あの戦いから、1週間が経った。
夜の森。アグアド達は今夜も、魔物退治をしていた。
ア「おらぁ!」
プラズマを纏わせた岩を飛ばし、魚人のような魔物を爆砕する。
ハーデンスが覚醒してから、不思議と力の扱い方が上達していた。
ア「ふぅ・・・コレで最後かな?」
べ「やるじゃんやるじゃん。もう1人前だねぇ。」
木陰から様子を見ていたべラムが、ぱちぱちと手を叩きながら
歩み寄ってくる。
あの戦い以来、アグアドはべラムに戦闘術を教えてもらっていた。
ア「アハハ、まだまだですってば。それにこの程度なら雑魚ですし・・・」
そう。あの戦い以降、魔物の侵攻も若干少なくなってきていた。
ア「それに、べラムさん見たいに魔物を素早く感知出来ませんし・・・」
べ「まぁこればかりは実戦経験積まなきゃだね。敵が見えないときは、
闇雲に動くんじゃなく、こう・・・5感を研ぎ澄ませるの。」
ア「難しいですね・・・」
すると、森の奥からこちらへ近づく志菜とてりやきの姿が。
てり「ミシェナさんから伝言。重要な話があるから、すぐに基地に戻れってさ。」
ア「了解。すぐ戻る。」
志「ねぇ、アグ。」
隣にいた志菜が、ぽつりと呟く。
志「アグさ・・・最近すごく、頼もしくなったよね・・・」
ア「なんだ?昔は頼もしく無かったってか?」
志「だってさ・・・昔はほら、アンタあんなに泣き虫だったじゃない。」
小学校のころ、アグアドはかなりの弱虫泣き虫で、よく同級生にいじられていた。
その度に、当時から勝気だった志菜が、アグアドをかばっていた。
アグアドを泣かせた近所のガキ大将とその取り巻き3人を、志菜1人で
ねじ伏せたこともあった。
志「それがいつの間にか立場逆転されてるし・・・はぁ、なんか複雑・・・」
ア「い・・・いいだろ昔の事は!ほら、行くぞ!」
志菜がてりやきとべラムに昔話を始めているのを見ると、逃げるように
アグアドは基地へ猛スピードで帰るのだった。
ミ「全員揃ったか。では、メッセージを公開する。」
今日の夕刻、ロンドンのレリア本部から、メッセージが届いたらしい。
公開されたメッセージは、次のような内容だった。
"全世界の同胞達よ。ついにこの日が来た"
"先日、エリンへ行った先遣部隊が、ついに拠点を確保した。"
"彼らの情報と功績により、我々はついにエリンへの反撃の用意が整った。"
"明日、各支部へ通達した時刻に、作戦を決行する。"
"付近のパワースポットより、添付した方法を用いて、エリンへ侵攻せよ"
メッセージが流れ終えると、その場にいた全員がざわつき始めた。
ミ「日本時間の作戦開始時刻は、夜9時だ。各員、明日に備えしっかりと休んでおけ!」
てり「ついに反撃だな!燃えてきたぞおおおお!」
むと「そのまま焦げろてりやき」
むー「いよいよか・・・腕が鳴るな・・・」
皆、かなり気合が入っているようだ。基地内にも熱気が充満しているのが分かる。
志「・・・ねぇアグアド、ちょっと時間いいかな。」
ア「うん・・・何?」
志「ちょっとここじゃ・・・場所変えよ?」
志菜はアグアドの手を引くと、基地の外へと向かった。