思考(T)と感情(F)
判断や意思決定における心理的な傾向について、ここでは思考と感情を考えます。
この2つは、判断の心理機能であり意志をもって能動的に働かせています。
思考と感情は、相反する性質があるため同時に両立させることは難しいですが、 実際は相補的な関係で、バランスを取り協調して働かせることで正しい認識に至ることができます。
では、それぞれについて説明してゆきます。
思考タイプは、判断や意思決定の基準が客観的かつ合理的です。
事や物に興味を持ちます。そして、その性質や仕組みを知ろうとします。 どのようなしくみに基づいて機能するのかということに興味を持ちます。
拠り所となる知識が何よりも重要だと考え、多くの知識を吸収します。 物事を矛盾なく効率的に進めることができるようにしたいと考えます。
実際、計画や説明において、なんらかの矛盾や欠陥があるとよく気づきます。 比較、分析、推論から得られた正しいと考えられる結論に忠実に従おうとします。
それゆえ、誘惑を排して自分を律することができます。
しかし、効率性、合理性のもとに、 自分の感情や他人の感情に配慮を欠いた意思決定を行うことがよくあります。
そして、そうすることによって感情は守られ、安心できると信じていることが多々あります。
思考の及ぶ範囲が、自分の周りの狭い領域に限られる場合は、利己的になってしまいます。
また、客観的に正しいことにこだわろうとするあまり、率直な物言いが礼儀知らずと受け取られることがあります。 分析力を最大限に利用できる場が与えられれば、このタイプの有能ぶりが発揮されるでしょう。
感情タイプは、判断や意思決定の基準が「どう感じるか」ということに基づきます。
モラルやマナーについて関心を寄せ、その人の中で人間に対する影響を考慮した価値観が形成されてゆきます。
人の感情に配慮し、共感する能力があります。 実際、他人の心を感じ取り、ありのままに共感することもあれば、元気づけたり、士気を上げたりしようとします。
豊かな感性を持ち、怒り、悲しみ、苦しみなどの否定的なものから、喜びや愛などの肯定的なものまで強く感じます。
そして、できることならやはり肯定的な感情を自己の内に持ちたいと思い、 他の人と調和を保って、喜びを共有したいと願っています。
そういったものが、善悪の倫理観が判断の基準になるのです。
また、豊かな感性をもってして、美しいものにも魅了されます。 自然の姿、絵画や彫刻、文学作品などに強く心打たれることがあるでしょう。
実際に、美的センスを持ち得て、 芸術を鑑賞するだけではなく、自ら芸術を通して感情や信念を表現しようとすることがあります。
しかし、人間関係を重んじるあまり、非効率になったり、合理性に欠き損をすることがよくあります。
必要な対立まで避けようとすることがあるかも知れません。しかし、丸く収めることが必ずしも良いこととは限りません。
また、信念が強すぎてが客観的な事実を受け入れられないことがあります。
人々の調和を保つために尽力し、温かみを活かせることに向いています。