キーパー「2問目。ここに5つの棒がある。2本動かし、3にしてみろ。
ただし、折ったり重ねたりは禁止だ。」
横向きの棒が、上から下に5つ並んでいた。
志菜「うわ・・・また難問?」
キーパー「あと1分。」
志菜「いちいち言わないで!」
棒をじっと見つめる。
志菜「2本動かし・・・3つに・・・3に?あ、わかった!」」
2本目と4本目の棒をとり、1本を1本目と3本目の右端に、もう1本を3本目と5本目の右端に、それぞれ縦に置いた。
デジタル数字の、"3"が出来上がる。
キーパー「・・・・・・」
志菜「・・・・・・」
再び沈黙。
キーパー「正解。」
志菜「だからそのタメやめろって言ってるでしょ!」
キーパー「最後だ。第3問目。」
志菜「シカト!?」
キーパー「ここに、ケンジ君、ユミちゃん、ジュウゴ君、ショウタ君の4人がいる。」
志菜「いきなりフレンドリーになったわね・・・」
キーパー「ヒント1.彼らには特技がある。剣道、弓道、柔道、書道の4つだ。
ただしケンジは剣道は得意ではない。ユミも弓道が、ジュウゴも柔道が、ショウタも書道は得意ではない。」
キーパー「ヒント2、ユミは柔道の試合でジュウゴに負け続けている。」
キーパー「ヒント3、弓道が得意な者はショウタとよく遊ぶ。しかしショウタは剣道が得意な奴とはあまり遊ばない。」
キーパー「最後のヒント。ケンジは書道が得意なやつに書道を教わっている。それはユミではない。」
キーパー「以上だ。この中で、剣道が得意なのは誰だ?」
志菜「えっと・・・まずはケンジが」
キーパー「あと3分。」
志菜「これは3分なのね・・・えっと・・・」
顎に手を当て、ぶつぶつと問題を繰り返す。
志菜「ケンジは剣道が・・・ユミは弓道・・・で、ショウタは・・・書道が苦手。
ユミはジュウゴに柔道で負けてる・・・だから柔道は得意じゃないか。」
キーパー「あと2分。」
志菜「弓道が得意なのはショウタと遊ぶから、ショウは弓道はダメ。剣道とは遊ばないから剣道も・・・
あ、書道も苦手だから書道もダメ・・・じゃあ・・・ショウタが得意なのは、柔道!」
キーパー「あと1分」
志菜「それで・・・ケンジは書道を教わっている、それはユミじゃない・・・つまりこの2人は書道がダメ。
柔道が得意なのはショウタだし、ケンジは剣道は苦手、じゃあ、ケンジは弓道が得意!」
キーパー「あと30秒」
志菜「それで・・・ユミは書道ダメ、柔道も違う、弓道はケンジだから・・・つまり・・・」
ストーンホースキーパーに、向き直る。
志菜「剣道が得意なのは・・・ユミね!」
キーパー「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
志菜「・・・・・・・・・・・・・・・」
長い沈黙。
ふと、キーパーの顔が笑った。
キーパー「見事だ、冒険者よ。約束どおり、宝はお前達のものだ。」
そう言うと、ストーンホースと共に、消えていった。
アグアド「すげぇじゃん!さすがだぜ!」
志菜「あのタメ・・・最後までやめなかったわね・・・」
ルーァ「いやはや、さすが皇女様。見事見事。」
フォールイン「全くです。私達は信じてましたよ!」
べラム「おっと・・・これだね。魔法具は。」
奥の部屋にあった、台座に設置された緑色の珠を指差す。
yasuhiro「そのようですね。ハッ!」
剣を一閃、珠を真っ二つに両断した。
珠は音も無く粉々になり、塵となって消える。
アグアド「・・・これで2つ目。半分だな。」
志菜「残るは・・・ロンガ遺跡と、パルー遺跡・・・どっちも遠いな・・・」
yasuhiro「それに加え、エルフ、ジャイアントの本拠地の近くです。これまで通りとはいきそうにもありませんね。」
フォールイン「それでは・・・次はこの"ロンガ砂漠遺跡"だな。この砂漠を越えねばならんか・・・」
ルーァ「エルフにも注意しなければな・・・」
外に出ると、太陽は高く上っていた。
yasuhiro「ちょうどお昼のようですね。ここから東へ行けばルトゥラー川があるので、
そこで昼食としましょうか。」
べラム「その川を越えれば・・・コンヌース地域だね。」
アグアド「まだアイツらの手がかりも掴めないな・・・」
志菜「・・・あせっても仕方ないよ。さ、早く行こう。」
アグアド「そうだな・・・次は砂漠の遺跡か・・・」
まだ見ぬ砂漠を想像しながら、一行は進み始めた。