ランス1000　交わる世界

？？？

――来たれ、我が器よ……。
新たなる肉体に相応しき戦士よ……。

魔神セーレ

万の軍勢を従え、如何なる危機にも怯まず、
あらゆるものを砕く精強なる者、
この魔神セーレの器となるべくして生まれた者よ――

――いでよ、異世界の英雄、ランスよ！！

かなみ

――へっ、なに！？　ここどこ！？

シーラ

わっ……っと。
皆さん、ご無事ですか？

志津香

きゃっ……！？
なに、今の術……もしかして召喚術？

シィル

ひん…………！？
ランスさまぁ！　どこですかぁ！？

サテラ

おかしな魔力だな……。
まさか魔人……？
まぁいい、そこのお前、サテラに状況を説明しろ。

魔神セーレ

なっ……私はランスという戦士を召喚したはず……。
なぜこんな有象無象が――

志津香

誰が有象無象ですって？

ランス

がははははは！
突然暗くなったと思えば、お前の仕業か！

魔神セーレ

くっ……召喚に異物が紛れ込んだだけだったか……。
まぁよい！　さぁランスよ、
我が器として、その身を差し出すのだ！

ランス

ふん、知ったことか。
俺様はこれからお楽しみだったんだぞ。

魔神セーレ

貴様の事情など知ったことか！
従わぬというのなら、力付くでその肉体、貰い受けよう！

かなみ

うわぁー！？
どうしようランス！？　あいつ問答無用だよ！？

志津香

無理やり召喚されたんだから、
倒して言うことを聞かせるしかないでしょ。

サテラ

だがこの魔人……魔人なのか？
ともあれ異界転移とは、面倒な力を持っているな。
強制的に転移で陣形を崩されるかもしれないぞ。

かなみ

へっ、転移って――

シィル

あっ、消えました。

かなみ

――どういうこと？
ってここどこー！？

シィル

あっ、あんな遠くに。

かなみ

……はぁ、はぁ……な、なにこれ？

志津香

だから、転移の魔術よ、多分ね。
でも今の感じだと、一定の法則がありそうね……。

幸い、戦闘中は異世界転移のような
大規模な術は使えないみたい。
飛ばされても、また配置に戻ればいいわ。

ランス

お、作戦会議は終わったか？
よし、あいつをぼこぼこにするぞ！

魔人セーレは特定のタイミングで
特殊攻撃を行います。
　
特殊攻撃が発動すると
特性の近接マスに配置していた
ユニットは撤退します。
撤退後は再出撃が可能です。

ランス

――くらえ、ランスアタァァァーック！！

魔神セーレ

ぐっ、ぐぉぉぉぉっ、肉体が、消える……！！

ランス

がははははは！
俺様の邪魔をした報いだ！

サテラ

ん……待て、気をつけろランス！
そいつ、何か仕掛けてくるぞ！

魔神セーレ

肉体が消える、器が消えていく……。
我が身が滅ぶことで、この術は完成する！

道化を演じるのは中々骨が折れたが……。
その肉体、私がもらい受けるぞ！

ランス

な、なにぃぃぃぃ！？

霊体ランス

（ぽんっ）

シーラ

ランス様！？
ランス様が幽霊に！？

志津香

なんてこと……。
くっ、また転移の術が来るわ！
みんな、衝撃に備えて！！

魔神セーレ

どこへなりと去るが良い！
餞別に、行き先は物質界にしてやろう！
ガハハハハっ！！

アンナ

――大量の、ピンク髪の少女、ですか？

ソーマ

はい……目撃情報によれば、
すごい人数の、ピンク髪の女の子が現れたと……。

アンナ

何にせよ、この辺りには魔物が出ますし、
その少女……たち？　を保護しにいきましょう。

フィリス

……ん、いや、待ってくれ。
この先にいるの、そのピンク髪の子たちじゃないか？

ソーマ

あっ、本当ですね。
でもなんだか、様子がおかしいような……？

シーラ

――シィルさん、正気に戻ってください！
というか、いつの間にそんなに数が増えたのですか！？

ドッペルゲンガー

ククク……まんまと騙されたな。
やはりこの姿は、お前の仲間のものだったか。

これも我ら、ドッペルゲンガーの隆盛のための必要な犠牲。
