第17話「第2の番人」

Last-modified: 2011-08-27 (土) 16:49:03

キーパー「2問目。ここに5つの棒がある。2本動かし、3にしてみろ。 
     ただし、折ったり重ねたりは禁止だ。」

横向きの棒が、上から下に5つ並んでいた。

志菜「うわ・・・また難問?」

キーパー「あと1分。」

志菜「いちいち言わないで!」

棒をじっと見つめる。

志菜「2本動かし・・・3つに・・・3に?あ、わかった!」」

2本目と4本目の棒をとり、1本を1本目と3本目の右端に、もう1本を3本目と5本目の右端に、それぞれ縦に置いた。

デジタル数字の、"3"が出来上がる。

キーパー「・・・・・・」

志菜「・・・・・・」

再び沈黙。

キーパー「正解。」

志菜「だからそのタメやめろって言ってるでしょ!」

キーパー「最後だ。第3問目。」

志菜「シカト!?」

キーパー「ここに、ケンジ君、ユミちゃん、ジュウゴ君、ショウタ君の4人がいる。」

志菜「いきなりフレンドリーになったわね・・・」

キーパー「ヒント1.彼らには特技がある。剣道、弓道、柔道、書道の4つだ。
     ただしケンジは剣道は得意ではない。ユミも弓道が、ジュウゴも柔道が、ショウタも書道は得意ではない。」

キーパー「ヒント2、ユミは柔道の試合でジュウゴに負け続けている。」

キーパー「ヒント3、弓道が得意な者はショウタとよく遊ぶ。しかしショウタは剣道が得意な奴とはあまり遊ばない。」

キーパー「最後のヒント。ケンジは書道が得意なやつに書道を教わっている。それはユミではない。」

キーパー「以上だ。この中で、剣道が得意なのは誰だ?」

志菜「えっと・・・まずはケンジが」

キーパー「あと3分。」

志菜「これは3分なのね・・・えっと・・・」

顎に手を当て、ぶつぶつと問題を繰り返す。

志菜「ケンジは剣道が・・・ユミは弓道・・・で、ショウタは・・・書道が苦手。
   ユミはジュウゴに柔道で負けてる・・・だから柔道は得意じゃないか。」

キーパー「あと2分。」

志菜「弓道が得意なのはショウタと遊ぶから、ショウは弓道はダメ。剣道とは遊ばないから剣道も・・・
   あ、書道も苦手だから書道もダメ・・・じゃあ・・・ショウタが得意なのは、柔道!」

キーパー「あと1分」

志菜「それで・・・ケンジは書道を教わっている、それはユミじゃない・・・つまりこの2人は書道がダメ。
   柔道が得意なのはショウタだし、ケンジは剣道は苦手、じゃあ、ケンジは弓道が得意!」

キーパー「あと30秒」

志菜「それで・・・ユミは書道ダメ、柔道も違う、弓道はケンジだから・・・つまり・・・」

ストーンホースキーパーに、向き直る。

志菜「剣道が得意なのは・・・ユミね!」

キーパー「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

志菜「・・・・・・・・・・・・・・・」

長い沈黙。

ふと、キーパーの顔が笑った。

キーパー「見事だ、冒険者よ。約束どおり、宝はお前達のものだ。」

そう言うと、ストーンホースと共に、消えていった。

アグアド「すげぇじゃん!さすがだぜ!」

志菜「あのタメ・・・最後までやめなかったわね・・・」

ルーァ「いやはや、さすが皇女様。見事見事。」

フォールイン「全くです。私達は信じてましたよ!」

べラム「おっと・・・これだね。魔法具は。」

奥の部屋にあった、台座に設置された緑色の珠を指差す。

yasuhiro「そのようですね。ハッ!」

剣を一閃、珠を真っ二つに両断した。

珠は音も無く粉々になり、塵となって消える。

アグアド「・・・これで2つ目。半分だな。」

志菜「残るは・・・ロンガ遺跡と、パルー遺跡・・・どっちも遠いな・・・」

yasuhiro「それに加え、エルフ、ジャイアントの本拠地の近くです。これまで通りとはいきそうにもありませんね。」

フォールイン「それでは・・・次はこの"ロンガ砂漠遺跡"だな。この砂漠を越えねばならんか・・・」

ルーァ「エルフにも注意しなければな・・・」

外に出ると、太陽は高く上っていた。

yasuhiro「ちょうどお昼のようですね。ここから東へ行けばルトゥラー川があるので、
     そこで昼食としましょうか。」

べラム「その川を越えれば・・・コンヌース地域だね。」

アグアド「まだアイツらの手がかりも掴めないな・・・」

志菜「・・・あせっても仕方ないよ。さ、早く行こう。」

アグアド「そうだな・・・次は砂漠の遺跡か・・・」

まだ見ぬ砂漠を想像しながら、一行は進み始めた。