆
総合評価★★★☆☆
【作品集】73
【タイトル】妖狐が幼狐になった日
【作者】ナルスフ氏
【あらすじ】紫が朝起きると藍が縮んでいた
【感想】
ほのぼの八雲家に加えて某宇宙人がキャラ崩壊している。
地の文は最低限必要量だけといった感じで読みやすい。
誰の台詞か分かり辛いところもあったが。
ストレートなギャグ作品としてオススメ。
【作品集】73
【作品名】いるもの、いらないもの
【作者名】昌幸氏
【あらすじ】
満開に咲く桜。世界でも有数の四季を備えた日本における、一年に一度の催される自然の恩典。
芽吹いた花弁は、まだ綺麗な桜色を持して散る気配を見せない。今年は遅咲きだな、と脳裏を掠める。
否、年度の問題ではないか。過去に居た「あちら」と今身を寄せている「こちら」は違うのだから。
守矢神社の風祝、東風谷早苗は改めて己が過去の世界と決別し、幻想郷へ辿り着いた現実を意識した。
家の庭、神社の境内を見渡すと、移住した際にまとめて持ってきてしまった「あちら」の名残が目に留まる。
件の桜の木もその内の一つだ。副産物の茫々と生い茂る雑草を眺めて、早苗は今日やるべきことを思い出す。
今日は大掃除をする予定だったのだ。早苗は家に戻ると窓を開け空気を入れ換える。朝方の冷たい空気が頬をなでた。
まずは物の整頓。どこから手をつけるべきか、と頭を捻っていたところ、唐突に何処からか啓示が囁かれる。
声の主は開けた窓から侵入した魔理沙。常識の範囲外の登場に素っ頓狂な声をあげた早苗は、紆余曲折の後、
魔理沙と共に大掃除をすることになった。目聡く私物を漁る魔理沙が、そのとき、一冊の思い出を手に取った。
【感想】
ここから感想。思い出なんて歳食うごとに煩わしくなる。そう思っていた時期が私にもありました。
そんなことはなかった。ただ背伸びをしたかっただけの話。思い出は募るもの。捨てられないもの。
その一冊は過去を振り返る唯一の術。だからこそ過去を捨て去った早苗には余りにも重く、余りにも苦しい。
鮮明に映った目の前のそれは、しかし二度と目の前には訪れない叶わぬ幻想。懐かしいだけが思い出じゃあない。
慣れ親しんだ世界からの決別。十代の女の子が耐えられる現実だろうか。そう思うと居た堪れない気持ちになる。
あんまりここで書くと流石にネタバレすぎるか。感傷的になっている所為で色々と吐き出したいらしい。なんて威力だ。
多くのキャラクターが出ている訳ではなく、取り分け主役格の二人で物語が成り立っている。って主役だし当然か。
メインキャラクターがしっかりとらしく描写されていて、特に魔理沙はらしいな、と思わず頷いてしまった。
会話文が多く、地の文も早苗の一人称なので全体的に会話をしているような流れ。
家の中で大掃除、と大きな動きがない内容の為に、それだけで充分内容が想像出来るし、なにより読みやすい。
早苗の健気さに涙し、可哀想と思うよりも頑張れと応援したくなる作品。本当に可哀想なのは妖夢だしな。
文章力 ★★★☆☆(会話文が多いため少々判断がつかず。読みやすくはあったのは間違いない)
読み易さ ★★★★★(会話をしているような地の文で全体的に会話を聞いているかのようにすらりと読める)
切なさ ★★★★★(早苗さん……、無理すんな)
総合点 ★★★★☆(すらすら読めるし特に長くもなし。普通に面白くお勧めできる作品)
【作品集】73
【作品】紅魔館ショート・ショート・ショート
【作者】幻想と空想の混ぜ人氏
【あらすじ】
紅魔館の短編詰め合わせ。
【感想】
どれもこれもクスっと笑いがもれてしまうようなギャグ短編集です。
基本は会話の応酬なので読むのに難しく考えることはありませんでした。
鬼畜なパッチェさんを見たい、かるーく笑いたい方に是非。
【5段階評価】
文章★★★☆☆
構成★★★☆☆
魔女★★★★★
総合評価★★★★☆
【作品集】73
【作品】いくら心がこもっているからと言って、ちゃんと考えないと駄目ですよ。
【作者】喚く狂人氏
【あらすじ】
レミリアは不機嫌だ。
【感想】
不機嫌なレミリアを冒頭において、
その謎を解き明かそうとする咲夜さんと紅魔館の面々とのやりとり。
そして謎はクライマックスへ。
会話がメインなので読みづらいということは無く、
全体を通しても短編なのであっというまに読めてしまいます。
オチでクスっときました。
【5段階評価】
文章★★★☆☆
構成★★★☆☆
魔女★★★☆☆
総合評価★★★☆☆
【作品集】73
【作品名】神霊の菓子
【作者名】稲葉チャコ氏
【あらすじ】
お彼岸と聞けば、多くの人がお墓参りなどのご先祖様を敬い供養することを連想するだろう。
彼岸とは元来、サンスクリット語の波羅密多から転じたもので、煩悩から脱した悟りの境地を指す。
仏教がそれとなく広まった日本では、しかし修行如何よりも故人を尊ぶ傾向が強く、