大人しく我らの餌食になるがいい！

アンナ

王子、どうやらピンク髪の少女は
ドッペルゲンガーが化けたもののようです行きましょう！
急いであの方を助けに行きましょう！

シーラ

助けていただき、ありがとうございました。
まさかシィルさんに化けるモンスターがいるとは。

アンナ

ドッペルゲンガーは人に化け、
騙し討ちを仕掛けてきますから。
本当にご無事で何よりでした。

シーラ

はっ……つかぬことをお尋ねするのですが、
このあたりで、異世界……？
から迷い込んだ方を知りませんか？

どうやら私たちは、魔神セーレという者によって、
この世界に呼び出されてしまったようなのです。

突然、こんな話をすると
驚かれてしまうかもしれませんが……。

ケイティ

……魔神、ですか。

驚きはしましたが、あなたの言葉を信じます。
魔神にはこれまで、何度も苦戦させられてきましたから。

アンナ

しかし、異世界からの召喚を可能とする魔神とは、
これは厄介なことになりそうですね……。

ともあれ、一度拠点に戻りましょうか。
捜索をするにも、人手は多いほうが良いですから。

アンナ

――なるほど、シーラさんたちは、
異世界から呼び出され、魔神セーレと戦ったと。

その際に、仲間のひとりが、
肉体を奪われてしまったのですね？

シーラ

はい……。
無事だと良いのですが……。

アンナ

今、王国の魔術師が、
転移による魔力の痕跡をたどっています。
きっと、もう少しで他の方の居場所も分かりますよ。

一般兵A

――失礼します！
王子、こちらに、
シーラ・ヘルマン大統領殿はいらっしゃいますか？

シーラ

あっ、私です。

一般兵A

はっ、失礼いたしました。
先程、シィル・プライン殿が拠点を訪ねて来られまして。

ソーマ

シィルさんというと、先程のピンク色の髪の……？

シーラ

あぁ、良かった。
すぐ近くに転移させられていたんですね。

シィル

し、失礼しまぁす……。
って、あれ？　ここ、前に来たことがあるような……。

霊体ランス

おほほほ、美女ぞろいじゃないか。
……それなのに！　どうして俺が幽霊で！
悶々と我慢せにゃいけないんだー！！

シーラ

シィルさん、ランス様！
良かった、ご無事で――いえ、
ランス様の肉体は無事ではないのですけど……。

アンナ

お久しぶりです、シィルさん。
どうやら大変なことに巻き込まれてしまったようですね。

メルアビス

……ふんふん、なんだか、珍しい状態になってるわね。
死んでいるわけじゃないのに、
体がほとんど呪縛霊みたいな状態よ。

肉体という楔が奪われた時に、
シィルちゃんが近くにいたおかげで、
魂が冥界に飛ばされずに済んだみたいね。

代わりに、シィルちゃんの近くからは
離れることができなくなっているけど。

霊体ランス

おぉ、シィル、お手柄！

シィル

えへへ、褒められました。
……あっでもこのままなら
ランス様とずーっと一緒にいられ――

霊体ランス

（ぽかっ）

シィル

ひんっ！？　って、あれ、痛くない？

シーラ

霊体、ですからね……。

霊体ランス

おのれ魔神セーレ……。
これでは俺様のハイパー兵器も使えんではないか！

一般兵A

はいぱー……何ですか？

シィル

ランス様！　ここは！　異世界なので！

メルアビス

……いつもこんな感じなの？

シーラ

はい、いつもこんな感じです。
すみません、お騒がせしまして。

メルアビス

いいのよ。
それじゃあ王子、そろそろフローガに、
魔力の痕跡をたどれるか聞きに行きましょっか。

フローガ

――随分と大規模な転移だったようですね。
痕跡がはっきり残っているので、
シーラさんの仲間の所へはすぐ辿り着けそうです。

魔力の反応的に、
ここにいるのはひとり――いえ、
もうひとつ、濃い魔力反応がありますね……。

マズゥ

――さぁあんた、若返りの秘術、
その真髄を教えるがいいさね！

志津香

