スーパーナチュラルの根底は悪霊や悪魔退治のロードムービーである。RPGさながらにいろいろな怪物が現れるのでそれらを退治するためにオリジナリティある武器や手段がドラマではさまざまに登場する。カテゴリ別にそれぞれの武器を考察しているところ。
武器のランク付けリスト
ランクS:神話・創世記クラス
神、死神、大天使といった、宇宙のシステムそのものを破壊・改変・殺傷できる絶対的兵器。
ランクA:上位存在・大天使殺傷クラス
大天使、地獄の騎士(最高位の悪魔)など、通常の手順では絶対に殺せない「例外」を屠るための超兵器。
| 画像 | 名称 | 効果 | 作中描写 |
|---|---|---|---|
![]() | 大天使の刃 | 通常の天使の刃の上位互換。 キリスト教神話における最強個体である「大天使」を殺せる唯一の近接武器だが、真価を発揮するには大天使自身が使用する必要がある。 | S13でミカエルに憑依されたディーンがルシファーを倒すときに使用。 |
![]() | ファースト・ブレード (原初の剣) | 人類最初の殺人者カインが実弟アベルを殺害した際に使った「ロバの顎骨」。 神の呪いである「カインの刻印」を持つ者がこの刃を握ることで無敵の力を得る。 使用し続けると悪魔に成り果てる。 | S9のディーンが使用。 |
![]() | コルト | 1835年にサミュエル・コルトが作った特製の回転式拳銃と13発の専用弾。 5つの例外*1を除いて「あらゆるものを殺せる」という効果がある。 弾に限りがあり、自作するには賢人並みの知識が必要。 | シーズン初期から登場し、S2でディーンが使用。 |
ランクB:通常超自然・一撃殺傷クラス
一般の天使、通常の悪魔、地獄の猟犬、およびすべての怪物を「完全に消滅・殺害」できる実戦級の武器。
| 画像 | 名称 | 効果 | 作中描写 |
|---|---|---|---|
![]() | 天使の刃 | 天使が標準装備している銀色の長剣。三稜剣*2がモデル。 上位~下位のあらゆる悪魔、地獄の猟犬も倒せる。 | カスティエルなどが使っている。 天使が大量に死んだシーズン中盤から兄弟も標準装備するようになる。 |
![]() | ルビーのナイフ | 悪魔ルビーが持ち込んだ古代クルドの呪術が施されたナイフ。 人間に憑依した通常の悪魔を刺すだけで完全に殺害(地獄への送還ではなく消滅)できるが上位の悪魔には通りにくい。 | シーズン4からサムの標準装備となる。 |
| イギリス賢人の武器 | 天使の恩寵を一時的に狂わせるナックルダスターや魔女の呪いを無効化する銃弾など。 大天使を一時的に封印するアーティファクトもある。 科学とオカルトを融合させた対超自然兵器。 | イギリス賢人の介入するS12以降で徐々に浸透。 | |
![]() | 銀の弾丸、マチェーテなど | 純銀製のナイフ、弾丸、竹の杭、死霊の灰、鉄製マチェーテなど。 | 怪物別の弱点武器であり、サムとディーンだけでなくハンター全員が敵対相手により活用。 |
ランクC:対抗・足止め・制圧クラス
敵を「殺す」ことはできないが、能力を無効化、拘束、あるいは戦闘空間から排除するための戦術級ツール。
呪文や魔術
悪魔の罠
ドラマでも頻繁に使用される幾何学模様の魔法陣。効果としては範囲内に入った地獄の悪魔を物理的に完全拘束するというもの。描く材料も特に問われず、スプレー缶でのペイントや彫刻、夜光塗料などが実際に登場している。床に描くだけでなく天井や箱状のものの蓋などあらゆるパターンが駆使されドラマでの悪魔狩りに利用された。
より高度な利用としては直接この魔法陣を描いた銃弾を用意し、それが悪魔の体内に入ることで一歩も動けなくさせるという方法もある。
罠という名の通り「事前に描いておく」ことで真価を発揮するが、弱点としてこの魔法陣の図形の一部が僅かでも削れたり掠れたりして1ミリでも途切れるとその瞬間に効果は完全に消失してしまう。
一部の悪魔*3は罠にかかってもある程度の念動力を発揮できるケースがあり、自ら周囲の物を操作して線を傷つけ、罠を破壊して脱出できる。
- デザインルーツの考察
- 作中に登場する悪魔の罠のデザインは、主に17世紀の魔術書(グリモワール)『ソロモンの小さな鍵(レメゲトン)』に記載されている「五芒星(ペンタグラム)」や「ソロモンの印章」をベースにしている。円の中に星型や様々な神秘記号、ヘブライ語の文字を模したシンボルが緻密に配置されているもの。
