書き起こし/ファッセ2

Last-modified: 2016-06-19 (日) 02:17:53

●1幕 幻想郷とよばれる国

ナレ前回のダイジェストを交えながら

ナレ「魂魄妖忌の最後の言葉に従った次郎座衛門は、幽々子を連れ、ここ奥州陸奥にいた。だが」

夜。どこともしれない山の中。獣の気配。妖怪の群れである。
獣のうめき声、人のうめき声(エフェクト)など。

追われている次郎と幽々子、息も切れ切れに。
時折闇の中から襲って来る攻撃を辛うじてしのいでいるが、限界が近い。

幽々子、次郎二人のはあはあ音、各々別収録で
出頭からしばらく、息がきれながら台詞。
とくに幽々子息も絶え絶えに

次郎「数が多すぎる・・・走れ!幽々子!」

幽々子「は、はい・・・」

つまづき幽々子

幽々子「あっ!」

次郎「幽々子!!」

つまづいた瞬間、二人の距離が離れる。
幽々子の元へかけ戻る次郎
走りからのスライディング

次郎「立てるか?」

幽々子「はい、あうっ!」

幽々子足を挫いている

幽々子「うう・・・」

次郎「くそ!・・・伏せろ幽々子」

幽々子「ごめんなさい」

次郎「いいから!」

幽々子を乱暴に突き飛ばす次郎。
倒れる幽々子

幽々子「あう!」

次郎楼観剣を抜く

次郎「ふん!」

幽々子を守るように立ちふさがる次郎。
楼観剣を構えようとするが

次郎「くそぉ・・・お、重いぃ!」

ズドン、楼観剣の切っ先を地面に落としてしまう

次郎「楼観剣、なんでだよ!あの時はこんなに重くなかったのに・・・!」

襲いかかってくる妖怪キシャー

次郎「わあああ!!」

幽々子「次郎!」

交差音。しばらく沈黙。間

義経「最近のガキは女に優しくしろって習わねーのか」

幽々子「え?」

次郎「ア、アンタ一体・・・うわ!」

ブシャア!肉が裂ける音。次郎に降りかかる返り血
空を切る音、肉を割く音、血が吹き出る音、打撃音、断末魔など

次郎「なんだ・・・なにがおこってんだよ」

沈黙。無音の間。不安を掻き立てるアンビエントSE
やがて喧騒おさまり、沈黙、間。突然次郎の目の前に人影が姿を表す

義経「ふん・・・」

次郎「うわ!」

義経「(うれしそうに)あの野郎、好き勝手してるようだな。これがいまの平泉かよ」

次郎「平泉!?じゃあここが幻想郷・・・うっ!?」

義経に襟首をつかまれるをつかまれる

義経「おい貴様」

次郎、ここからしばらく[ 徐 々 に ]息が詰まっていく

次郎「な、なにすんだよ・・・」
義経「貴様、この写真の男を知っているか」
SEぎりぎりぎりぎり
次郎「アンタ・・・女か!?」
義経「この男をしっているかと聞いている」
次郎「誰だよ、知らないよこんなやつ」
SEぎりぎりぎりぎり
次郎「はなせ・・・よ・・・!」
義経「ふん・・・」
どさ
次郎「げほげほ・・・」
義経「ここが幻想郷かと言ったな」
次郎「アンタ幻想郷を知ってるのか!」
義経「去れ。お前にもう用はない」
幽々子「あの」
義経「女連れならなおさらだ。さっさと消えろ」
幽々子「先ほどの写真をみせてください」
義経必死になって
義経「なに!?お前、こいつに見覚えがあるのか!」
幽々子「写真を」
義経「よくみてくれ・・・どうだ?」
幽々子「・・・よく知っています。間違いありません」
義経「なんだと!?」
幽々子「この人物は・・・」
幽々子、ためらうように言葉と止める。間
次郎「幽々子?」
幽々子なにかを吹っ切るように
幽々子「源頼朝、私の父です」(場合によっては前回の録音を使うかもしれない)

OP曲

●2幕 源頼朝と魂魄那由他
不穏音、低い反響音、うおんうおん。
巨大な結界に前で祝詞をあげている頼朝。

頼朝「オン アビラウンケン。ナウマク サマンダ ボダナン アビラウンケン。オン アビラウンケンソワカ」
頼朝の背後に炎が立ち上り、その中から那由他が姿を現す
※那由他、今回から狂人です。一読してさらっと読めるところも読み込んで工夫を。
那由他「神だみのとは君らしくないじゃないか」
頼朝「貴様か」
那由他「護衛の一人もつけないで、ちょっと無用心じゃない?」
頼朝「なにをしにきた・・・魂魄那由他」
那由他「べつに?久々に君の顔を見ようと思ってさ、源頼朝君」
頼朝「我が悲願もはやはばむことは不可能。貴様が相手であってもだ」
那由他「あははは!君さ、6年前もそんなこと言って妖忌に邪魔されてたよねぇ?」
頼朝「俺を斬りに来たのだろう。魂魄妖忌を斬ったように」
那由他「なんだと?」
頼朝「哀れな男だ」
那由他「なんだと」
頼朝「主を裏切り、友を手にかけ、次はなにを手放すのだ」
那由他「情を捨てきれぬ未熟者にはわからない物、さ・・・幽々子はもう鎌倉いないよ」
頼朝「ふん・・・」
那由他「なにを白々しい、って顔してるねぇ。たしかに?仕掛けたのは俺だけどね、幽々子は広有の手の中だ」
頼朝「隠岐広有・・・」
那由他「ヤツには個人的に恨みがあってね。いまは君と事を構えるつもりはない。いまは、ね」
頼朝「俺はのちの火種はいま積むぞ、魂魄那由他」
那由他「あははは!!意外と血の気が多いよねぇ君って!」
炎が立ち上り消える那由他
頼朝「門は閉じた。6年前と同じ過ちはしない。西行妖はもはや、誰にも止められはしない。誰にも・・・だが」
呪術音
頼朝「破邪顕正隠岐広有・・・これもまた、さだめか・・・」

●3幕 謎の少女
ドサッ。地面に放り出される次郎と幽々子
幽々子「あう!」
次郎「(幽々子に向けて)幽々子!(切り返して義経に)くそ!ほどけよ!なんで幽々子までこんな!」
義経「わめくな。用があるのはその女だ。西行寺幽々子と言ったな」
次郎「お前!幽々子になにするつもりだ!」
義経「(次郎にかけないで投げ捨てるように)わめくなと言っている」
喋れないように口に布を噛まされる。
次郎「この!・・・むーむー」
動揺していない幽々子、緊迫感なく
幽々子「あの、この人は無関係です。解放してくれませんか?私なんでもしますから」
次郎「むー!!むむむー!!!」
義経「女が簡単になんでもするなんていうんじゃねえ。私は話が聞きたいだけだ。だが、場合によっては開放するわけにはいかない。女、お前はだ」
幽々子普通に
幽々子「はい。私は構いません」
義経「私の質問には全て答えると約束しろ」
幽々子、嬉しそうに(あざとくならないように、ふわっと、自然に、嬉しいんじゃなくて相手を安心させようとするニュアンス)
幽々子「はい。誓って」
義経「こいつはお前のなんだ?」
幽々子「恩人です。私がこうして外を出歩けるのはこの人のおかげなんです」
次郎「う?う?う?」
幽々子「離してあげてくれませんか?」
義経「恩人だからか?」
幽々子「いいえ。可哀想じゃないですか」
義経「ふ・・・おいジロウ、騒がねえと誓うか?」
次郎「ううう・・・」
しゅる。ほどかれる
次郎「ぷああ。おいアンタ!」
義経「騒ぐな。二度目はない」
次郎「う・・・」
幽々子「次郎、私はもう大丈夫ですから、あなたはどこへなりと行ってください」
次郎「え?」
幽々子「ここが平泉に間違いありません。そうでしょう?」
義経「西行寺幽々子、質問するのは私だ。いいな?」
幽々子「はい」
次郎「ちょ、ちょっとまてよ幽々子!俺は!」
義経「ジロウ。私がいいというまでお前は話すな」
次郎「・・・くそ」
義経「頼朝が父だと言ったな。アレはどういうことだ」
幽々子「私は源頼朝と血の繋がった実の娘です。言葉に含みはありません」