嫌よ！　っていうか自分で考えなさいよ魔女でしょ！

マズゥ

言うつもりがないのなら、
これは、身体に聞くしかなさそうだねぇ……。

志津香

ふん、どうなっても知らないわよ？

シィル

――この声、志津香さんです！

フローガ

それに、魔女マズゥも一緒のようです。
王子、急いで救援に向かいましょう！

小人は一定確率で
物理攻撃を回避します。

大魔女マズゥは、自身の攻撃力の値で
自身を含む周囲の敵を回復します。

紫帽子の小人は
一定確率で物理攻撃を
回避します。

お待ち！　いったいどこまで逃げるつもりだい！

実験体にされそうなのに、留まるはずないわよ。
はぁ……ランスたちはいったいどこに――

志津香さん、ご無事でしたか？

あら、迎えに来てくれたの？
ちょうどよかった、今人体実験の素材にされそうで。

ちぃ、王国軍かい。
だが若返りの貴重なサンプル、逃しはしないよ！

――さぁ、この薬をお飲み！

くっ……やめっ――ごくん。

志津香さん――ッ！？

あれ……なんともない、わね？

ん、志津香、お前大きくなってないか？

あら……？

ほんとですね、大人の姿になってますよ？

ひひひっ、それは老化の薬。
子供に飲ませれば一瞬で大人になる劇薬よ。

なっ……面倒なことを！
まぁいいわ、この借り、即座に返してあげる！

マズゥ

くぅぅぅ、またしても邪魔をするのかい。
覚えておきな！

志津香

あっ、こら！
もとに戻る薬も置いていきなさい！

シィル

もとにというか、そっちが元の姿のような？

志津香

はぁ……この姿だと
ランスに付きまとわれて面倒なのに……。

って、ランス、なにその姿？

シィル

ランス様、呪縛霊になっちゃったそうです。

志津香

へぇ、物に触ったりは？

霊体ランス

出来たらもう触っている。

志津香

人畜無害なランスね……。
これはこれで新鮮かも？

霊体ランス

がはは、もとに戻った後を楽しみにしておけ！

フローガ

さて、それじゃあ他の人を探しに行きましょうか。
転移魔術の痕跡はっと――あ、あれ？　これは！？

アンナ

どうしたのですか、フローガさん。

フローガ

大変です、何かものすごい数の魔力反応が、
王国の方へ向けて移動中みたいです！

兵士

――伝令ー！　伝令ー！
で、殿下！　緊急事態です！！

正体不明の軍勢が、
王国に向けて進軍中とのこと！

アンナ

これは……。
王子、急ぎ拠点へ戻りましょう！！

魔神セーレ

ガハハハッ！
いいぞ、素晴らしい！
これが異世界の戦士たちの力か！

むぅ……しかし、思考が肉体に引っ張られるな……。
魂をはじき出されてなおこれとは、
この男、いったいどれだけ個性が強いのだ……。

かなみ

うあー……身体がいうこときかないー。
おなかすいたー、トイレいきたいー。

魔神セーレ

……こやつもこやつで、
精神支配されてなお軽口を叩くとは。

まぁよい、王国はもう目の前だ。
このまま英雄王の子孫を倒し、
王国の猛者たちを我が操り人形としてやろう！

霊体ランス

がははははっ！
見つけたぞ魔神なんとか！

魔神セーレ

ほう……もう追いついたか。
しかし霊体の身で何ができる？

志津香

こっちは生身だから。
ランスの身体で異世界に迷惑をかける前に、
ここで止めさせてもらうわ。

魔神セーレ

ほう……そうまで気にかけるとは、
もしや貴様、この男の恋人か？

志津香

……殺すわよ？

魔神セーレ

ふむ、ではそちらの、
ピンクのふわふわか、金髪の娘が？

シィル

えっとぉ、それはぁ、あのぉ……（もじもじ）

シーラ

私達はランス様の奴隷ですが、
シィルさんは限りなく恋人に近いような？

霊体ランス

何を言っとるか！（ぽかっ）
お前も否定せんか！（ぽかっ）

シィル

ひんひんっ！？　痛くないけど変な感じですぅ……。

霊体ランス

お前の野望など知ったことか。
魔神セーレ、俺様の身体を返してもらうぞ！

魔神セーレ

そんな安い挑発に乗るものか。
