第13話「覚醒」

Last-modified: 2011-10-26 (水) 13:25:09

よう。

・・・また・・・お前か。

ククク、また、で悪かったな。

いや、すまない・・・

・・・致命傷じゃねぇか。

ああ・・・これまで・・・みたいだ。

・・・じゃねぇ。

ん?

ここで終わりじゃねぇ。テメェにはまだ生きてもらわないと困る。

・・・でも、もう俺は・・・

俺に、任せろ。

なんとかできるのか?

テメェよりは、な。まぁ見てろや。


ルーァは樹の上で、1人の好敵手の死に敬意を表し、黙祷していた。

ル「さて・・・ルーンを回収して戻らなくては。フォールインの方も
  片がついてるころだ・・・」

濁流を解除しようとしたその時、突然、濁流の中心が吹き飛んだ。

ル(な・・・?)

大量の水はあっという間に吹き飛び、その中心に立っていたのは、
先ほど殺したはずの少年だった。
その腹の傷からは、既に出血は止まっていた。
しかし、纏う雰囲気だけが、違っていた。
それは、凄まじい殺気と、狂気。

ル「お・・・お前は・・・何だ?」

「ククククク・・・何だ?か。俺は・・・ハーデンス。」

莫大な空気の力が、少年・・・ハーデンスに集まってゆく。

ハ「テメェの・・・敵だァァァァァァァァ!!!!!」

ル「!!」

ハーデンスの腕から、無数の風の槍が飛ぶ。
ルーァは咄嗟に水盾でそれを防ぐ。

ハ「ヒャハハハハハハ!!!まだまだァァァ!!!」

周囲の大木が次々に引き抜かれ、ハーデンスの周囲を舞う。

ル「なんだ・・・この力・・・先ほどまでとは比べ物にならない!」

その大木が、一斉にルーァに襲い掛かる。

ル「く・・・"濁流波"!」

濁流を巻き上げ、大木を吹き飛ばす。

ル「!?」

ハ「よう」

突然、目の前に現れたハーデンスに、気流を纏わせた脚で全力で蹴り飛ばされる。
吹き飛ばした大木の裏を縫い、ルーァに近づいていたのである。

ル(ぐ・・・が・・・なんて・・・威力・・・)

数十メートル吹き飛ばされ、地面にたたき付けられた。
骨が折れる音がして、胸と腕に激痛が走った。

ハ「ハ、無様だなぁ・・・?」

ル「ゲホ・・・く・・・」

ハ「まぁ楽しませてくれた礼だ。苦しまないよう、楽にしてやるさ・・・」

膨大な量の空気が、ハーデンスの腕に圧縮される。
やがて、青白い光が迸った。

ル「まさか・・・大気を圧縮し、高電離気体(プラズマ)を・・・!?」

ハ「アバヨ、クソ魔術師。」

轟音と共に、ルーァの断末魔が響き渡った。