義経「西行寺幽々子、といったな?西行寺だと?」
幽々子「はい」
義経「京護法(ごほう)の西行寺か」
幽々子「はい」
ナレ「京護法。京の都を呪術的に守護する任務にあたる貴族はそう呼ばれた。厳しい実力主義の中、西行寺は平家に次ぐトップクラスの実力と地位であった。武家との戦争により貴族が没落する以前の事である」
次郎「京護法の西行寺・・・」
幽々子「はい。(次郎に)あなたの隠岐家と同様の地位にあった貴族です」
次郎「じゃあ、幽々子、お前・・・」
幽々子「ごめんなさい。あなたを、いえ、広有様のことはよく知っていました」
義経「広有だと?」
幽々子「はい。私の恩人です」

義経「女、てめーは西行寺を名乗る頼朝の娘で、このガキは当代隠岐広有だと言いたいのか?」
幽々子「はい」
義経「ふっ、ははははは・・・(怒る義経)嘘ならもっとまともな嘘を言うんだな」
次郎「そりゃそーだ・・・」
義経「女!この男をどこで見た!なぜ頼朝の顔を知っている?」
幽々子「父は私を慈しみ育ててくれました。顔を忘れるはずがありません」
義経「ふざけるなよ。いまの話が信用できると思うのか」
幽々子「私の話が信じられないのも無理はありません。ですが・・・」
義経「このアマ!いい加減にしろ!」
セリフクロスさせない
次郎「こいつ!幽々子に乱暴するんじゃねー!」
義経「こんなふざけたガキが広有だ!?貴族をコケにするもの大概にしろ!」
次郎「俺はガキじゃ(ねえ!)」
編集します。セリフ、クロスしないように
幽々子「いいかげんにしなさい(叫ばない、脅さない、落として)」
義経「なんだと?」
次郎「ご、ごめんなさい・・・あれ?」
幽々子「これ以上横柄な態度を取るならなにも話しませんよ」

義経「どうしてもこの男の事を知らなきゃいけねえ。あんたの話を聞かせて欲しい。この通りだ」
幽々子「はい」
次郎「けっ、なんだよ、最初からそういう態度してりゃこっちだって・・・」
幽々子「次郎」
次郎「ごめんなさい」
幽々子「はい」
義経「・・・あんた、西行寺を名乗りながら頼朝の娘だと言ったな」
幽々子「はい」
義経「そいつは一体どういうことだ。聞かせてもらおう」
幽々子「はい・・・あれは私が幼い頃です」
過去シーン リバーブ
頼朝「平清盛。彼の野心は底無しだ。お前の力が知られればあの男はおそらく黙っていないだろう。お前は今日から源氏であることを忘れて生きるんだ」
小幽々子「はい」
頼朝感極まって泣いてしまう
頼朝「すまない幽々子。なにもできない私を許しておくれ。せめてお前の力を抑えることができれば」
小幽々子「私がこんなだからお父様は苦しんでいるのね」
頼朝「うう・・・なぜだ!どうしてお前が!」
小幽々子「お父様悲しまないで」
頼朝「西行寺、彼女は人格者だ、お前の事を知っても必ず良くしてくれる。だが、もし辛いことがあったら・・・」
小幽々子「大丈夫よ。私はあなたの娘ですもの」
頼朝「そうだな。離れていても私達はずっと家族だ」
小幽々子「はい」
頼朝「幽々子、必ずお前を救うすべを見つけるからね。それまで頑張るんだよ」
過去シーンここまで
義経「つまり西行寺に出家したというわけか」
幽々子「私が持って生まれた・・・その・・・体質が、西行寺でならなおせると考えたからです」
義経「持って生まれた、体質」
幽々子「それをお話しすることはできません」

義経「嘘はついていない、だが、すべてを話したわけではない。そんなところか」
幽々子「はい」
義経「(念を押すように)お前、本当に頼朝の娘なんだな」
幽々子「はい」
義経「そうか・・・ならば、利用できるだろう」
次郎「なに!?」
義経「幻想郷を探しているんだろう?察し通り、幻想郷は・・・ここだよ」
義経フィンガータップ。結界が歪む ゴゴゴゴ
次郎「な、なんだ!!」
わーわー。わらわら出てくる人とか妖怪とか。巨大な館姿を表す
幽々子「結界!?幻想郷は文字通り隠されていたのですね」
義経「お前達は帰すわけにいかなくなった」
次郎「は?」
秀衡「大伯母様!5年もどこに行っておられたのです!?」
義経「おう秀衡。元気でやってたかよ」
幽々子「秀衡?この方が藤原秀衡様?それじゃあ、まさか・・・あなたが九郎義経様なのですか!」
次郎「な、なんだって!?」
ナレ「源九郎義経。その気質は勇敢にして獰猛。先の戦において頼朝の配下の中でも最も戦果をあげた人物である。人間離れをした戦闘力と、不死ともいえる生存率で多くの兵士を恐れさせた。敵味方一人残らず全滅した戦からも生き残り、いつしか戦場では、不死の九郎、アンデッドナインと呼ばれるようになる。妖魔兵器だと信じられていた義経が、人間の、女性であることを知る者は少ない」
次郎「源義経って女だったのか・・・」
義経「たしかに義経は私だ、が・・・いいか、二度と私を九郎とよぶんじゃねえ」
秀衡「大伯母様がいない間、気が気じゃありませんでしたよ」
義経「そーかい。ま、積もる話はあとだ。秀衡」
秀衡「はい」
義経「こいつらぶちこんどけ」

●4幕 囚われの二人
投獄されている次郎と幽々子。がっしゃがっしゃ
次郎「出せ!出しやがれー!!誰もいないのかよー!!」
しーん。虚しく響く次郎の声
次郎「くっそー・・・やっと義経を見つけたのに・・・どうしてこうなっちゃうんだよ・・・」
幽々子「ごめんなさい、私が身を明かしたからだと思います」
次郎「違う違う!別に幽々子を責めてるわけじゃないって!」
幽々子「ごめんなさい・・・」

