第8話「再開」

Last-modified: 2011-08-16 (火) 01:10:13

むと「とりあえず、あたりを見回ってくるわね。」

フェナリア「大丈夫だよ。この周囲には今は何もいないから。」

むと「え・・・どうしてわかるの?」

フェナリア「・・・お姉ちゃんなら信じてくれるかな・・・」

そう言うと、フェナリアは目を閉じた。

そこに、魔力を感じた。

むと「・・・あなた、魔法使いなの?」

フェナリア「・・・うん。ボクの能力は、自分の周りがよくわかるんだ」

その後、フェナリアは自分の力をむとに説明する。

むと「・・・つまりあなたの能力は、自分を中心として一定の半径内にいる生物、無生物、構造、地形、
   大きさがわかるのね。便利じゃないの。」

フェナリア「うん!このおかげで、あいつらから逃げられたんだ・・・
      それにね、出口も見つけたんだよ!」

むと「嘘!出口があるの!?じゃあなんで家に帰らないの?」

フェナリア「うん・・・ボクはここで探し物をしてるんだ・・・」

むと「・・・探し物?」

フェナリア「よく・・・覚えてない。でも、大切なものなんだ!」

フェナリアがここに迷い込んだのは、1週間前。

その際魔物に襲われ、無くし物をして、ショックで何を落としたのか忘れてしまったらしい。

むと「・・・それでも、お父さんが心配してるでしょう・・・」

フェナリア「・・・ボク、寮だから・・・両親いないんだ・・・」

むと「あ・・・ごめんね・・・じゃあ、探すの手伝ってあげる。」

フェナリア「ほんとに!?やった!ありがとう!」

そして、2人で町へ出る。

むと「どの辺りで落としたの?」

フェナリア「よくわからないんだ・・・あ!」

突然、むとの手を掴んで路地裏に引き寄せる。

フェナリア「誰かいる!」

むと「魔物?」

フェナリア「違う・・・人だ!」

むと「待って。悪いヤツかもしれないわ・・・その人が通り過ぎたら、そっと背後から見てみましょう。」

フェナリア「わかった・・・」

そして、しばらく待つ。

人影が、2人の前を通り過ぎた。

むと「・・・よし!」

顔だけ出して、その人影の後ろを見る。

むと「・・・あ」

その人影は、見知った人物だった。

???「!!」

その顔が、こちらを振り向く。

むと「むー!」

むー「む・・・むと!?お前、今までどこに・・・ッ」

フェナリア「え・・・お姉ちゃんの、知り合いなの?」

むと「ええ・・・幼馴染よ。こいつはむー。」

むー「こいつって・・・この女の子は?」

むと「フェナリアって子。最初に行方不明になった子よ。」

そして、むとはむーにこれまでの経緯を説明した。

むーも、現実世界の様子、先ほどの天の使いについても説明する。

むと「・・・やっぱり大事になってるか・・・うう」

むー「探し物も大事だが・・・いったん帰って顔を見せてておかなきゃ・・・騒ぎが大きくなるぞ?」

むと「・・・そうね。フェナ、出口に案内してもらえる?」

フェナリア「うん。こっちだよ!」

そこは、何の変哲も無い、裏路地。

むー「ここ・・・俺が探してた場所じゃねえか」

フェナリア「あれ・・・そんな・・・」

むと「どうしたの?」

フェナリア「出口が・・・開かない!」

むー「な・・・何だと!?」

むと「開かないって・・・どういう事?」

フェナリア「さっきまで開いたのに・・・開かないんだ!」

その後、あれこれとフェナリアは試していたが、出口は開かなかった。