かなみよ、小奴らを蹴散らしておけ。
私はこのまま王都を攻め落とす。

かなみ

えぇぇ……かしこまりたくないぃぃ……。
あっ、でも身体が勝手に、あっ、あっ。

シャルロット

あれは、どうみても精神支配ですわね。
少しお待ちを。今すぐ助けてあげますわ！

見当かなみと
見当かなみに変身した
ドッペルゲンガーは、
一定確率で
物理攻撃を回避します。

シーラに変身した
ドッペルゲンガーは、
自身の攻撃力の値で
自身を含む周囲の敵を回復します。

霊体ランス

かなみ、忍者が敵に捕まって、
その上精神支配されるのはどうなんだ。

かなみ

うっ……だってそれは……そのぉ……。
ランスの顔してたから油断しちゃって……。

霊体ランス

俺様の肉体が奪われた時、
かなみも一緒にいただろーが！

かなみ

ご、ごめんなさいー！

魔神セーレ

ほう……あれだけの部隊を相手に善戦するとは。
これは捨て置く事もできない、か……。

霊体ランス

覗き見とは趣味が悪いぞ、変態魔神。

魔神セーレ

誰が変態か！
くっ……この男を相手にすると、
こちらまで引っ張られてしまう……。

シャルロット

精神と肉体は密接につながっていますのよ？
元の肉体の持ち主に引っ張られるのは当たり前ですわ。

魔神セーレ

まぁいい、それも王国を滅ぼせば終わりだ。
この最強の肉体、最強の軍、
そして異世界の戦士たちの肉体を手に入れ……。

我が栄光の時代を取り戻すのだ……！
ガハハハハッ！

アンナ

王子、このままでは王国の民が危険です。

王子

…………（こくり）

シーラ

私たちも手伝います。
ランス様の肉体も、王国の方々も、
魔神セーレの好きなようにはさせません。

アンナ

ありがとうございます、シーラ大統領閣下。
それでは、このまま王国へ向かいます！

――少し前のこと。

ゴブリン博士

おぉ、王子よ！　来てくれタか！
……頼むッ！　ドウカ助けてクレ……！！

王子

…………？

ソーマ

一体何があったのですか？

ゴブリン博士

メカゴブリンクイーン様が、
異世界の娘……サテラ殿を食客として迎えたノダが……。

……意気投合してしまってナ。

ソーマ

意気投合、ですか……。

ゴブリン博士

問題は、サテラ殿がガーディアンナル
強力なゴーレムの一種を所持していたコト……。

以来、ワタクシに、
ガーディアンの技術を用いた
「ゴブリンガーディアン」を開発セヨと……！

ゴブリン

ギャギャ……フミンフキュー……。

サテラ

ふむ、ゴブリンたちも中々筋がいい。
これなら十分使い物にな――ん？　何だ？

シィル

サテラさん！
もう、探したんですよ！

サテラ

それはこっちのセリフだ。
ゴブリンの人海戦術で、
ランスたちを探してもらっていたんだ。

アンナ

どうやら、すれ違っていたみたいですね。
ではサテラさん、こちらに合流して――

メカゴブリンクイーン

――おーっほっほっほ！
王子、良いところに来たわねぇ！

この新型ゴブリンガーディアン、
試してみたくはなぁい？

サテラの世界のガーディアンを、
この世界の技術で再現した新型よぉ！

ソーマ

あ、あのぉ、今はそれどころでは……。

ゴブリン

ギャギャ、ソージューカイシ！
ガコンガコーン！

ゴブリン博士

アアッ、コラ！
操縦席に勝手に乗るんじゃナイ！

メカゴブリンクイーン

ふふふ、いいじゃない。
さぁこのまま模擬戦よぉ！

サテラ

ん、なんだ、戦闘か？
よし、サテラも手伝ってやろう。

硬くて強い、ゴブリンガーディアンfeat,サテラ！
――発進だ！　ふはははははははは！

サテラの攻撃は、
人間属性の味方ユニットに対する
ダメージが30%アップします。
　
またサテラの攻撃を受けた
味方ユニットは
5秒間、防御力が減少します。
　　　　　　　(1/2)

この効果は、状態異常に対する
ユニットの能力では
軽減、無効化できません。
　
　
　
　　　　　　　(2/2)