次郎「ちぇ、妖忌だったら俺みたいなヘマしないんだろうな~」
幽々子「ええ・・・」
次郎「捕まったってこんな牢屋なんかさ、きっと簡単にぶちやぶっちゃうんだぜ。俺あんなに強いやつあった事ないよ」
困った様にはにかむ幽々子
幽々子「ん・・・」
次郎「あ!・・・ごめん、アンタの大事な人、だったんだよな。やっぱ」
幽々子「いえ。気にしないで」
次郎「俺、幽々子を助けたくてここに来たのに、なんの役にもたってない気がするよ。なっさけねー・・・」
幽々子「そんなこと言わないでください。あの時次郎が守ってくれて、私、嬉しかったんですよ」
次郎「いや、なんつーか・・・ごめん」
幽々子「ふふ」
次郎「え?なに?」
幽々子「私達、謝ってばっかいですね」
次郎「本当だ」
幽々子「ふふふ」
次郎「あ!アレだぜ。謝ってばっかっていけないんだぜ。ネガティブになってる証拠なんだって」
幽々子「それもお母様が?」
次郎「うん。なんだっけ・・・そうだ!ごめんっていいそうになったら言葉を変えるんだ。なんて言うと思う?」
幽々子「・・・ありがとう次郎」
次郎「そうそう!なんだちゃんと知ってるじゃん。だめだよ、ごめんなさいばっかりじゃ」
幽々子「それをいうなら次郎もですよ」
次郎「ほんとだ」
幽々子「うふふふ」
次郎「へへへ・・・そうだ、幽々子って怒ると怖いんだな」
幽々子「え?」
次郎「さっきのあれ、かっこ良かったぜ。いつもはぽわぽわしてんのにさ」
幽々子「だ、だってあれは・・・あう・・・」
次郎「なになに?」
幽々子「あの方、次郎にひどい事を言うものだから・・・」
次郎「あはは、あんなの気にしなくていいのに」
幽々子「いいえ、あそこは怒るところです。妖忌も言ってました。腹が立ったらその場で・・・解決しろって」
次郎「あいつらしいや・・・あいつらしい、か・・・なあ、妖忌ってどんなやつだったの?教えてよ」
幽々子「妖忌、ですか?」
次郎「うん。俺、結局あいつのことなんにもしらないままだったからさ」
幽々子「そうですね・・・代々西行寺に使える剣士なんですって」
次郎「へー」
幽々子「寡黙で、なにごとにも一生懸命で、ちょっと心配性で、とても繊細な人でした」
次郎「繊細!?あいつが?」
幽々子「はい。私にとっては兄も同然です」
次郎「兄?兄ってお兄ちゃんのこと?」
次のふたつリバーブ次郎の想像上での会話
幽々子「おにーちゃんっ(媚び媚び)」
妖忌「あ!?なますにされてーかこの野郎」
次郎「は、はは・・・」
幽々子「私、一人っ子だったから、嬉しくて」
次郎「もっと、その、大事な人、ってんじゃなくて?」
幽々子「ええ、とても大事な人でした」
次郎「そうじゃなくてさ、うーん・・・ほんとに兄弟みたいな感じだったってこと?」
幽々子「はい」
次郎「そっか、そうだよな。こんな綺麗なコが、いくらなんでもあんなオッサンと・・・」
幽々子「次郎?」
次郎「な、なんでもないよ!へ、へへへへ」
幽々子「次郎にもいたんでしょ、大事な人」
次郎「え?俺?」
幽々子「はい」
次郎「んーそうだなぁ・・・(よくわかんないよ)俺も一人っ子だったし」
幽々子「お母様は?」
次郎「賢くて優しくて、俺の自慢だった。母上に褒められたくて俺なんでも頑張ってたんだ」
幽々子「母上・・・」
次郎「ん?なんかへん?」
幽々子「前は、おふくろ、って呼んでいました」
次郎「だって恥ずかしいじゃん。母上なんて大げさでさ」
幽々子「次郎って本当に不思議。殿方はお母様の話をするのが苦手だと思っていました」
次郎「だって・・・好きだぜ」
幽々子「へえ!?」
次郎「好きな人を好きって言うのって当たり前だろ?」
幽々子「じ、次郎、なに急にへんなこと言い出すんですかぁ・・・」
次郎「え?男はお母さんの話しないって幽々子が」
幽々子「あ?ああはははは、ですよねですよね・・・やだ、私ったら・・・」
次郎「どうしたの急に、幽々子こそ変だぜ?」
幽々子「・・・変じゃないです。次郎が急に、好きだなんて、言うから・・・」
次郎「だって母上は・・・あ・・・・」
幽々子「急にあんな事言われたら・・・どきどきしちゃいます」
次郎「違う違う!いまのは・・・その・・」

幽々子「違うの?」
次郎「え?」
幽々子「違うの?」
次郎「ごめん・・・」
幽々子「ごめんは禁止です」
次郎「そ、そうだったっけ・・・あは、あははは」
幽々子「ねえ次郎」
次郎「はい」
幽々子「次郎はどうして私と一緒にいてくれるの?」
次郎「それは・・・」
幽々子「それは?」
間、沈黙、静寂、やおらなにかが落ちてくる音。どさがさ
次郎「だれだ!」

●5幕 秀衡と少女
秀衡「お戻りになられるのでしたら、一言おっしゃってくだされば、迎えしましたものを」
義経「ふん、いいのかよ。私はここで封印されてることになっているはずだ」
秀衡「平泉は大叔母様のための国にございますれば」
義経「それはお前の一存だろう・・・さっきからコソコソみてるあいつもそう思ってるのかよ」
猫「にゃ!?」
逃げる音
秀衡「化け猫の類です。彼らには見知らぬ人間の前ではひとがたをとらぬように言っておりまして」
義経「彼ら、ねえ・・・」
秀衡「妖魔兵器にされることを逃れた妖達です。人類が用いる呪術は進歩した。いや、進歩しすぎた。もはや幻想である彼らですら人にとっては道具も同然・・・せめて陸奥の妖怪達だけでも達者であって欲しいと願っているのです」
義経「解せん」
秀衡「は?」
義経「妖怪を救いたい。そんなくだらない理由でわざわざ幻想郷に平泉を建立したと言いたいのか」
ナレ「奥州陸奥には八ヶ岳と呼ばれる霊山が存在する。不死の山とも呼ばれ呪術の進歩したこの時代においても、未だ解明されない霊域が多く存在する。古来より様々な魑魅魍魎が潜むこの地を、人は幻想郷と呼び、足を踏み入れることがないように強く戒めていた」
秀衡「それは・・・」
義経「幻想郷を見るな、聞くな、知るな、近寄るな。陸奥に住む藤原に伝わる掟だ」

秀衡「ともかく、どこに存在しようと平泉は大叔母様のための国、大叔母様あっての藤原。何者の異論もみとめませぬ」
義経「ふん・・・お前がなにをたくらんでいようと、私の知ったことではないさ。私の目的は一つ」
秀衡「源頼朝。ここへ戻られたということはやはり」
義経「やつの力の秘密がわかった」
秀衡「さすがは大叔母様。お見事にございます」
義経「いいエサも手に入った」
秀衡「牢へ運んだ子供でございますか。彼らは一体?」
義経「女は頼朝の娘、男は隠岐広有だとさ」
秀衡「ふむ・・・まゆつばですな」
義経「語りなら語りでもかまわん。その時はお前の好きにしろ」
秀衡「もし本当なら」
義経「せいぜい役にたってもらうさ。あの男への復讐のな」

●6幕
子供幽々子、怪我をした猫を抱えて登場
小幽々子「お父様!」
頼朝「どうした?なにかあったのか」
小幽々子「子猫が怪我をしていたの」
頼朝「足が折れているな。枝からおりそこねたのだろう。見せてごらん」
幽々子から猫を受け取り治療をはじめる頼朝
小幽々子「治せる?」
頼朝「もちろんだとも」
小幽々子「本当に?」
頼朝「私がお前に嘘を言った事があるかい?」
小幽々子「ううん」
頼朝「そうだろう?」
小幽々子「すぐよくなる?」
頼朝「ああ。(治療を終える)よし、これでいい。多少暴れてもすぐには外れないだろう」
小幽々子「ねえお父様。この子、よくなるまで私が面倒をみてもいい?このこを守ってあげたいの」
頼朝、しゃがみ込み、幽々子と目線を合わせて語りかける
頼朝「いいかい幽々子。我ら武家はこの身を捧げる京護法の剣だ。これはひいては都と帝をお護りさしあげることとなる」
小幽々子「はい」
頼朝「命を護るということは我らが使命」
小幽々子「はい」
頼朝「心して応えなさい幽々子。最後までその猫の命、護り抜くことができるかい?」
小幽々子「やります」

