バシリスクは、塵となって消えた。
むと「やっぱり魔物・・・?でもなんで・・・
それに・・・ここって一体何なの?」
むとは周囲を見渡す。
一見して、普通の町。見慣れた町だ。
しかし、人の気配がまるで無い。
おまけに、空は気味の悪い赤黒い色をしていた。
そして、魔物。
木戸町に、魔物がいるわけがない。
しかもこんな街中に。
むと「・・・詳しく調べる必要がありそうね。」
翌日、土曜日。
母「アグアド!起きなさい!大変よ!」
アグアド「ん・・・なんだよ・・・休みなのに大声で・・・」
母「むとちゃんが・・・むとちゃんが行方不明だって!」
アグアド「ッ・・・?何だと!?」
TVを見る。
TV『先日、新たな行方不明者が出ました。行方不明になったのは木戸学園の高等部2年所属、武藤美咲さん(17)。
昨日の夕方、学校へ忘れ物をとりに行くと親に告げて家を出て、その後の行方が不明となっております。』
アグアド「そ・・・そんな・・・ッ」
TV『これで行方不明者は5人目となりました。警察は300人体勢で捜査に・・・』
いてもたってもいられず、アグアドは外へ。
むとの家へ向かう。
むとの家の前には、パトカーが数台停まっており、人だかりができていた。
志菜「あ・・・アグアド!」
むー「お前もニュース見たのか!」
てりやき「むとがいなくなるなんて・・・信じられないよ」
皆、ショックを受けているようだった。
アグアド「・・・探そう。」
てりやき「そうだね・・・今日は休みだし・・・」
むー「あぁ・・・それにこっちには魔法使いがいるしな!」
志菜「捜査系や追尾系はあまり得意じゃないけど・・・やってみるよ。」
エリンの存在は、一般の人々には公開されていない。
無用な混乱を生まぬように、と、かつてのレリアとエイリフとの間で協定が結ばれたからだ。
よって、まだ世界は魔法を知らなかった。
むー「むとのメリケン(予備)だ!これ使えるか?
志菜は頷くと、メリケンを受け取った。
志菜「いくよ…"痕跡追尾"」
すると、メリケンから光る蝶が現れ、ゆっくりと舞い上がった。
志菜「あれを追っていけば、むとちゃんにたどり着けると思う。」
むー「よし!見失うなよ!」
蝶の動きが止まった。
むー「止まったけど・・・ここにむとがいるのか?」
てりやき「何も無いね・・・ただの路地だよ」
志菜「・・・たぶん、むとちゃんの痕跡が途切れたんだと思う・・・」
アグアド「・・・どういう事だ?まさか・・・死んだ・・・?」
志菜「ううん。死んでたら蝶は現れないはずだから、それはないよ。
でも・・・何でだろ・・・ここで途切れちゃってる・・・」
むー「他に途切れる条件とかあるのか?」
志菜「・・・別世界。エリンとかの別世界に入り込むとか・・・。」
アグアド「別世界だと・・・?まさかエリンに?」
志菜「それは無いと思う・・・エリンに行くには元レリアの人たちの力が必要だし・・・」
てりやき「くそ・・・どうなってるんだ・・・?」
その後、周辺をくまなく調べたが、むとの痕跡は見つからなかった。
アグアド「・・・もう帰るか。暗くなってきた。」
てりやき「だね・・・俺たちも行方不明になりかねないし・・・」
志菜「むー・・・今日はここまでにして・・・明日探そう?」
むー「・・・ああ。わかったよ・・・」
そして4人は、岐路に着いた。
しかし、1人だけ、戻ってくる影があった。