ゴブリン

プスン……ガーディアントマッタ……。

メカゴブリンクイーン

試作型でここまでやるなんて、
サテラ、あなたの技術はなかなかのものねぇ。

どうかしら、このまま盟友として、
ゴブリン軍団に与する気はなぁい？

サテラ

いや、それはできない。
使徒たるランスを放ってはおけないしな。

メカゴブリンクイーン

そう……。
でもこの世界を訪れた時には、遊びにいらっしゃいな。
お茶とお菓子くらいはごちそうするわよ？

サテラ

うむ、約束しよう。
ゴブリンガーディアンの開発、励むといい。

ゴブリン博士

……か、開発は、続く、ノカ……。

ヒエン

――主よ、こちらにござる！
敵部隊は王国へ向け進軍中、
この先の街道にて接敵いたしまする！

かなみ

おぉ、異国の忍者！

ヒエン

む、貴殿がかなみ殿か。
異国の者たちの護衛、よろしく頼みまする。

かなみ

おまかせあれ！
ふふふ、やるからには確実に……。

ヒエン

何をやるつもりなのかは分からぬが、
実力は確かだとお見受けする。
しからば、私はこのまま先行いたしまする。

シーラ

……王国軍の、この練度。
緊急事態に即応する意思決定の速さ……。

そして魔神という驚異……。
この世界も、永らく戦乱が続いているのですね。

アンナ

それに動じないシーラ大統領閣下の方も、
数多くの死線をくぐり抜けてきたようですね。

本来、客人として遇するべきなのですが、
今はどうか、お力をお貸しください。

霊体ランス

うむうむ、貸してやろう。

シィル

えっ、でもランス様は今幽霊ですし――

霊体ランス

（ぽかっ）

シィル

ひんひんっ！？
ランス様のぽかっ、が頭を通過して変な感じですー！？

ソーマ

――前方に敵部隊を確認しました！
王子、指揮をお願いします！

シーラ

王子殿下、援護いたします。
兵の回復はお任せください。

――それから、飛行する敵は
「投石」で撃ち落とせますので、適宜ご指示を。

アンナ

はっ、えっ、投石……ですか？
大統領閣下が……？

シーラ

はい、おまかせを。

アンナ

は、はぁ……。
分かりました。それではご助力、お願いします！

アンナ

ここまで魔神セーレの軍勢が侵攻しているとは……。

シーラ

この状況では、おそらく王都もすでに、
戦場になっているかと思います。

しかし、王国軍の練度を見る限り、
迅速に駆けつければ
防衛部隊の壊滅前に到達する事も可能かと。

ソラス

（……味方にすると心強いですが、
敵には回したくない方ですね）

サナラ

（それはランスさんのご一行、
全員に言えそうですよねぇ。戦力も知識も規格外ですよ！）

霊体ランス

ちっ……魔神なんとかめ、
俺様の体を返してもらうぞ！
走れシィル！　俺様はお前のそばを離れられんのだ！

シィル

は、はい、ランスさま！！

アンナ

王子、我々も急ぎましょう。
このまま王都へ突入します！

レーヴ

――王子！　ご無事でよかったです！

グリム

うー、変な連中に実験の邪魔されました。
せっかく今日は実験の許可をもらえたのにー。

レーヴ

まぁまぁ、実験で王都にいたおかげで、
こうして迅速に迎撃ができたわけですから。

志津香

……そうよね。うん、わかるわ。
魔法の邪魔をされたりするとイラつくわよね。

霊体ランス

ん、なんで俺を見つめてるんだ？
そうかそうか、俺様に惚れ直して――

志津香

そんなわけないでしょ！
あんたなんて大ッ嫌いなんだから！

はぁ……ところで、あなた王国の魔法使いよね？
ランスのこの状態を元に戻す方法、心当たりはない？

霊体ランス

おぉ、志津香やっぱりお前、俺のことを――

志津香

あんたがふわふわ浮いてると気味が悪いのよ！
それに……そのまま死なれるのは、嫌だし……。

グリム

ふむふむ、死んでるわけじゃなくて、
強制的に身体から弾き出されてるんですねー。

たぶん、普通に魔神セーレをぼっこぼこにすれば、
もとに戻れるんじゃないかと。

魂と身体は、もともとの組み合わせの方が
ありあわせの組み合わせよりずっと強いですからねー。

レーヴ

あ、あの、それには少し工夫が必要かもしれません。
書物によれば魔神セーレは「空間転移」を司る魔神です。
空間転移で逃げられ続けたら……。

志津香

なるほど、倒す前に転移されたら、
そもそも戦闘が成立しない、と……。

かなみ

んー、逃げ回る相手なら、
