第20話「タバルタス」

Last-modified: 2011-11-13 (日) 00:19:58

アグアド「な・・・なんだ・・・・・・あれ・・・」

街の中央が、大きく隆起した。

それはどんどん高くなり、山となる。

その山の頂が、吹き飛ぶ。

そこから姿を現したのは、巨大なゴーレムだった。

通常のゴーレムではない。その全長は100mはあるだろう。

おまけに、体中に金色の紋様が刻まれている。

志菜「あれは・・・タバルタス!!」

むー「たばるたす?何だそれ・・・」

フェナリア『古代の知恵の守護者、特別なゴーレムです。おそらく・・・』

タバルタスを睨みつけながら言う。

フェナリア『あれが・・・瑞音の"切り札"!』

てりやき「最後の最後で・・・とんだ大物だな・・・」

フェナリア『しっかり捕まっててください!』

上空で滞空し、先ほどのメテオを繰り出した。

タバルタスの体は粉々に吹き飛ばされる。

しかし、すぐに破片が集まったかと思うと、再生してしまった。

フェナリア『やっぱり・・・これじゃ倒せないね・・・』

アグアド「何か方法あるんだろ!志菜・・・わからないか?」

志菜「タバルタスは通常のゴーレムと違って・・・"コア"と呼ばれる部分があるの。」

むと「コア?そこを叩けば・・・倒せるの?」

志菜は、ただ黙って、震えている。

アグアド「おい・・・大丈夫か?」

フェナリア『そうか・・・志菜さんは、タバルタスのこと、知ってるんですよね・・・』

むと「それが・・・何かあるの?」

フェナリア『タバルタスは・・・生きた人間をベースとして造られるんです・・・』

全員が、絶句した。

アグアド「生きた・・・人間だと・・・ッ」

むー「・・・・最低最悪の創造魔法だな・・・胸糞悪ィ」

志菜「そう・・・でも、そんなこと言ってられない。今のうちに何とか倒さないと。」

タバルタスは、まったく動かず、不気味に静止している。

志菜「あれほどの巨体・・・たぶんまだ、召喚酔いから醒めてないのよ。」

てりやき「つまり・・・今はアイツは動けない・・・・ってこと?」

志菜「そう。だから今がチャンスなの。アレが動き出したら・・・もう止める方法が無い・・・」

アグアド「コアか・・・どこにあるんだ・・・?」

フェナリア『コアは・・・つまり、媒体となった人間のことなんです。たぶん・・・どこかに埋まってるんだ』

むと「手当たり次第に・・・砕くしかなさそうね。」

アグアド「よし・・・フェナ、アレをとことん攻撃してくれ!俺たちはコアを探す!」

フェナリア『わかった!頼んだよ!』

再びメテオを降らせ、タバルタスの体を砕く。

アグアド(・・・どこだ・・・・?)

目を凝らして探す。

しかし、まったくわからない。

アグアド(ちくしょう・・・ここままじゃ・・・)

声(・・・相手の姿が見えないときは、闇雲に探してもダメ。5感を研ぎ澄ませるの・・・)

ふと、頭の中で、声がした。

昔、ある人から、師匠から教わった事。

アグアドは、目を閉じ、感覚を研ぎ澄ませる。

アグアド(考えるな・・・感じるんだ・・・)

ふと、タバルタスの胸部分の岩に、周囲の岩と違う雰囲気を感じ取った。

アグアド「フェナ!あそこだ!あの胸岩だ!」

フェナリアは頷くと、口から炎を噴出した。

金色の炎が、タバルタスの胸岩を、直撃する。

フェナリア『硬いな・・・』

アグアド「いや・・・十分だ!」

そう言って、胸岩の真横へ飛び移った。

志菜「ちょ・・・何する気!?」

アグアドは全神経を集中させ、風を操る。

学園のプールに貯めてあった水が、一気に持ち上がった。

それを、炎で熱せられた胸岩に、ぶち当てる。

岩に大きな亀裂が走り、砕けた。

その岩の中に、人影を見つけた。

アグアド(よし・・・いた!)

その人影を引っ張り出そうとして、気づく。

アグアド「え・・・・こいつは・・・!!」

それは、かつての敵。

ラフ王城の庭園で、相対した魔物。

べラムが確かこう言った・・・"インキュバス"と。

帝国軍最強と言われた魔物・・・yasuhiroが、そこにいた。