頼朝「そうか。ならばこの猫は今日から家族だ」
頼朝の手から猫を手渡される幽々子
小幽々子「わぁ・・・ありがとうお父様!!」
猫を抱えて駆け出す幽々子
頼朝「幽々子!急に駆け出すんじゃない!」
小幽々子「お母様にこのこを紹介してあげるのー!」
頼朝「やれやれ・・・(間、ひとりごちて)あの子は強さを秘めている。なによりあの優しさは、かけがえのない力になるだろう。あの子になら安心して頭領の座を譲れる」
不穏なBGM
幽々子のホラーっぽい悲鳴
小幽々子「いやあー!!!」
頼朝「幽々子!」
幽々子の元へ駆け寄る頼朝
頼朝「どうした幽々子!」
小幽々子「お父様!助けて!お父様!」
黒死蝶が幽々子を囲むように舞っている
頼朝「なんだこれは!」
小幽々子「ああ!猫が!どうして!?いや!いやぁあー!」
幽々子の手の中で、干からびていく子猫
頼朝「悪い夢でもみているのか・・・これは、一体どういうことなのだ・・・」
小幽々子「助けて!お父様ー!」

●7幕
猫「にゃー」
次郎「なんだ猫か」
猫「にゃー」
次郎「あは、子猫じゃんか。どうした?おまえ迷子か」
幽々子「い、いや・・・こないで!」
次郎「え!?」
猫「にゃ!」
走り去る猫
次郎「どうしたんだよ幽々子。急にでかい声なんて出して」
幽々子「あ・・・私・・・」
近寄る足音次郎のセリフ裏
秀衡「猫は嫌いかい?」
次郎「だれだ!」
秀衡「やあ」
次郎「アンタたしか・・・藤原秀衡。平泉の頭領、だろ」
秀衡「名目上のね。(猫に)さ、もういきなさい?仲間が心配するよ」
猫「にゃあ」
走り去る
次郎「なんだあの猫、人の言葉がわかるみたいな・・・」
秀衡「ああ、あれは妖怪だよ」
次郎「え?だってどうみたってあれただの・・・」
秀衡「そんなことないさ、尾が二本あっただろ?」
次郎「妖怪って、あんなのもいるの?」
秀衡「人間が訪れることはめったにないからね。君達が珍しかったんだろう」
次郎「へ~・・・バケモンみたいのしかいないと思ってた。ここって幻想郷だろ?」
秀衡「恐ろしい妖怪達が跳梁跋扈する土地、だとでも思っていたかい?ここに人を襲うような妖怪はいないよ」
次郎「え?じゃあ外で襲ってきたあいつらは一体・・・」
秀衡「ああ、あれかい?あれなら・・・」
式神を召喚する秀衡。紙を放り投げると獣の姿になる
次郎「こいつ、あの時の!」
幽々子「式神に結界を守らせていたんですね」
秀衡「そう。力を持つ妖怪は自分の事しか考えない。協調性がないのさ」
次郎「ふーん・・・なあ、ここから出してよ。俺たちべつに悪さしに来たわけじゃないって」
秀衡「大叔母様の命令でね。すまないがしばらく我慢しててくれ」
幽々子「大叔母・・・叔母・・・」
秀衡「君、頼朝の娘なんだってね。大叔母様は君を人質に使うつもりだ」
次郎「人質になんてならないって、こいつ、その頼朝にずっと閉じ込められたんだよ」
秀衡「だろうね」
次郎「え?」
秀衡「君はなんにも知らないんだね」
次郎「なんのことだよ」
秀衡「お嬢さん、君、西行寺を名乗ってるんだってね」
幽々子「はい」
秀衡「西行寺幽々子・・・西行寺・・・加えて頼朝の娘。とくれば、いやでもアレを連想するさ」
次郎「あ、あれってなんだよ」
幽々子「ん・・・」
次郎「幽々子?」
秀衡「まあいい。わからないということは、知らないということだ。2、3質問をさせてもらおう。なに、すぐ済む」
次郎「応えなかったらどうなるわけ?」
秀衡「応えるまではここにいてもらうことになる。出たいんだったら協力してくれ」
次郎「じゃ応えりゃ出してくれんの?」
秀衡「嘘をつかなければね。本当はすぐにでも出してあげたいんだけど、これも命令でね」
次郎「なんだ、ならなんでも聞いてよ、わかることなら応えるよ」
秀衡「では早速。ここへは何をしに来た」
次郎「知り合いの遺言だよ。幽々子を連れて陸奥にいる義経に会えって」

秀衡「知り合い?」
次郎「魂魄妖忌。幽々子の護衛みたいな人」
秀衡「大叔母様はここ数年陸奥にはいなかった。危ないところだったね」
次郎「マジで!?」
秀衡「さて、次だ。西行寺幽々子君、頼朝はどこだ」
幽々子「私は応えるとは言っていません」
秀衡「頼朝はどうやってアレの力を手に入れた」
幽々子「知りません」
秀衡「君と西行妖の関係はなんだ」
幽々子「言えません」
秀衡「知っているぞ西行寺幽々子。戦争を終わらせたのはお前の能力だろう」
幽々子「それは・・・」
秀衡「死を操るお前の力を西行妖が増幅した、違うか!頼朝はどうやってアレの力を操ったのだ!応えろ!」
次郎「おい!アンタ!」
秀衡「なぜ広有が楼観剣を持っている!その剣は魂魄妖忌の物だろう!」
幽々子「妖忌は・・・死にました」
秀衡「人類を滅ぼしかけたのは貴様だ!なぜアレを封じた魂魄妖忌が死んで貴様が生きている!」
幽々子「私は・・・!」
次郎「アンタいいかげんにしろ!」
秀衡「多くの人や妖怪が死んだ。なぜ罪もない彼らが死に、虐殺を行った貴様がのうのうと生きているかと聞いてる。応えろ西行寺幽々子」
次郎「・・・え?」
幽々子「やめて」
秀衡「父が!母が死んだ!一族すべてと多くの民が死んだ!」
幽々子「いや・・・」
秀衡「奥州だけではない、獣が、妖が、草木にいたるまであらゆる命が消えた!」
幽々子「いや!」
秀衡「あの日、世界が貴様に命を奪われたのだ!」
義経の声が響く
義経「落ち着け、秀衡」
秀衡「はっはっはっ・・・(我に帰り)大叔母様・・・」
義経「蓬莱の呪符の封印を解く、宝物殿を開け」
秀衡「御意・・・(息をつく)ふー・・・(間、落ち着きを取り戻し)すまなかった。また来る」
遠ざかる秀衡
次郎「幽々子っ、大丈夫か?」
震えてる幽々子顔面蒼白
幽々子「じ、次郎?」
次郎「幽々子・・・顔が真っ青だ・・・」
幽々子「あっ・・・」
次郎「なあ・・・あいつがいま言ったことって」
幽々子「ごめんなさい・・・」
次郎「え?」
幽々子「私がいけないんだわ。あの子猫だって私が拾ったから・・・」
次郎「幽々子大丈夫か?」
幽々子「違うの。私はただ助けたかっただけで・・・」
次郎「なに言ってんだよ!」
幽々子「あの時も自分の力が強くなっていくのを止められなかった」
次郎「幽々子!聞け!幽々子!」
幽々子「私・・・私はこの手で・・・!!」
幽々子を抱きしめる次郎
幽々子「えっ!?」
次郎「幽々子、聞いてくれ」
幽々子「離してください」
次郎「俺は気にしない」
幽々子「離してください!」
次郎「だから幽々子も気にすんな」
幽々子「離して!」
次郎「なにがあったか大体わかっちゃったけどさ」
幽々子「うっ・・・」
次郎「それでも、幽々子に笑って欲しい」