どこかに捕縛するしかないですよね。

グリム

――あっ、それならいい考えがあります。
王子さまが「異世界実験」を
許可してくれればですけどぉ……？

志津香

……王子が微妙な顔になってるけど、
もしかして、あなたの魔法って結構厄介だったりする？

グリム

えへへぇ、それほどでも？

レーヴ

――わわっと！？
細かな打ち合わせは後にしましょう！
王子、前方にドッペルゲンガーが！

アンナ

ドッペルゲンガーはこちらの姿を真似てきます。
油断しないように気をつけてください！

サテラ

さて、お目当ての魔神セーレはどこにいるんだ？

シーラ

敵の配置は、
まるで防衛準備を整えているかのようでした。
ということは、最も強固な場所に陣取って……。

かなみ

つまり王城、ってことですね！

霊体ランス

がははははは！
俺様を恐れて閉じこもるとは軟弱なやつめ！

志津香

今のランスじゃ怖くも何ともないけどね？

霊体ランス

くっ、この屈辱絶対に忘れんぞ……。
身体が戻ったらまずは志津香からだからな！！

志津香

何が私からなのよ！？
はぁ……それでグリム、
こいつを元に戻すいい考えって？

グリム

――魔神セーレを、世界と世界の間隙、
次元の狭間に転送してやるんです。

アンナ

次元の……狭間……？

ルキファ

……あんなところに送り込んで、大丈夫なのか？
倒さないと元に戻らないということは、
私たちも次元の狭間に行かねばならないのだろう？

グリム

ルキファさんが以前に行って戻ってきた実例ですし、
今回は魔力潤沢な仲間もいますし、
何ならグリムちゃんがついてます。いえーい。

霊体ランス

俺様もいるぞ！

シィル

そして助手のシィルちゃん♪

霊体ランス

（ぽかっ）

シィル

ひんひん……。

グリム

まぁ、安全性はお任せを。
どちらにせよ、倒さないと王国もピンチですし。

アンナ

そう、ですね……。
それでは王子、
魔神セーレ討伐のため、王城へ向かいましょう！

魔神セーレ

――なんと強情な肉体だ……。
我が魂を受け入れてなお、
なんなのだ、この湧き上がる衝動は……。

？？？

――それはだな。

魔神セーレ

なっ……この声は……。
まさか、この剣か……！？

魔剣カオス

うむ、儂じゃ。
その名も魔剣カオスである。
異世界の魔神よ、面倒なやつに取り憑いたもんじゃなー。

魔神セーレ

意志ある魔剣を持つとは……。
やはりこの肉体は、一級品の戦士であったか。

魔剣カオス

まぁ、一級品の戦士であることは否定せんがなー。
しかしお前に持ち歩かれるのは気に入らん。

おーいっ！　ランスッ！
近くまで来ておるんだろー！　儂はここじゃー！！

魔神セーレ

なっ……！？

霊体ランス

カオス！　でかした！
がはははははっ！　ランス様参上！！

アンナ

まさか堂々と玉座の間を占拠しているとは……。

ミスリア

わぁ、意思を持った魔剣ですよ！
まじまじ見たい、じっくり眺めたい……。

魔剣カオス

でへでへ、
お嬢ちゃん後でゆっくり観察させてあげよう……。

志津香

……やめておいたほうがいいわよ？

霊体ランス

さぁ魔神セーレ、そろそろ決着の時間だ。
俺の体を返してもらうぞ。

魔神セーレ

ほざけぇ！　全員残らず我が配下としてやろう！

志津香

たぶんまた、転移の魔術を使って
強制的に撤退させてくるはずよ。
王子たちも気をつけて。

グリム

あいつの周りに、転移の魔力が渦巻いてますねー。
たぶん受け止めようとすると
その強制転移が発動するんじゃないかと。

サテラ

厄介なヤツだな……。
受け止めずに全力で殴れ、ってことか？

アンナ

そういうことかと。それではグリムさん、
次元の狭間への転送準備お願いします。
我々はそれまでの時間を稼ぎますよ！

ランスに憑依した魔神セーレは
特定のタイミングで
特殊攻撃を行います。
　
特殊攻撃が発動すると
特定の近接マスに配置していた
ユニットは撤退します。
撤退後は再出撃が可能です。

サテラに変身した
ドッペルゲンガーの攻撃は、
人間系の味方ユニットに対する
ダメージが10%アップします。
　
　
　
　　　　　　　(1/2)

サテラに変身したドッペルゲンガーの
攻撃を受けた味方ユニットは
2秒間、防御力が減少します。
　
この効果は、状態異常に対する
ユニットの能力では
軽減、無効化できません。
　　　　　　　(2/2)

