*Resource

Last-modified: 2006-12-31 (日) 17:45:23

リソースとは

 リソースとは、そのシステムのデータ型ゲーム要素のうち、ゲームの中途目的あるいは最終目的の達成において、優位性(アドヴァンテージ)に影響を与えるものである。すなわち、ゲームの有利不利を左右する要素である。なお「リソース」の原義は「資源」「資産」などである。代表的なリソースには、キャラクターの残り生命力を示すHP、キャラクターが利用可能な各種スキル、キャラクターの財産、各種アイテム、シナリオの障害となる罠や敵などがある。
 一般には「ゲーム上で使用する各数値データと、それらの数値を操作できるデータ」がリソースと認識されているが、数値でないデータやシナリオ固有の情報も「ゲームの優位性(アドヴァンテージ)を確保する」と言う意味ではリソースである。
 TRPGにおける全てのデータはリソースと言えるが、目的によってリソースの有効性に差異があるため、必ずしも全てのデータが「常に有効なリソース」ではない。すなわち、場面によって「有効なリソース」と「無効なリソース」が存在する。

 例えば、「弓を使いこなす技術」「弓を所持している」と言うキャラクター要素は、「敵対キャラクターを殺傷する」目的では有効なリソースとなり得るが、「本に書かれた文字を読む」目的では無効なリソースである。また、「瞳の色が青」と言うキャラクター要素は、通常であれば無効なリソースだが、「青い瞳の持ち主は例外なく支配階級である」「青い瞳は魔力の源となる力を持つ」などの設定が付加されたシステムでは、有効なリソースとなり得る。

リソースの運用

 リソースの主な運用として、優位性(アドヴァンテージ)を得る「獲得」と優位性(アドヴァンテージ)を失う「喪失」、両者を同時に行なう「変換」が挙げられる。

リソースの獲得と喪失

 リソースを「獲得する」ことは、優位性(アドヴァンテージ)を得るような、データの変更および情報の獲得を意味する。キャラクターのHPが回復することは、データ変更によるリソースの獲得である。また「その男は満月を見ると狼に変身する」と言う情報は、情報の開示によるリソースの獲得である。
 リソースを「喪失する」ことは、優位性(アドヴァンテージ)を失うような、データの変更を意味する。情報の開示そのものはリソースの喪失とは言えないが、リソースを喪失する重要な要因にはなり得る。
 リソースの獲得と喪失は、ルールおよびGMの指示によって、無条件に結果が与えられる場合と、行為判定の成否で結果が与えられる場合とがある。

リソースの変換

 リソースの「変換」とは、あるリソースを喪失(消費)することにより、異なるリソースを獲得(回復)することである。消費するリソースの所持者と回復するリソースの所持者は、必ずしも一致しない。
 リソースの変換は、ゲームの優位性(アドヴァンテージ)に大きな影響を与える。

 例えば、「金銭を支払うことで情報を得る」ことは、金銭と言うリソースを喪失して情報と言うリソースを獲得することである。また「MPを消費してHPを回復する魔法を使う」ことは、MPと言うリソースを喪失してHPと言うリソースを獲得することである。
 また、「敵からHPを吸収する」ことも敵のHPを喪失して自分のHPを獲得するため、リソースの変換に相当するが、ゲームの優位性(アドヴァンテージ)は、味方同士でのリソースの変換に比べ変化が激しいと言える。

リソースとシナリオ

 リソースの観点から説明するならば、シナリオはリソースの塊である。プレイヤーは初期情報と言うリソースを獲得し、調査によってリソースを変換し、障害によってリソースを喪失しつつ、シナリオ目標の達成を目指すことになる。

リソースとゲーム・バランス

 異なるリソース間における相対価値は、そのシステムのゲーム・バランスに著しい影響を与える。特にリソースの変換に際して、リソース間の相対価値は非常に重要な問題となり、また最もよく現れる。
 異なるリソース間の相対価値は、システムによって多様であり、普遍的な基準は存在しないと言ってよい。

リソースの分類

  • 作用による分類
    • 直接型リソース(一次リソース)
       目的の達成に直接関与するリソース。
       目的が「敵対キャラクターを殺傷すること」の場合、「武器そのもの」「武器を使いこなす技術」「ダメージ魔法」などが直接型リソースとなり得る。
    • 間接型リソース(二次リソース)
       目的の達成に直接は関与しないが、目的の達成を補助できるリソース。
       目的が「敵対キャラクターを殺傷すること」の場合、目的達成の効率を上げる「敵対キャラクターに関する知識」「敵対キャラクターの動きを妨害する技術」や、キャラクターの行動能力を管理・調整する「残りHP」「味方キャラクターの負傷を癒す魔法」などが間接型リソースとなり得る。
  • 持続による分類
    • 恒常型リソース
       複数回のセッションを通じて利用可能(持ち越し可能)なリソース。
       基本的な能力値やスキルなどキャラクターの持つ能力は、ルールやGMからの指示がない限り、通常は恒常型リソースである。
    • 一時型リソース
       何らかの理由により一時的に与えられ、同一回のセッション内でのみ利用可能(持ち越し不可)なリソース。
       例えば「武器を一時的に出現させる魔法」は恒常型リソースであるが、この魔法により「一時的に出現した武器」は一時型リソースである。

参加者のリソース

プレイヤー側のリソース

プレイヤーは、PCを構成するキャラクター要素のうち、ゲーム的に意味を持つ全てのキャラクター要素を、リソースとして持つ。代表的なキャラクター要素を以下に挙げる。

  • 能力値
  • 特徴
  • 技能
  • 所持品

ゲーム・マスター側のリソース

ゲーム・マスターは通常、「プレイヤーの目標達成を、プレイヤーが充足感を得られる程度に困難にすること」を目的として、リソースを運用する。
ゲーム・マスターが持つリソースは通常、プレイヤーに対して非公開だが、プレイヤーが一定の基準を満たした時点でプレイヤーに公開される。

  • システム・リソース
    • 敵対キャラクター
    • アイテム類
  • シナリオ・リソース
    • 情報
       隠匿された情報は、目的達成の障害となり得る。
  • リソースの公開基準
    • 所定の手続きを踏む
    • 判定を行う

共通リソース

 ゲームで使用する仮想社会において、ゲームの進行そのものに影響を与え得る要素。ゲーム性を高めるために背景社会に与えられた設定。

 例えば、PCを一般人と異なる存在にしている「運命」「刻印」などのキャラクター要素、いわゆる「冒険者ギルド」のような情報網など。

リソースの構築

単一のリソースを構築する場合、以下のような構築法が挙げられる。

  • プレコンストラクト
     デザイナーが構築済のもの。
  • フルスクラッチ
     デザイナーが要素および組み合わせルールを提示し、GMがルールに従って要素を組み合わせるもの。