第25話「フィリア潜入・後」

Last-modified: 2011-08-26 (金) 15:24:29

むと「く・・・ここもか・・・」

辿り着いたときには襲撃者の姿は無く、エルフ兵が倒れているだけだった。

むと「こんなに素早いなんて・・・たぶん、敵はジャイアントではないのかも・・・」

学年1位の頭をフル回転させ、推理する。

むと「なぜ今潜入?それも1人で・・・目的は何?ジャイアントの手の者なら作戦本部を狙うはずなのに・・・」

襲撃者の辿ったルートを思い返す。

むと「この方向は村の北・・・聖堂ね。そういえば・・・先日首長が遺跡で宝物を・・・まさか!」

すべての謎が解け、むとは走り出した。

むと「たぶん敵の狙いは・・・あの赤い珠!」

昼間、聖堂へメルノアと見に行った、赤い珠。

恐らくあれが・・・敵の狙い。

メルノア「むと!待って!私達も!」

ルーデル「お前だけに手柄は渡さないぜ!」

2人も駆けつけてきた。

むと「ちょ・・・あなた達、けが人の手当て・・・」

メルノア「医療班の人が来たから任せたわ!」

むと「・・・わかったわ。くれぐれも無茶しないでね。」

聖堂に着くと、思ったとおり、扉は開いていた。

エルフは足が速いため、メルノアとルーデルが先に聖堂へ到達する。

メルノアが先陣を切り、突入する。

メルノア「両手を挙げて、投降しなさい!それまでよ!」

聖堂の中にいたのは、黒いボディスーツを着た、茶髪の少年。

少年は驚いたように振り向き、こちらを見ると少し顔を歪めた。

フェイスマスクは矢の攻撃でも受けたのか完全に破れ、顔が見えている。

少年「クソ、まだいたのか・・・邪魔だ!」

むとが聖堂へ突入しようとした瞬間、突然の突風に吹き飛ばされた。

むと「く・・・っ」

メルノア「きゃああああ!」

ルーデル「うわああああ!」

2人は数メートル吹き飛ばされ、見えなくなる。

むとは近くの木にしがみついていたため、吹き飛ばされずに済んだ。

すると、聖堂の中から、少年が飛び出してきた。

少年は猛スピードで過ぎ去ってしまったが、むとはしっかりとその横顔を目に焼き付けた。

むと「え・・・」

我に返り少年の方を見ると、既に遥か遠くへ行っていた。

むと「待って!私よ!アグアドーーーーー!」

慌てて叫ぶが、声は届かなかった。

むと「アグアド・・・無事だったのね・・・でも、どうして・・・?」

壊されて無くなった珠のあった場所を見る。

むと「・・・この珠を破壊するのが目的だった?でも、何の理由で・・・?」

むとは、呆然と立ち尽くしていた。


首尾よく珠を破壊し、邪魔者を吹き飛ばし、アグアドは聖堂を脱出した。

そのまま猛スピードで、村の外を目指す。

アグアド「ん・・・・?」

ふと、呼ばれた気がした。

しかしエルフ兵の矢が向かってきたので、すぐに意識を切り替えた。

アグアド「こちらアグアド。作戦成功。予定通りそちらへ向かう。」

yasuhiro『了解しました。やりましたね。』

そのまま村の西から脱出し、エランス渓谷へ到着した。

志菜「お疲れ。アグアド。」

アグアド「はぁぁぁ・・・マジでやばかったぜ・・・」

フォールイン「だが珠は破壊できたんだろう?これで残るは1つだ。」

ルーァ「バレス地方、パルー遺跡か・・・遠いな。」

べラム「ここからクルクレ地域を通って進むのがいちばん早いね。

yasuhiro「しかしこのルートは、エルフ軍の進撃ルートにぶち当たる可能性がありますね・・・」

べラム「あ、心配ないよ。」

べラムはそう言って、地図を広げた。

べラム「あの地下道、まだ北へ続いてたでしょ?ってことは、このサバンナの地下にも続いてるかもしれない。」

ルーァ「成程。そこを通っていけば、エルフとぶつかる心配も無い、か。」

フォールイン「そうだな。私は賛成しよう。」

アグアド「よし、今日はもう遅いから・・・明日朝早く向かおう。」

全員が頷く。

yasuhiro「では見張りは我々にお任せを。ゆっくり休んでください。」

アグアド「じゃあお言葉にあまえて・・・ふぁぁぁ・・・おやすみ」

志菜「おやすみ~~~」

アグアドはそのまま、眠りに落ちた。