幽々子「そんなのできる訳ないじゃない!あの人の言う通りだわ、殺したのよたくさんの罪もない人たちを!笑うなんてできるわけないじゃない!」
次郎「大丈夫」
幽々子「私、生きてちゃいけないのよ!」
次郎「大丈夫だよ」
幽々子「勝手言わないでよ!なにが大丈夫なの!?私、もう、笑顔になんてなれない・・・」
間、沈黙、幽々子の嗚咽
次郎「幽々子、一緒にここを出よう」
幽々子「どこに行っても逃げらない・・・(それなら)いっそ・・・」
次郎「自分を責める気持ちがなくなるまで償って生きればいい」
幽々子「償うってなによ。死んだ人に謝れっていうの。そんなことしても死んだ人が生き返るわけじゃないわ」
次郎「幽々子は被害者だ。お前の罪は許されなきゃいけない」
幽々子「そんなの罪ほろぼしじゃない。エゴよ」
次郎「このさき一生かけても死んでしまった人と向き合うんだ。いつか罪の意識が消えるまで」
幽々子「そんなの・・・耐えられない。私、そんなに強くないわ」
次郎「俺が守ってやる。お前の痛みを俺に分けてくれ」
幽々子「勝手なこと言わないで、私のことなにも知らないくせに」
次郎「人と人が分かり合えることなんてできないよ。それでも、それだから、分かりたいって思うんだ」
幽々子「恐いの。たぶんこれからも私は・・・」
次郎「俺がずっと一緒にいてやる。お前が心から笑えるまで」
幽々子「ずっと?」
次郎「ああ、ずっと」
幽々子「なんで?」
次郎「幽々子に笑って欲しい。そのためならなんだってできる」
幽々子「なんでそんなこと言うの?」
次郎「お前のことが好きなんだ。初めて会ったあの時から」

幽々子「あの時あなたが広有って名乗って、私、思ったわ、また戦争の道具にされるんだって」
次郎「そんな!俺は・・・」
幽々子「でもあなたは、私を呪う死の力を消し去ってくれた。こんな私に幸せになれって言ってくれた」
一話のシーンリフレイン
幽々子「嬉しかった。この人なら、もしかしたらこの人なら私を救い出してくれるんじゃないかって、そう思ったの」
次郎「幽々子」
幽々子「次郎、お願い・・・(悲痛)私を助けて・・・」
次郎「ああ・・・必ずお前を助けてやる。俺の全てをかけて」
義経「全てってのは、お前の命も含まれるのかい」
幽々子「あなたは(いつのまに)!?」
次郎「ああ、そうだ。聞いてたならわかるだろ。幽々子のためならなんだってできる」
幽々子「次郎・・・」
義経「口ではなんとだって言えるさ」
次郎「(脅すような気迫)あんたには関係ないだろ。いいからここから出せよデバガメ野郎」
義経「よし出ろ」
次郎「(拍子抜け)えっ?」
義経「出してやると言ったんだ」
次郎「ええー?だってアンタ、幽々子を人質にするつもりだって・・・」
義経「勘違いするな出してやるのはこの牢だけだ。結界からはそう簡単には出られねえよ」

●8幕対決!義経VS次郎
場転八ヶ岳山頂。次郎と義経の戦闘になっている。定期的に爆発音。義経の攻撃による
義経「どうした。さっきから逃げ回るだけか?」
次郎「くそ!なんなんだこいつの拳は!?爆弾かよ!」
爆発音
幽々子「次郎!(義経に)おやめなさい!この人があなたになにをしたのです!」
義経「(からかうように)なにもしちゃいないな」
幽々子「ならどうして」
義経「次郎はあんたと違って用無しだ」
次郎「なにおう・・・」
義経「だが仮にもおまえは広有なんだろう?せめてこいつの起動実験に付き合ってもらうと思ってね」
大量の呪符を取り出す義経
幽々子「お符(ふだ)?」
秀衡「とある強力な呪が秘められた符だ。大叔母様はアレを対頼朝の切り札にしようと考えておられる」
次郎「対頼朝だって!?」
幽々子「あなた方の都合なんて知りません!次郎を襲うのをやめなさいと言っているのです!」
義経「わりぃな。私は自分勝手なんだ!」
爆発音
次郎「わあ!」
義経の攻撃を辛くもよけている
義経「どうした?逃げ回ってばかりじゃあいずれ私に殴り殺されるぞ。広有の力はどうした?背中の楼観剣は飾りか?」
次郎「対頼朝ってどういうことだよ。アンタ武家の人間だろ?」
義経「てめぇにゃ関係ない!!」
爆発音。義経の攻撃が命中する
次郎「ぐあああ!」
吹き飛ぶ次郎、ずさー
幽々子「次郎ー!!」
義経「ふん、その様子じゃ、力をコントロールできていないようだな。期待はずれもいいところだ」
次郎「う、うう・・・」
次郎から離れた位置で
義経「哀れだぜ。てめえみたいなザコの身代わりになって魂魄妖忌は死んだっていうのかよ」
次郎「(ダメージを引きずっている)妖忌を知ってるのか」
秀衡「武家が頭領、源頼朝。かつて頼朝に挑み生き残った者が二人だけ存在する。魂魄妖忌はそのうちの一人だ。頼朝が企てた世界崩壊の危機を未然に防いだ。いわば彼は英雄だよ」
義経「頼朝の強さはすでにこの世のものじゃない。妖怪だろうとなんだろうと尋常の者ではやつには勝てん。ならばどうする!尋常でかなわないのならば尋常じゃなければいいのさ!私はやつに勝って復讐を果たす!どんな手を使っても必ずな!」
次郎「義経・・・もしかして頼朝と戦って生き残ったもう一人って・・・」
義経「御託はここまでだ、これ以上知りたければ私に勝つことだな!」
攻撃を再開する義経。打撃音。ここから連続してしばらく。義経の猛攻が続く
次郎、攻撃くらった悲鳴5つくらい連録。ぐわ!とか
秀衡「幽々子君、君はもう見ない方がいいんじゃないかな。これはもう決闘とは呼べない」
秀衡を振り返り、睨みつける幽々子
幽々子「こんなの最初から決闘ではありません。あなた方の振る舞いはただの暴力です」
秀衡「(照れて言い訳をするように)すまない、ここまで勝負にならないとは思わなかったんだよ。(視線を幽々子から戦闘に移し様子を見た後しらけた様子で)彼は死ぬな」
凛として言い切る幽々子
幽々子「次郎は負けません」
秀衡「は?」
幽々子「こんな理不尽に次郎は負けません!!」
攻撃の手がとまる義経
義経「(イラっとして)・・・そいつぁどういう意味だい?」
幽々子「源義経、あなたはこの人に勝てないと言ったのです」
次郎、倒れたまま、ダメージのあまり頭もあげられずに
次郎「よく、わかってるじゃん、さっすがぁ・・・」
幽々子「はい」
義経「まだハッタリを言えるとは、根性だけは認めてやろう」
朦朧と、ぶつぶつと、独り言を言い始める次郎
次郎「気を、イメージを高めろ。大事なのはイメージだ。あの時はどうした。思い出せ。気を強く保ってイメージを高めろ。妖忌の言葉を、あの時の感覚を思い出すんだ。気を強く保ってイメージを高めるんだ。俺の剣はなによりも速い。俺の剣はなによりも速い。俺の剣はなによりも速い・・・」
義経「殴られ過ぎてイカレたか」
次郎「そうだ・・・」
義経「いま楽にしてやるよ!」
次郎「俺の剣はなによりも速い」
拳を振るう義経。打撃音。地面を殴っている。瞬間移動のように加速してこれをよける次郎
義経「消えた!?どこへ行きやがった?」
高速で移動しつづける次郎。攻撃。打撃音
義経「ぐわ!馬鹿な!私が追いきれないだと!?」
BGM
秀衡「なんだこの感じは。気の質がまるで別物・・・いや、これでは別人だ」
義経嬉しそうに
義経「おもしれえ・・・やっとお出ましってわけかよ!広有の力見せてみろ!」
高速で義経のふところに入る次郎。瞬間移動の音
次郎「なにボーっとしてんだ」
義経「なに!?」
どごぉ!打撃音。吹き飛ぶ義経
義経「ぐああああ!!」
吹き飛び、叩きつけられる。どかーん
秀衡「大叔母さま!!」
すぐに立ち直る義経
義経「ぐ・・・こうでなくちゃいけえねぇよなぁ!」
次郎「この感じあの時の・・・今なら!」
義経「はあああ!!」
次郎「こい!楼観剣!!」
次郎の手元に現れる楼観剣
義経「剣を呼んだと!?意思があるとでもいうのか!」
次郎「はああああ!!」
楼観剣を振るう次郎。妖忌のような重厚な攻撃になっている。ずどーん。
しらばくチャンバラ
秀衡「なんだあの剣激は!」
義経「くっ!!」
秀衡「これが合身半霊の術。これほどとは・・・大叔母さま!」
ずざざ。距離が離れる二人
義経「呪符が発動しない。どういうことだ!」
次郎「幽々子を守るって誓ったんだ・・・」
義経「なぜだ!発動条件は満たしているはず!」
次郎「力を利用することしか考えない、アンタみたいなやつには絶対に負けない!」
共鳴音
義経「まさか、蓬莱の呪符を・・・月の宝具の力を打ち消したというのか!!」
瞑想し気を高める次郎
次郎「はああ・・・」
義経「私は負けん。こんなところで止まれないんだ!!」
次郎に飛びかかる義経。次郎飛び上がり中空で打撃を浴びせる
次郎「弦月斬!(げんげつざん)」
ドカァ!次郎の攻撃が命中。
間。ドサっ。義経倒れる
次郎「安心しろ。峰打ちだ」
義経「これが広有の力・・・がは!」
次郎「俺の力じゃないよ。俺は、助けてもらっただけだ」
義経「なんだと・・・」
どさ、倒れる義経。次郎勝利
次郎「俺はただ妖忌を、俺は強いって言ってくれた妖忌の言葉を信じただけだ」
義経「アレは広有の力じゃないと言いたいのか」
次郎「アンタは、目先の力に惑わされて自分を信じることができなくなったんだ」
パチン。納刀
義経「・・・強さは力だ、力のない正義に誰が従う」
次郎「さあね。難しいことはわかんないよ」
義経「お前はその力を手に入れるために何を犠牲にした」
次郎「なんにも犠牲になんかしてないって。ただ・・・信じてるんだ」
義経「信じる?お前の意思の強さをか?」
次郎「(ちがうよ)妖忌、幽々子、それに死んだおふくろや親父、みんな俺を信じてくれた。俺自身がそいつを裏切る訳にはいかないよ」
義経「それがお前の・・・」
次郎「でも、幽々子が一番だぜ!サンキューな、俺が勝つって信じてくれて。聞こえてたぜさっきの」
幽々子「うん」
義経「ふっ・・・あながちただの思い込みって訳でもなさそうだ。お前たちを見てるとそんな気になってくるよ」
次郎「へへっ」
義経「次郎!・・・私の、負けだ」