魔相志津香に変身した
ドッペルゲンガーは、
一定範囲内の
ユニットの魔法耐性を
20%ダウンさせます。

魔神セーレ

くっ……身体が言うことを聞かぬ……。
魔剣カオス、貴様が邪魔しているのか！？

魔剣カオス

えー、儂そんなことしてないしー？
――大方、貴様とランスの肉体の相性が最悪なんじゃろ。

魔神セーレ

ふざけたことを……。
仕切り直しだ、空間転移――ッ！！

サテラ

グリム、今だ！！

グリム

はーい、でっきまっしたー。
次元の狭間行き異界の門、おーぷんっ！！

魔神セーレ

なっ……人間ごときが、転移魔術だと――ッ！？

魔神セーレ

――ここは、どこだ……。
物質界でも魔界でもない、何も感じ取れぬ空間だと……？

志津香

次元の狭間、というそうね。
いわばどこでもない場所、かしら？

グリム

ここなら、異界の門を用いた転移以外は無効です。
ぼっこぼこにして、
ランスさんの身体を取り戻しちゃいましょー。

魔神セーレ

ほざけぇ！！
どちらにせよ、貴様らはこの肉体を殺せまい！
手加減してこのセーレを倒せると思うな！！

魔剣カオス

む、いいのか？
そのままランスの肉体に収まっていると、ありあまる
人間の欲望に押しつぶされ、自我が崩壊しかねんぞ？

魔神セーレ

まさか、先程からの不調は――
ふざけるな、人間ごときがそんな巨大な欲望を……！？

霊体ランス

がはははは。
甘く見るなよ魔神なんとか。

俺様はスーパーな男だ。
スーパーな欲望を、お前ごときが制御できるものか。

魔神セーレ

くっ……どこまでもふざけた男め。
いいだろう、ならば我が本来の力を持って、
貴様らを皆殺しにし、物質界に戻るまでだ！！

レーヴ

あれが、魔神セーレの本体ですか。
伝承に謳われているとおりの姿ですね……！

サテラ

はっ、あいつが飛び出た今なら！
ランス！　今すぐ身体にもどれ！！

霊体ランス

おう！！

ランス

がははははは！
久々の復っ活っ！！

おい、魔神セーレ、
散々俺様の肉体を好き勝手してくれたな。

それに王子、なんというか、世話になったな。

王子

…………（にこにこ）

魔神セーレ

どこまでも規格外な男め……。

ランスよ、貴様が優れた戦士であることは分かった。
我が配下となれば、
物質界の領主に据えてやってもいいぞ？

ランス

知ったことか。
俺は誰の下にもつかん。
それに何より、お前は気に食わん。

魔神セーレ

その選択、後悔するがいいッ！！

グリム

