アグアド「な・・・なんだ・・・・・・あれ・・・」
街の中央が、大きく隆起した。
それはどんどん高くなり、山となる。
その山の頂が、吹き飛ぶ。
そこから姿を現したのは、巨大なゴーレムだった。
通常のゴーレムではない。その全長は100mはあるだろう。
おまけに、体中に金色の紋様が刻まれている。
志菜「あれは・・・タバルタス!!」
むー「たばるたす?何だそれ・・・」
フェナリア『古代の知恵の守護者、特別なゴーレムです。おそらく・・・』
タバルタスを睨みつけながら言う。
フェナリア『あれが・・・瑞音の"切り札"!』
てりやき「最後の最後で・・・とんだ大物だな・・・」
フェナリア『しっかり捕まっててください!』
上空で滞空し、先ほどのメテオを繰り出した。
タバルタスの体は粉々に吹き飛ばされる。
しかし、すぐに破片が集まったかと思うと、再生してしまった。
フェナリア『やっぱり・・・これじゃ倒せないね・・・』
アグアド「何か方法あるんだろ!志菜・・・わからないか?」
志菜「タバルタスは通常のゴーレムと違って・・・"コア"と呼ばれる部分があるの。」
むと「コア?そこを叩けば・・・倒せるの?」
志菜は、ただ黙って、震えている。
アグアド「おい・・・大丈夫か?」
フェナリア『そうか・・・志菜さんは、タバルタスのこと、知ってるんですよね・・・』
むと「それが・・・何かあるの?」
フェナリア『タバルタスは・・・生きた人間をベースとして造られるんです・・・』
全員が、絶句した。
アグアド「生きた・・・人間だと・・・ッ」
むー「・・・・最低最悪の創造魔法だな・・・胸糞悪ィ」
志菜「そう・・・でも、そんなこと言ってられない。今のうちに何とか倒さないと。」
タバルタスは、まったく動かず、不気味に静止している。
志菜「あれほどの巨体・・・たぶんまだ、召喚酔いから醒めてないのよ。」
てりやき「つまり・・・今はアイツは動けない・・・・ってこと?」
志菜「そう。だから今がチャンスなの。アレが動き出したら・・・もう止める方法が無い・・・」
アグアド「コアか・・・どこにあるんだ・・・?」
フェナリア『コアは・・・つまり、媒体となった人間のことなんです。たぶん・・・どこかに埋まってるんだ』
むと「手当たり次第に・・・砕くしかなさそうね。」
アグアド「よし・・・フェナ、アレをとことん攻撃してくれ!俺たちはコアを探す!」
フェナリア『わかった!頼んだよ!』
再びメテオを降らせ、タバルタスの体を砕く。
アグアド(・・・どこだ・・・・?)
目を凝らして探す。
しかし、まったくわからない。
アグアド(ちくしょう・・・ここままじゃ・・・)
声(・・・相手の姿が見えないときは、闇雲に探してもダメ。5感を研ぎ澄ませるの・・・)
ふと、頭の中で、声がした。
昔、ある人から、師匠から教わった事。
アグアドは、目を閉じ、感覚を研ぎ澄ませる。
アグアド(考えるな・・・感じるんだ・・・)
ふと、タバルタスの胸部分の岩に、周囲の岩と違う雰囲気を感じ取った。
アグアド「フェナ!あそこだ!あの胸岩だ!」
フェナリアは頷くと、口から炎を噴出した。
金色の炎が、タバルタスの胸岩を、直撃する。
フェナリア『硬いな・・・』
アグアド「いや・・・十分だ!」
そう言って、胸岩の真横へ飛び移った。
志菜「ちょ・・・何する気!?」
アグアドは全神経を集中させ、風を操る。
学園のプールに貯めてあった水が、一気に持ち上がった。
それを、炎で熱せられた胸岩に、ぶち当てる。
岩に大きな亀裂が走り、砕けた。
その岩の中に、人影を見つけた。
アグアド(よし・・・いた!)
その人影を引っ張り出そうとして、気づく。
アグアド「え・・・・こいつは・・・!!」
それは、かつての敵。
ラフ王城の庭園で、相対した魔物。
べラムが確かこう言った・・・"インキュバス"と。
帝国軍最強と言われた魔物・・・yasuhiroが、そこにいた。