秀衡「嘘だ・・・大叔母さま・・・」
義経「秀衡もういい。こいつらは・・・」
秀衡「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だー!!」
義経「なに?」
敗北した義経をみて激昂する秀衡
巨大化し幽々子を体内に取り込む。
秀衡「う、うううう・・うがァああー!!」
幽々子「えっ?キャー!」

●9幕秀衡、西行妖の力
化け物と化す秀衡、次郎に襲いかかる。イメージはジャバザハット。
ボコボコ言ってる音の中
幽々子「次郎ー!!」
次郎「幽々子!!」
ズドン、楼観剣を取り落とす次郎
変身時間切れ。力が抜けていく音キュイーン
次郎「なっ!?また楼観剣が!(全力で重い剣を持ち上げようとしながら)クソ!こんな時に!」
義経「この姿、秀衡、てめぇ・・・」
秀衡「大叔母様は間違っちゃいない!力とはつまり暴力だ!圧倒的な暴力の前ではすべてが薄氷の様なものだ!」
幽々子「じ、ろう・・・」
ゴボゴボ、巨大な肉塊化した秀衡に飲み込まれて見えなく幽々子
次郎「幽々子を離せー!!」
秀衡の攻撃ずどーん
次郎「ぐあああああ!!」
地面に叩きつけられる爆発音
秀衡「信頼の力とやらでどうにかしてみろよ、広有」
次郎吐血
次郎「がは、う、うう・・・」
秀衡「どうした!なんとかしてみろよ!俺の暴力に敵わない現実が信頼とやらで覆るのか!」
秀衡の攻撃ずどーん
次郎「がは!」
義経「やめろ秀衡」
秀衡「ちょっと待っててくださいよ。すぐこいつ潰しちゃいますんで」
次郎に止めを刺そうとする秀衡
義経「やめろ!!」
秀衡「あぁ?」
義経「どういうつもりだ、私は次郎を殺すために戦ったわけじゃねえ」
秀衡「だってこいつ、大叔母さまを負かしたりするから」
義経「おまえも見ていただろう」
秀衡「んん・・・」
義経「尋常の勝負だった」
秀衡「んんん!!」
義経「私は・・・次郎より弱い。それだけだ」
秀衡「んんんんー!!!そんなの許さなーい!!」
どっすんどっすんじたんだを踏む秀衡、義経を秀衡攻撃する。ぶちゃぶちゃぶちゃ
義経「なに!?秀衡てめえなんのつもりだ!!」
秀衡「ぶああー!!!」
義経に次の攻撃が迫る
次郎「危ない!!」
義経「うあ!」
ドン!義経を庇い秀衡の攻撃を受ける次郎
次郎「ぐあ!」
義経「次郎!」
次郎「義経!幽々子を頼む!」
義経「おまえどうして!?」
次郎「頼む・・・」
幽々子同様飲み込まれる次郎
沈黙
秀衡「ふっふっふ・・・どんな力を使っても必ず勝つ、俺はあなたの言葉を信じて生きてきた。みてよこの姿。これが大叔母様の教え。俺が信じた力の答えだ」
義経「どういう意味だ」
秀衡「わかんない?俺はもうあなたより強いって言ってるんだけど」
義経「秀衡てめぇ」
秀衡「吸収した者の力をそっくりそのまま自分の物にできる程度の能力。それが今の俺の力さ。あなたに勝った広有の力はもう俺のものなんだ、あなたより強いってのが物の道理ってやつでしょ?」
義経「てめぇまさか・・・」
秀衡「気がついた?俺も頼朝からもらったんだよ。あなたと同様にね」