王子、ここなら魔神セーレの強制転移も効かないです。
でも物体を引き寄せる力は
残ってますので、油断は禁物ですー。

ランス

よし、行くぞ王子。
あいつをぼっこぼこにしてやる！

かまいたち紫苑姉妹の三女
ヤタケのドッペルゲンガーがいる間
全ての敵のHPが徐々に回復します。

ランス

――ランスあたたたたーーっく！！

魔神セーレ

なぜだ、なぜ人間ごときが――

ランス

ただの人間じゃない。
スーパーな俺様と、王国の王子だ。

魔神セーレ

おのれ……おのれぇぇッ！！

魔神の魂は滅びぬ！
必ず貴様を、この手で殺してやろうぞ……ッ！！

ランス

うるさい、さっさと死ね。

志津香

ここは次元の狭間よ。
永遠にそうやって、何もない空間にわめき続けてなさい。

魔神セーレ

ぐっ、ぐぉぉぉぉッ、ぐわぁぁぁ――ッ！！

シーラ

――ふぅ。
どうにかなりましたね。
ランス様の肉体も元通りですし。

サテラ

後は元の世界に帰るだけ、か。
……どうやって帰る？

グリム

ここは次元の狭間なので、
ふたつの世界を接続するよりは簡単に、
元の世界への門を作れそうですねー。

志津香

おぉ、さすがは召喚士。
今度機会があったら、その魔法教えてくれない？

グリム

のんのん、異界召喚士です。
ただ、たぶん一瞬しか開かないので、
迅速に、すすすーっと飛び込んでくださいねー。

シィル

えっとぉ……もし中途半端に飛び込むと？

グリム

まっぷたつか、魂と肉体がばらばらになるか？

シィル

ら、ランス様ぁ！

ランス

えぇい、うっとうしい（ぽかっ）
グリムの実力は見ただろ。
そう簡単に失敗などせん。

志津香

それじゃあ、お別れね。
グリム、次にあったら魔法のこと聞かせてね？

サテラ

おっと、メカゴブリンクイーンに挨拶を忘れた。
ソーマ、よろしくと伝えておいてくれ。

かなみ

王国の忍者さんたちもお元気で！

シーラ

王子殿下、次は国家元首同士、
友好条約の締結を結びに来ますね。

シィル

さぁランス様、お別れを言いますよ。
本当に色々お世話になったんですから。

ランス

むっ……そうか、そうだな……。

……王子、グッドだ！
がはははは！　また会おう！！

グリム

では、門を開きます。
みなさん、お元気でー。

アンナ

…………行ってしまいましたね。

グリム

こっちも迅速に帰らないとです。
次元の狭間から出られなくなると大変なのでー。

アンナ

おっと、急ぎましょう！
それでは王子、此度の魔神討伐、お疲れ様でした！