供養の行事として定着したのが今日に至るまでの彼岸である。人情の民、日本人ならではの境地だ。
さて、お彼岸と言えばご先祖様が眠っている墓の掃除や、りんを鳴らして線香をあげることも大事だが、
やはりなんと言ってもお供え物こそがその筆頭だろう。春の彼岸に牡丹餅を。
いつの頃からか定例化された行事、それはここ幻想郷でも例外ではなかった。古ぼけた道具屋、香霖堂。
店主である霖之助は、商品と言う名のガラクタが散らかった店内で、目の前にある小振りの牡丹餅を眺めていた。
墓参りの帰りに寄った霊夢が拵えたものだ。そこに狙ったかのようにやってくる冷やかし少女、霧雨魔理沙。
三人で牡丹餅を囲みお茶を嗜む結果に落ち着くのは必然と言えた。お茶の時間に御喋りが飛び交うのもまた必然。
そんな折、魔理沙が唐草模様の風呂敷包みから取り出した「戦利品」を巡って、魔理沙と霊夢の間に刹那の戦慄が走った。
【感想】
ここから感想。私は何も知らなかったんだなぁ……。そう改めさせてくれた作品でした。
彼岸なんてただ霊園まで車飛ばして桶に水汲んで柄杓で墓に水を浴びせて綺麗にしたあと、線香を立ててりんを鳴らす。
そうして手を合わせて御祷りをする程度のものだとばかり思ってた。勿論、それが日本の彼岸の姿だとは思う。
でも、深いところまで意識していたかと言えば、そんなことはない。ただ「そうするもの」としか考えていなかった。
と、言うのもお供え物。彼岸云々ではなくお供え物。深い、流石に深いね和菓子。日本の美。和の心。東洋の神秘。
双方の定義の違いがあると言うことはなんとはなしに聞き及んではいたが、詳らかにすればなんともまぁ深いこと。
よく勉強されているなぁ、と素直に感心して、読んでいる最中に良く判らない笑いが込み上げてしまったほど。
こいつは敵わん。そんな感情か。勿論、薀蓄だけならどこかしらから引っ張ってくればいい。ウィキペディアマジ便利。
ただ、この作品は勿論違う。知識をどこで得たのかなど問題ではなく、登場するキャラクターに上手く語らせていることに脱帽。
特に霖之助が魔理沙と霊夢に彼岸とそのお供え物について説き聞かせている様子は、実に霖之助のらしさが押し出されている。
さながら香霖堂外伝、と言ったところか。愉しませてくれただけでなく、非常に勉強になったと思う。
この作品はたった一つの題材で構成されているので物凄くレビューに悩んだ。ホントなんで牡丹餅だけでここまで書けるんだよ。
文章力 ★★★★☆(上手い。特に会話文がらしさをかもし出していた)
構成力 ★★★★★(牡丹餅一つでここまで書けるのかよ、どんだけだよ、奥が深いなぁ)
読み易さ ★★★★☆(そんなに長くはなく、むしろ短い部類。ちょっと会話文と地の文の改行あたりで気になったところが)
満足度 ★★★★☆(勉強になりました。もっと日本のことを知りたいと思わせてくれた)
総合点 ★★★★☆(ためになる話。そして面白い。キャラクターを通じて和の心を学びましょう)
「籠から飛び出した少女」 63点
一言で言えば、フランとこいしが魔理沙を賭けて戦う話。
話のつくりが散漫で書きたいことを書きたいだけ書いた印象。
丁寧で表現も巧いが、構成がグダグダになっているせいでお話もグダグダ。
上記のあらすじに沿ってこいしとフランを戦わせるところをクライマックスシーンにするべきだった。
その後半分ぐらいの容量を使って、事後処理の話を書いてあるのでもっさりした話になってしまっている。
ルーミアのキャラクターがわりと珍しい。フランはかわいく書けている。キャラクターはちょっと多いかもしれない。
【作品集】73・77・81・83・84・89
【タイトル】籠から飛び出した少女 前編 (前後編構成)|サブタレイニアンキャット 前編 (前後編構成)
放さない、離れない 前編 (前後編構成) |初めての料理|酒にまどろむ|紅の歴史 前編 (前後編構成)
【書いた人】紅雨 霽月氏
【容量】約719kb
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【感想】
凄く長え。よってあらすじ割愛、申し訳ありません。一言で表すならフランドールの他キャラとの心温まる触れ合いでしょうか。
この一連のFran'sTale(このタグが目印)の作者、紅雨 霽月氏は現在連載中のこいフラ散歩録シリーズの作者でもあります。
内容は作品毎に分かれているので全てで1つの物語という訳ではありませんが、
設定を受け継ぎ完結した作品としては5本の指に入る長さではないでしょうか。
個人的には削れる場所もあるのではないか、またキャラの説明口調が多いのではないかとも思いますが
このようにフランドールの成長譚だけで719kbもの物語を紡げるのもひとえにキャラ愛故でしょう。
