ストーリーミッション/海底都市に迫る巨影

クラールフ

──おぉ、シャディアよ、海底に来ていたか。
我は今ここから動けぬゆえ、歓迎もしてやれぬが……。

シャディア

いえ、お構いなく。
ですが、神獣バハムトの封印の維持、
クラールフ殿をして、それほどの重労働なのですか？

クラールフ

然り。我にかつて程の力は残っておらぬ。
海巫女たちと我の力を束ねたとて、
バハムト封印の維持は中々に骨が折れるものよ。

それゆえ、こうして各地をめぐり、
魔力の乱れを整えているのだからな。

マルスィ

海底都市周辺の海流が乱れていたのも、
もしやバハムトの魔力の影響なのでしょうか？

ハルフゥ

えぇ、バハムトの封印は不安定なままだから、
その影響で突発的な激流や、
激しい上昇海流が発生しているんです。

リバン

おかげで本来はこの深度には現れない、
深海の魔物も浮上してきたりして
衛兵たちもかなり疲弊していますのよ……。

オーベッド

だが王国との共闘を経て、
この都市の衛兵の士気は高まっている。
王子殿のおかげだ、乾いた地の戦士には負けられぬとな。

もしこの後時間があるのなら、
衛兵たちに訓示のひとつでも頼めないか？
きっと皆、喜んで──

？？？

──ヌゥゥゥゥゥゥゥゥンッ！！

ハルフゥ

な、なんですか今の音！？
いったいどこから……！？

キュステ

王子さまぁぁぁぁ！！
大変です！　巨大な魚人が！！

？？？

ヌゥン、それがしは魚人にあらずゥ。
溺れる地の民よ、我が名を知らぬと申すかァ！

シャディア

……まさか、亜神ジーラトス殿か？

ジーラトス

ヌゥン？　それがしを知る者がいるではないかァ！
しかしその知識は些か古いと言わざるをえぬなァ！

クラールフ

荒ぶる亜神、大地を沈める者、万物を砕く無法者、
ジーラトス、お前は我が倒したはずだったが。

ジーラトス

ヌゥン、その通りだとも。
かつての荒神ジーラトスは、
敵味方問わぬ悪行を戒められ、おぬしに倒された。

だが！　それがしはあの御方に命を救われ、
荒ぶる魂を沈める神器を与えていただいたのだ！

クラールフ

……改心した、ということか？
ならばなぜ、殺意をむき出しにして、この地に来たのだ。

ジーラトス

ヌフゥン！　知れたことォ！
それがしは正義の亜神ジーラトス！
正義をなすため、溺れる地の王子を殺しにきたのよォ！

アンナ

王子、どうやら会話は望めないようです。
急ぎ迎撃の準備をお願いします！

ジーラトス

ヌフゥゥゥウゥン！！
これが人間の戦い方か！　実に小さいィ！

だが！　それがしに傷を付けたことは褒めてやろう！
次なる戦いでは、
おぬしらのエラとヒレを引っ剥がしてやろうぞォ！

アンナ

……撤退、したのでしょうか？

クラールフ

……あやつめ、確かに千年戦争の頃よりも、
多少は理性的になったようだな。
あの手枷が魂を鎮める神器なのだろう。

ケイティ

あの亜神は、いったい何者なのですか？

クラールフ

千年戦争の折、海神によって物質界に降りた亜神の一柱。
人類の味方として喚ばれた者でありながら、
敵味方問わず、目につくもの全てを踏み潰す暴虐の亜神。

それゆえに、我はあやつを叩き潰し、
二度と復活せぬよう深海に封じたのだ。

ハルフゥ

それが、復活しているということは……。
解き放った者が敵にいるということですね。

クラールフ

いったい誰が、と問うまでもあるまい。
我らに敵対するもうひとつの海底神殿、
海を我と二分する、かつて神だった者……。

──海神ポセイオス。
やはり我と敵対するつもりか。

キュステ

ぽせい、おす？

クラールフ

詳しくは神殿で話すとしよう。
王子よ、此度の敵は一筋縄ではいかぬぞ。