過去シーン。頼朝vs妹紅 リバーブ
頼朝「どうした藤原の娘。俺の首を取りにきたのだろう」
妹紅「これが源頼朝・・・バケモンかよ・・・」
頼朝「俺にここまで拮抗できたのは貴様がはじめてだ。妖怪を含めてな」
妹紅「はあああ!」
妹紅のすごい攻撃。しばらくSE
妹紅「はぁ、はぁ・・・なに!?」
頼朝無傷
頼朝「なるほど、よく鍛錬されたいい攻撃だ。人間を域は軽く越えている。だがそこまでだ。尋常の攻撃では俺には届かんよ」
妹紅「舐めるなよこの野郎!!!」
キックを放つ妹紅。ヒットするがまるで効いていない
頼朝「いい闘志だ、気に入った。(寸間)貴様を俺の手駒にすることに決めたぞ。藤原の娘よ」
妹紅「へっ・・・ケツを舐めろよこのクソッタレ!!」
頼朝「俺が手に入れた力の一部、貴様に授けよう」
妹紅「んなもんいらねぇな」
頼朝「死を操り、骸を操り、世に静寂をもたらす力をな」
妹紅「・・・なに?」
頼朝「オンアビラウンケン」
妹紅「てめえ!アレをこの世に召喚したっていうのか!!」
共鳴音が徐々に大きくなってゆく
頼朝「ナウマクサマンダボダナンアビラウンケン。我が命は絶対。我が命を与えし時、貴様のイドは消え、我が式神となるのだ」
妹紅「よせ・・・やめろ!」
頼朝「我が式としての名を与える。今より貴様の名は義経。我に遣えし九番目の傀儡。源九郎義経!」
妹紅「う、うう、うわああ!!」
頼朝「オン アビラウンケンソワカ」
妹紅「ぐわああああ!!!」
過去シーンここまで

秀衡「そう、いまの俺は頼朝の傀儡人(くぐつびと)ナンバーテン。ナンバーナイン義経、あなたのネクストナンバーズさ」
義経「秀衡ァ!!」
義経、秀衡に殴りかかるが、全然効いてない。びちゃ!ぶちょぶちょ
秀衡「ちょっとーやめてくださいよー。怪我したらどうするんですかー」
秀衡反撃、距離をはなす義経
義経「あの体、打撃じゃ相性が悪すぎる。くそっ!」
秀衡「ひっひっひっひっ」
義経「秀衡!アレの正体を知っていて、頼朝に従ったのか!」
秀衡「そうだけど?」
義経「馬鹿野郎!あんなもんの力に頼ってどうする!」
秀衡「どんな力でも力は力だ!強ければいいのさ!あなただって頼朝の強さに屈したじゃないか!」
義経「違う!私は!・・・なに!?」
秀衡の攻撃。命中する。SE
秀衡の触手に捕縛される義経
秀衡「ひーっひっひ・・・つかまえたぁ」
義経「私が求めた物の果てが、この秀衡の姿だというのか・・・」
秀衡「大叔母さま~・・・一つになろうよぉ~・・・」
義経「いまからでも遅くない。その力は捨てるんだ。そいつは人が扱えるようなもんじゃない」
秀衡「捨てる?この力を?」
義経「そうだ」
秀衡「意味わかんねー!命乞いならもっとうまくしなよ!」
SE派手に
義経「馬鹿野郎が・・・」
秀樹「いただきまーす」
しばらくSE。
秀樹「安心して大叔母さま。うまくやるよ。アレが世界を滅ぼした後もね」
やがて沈黙
秀樹「これで俺とあなたは一つだ・・・」
沈黙。間。炎が灯るSE
秀衡の体内から義経の声がする。リバーブ
義経「強者は奪い、弱者は奪われる。それが世界のルールだ。そいつは間違っちゃいねぇ」
秀樹「なに?」
義経「すべてを捨てる覚悟、それこそ人がもつ力の根源。秀衡、てめーの覚悟は本物だ。そいつは認めてやる。だが」
秀樹「(イライラと憎しげに)大叔母さま、あなたはまだ・・・う?」
炎と共鳴音がじょじょに大きくなる。
義経「どんなに蹂躙され、汚されても決して自分から手放しちゃいけねえもんがある」
苦しむ秀衡
秀樹「う、うう、ううう・・・!!」
義経「それは、誇りだ!!」
秀衡の体内から脱出する義経。ドゴオ。次郎と幽々子を抱えている
悶え苦しむ秀衡
秀衡「うぎゃぁああ!!(可能なら悲鳴長めに)」
悲鳴と台詞クロスさせない
義経「そうだ。私は頼朝に勝って誇りを取り戻す」
次郎「ぷあああ!!」
義経「よう次郎。さっきぶりだな」
次郎「義経!?アンタなんで(俺を助けた)?」
義経「そいつはこっちの台詞だ。なんで私をかばったりした」
次郎「んなもん当たり前だろ、アンタ女じゃないか」
義経「は?」
次郎「男は女を守るもんなんだよ。そんなことも知らないの?」
義経「ふ・・・はーっはっはっは!そうだな、ありがとよ次郎、おかげで大事なことを思い出したぜ」
次郎「なんだそりゃ・・・わああ!」
秀衡の攻撃どごーん
義経「あいつは、私の手でケリをつける。次郎、おまえは幽々子を守れ」
次郎「わかった」
目を覚ます幽々子
幽々子「次郎?私・・・?」
次郎「幽々子、よかった・・・」
どごーん。秀衡の攻撃が次郎と幽々子を襲う。幽々子を抱えたまま辛くもよける次郎
幽々子「きゃ!?」
次郎「わああ!!こいつどんどん強くなってないか!?(呼びかけるように)義経!!(お前勝てるのか?)」
義経「ああ。わかってるさ」
共鳴音。喧騒が静まる
義経「蓬莱の呪符の呪いは根源を具現化する。私は自分の根源を復讐だと思い違いをしていた・・・だがいまなら・・・」
再び呪符を取り出す義経。
義経「呪符よ、呪いのほむらよ、いまこそ目覚め、我が身を焦がせ」
義経の全身を炎が包むSE
秀衡「呪符の使い方を間違ってる!呪いで崩壊するエントロピーに人間の生身が耐えられるわけないじゃないか!」
義経「我が身は不死の煙、呪われし蓬莱の人の形・・・」
秀衡「い、生きてる・・・あの炎の中で・・・」
義経「誇りこそ我が根源なり!!いまこそ目覚めろ、不死鳥フェニックス!!」
大爆発。鳥の咆哮。義経の背に炎の翼が生える
次郎「炎の、翼・・・」
ごごごごごご
義経「さあ、お仕置きの時間だぜ」
秀衡「どうして・・・あの日、俺に強くなれっていったのは大伯母様じゃないか・・・」

義経「そうか、秀衡、お前・・・」
秀衡「俺、約束通り強くなったよ。それでも俺を拒むの?」

義経「すまない秀衡、私が間違ってた」
秀衡「ぐぅ・・・ぐあああああ!!!」
義経「すまない」
秀衡「なんだよそれ!この姿をみてよ!もう後には戻れないんだ!それをなんだよ!いまさらさぁ!!」
義経「私を間違ってた。でも、お前はなにも変わっちゃなねーさ。あの時のまんまな」
秀衡「・・・ふざけんな・・・ふざけんな!なんだよそれ!うわああああ!!」
義経に襲いかかる秀衡。が
義経「永遠に黄泉返る不死(ふじ)の炎よ、私の過ちを焼き尽くしてくれ・・・火の鳥!鳳翼天翔(ほうよくてんしょう)」
義経の必殺技。すごい派手なSE
共鳴音。フェードアウトするSE