- 効果
- 完全拘束
- 悪魔に憑依された人間、あるいは悪魔の精神体がこの図形の内側に入ると、そこから物理的にも霊的にも一歩も外へ出られなくなる。
- 能力封印
- 悪魔が持つ固有の特殊能力(瞬間移動、念動力、他者への憑依攻撃など)がすべて封印される。
- 器からの脱出不能
- 悪魔の罠の内部では器の中に完全に閉じ込められるため黒霧になって逃走も不可能。これにより、ハンターは安全に「悪魔祓い」の儀式ができるようになる。
- 完全拘束
- 入れ墨(タトゥー)としての利用
- ウィンチェスター兄弟(のちに何人かも使用する)はこの悪魔の罠の魔法陣をタトゥーとして応用したものを自分たちの皮膚に直接焼き付けており、これにより悪魔に憑依されなくなるという効果が発揮された。
天使除けの紋様
シーズン4以降に必須となった対天使用の強力な血の魔法陣。人間の血(器でも可)を利用し、主に退散と遮断の効果を発揮する。歪んだ翼のような幾何学模様。
壁や床に血で描いたこの魔法陣の中心を叩くことで発動。強烈な白い光の衝撃波が走り、その空間(部屋や建物内)に存在するすべての天使を天界または宇宙の遥か彼方へと強制的に転送させる。傷つけることはできず、あくまで一時的に追い払うのが限界。
この方法の場合は使用者は大半が精神力の枯渇などで気絶する。また、描いた血の紋様自体が焼き付けられるようにして消滅するため、魔法陣自体も一回限りの使い捨て。
もう一つの天使除けは建物の壁やドアにナイフで刻んだり特殊なインクで描いたりして配置する常時発動型の防壁。この紋様が施された空間には、天使は瞬間移動で侵入することができず、人間の声(祈り)や天使の探知能力も完全に遮断される。
バンカーなどにはこれが常備描かれており、許可を得た天使(カスティエルなど)だけが入れるようになっていた。
- 効果
- 天使退散
- 宇宙の彼方に追放する。傷は負わせられないが天使が元の場所に戻るのには時間を要するため一時的に時間稼ぎができる。
- 天使遮断
- 事前に建物や部屋などに刻んでおくことで天使からサーチされないエリアを作るもの。
- 天使退散
ラテン語の呪文
作中におけるラテン語は、主に悪魔の召喚、送還、および地獄のシステムを操作するための「コード(命令言語)」として扱われる。カトリック教会の歴史的な背景と地獄の成立が深く結びついているため、悪魔に対する命令はラテン語が最も高い強制力を持つ。
「最後まで噛まずに正確に、声に出して唱え切る」必要がある。途中で悪魔に喉を潰されたり吹き飛ばされたりして中断されると効果を発揮しない。そのためウィンチェスター兄弟は録音した音声を再生するなどしていた。
代表的なものとしては悪魔祓いの呪文。
"Exorcizamus te, omnis immundus spiritus, omnis satanica potestas, omnis incursio infernalis adversarii, omnis legio, omnis congregatio et secta diabolica..."
(意訳:我らは汝を祓う、すべての汚れた霊、すべてのサタンの権力、地獄の敵のすべての侵略、すべての軍団、すべての集会と悪魔の宗派よ……)
(カタカナで言うなら:エクソーシザムス・テ、オムニス・イムンドゥス・スピリトゥース、オムニス・サタニカ・ポテスタス、オムニス・インクルーシオ・インフェルナリス・アド(バ)ェルサリ、オムニス・レギオ、オムニス・コングレガーティオ、セクタ・ディアボリカ)
人間に憑依した悪魔を強制的に引きはがして地獄に送還させる、もっとも基本的な呪文。実在のカトリック教会の典礼書の悪魔祓いの文章をベースに、番組用にアレンジされている。
他にも作中では十字路の悪魔の儀式で唱えていた呪文や地獄の門を閉じる際にサムが唱えていた極めて高度な呪文などもある。
総じて見るとラテン語の呪文は悪魔とかかわりが深い魔術と考えられる。
エノク語の呪文
エノク語(エノキアン)は、作中において「天使の言語(天界の公用語)」として登場するもの。元ネタは16世紀のイギリスの魔術師ジョン・ディーと霊媒師エドワード・ケリーが「天使から伝授された」と主張した実在の神秘言語。
作中では「宇宙の創世記から存在する原初の言語」として存在しており、言葉自体に強力な魔術的エネルギーが宿っていると設定されている。カスティエル初登場時などにこれは発揮されており、周囲のガラスが割れたり電灯が明滅したのもこの言葉に影響されたもの。