心温まる物語がきっちりした起承転結と共に描かれています。外に出たことが無い少女の人格とは。
★★★☆☆(こいフラ散歩録も完結したら…完結自体あるのでしょうか)
【作品集】73
【作品】スカーレットデビル
【作者】無在氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1239119535&log=73
【あらすじ】
『なあ、レミリアって優しいのか?』(本文より抜粋)
フランが魔理沙からそんなことを問われた日のこと。
フランはレミリアが優しいことを信じている。だが、他の誰かに対してもやさしいのか。それを答えることはできなかった。
さて、いつものごとく自分のドロワが盗まれていることに気付いたフランは、姉を弾幕ごっこでぶちのめすためにその部屋を訪れる。
そこで見たものは、五つ。
冷酷な表情を浮かべた美鈴。感情を塗りつぶした咲夜。
脳髄をぶちまけた男の死体。手足を縛られて転がされた見知らぬ女性。
そしてその女性を足蹴にして凍りつくような眼で睨みつけているレミリア・スカーレットの姿だった。
『スカーレットデビル』。それがレミリア・スカーレットの二つ名。
だがその本当の意味を知っているものが、どれだけいることだろう?
【感想】
まず、分割されていない話では創想話史上最長(2009/12/03時点)の280kbであることをお伝えしておきます。文庫本400ページほど。
ですが自分はそれほど長さを感じませんでした。
どうなるどうなる。その言葉にせかされてぐいぐいと読んでいってしまいます。
話のテーマは「『人』を殺す」ということ。ここで言う「人」というのは種族というより、もっと広い意味を持っています。
扱いづらいテーマを使っただけあって、ものすごく深いお話になっています。そして同時にとてつもなく悲しい。
少しだけ気になった点として、フランがかなり「良い子」、というかちょっと違和感を覚えるような性格になっています。
原作と矛盾しているわけではないんですが、「気がふれている」「情緒不安定」みたいなフランちゃんからはかけ離れております。
でもかわいいから許す。
総合的に紅魔館組が好きな方には絶対読んでもらいたいお話です。
【作品集73】
【タイトル】スカーレットデビル
【書いた人】無在 氏
【サイズ】307.22KB
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1239119535&log=73
【あらすじ】
フランドールは、姉のレミリアの部屋へ向かっていた。優しい姉だったが、妹のドロワーズを盗むのはいただけない。大方、頭にでも被っているのだろう。そう思いながらレミリアの部屋のドアを開けたフランドールを、彼女の想像を絶する光景が待ち受けていた。
部屋の中には、咲夜と美鈴、レミリア、そして、夥しい血痕と、一人の女性。後ろ手に縛られ、ぼろぼろになった女性を見下ろすレミリアは、フランが見たことも無い、冷徹な表情をしていた。
その表情こそ、フランに500年間隠し続けた、『スカーレットデビル』の表の顔だった。
【感想】
戦乱のなか、『スカーレットデビル』としてあることがどうしても必要だったレミリア。敵には恐れられ、味方であるパチュリーや美鈴でさえも、人を殺すレミリアを知っていました。その中で一人だけ、姉として在るレミリアしか知らない存在。それが、フランドールでした。彼女の存在は、きっとレミリアの支えになっていたはずです。彼女の前でだけ『スカーレットデビル』は、『レミリア・スカーレット』で在れたのです。
そのうち、紅魔館は幻想郷へ移住しました。その理想郷でスペルカードルールが制定されたとき、彼女たちは本当の安息を手に入れたはずでした。その理想郷に突如として現れたハンターたち。彼女たちに最後の試練がおとずれます。
保護と庇護との関係にあった二人が、姉妹の関係になっていくさま。それは、どちらの成長だったのでしょうか。歩み寄るというのも違う、『二人』の成長は、しかし、最悪の現実を再確認するということでもあります。
基本的にフランの一人称で展開される物語。知らなかった姉の一面や、自分たちの宿命に直面した彼女の、それらを必死に飲み込もうとするフランの年(見た目)相応の苦悩は、読むものの心を揺さぶります。
【五段階評価】
★★★★★
【作品集】73 【タイトル】スカーレットデビル 【書いた人】無在 氏
【長さ】■■■■■ (280KB ボリューム満点の長編)
【あらすじ】
ドロワーズを姉に漁られている事に気付き、取り返しに弾幕ごっこを吹っかけようとしたフラン。
いつものように追いかけっこをして、弾幕ごっこをして、仲直りをするつもりでレミリアの部屋に入る。
