むと「く・・・ここもか・・・」
辿り着いたときには襲撃者の姿は無く、エルフ兵が倒れているだけだった。
むと「こんなに素早いなんて・・・たぶん、敵はジャイアントではないのかも・・・」
学年1位の頭をフル回転させ、推理する。
むと「なぜ今潜入?それも1人で・・・目的は何?ジャイアントの手の者なら作戦本部を狙うはずなのに・・・」
襲撃者の辿ったルートを思い返す。
むと「この方向は村の北・・・聖堂ね。そういえば・・・先日首長が遺跡で宝物を・・・まさか!」
すべての謎が解け、むとは走り出した。
むと「たぶん敵の狙いは・・・あの赤い珠!」
昼間、聖堂へメルノアと見に行った、赤い珠。
恐らくあれが・・・敵の狙い。
メルノア「むと!待って!私達も!」
ルーデル「お前だけに手柄は渡さないぜ!」
2人も駆けつけてきた。
むと「ちょ・・・あなた達、けが人の手当て・・・」
メルノア「医療班の人が来たから任せたわ!」
むと「・・・わかったわ。くれぐれも無茶しないでね。」
聖堂に着くと、思ったとおり、扉は開いていた。
エルフは足が速いため、メルノアとルーデルが先に聖堂へ到達する。
メルノアが先陣を切り、突入する。
メルノア「両手を挙げて、投降しなさい!それまでよ!」
聖堂の中にいたのは、黒いボディスーツを着た、茶髪の少年。
少年は驚いたように振り向き、こちらを見ると少し顔を歪めた。
フェイスマスクは矢の攻撃でも受けたのか完全に破れ、顔が見えている。
少年「クソ、まだいたのか・・・邪魔だ!」
むとが聖堂へ突入しようとした瞬間、突然の突風に吹き飛ばされた。
むと「く・・・っ」
メルノア「きゃああああ!」
ルーデル「うわああああ!」
2人は数メートル吹き飛ばされ、見えなくなる。
むとは近くの木にしがみついていたため、吹き飛ばされずに済んだ。
すると、聖堂の中から、少年が飛び出してきた。
少年は猛スピードで過ぎ去ってしまったが、むとはしっかりとその横顔を目に焼き付けた。
むと「え・・・」
我に返り少年の方を見ると、既に遥か遠くへ行っていた。
むと「待って!私よ!アグアドーーーーー!」
慌てて叫ぶが、声は届かなかった。
むと「アグアド・・・無事だったのね・・・でも、どうして・・・?」
壊されて無くなった珠のあった場所を見る。
むと「・・・この珠を破壊するのが目的だった?でも、何の理由で・・・?」
むとは、呆然と立ち尽くしていた。
首尾よく珠を破壊し、邪魔者を吹き飛ばし、アグアドは聖堂を脱出した。
そのまま猛スピードで、村の外を目指す。
アグアド「ん・・・・?」
ふと、呼ばれた気がした。
しかしエルフ兵の矢が向かってきたので、すぐに意識を切り替えた。
アグアド「こちらアグアド。作戦成功。予定通りそちらへ向かう。」
yasuhiro『了解しました。やりましたね。』
そのまま村の西から脱出し、エランス渓谷へ到着した。
志菜「お疲れ。アグアド。」
アグアド「はぁぁぁ・・・マジでやばかったぜ・・・」
フォールイン「だが珠は破壊できたんだろう?これで残るは1つだ。」
ルーァ「バレス地方、パルー遺跡か・・・遠いな。」
べラム「ここからクルクレ地域を通って進むのがいちばん早いね。
yasuhiro「しかしこのルートは、エルフ軍の進撃ルートにぶち当たる可能性がありますね・・・」
べラム「あ、心配ないよ。」
べラムはそう言って、地図を広げた。
べラム「あの地下道、まだ北へ続いてたでしょ?ってことは、このサバンナの地下にも続いてるかもしれない。」
ルーァ「成程。そこを通っていけば、エルフとぶつかる心配も無い、か。」
フォールイン「そうだな。私は賛成しよう。」
アグアド「よし、今日はもう遅いから・・・明日朝早く向かおう。」
全員が頷く。
yasuhiro「では見張りは我々にお任せを。ゆっくり休んでください。」
アグアド「じゃあお言葉にあまえて・・・ふぁぁぁ・・・おやすみ」
志菜「おやすみ~~~」
アグアドはそのまま、眠りに落ちた。