いわゆるルーン文字のような記号的な文字列であり、原語として理解できるのは天使のみとされる。エノク語で書かれた呪文やシンボルは、天使の脳(精神)に直接干渉する。シーズン8の各エピソードで見られる天使を拘束した状態でエノク語の呪文を唱える、あるいは天使の脳に直接エノク語の記号を焼き付けることは、彼らの記憶を強制的にハッキングし、秘密を暴露させるために機能した。
人間が利用するときは物理的に文字を配置するなどして使用した。5-1ではカスティエルがウィンチェスター兄弟の肋骨に直接エノク語の紋章を刻み込んでいる。これにより、二人は大天使ルシファーやミカエル、さらには神(チャック)の目からさえも、その存在と位置を完全に隠蔽することができるようになった。
ラテン語の呪文と異なり、天使にかかわりがある呪文と言える。
魔女たちの魔術

人間が悪魔や天使などに対抗するために培ってきた魔術はその大半が魔女たちが受け継いできた魔術体系となる。シリーズ後半に登場するロウィーナがきっかけとなり、その威力や存在感は大きなものとなる。
魔女の魔術は以下の3つに大きく分類される。
- 自然の魔術
- 生まれつき自然のエネルギーと交信する才能ある魔女の使う魔術。数は少ない。
- 契約の魔術
- 悪魔と魂の契約を交わし、その見返りとして魔力を与えられた一般人の使う魔術。期限が来ると地獄の猟犬に引き裂かれる運命。
- 特権の魔術
- ロウィーナなど、古代から受け継がれてきた魔術書や呪文の「知識」を学び、自力で魔力を練り上げる知的エリートの使う魔術。最高評議会「グランド・コヴン」もこれに該当する。
ドラマでもよく出てくるのがヘックス・バッグという魔女の小袋。
鳥の骨、乾燥した心臓、コイン、不思議なハーブなどを布袋に詰め、呪文を唱えて対象の近く(家の中やベッドの下)に隠す。これがあるとどれほど強力な人間やハンターでも内臓を破壊されたり不審死を遂げたりする。ウィンチェスター兄弟は常にこれを探して燃やす(無効化する)ことで対抗していたが、巧妙に隠されていると見つからないこともままある。
シーズン中盤で登場するのがブック・オブ・ダムドという呪われた本。
約700年前に魔女アグネスが自らの「皮膚をページにし血をインクにして書き上げた」とされる、世界最悪の闇のグリモワール(魔術書)という設定の魔女の本。
この世のすべての呪いを解く方法と、すべての呪いをかける方法が記されている。死者を完全に蘇生させたり、時間を巻き戻したりと、本来なら神や大天使にしか不可能な「世界のルールの書き換え」を行うこともできるが、独自の高度な暗号と、存在しない古代言語で書かれているため、読むだけで精神が狂う。
また、本自体が邪悪な意志を持っており、近くにあるだけで周囲の人間に「これを使って世界を破壊しろ」という強い精神汚染(幻聴や依存)を引き起こす。等価交換として最悪の精神的・物理的代償を要求されることも。
魔女の評議会コヴンとは?
「コヴン(Coven)」はそもそもオカルト用語として実在しているもので、魔女の結社というような意味がある。簡単に言うと魔女たちが集まって儀式を行い、魔力を増幅させたり、知識を共有したりするための最小単位の「ギルド」や「クラン」のようなもの。
スーパーナチュラルのドラマでのコヴンは「グランド・コヴン(Grand Coven)」として登場し、かつて世界中の魔女たちを統制していた巨大な国際秘密組織「グランド・コヴン(魔女最高評議会)」を指している。
ドラマ時間軸から数百年前のグランド・コヴンは、天界や地獄からも一目置かれるほどの絶大な権力を持っていた。
世界中の魔術の知識、強力な呪文の術式、そして『ブック・オブ・ダムド(呪われし書)』をはじめとする超自然的なアーティファクトの多くをこの組織が独占・管理していた。彼らは独自の規律(法)を作り、それに背く魔女を処罰する裁判権も持っていた…という設定がある。
ところがドラマで登場する現代の魔女たちはコヴンの存在すら知らないという描写がされており、これの理由としては賢人たち(メン・オブ・レターズ)の介入がその多くを占めている。
賢人たちは魔女の魔術を「人類の脅威」とみなし、世界規模の魔女狩りを敢行。その際、グランド・コヴンが何世代にもわたって蓄積してきた呪文の書物や魔法の道具をすべて強奪し自身の施設に秘匿・封印した。バンカーにもその一端は置かれておりシーズン8以降で登場する。