するとそこには、普段の紅魔館では見られない、冷酷で深刻な表情をしている紅魔館の面々と、
無残な姿の死体と捕縛されている女性がいたのだった。
【感想】
無在氏の長編。無在氏らしい、純粋が故に優しいフランドールと、仲間思いな紅魔館の作品。
本人は冗長だと言っているけれど、葛藤あり、対話あり、バトルありの展開で読者を退屈にさせる場所は無い。
「スカーレットデビル」の意味とは、「レミリアは優しいのか?」という問いの答えは、侵略者達の行く末は、
などなど、冗長さがあるどころか、展開の波がしっかりある読みやすい長編になっている。
その一方、人を選ぶと感じたのはフランの描写。とにかく優しすぎる。
無知で、純粋で、非道な行為が許せないキャラという設定なので、
「攻撃されても相手を傷つけるのはダメ!」といった描写にイラッと来る人は、読むのに向かない。
このフランを受け入れられるか否かで評価が大きく分かれると感じた。
【文章】 ★★★★☆
【展開】 ★★★★☆
【総合評価】 ★★★★☆ (優しすぎるキャラがダメという人は-2。)
【作品集73】
【タイトル】桜舞い散る世界(前編・後編)
【書いた人】Taku 氏
【サイズ】計104.74KB
【URL】前編:ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1239200774&log=73
後編:ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1239207627&log=73
【あらすじ】
「死を操る少女」幽々子に興味を持ち、ずっと観察していた紫は、ある日ついに我慢できなくなり、幽々子の前に姿を現す。幽々子にとって紫は、近づいても大丈夫な唯一の友人となった。次第に仲良くなっていく二人。そして紫は、幽々子を救おうとして、西行妖に挑みかかる。
【感想】
ラストが少々尻切れとんぼに思えます。また、西行妖や紫の能力についての説明が、他の人の解釈ありきというか、「みんな分かってると思うから説明は簡単で良いよね」という作者様の考えが透けて見えるような気がしました。穿ち過ぎかもしれませんが。
いくつか、描写上の矛盾点があったことも気になりました。
しかし、日常のシーンと非日常のシーンでの文体の使い分けが非常に上手く、情景が浮かぶような文章でした。ラストに疑問を持つ方もいるかもしれませんが、むしろあそこで終わるのがベストだったと個人的には、思います。
【五段階評価】
★★☆☆☆(幽々子と紫のほのぼのに興味があるなら+1.5、妖々夢過去話が好きなら+1.0、軽すぎる文章が嫌いなら-1.5)
【作品集73】
【タイトル】ろくでなし
【書いた人】胡椒中豆茶 氏
【サイズ】125.88KB
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1238424962&log=73
【あらすじ】
鈴仙は、永琳からある箱を妖怪の山に届けるように頼まれる。その箱の中身は、河童と共同開発した、それが散布された空間内での全ての事象をコントロールするための触媒。
しかしその箱が、ノリで「義賊」を名乗る魔理沙に盗まれてしまう。
【感想】
鈴仙の一人称で、物語は進行します。つまり、ろくでなしの内面を通して物語を読み進めるわけですが、この兎がうざいことうざいこと。まあストーリーは山あり谷ありで楽しめましたが、全体を通して生理的に嫌な描写が続くため、最初の五十行で少しでも嫌悪感を感じた方にはお勧めしません。
【五段階評価】
★★☆☆☆(潔癖症寄りの方なら-2.0)
【作品集】73
【タイトル】⑨最強の証明
【書いた人】フクロウ氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1239254438&log=73
【あらすじ】
ある湖の畔で妙な、喋る缶バッチを見つけたチルノ。缶バッチは、「最強を証明するもの」と言い「みっちゃん」と名乗った。
チルノは、「みっちゃん」と共に最強を証明するため、幻想郷の住人に喧嘩を売りにいくのだった。
【感想】
分かる人は分かるだろうが、「みっちゃん」はあの旧作の御方。(というかまぁタグで分かるけど)
チルノは四人連続で立ち向かうが、一人残して闘わずにして勝つのが面白い。
ギャグ作品で、するすると抵抗なしに読めると思う。しかし旧作を知らないと少し意味が分からないこともあるから辛いかも。
物語の途中途中は次が読める人はいるだろうが、ラストのオチを読める人はそういないと思う。
相手を翻弄したり翻弄されたりする魅魔様がとりあえず可愛い。嘘つきなのもそのまま。
【五段階評価】
★★★★☆(win版の旧作陣が好きな人にオススメ。魅魔様スキーにもオススメ)