*PlayStyle

Last-modified: 2007-11-08 (木) 13:18:40

ロール・プレイの定義

 一般に「ロール・プレイ」は「役割演技」と訳されることが多いが、「ロール・プレイ」の語義はひとつではなく、この解釈がプレイ・スタイルにも少なからず影響する。すなわち、「役割=ポジション」とするタイプのロール・プレイと、「役割=キャラクター」とするタイプのロール・プレイである。
 いずれの解釈も誤りではなく、同じ「ロール・プレイ」と言う言葉で表現されるため、解釈の違いにより参加者間の意識に差異が生じ、ゲーム中に齟齬を引き起こすことも珍しくない。

ポジション型ロール・プレイキャラクター型ロール・プレイ
立場としての役割(Role)を果たす(Play)擬似人格としての役柄(Role)を演じる(Play)
受け持った立場や役目(ポジション)を重視固有の人格を持った人物(キャラクター)を重視
社会的分業型なりきり型
ゲーム性を重視物語性を重視
行動シミュレーションを重視精神シミュレーションを重視
グループを重視個人(の性格を通じてグループ)を重視
プレイヤーとPCを同一視する傾向があるプレイヤーとPCを別人視する傾向がある

ロール・プレイとプレイヤーの嗜好

  • 物語的ロール・プレイ
     困難を乗り越え、目的を達成することを重視するロール・プレイ。結果より過程を重視する傾向があり、理にかなう過程を経た結果であれば悪い結果も受け入れる。
     物語性を好み、かつ協調的なプレイヤーに多く見られる。
  • 効率的ロール・プレイ
     目的を達成するために、効率的な役割分担や行動を重視するロール・プレイ。過程も結果も重視する傾向があり、与えられた試練に対して常に最適解を模索する。
     ウォー・シミュレーション・ゲームや対人ゲームを好むプレイヤーに多く見られる。
     物語的ロール・プレイとの共存も可能だが、物語的演出の全てを否定する極端な効率主義プレイヤーも存在する。
  • 殿様的ロール・プレイ
     可能な限り過程を省略しながら、大きな目的を達成することを重視したロール・プレイ。過程より結果を重視する傾向があり、常に勝者であろうとし、敗北を屈辱と考える。
     途中の行程は他人任せで結果の美味しいとこ取りをする傾向や、楽に結果を得るため強力な力を求める傾向がある。また周囲への配慮に欠け、目的を達成するために非人道的な過程を選ぶ場合も少なくない。ただし後述の「絶対的ロール・プレイ」とは異なり、望む結果を得るためにルールを逸脱することは少ない。
  • 絶対的ロール・プレイ~キャラクター型ロール・プレイ
     必ず思い通りの過程を経て思い通りの成果を得たいと考えているロール・プレイ。過程でも結果でもなく、それらが「思い通り」か否かを重視する傾向があり、発想の柔軟性に欠ける。
     多くのTRPGでは、不確定要素によるスリルとハプニングを経て目的達成の充足感を得るシステムになっており、実際に「思い通りの過程を経て思い通りの成果を得る」ことは不可能に近い。しかし、このタイプのプレイヤーは「発想の柔軟性に欠ける」ため、想定した展開にならないことを許容できない上、想定そのものを放棄できず、想定と現実との食い違いに苦しむことになる。
     また、このタイプのロール・プレイヤーには、可能な限り「思い通り」の過程と結果を得るため、ルールを逸脱した強力かつ万能なキャラクターを事前に作成しゲームに持ち込む者もいる。
  • 天邪鬼的ロール・プレイ
     背景世界などで定められた設定に反したり、他の参加者を阻害することを重視したロール・プレイ。
     悪意的なプレイヤーや非協調的なプレイヤーに多く見られるが、多くのTRPGは参加者間の協調を想定しているため、TRPGそのものと相性が悪い。

プレイ・スタイル

 TRPGにおけるプレイ・スタイルは、ゲーム・マスターの嗜好で決定される部分が大きい。主なプレイ・スタイルは以下のとおり。

  • コミュニケーション重視型
     参加者同士の、ゲームや会話を通じた交流(主に雑談)を重視するプレイ・スタイル。
    • 初心者やライト・ゲーマーなど、TRPGに慣れていなかったり深く入り込まなかったりするプレイヤー向け。
  • 分業重視型~ポジション型ロール・プレイ
     プレイヤーが担当キャラクターのゲーム的長所を活かし協力しあうことを重視するプレイ・スタイル。
    • ある程度親しく協調的なプレイヤー集団向け。
  • シミュレーション性重視型~ポジション型ロール・プレイ
     明文化されたルールに基づいた(主に戦闘)シミュレーションを重視するプレイ・スタイル。
    • 対人ゲームや戦闘ゲームの好きなプレイヤー向け。
  • ストーリー重視型~キャラクター型ロール・プレイ
     ゲーム・マスターが準備した“台本”通りに進行することを重視するプレイ・スタイル。
     一般に、ゲーム・マスターが準備した“台本”はプレイヤーに対して未公開であるため、必ずしも“台本”どおりに進行できるわけではない。
    • ゲーム・マスターとプレイヤーが親密で互いの行動が予測できる場合か、ゲーム・マスターを主役にプレイヤーが観客になることを前提としている場合向け。
    • “台本”を重視するあまり、“想定外の行動”に対して柔軟な対応ができないゲーム・マスターを、一方的に話を聞かせるだけの「吟遊詩人マスター」と揶揄する者もいる。
  • 演技重視型~キャラクター型ロール・プレイ
     プレイヤーが別人に扮した即興演劇を重視するプレイ・スタイル。
    • コスプレやなりチャなどを好む、変身願望が強いプレイヤー向け。

プレイ・スタイルとシステム

 システムによっては、特定のプレイ・スタイルを奨励するルールが組み込まれている。そのため、ゲームの際にはプレイ・スタイルに応じたシステムを使用することが望ましい。
 *Systemも参照のこと。

プレイ・スタイルとゲーム内状況

 ゲーム内の特定状況下では、ゲーム・マスターやプレイヤーの嗜好に関わらず、最も適切なプレイ・スタイルがある。

  • 情報収集~分業重視、あるいはストーリー重視
  • 戦闘~シミュレーション性重視、あるいは分業重視