秀衡と妹紅の過去
子ども秀衡泣いている
義経「こらヒデ坊、なにめそめそしてやがる」
小秀衡「ぐす・・・大伯母様・・・」
義経「おまえは男だろ?そう簡単に泣くんじゃない」
小秀衡「だって、俺・・・」
義経「今日勝てなくったてな、明日勝ちゃいいんだよ。明日」
小秀衡「明日勝てなかったら?」
義経「勝つ。絶対に勝つ。てめえでそう思いこむんだよ。いいか、自分からぜってー諦めねえこと」
小秀衡「それは大叔母様が強いから言えるんだよ」
義経「いいかヒデ坊、悔しいなら勝って報われろ。報われるために諦めんな」
小秀衡「やっぱ俺じゃ無理だよ・・・」
義経「なさけねーツラすんなっての。おまえも藤原の子だろう。でっかくなったら私を守るくらい言ってみろ」
小秀衡「うん・・・!」
過去ここまで
テレパシー会話的な。リバーブ
秀衡「大伯母様にはわかんないよ。世の中にはさ、頑張っても頑張っても、どんなに頑張っても強くなれないやつってのがいるんだよ。個性ってやつさ」
義経「すまねぇ」
秀衡「ほんとだよ。それでも俺、大叔母さまに認めてもらいたかった。それだけだったんだ。ねえ、俺、がんばったよね」
義経「ああ。やるだけやった、それでも結果が必ず正しくなるとは限らねえ。それをわかってやったんだろ?おまえは最後まで自分を信じた。見事だぞ秀衡」
秀衡「そう、なら、いいや・・・」

●10幕
瞬間無音
那由他「なーんて、諦めのいいことじゃ、俺がこまるんだよ」
斬撃音
突然現れる那由他。2振りの剣を携えている。一本は青楼剣、もう一本は白楼剣。人の迷いを断つ魂魄の秘宝である。
白楼剣を秀衡に突き立てる那由他。
秀衡「ぐあああ」
義経「な!?秀衡!!」
幽々子「那由他!?どうしてあなたが!」
那由他「やぁゆゆちゃん。そこにいるナンバーナインとナンバーテンに用事があってね。(怒って次郎を睨み)ナンバーツーがいるとは予想外だったけど」
次郎「那由他・・・!」
義経「私をナインと呼ぶんじゃねえ」
那由他「頼朝の傀儡と化したお前たちはいわばアレの力の秘密そのものだ。俺の野望のため利用させてもらう」
秀衡「ぐおおおお!」
秀衡の断末魔。獣の咆哮にクロスフェードしていく
秀衡の体がさらに巨大化。肉塊のようになってゆく。びきびきびき!
義経「秀衡!!てめえ!秀衡になにをした!!」
那由他「この剣は白楼剣。白楼剣の斬撃は人の迷いを断つ。ナンバーテンは力を渇望する意思に飲まれ、完全なる深き者共(ものども)となったのだ」
巨大化を続ける秀衡。ぶちょぶちょ
秀衡を中心に大嵐が起きる。木が折れる音、爆発音など
義経「これが、深き者共の姿・・・」
那由他「こうなっては彼は止まらない。さあ、幻想郷ごと飲み込まれ、深き者共の一部となるがいい!!」
幽々子「触れた物全てを吸収している・・・このままじゃ彼は・・・きゃ!」
次郎「幽々子!くそ!めちゃくちゃだ!こんなのどうしろってんだよ!!」
SE台詞の裏。秀衡の無差別攻撃。
秀衡の心の声が義経に届く。秀衡の声リバーブ。共鳴音。
秀衡「大叔母さま」
義経「はっ!?」
秀衡「お願い大叔母さま、俺を殺して」
義経「ああ、辛かったなヒデ坊。いま楽にしてやる」
義経の炎がヒートアップしていく
次郎「義経、なにを・・・うわ!」
折れた大木が風にとばされ次郎を襲う
那由他「そんなチンケな炎でどうにかできると思っているのかい!?」
義経「みせてやるよ。対頼朝の最大奥義・・・凱風快晴(がいふうかいせい)フジヤマヴォルケイノ!」
BGM
連続して起こる大爆発
義経「はあああ!」
一瞬無音
秀衡「ありがとう・・・先に行ってるよ」
大爆発。徐々に収まり沈黙
義経「馬鹿野郎・・・私はそっちにはいけねえんだよ。永遠にな・・・」
間。生きてた次郎と幽々子
幽々子「義経様」
義経「おう、生きてたか」
次郎「終わったのか?」
義経「フジヤマヴォルケイノは深き者共に対抗するための技の一つだ。焼き尽くしたさ。完全にな」
幽々子「深き、者共?」
義経「アレに従う物はそう呼ばれている。秀衡は人間でも妖怪でもねえ、アレの力に従うだけの肉塊になっちまったってことさ」
次郎「アレ・・・ってなんなんだよ」
義経「アレがどこから来たのかはわからねぇ。大昔からここにあってどこにもない。ある時は歩く炎、ある時は大蛸、ある時は黄色い衣を着たトカゲ、ある時は巨大な八重桜。死の象徴にして生の支配者・・・この国じゃアレは、西行妖と呼ばれている」
次郎「西行妖!?」
義経「頼朝は西行妖の死を操る能力を手に入れた、西行妖に命を奪われた者は死してなお西行妖に操られる。傀儡のようにな」
次郎「死体を操る桜・・・桜、桜の花びら・・・ちょっとまて」

※前回の録音をつかうので台詞読まなくていいです。
次郎「え?・・・これ、桜の花びら?なんでこんな地下で?」
ゾンビのようなうめき声
次郎「こいつら妖怪、妖魔兵器か」
幽々子「この人達は、私の・・・」

次郎「はっ?(俺は)何考えてんだ、そんなの、ただの偶然にきまってる」
幽々子「次郎?」
次郎「な、なんでもないよ」
義経「幽々子、おまえ、頼朝からなにか聞かされているだろう」
幽々子「はい・・・」
次郎「幽々子、辛いなら、その・・・」
幽々子「大丈夫。次郎、話をさせて」
次郎「わかった・・・」
幽々子「6年前のあの時、父は言っていました、妖怪の侵入を防ぐ京の結界。それを西行妖復活に利用すると」
義経「そうか、あの時アレが現れたのは、たしかに京都だ・・・つまり」
ぞぶ。斬撃音。義経、突如あらわれた那由他に心臓を貫かれる
那由他「これ以上君達が知る必要はない」
義経「がは!」
幽々子「義経様!」
BGM
次郎「那由他!おまえ生きて・・・」
那由他「次は貴様の番だ、広有ぃー!」
紫「あらあら。(区切る)いつから人間は幻想郷を好き勝手にするようになったのかしら?」
那由他「なに?」
紫「はい」
フィンガータップ。黒死蝶が現れる
那由他「馬鹿な・・・これは、黒死蝶か!!」
次郎「なんだって!!伏せろ幽々子」
がばっ。幽々子をかばう次郎
幽々子「あっ!」
紫「はい。あなた方はこっちよ」
再びフィンガータップ。時空が歪む音
次郎「ちょ、ちょっとまってアンタ一体何者だよ」
喋ってる最中で消える3人
那由他「消えた!?瞬間移動か?いや、違う」
紫「さて、あなたはどうなさるの?」
那由他「幻想郷のバケモノか・・・」
紫「いやですわ。バケモノだなんて。私はもっと幻想的な何かですのよ」
那由他「広有をどこへやった」
紫「ひ・み・つ。さあさあ、のんびりしてたら死蝶の二重螺旋の輪の中ですわよ?」
那由他「・・・いまは大人しく引いてやる。が、覚えておくがいい、広有は俺の獲物。邪魔をするなら必ず貴様を殺す」
紫「あら素敵。いい目をしますのね。人間の分際で」
那由他「我が名は魂魄那由他。覚えておくがいい」
紫「これはご丁寧に・・・私は八雲紫。この地を荒らす方にお灸をすえてまわっている、普通の美少女ですわ」