空へ

レクテ

――うへ、うへへ、うぇへぇ……♪

クレール

レクテ……。
可哀想に、可愛い顔が緩みきって台無しに。

レクテ

だってさぁ、聞いてよクレール。
とうとう！　とうとう完成したんだよぉ！
　
――王国空軍旗艦！
超古代文明の船、天磐船、神獣ユニコーンをひとつにした、
世界最新最強の航空戦艦がさぁー！！

クレール

そのために何日徹夜したんです？

レクテ

むっ、おーじ様に叱られたから、
ちゃんと睡眠はとってたよ？
飛空戦艦の床とか甲板とかで。

クレール

はいはい、それじゃあ完成したんだし、
ちゃんとふかふかのベッドで寝ましょうねー。

レクテ

わっ、わぁっ、待って！　まだやることが！

オヴェリー

船体が完成したのに、
まだ作業が残っているのですか？

アルレット

……それがさ、
一番大事な作業が終わってないんだよねぇ。

オヴェリー

一番大事な……？

アルレット

――起動しないの。

オヴェリー

えっ。

アルレット

超高出力な磐船、頑丈ででっかいユニコーン、
飛行能力を担う超古代文明の船、
それをぜーんぶ統合する頭脳との接続が上手くいかないんだ。
　
今もクリッサとホリーが語りかけてくれてるんだけど、
うーん、やっぱり神獣の頭脳でも、
演算負荷が大き過ぎるのかなぁ……。
　
まっ、焦りは失敗のママだし！
ここはひとつひとつ、原因を探っていって――

キャリー

――伝令ー！　緊急事態ですー！！
　
飛空戦艦にっ、敵がっ！
天界兵の襲撃です！！

プリニース

はっ……？　はぁぁぁぁっ！？
いったいどこから！？
防衛戦のどこからも情報来てないよ！

フローガ

魔術ギルドの転移妨害魔法にも反応なしです！
いえ……これは……まさか、無効化されてる！？

セリド

わっ、わわわっ、い、急ぎましょう！
一大事！　一大事ですー！！

？？？

――退け。
戦士でない者を殺す趣味はない。

？？？

では、退く理由がありません。
世界最強最速の私が、戦士に見えないと？

ユリクセス

やめろパルセ！
お前はまだ、戦える身体じゃないんだぞ！

パルセ

…………。
さぁヘラクレイア、一騎打ちです。
私に勝てると思っているなら、かかってきなさい。

ユリクセス

こいつ！　僕の言葉を無視したな！？
まだ神獣の頃の矜持を引きずってるだろう！？

パルセ

怪我人に発言権はありません。
私をかばって負傷した大馬鹿天才はお黙りを。
　
女神アイギスより賜りし、我が使命は人類の守護。
神獣から人型になってもそれは変わりません。
　
それに、ここで彼女を止めなければ、
ただでさえ天界兵に破壊されている私の身体が、
完全破壊されかねません。

ヘラクレイア

ほう、神獣……？
さては破壊対象の――神獣ユニコーンの化身か。
　
ならば、立っているだけでも辛そうな、
その様は演技ということか。
　
ならば、望みどおり相手をしよう。
いずれにせよ、斬ってみれば分かることだ。

ユリクセス

パルセ！　もういい！
僕のことは捨てて早く逃げ――

ヘラクレイア

…………ん。
この匂い……戦士の気配だ。
　
――ようやく来たか、王国軍。

アキレア

おらァ！　頭脳労働担当者に何してくれやがる！
無事かユリクセス！　ユニコーンの小娘！

ユリクセス

重傷だ、正直動きたくない！
それよりアキレア、船体を破壊している天界兵を潰せ！

アキレア

あぁ？　このデッカイ女はいいのか？

ユリクセス

こいつは例外中の例外なんだ！
こういう奴の担当は王子の本隊に任せろ！

ヘラクレイア

例外、か……。
なるほど、悪くない気分だ。
人間だったころの感情が蘇ってくる。
　
神の座を拒否した男、王国の王子。
真逆の道を選んだお前の剣技、見せてもらう。
　
――我が名はヘラクレイア。
殺されたい者から前に出ろ。

ヘラクレイアは、
拠点には向かわず
しばらくすると戦場から
いなくなります。
　
倒さなくても★の評価には
影響しません。

各種天界兵は、攻撃を複数回行うと
攻撃性能が変化します。
　
４回目以降の攻撃は防御、
魔法耐性を無視し、
攻撃無効化、女神の加護の
影響を受けません。

天槍騎兵団は突撃中、
ブロックすると、
一度だけ強力な攻撃を行います。

？？？

――ヘラクレイア、そろそろ撤退を。

ヘラクレイア

……ガレアか。なぜだ？
この船を破壊するのが目的じゃないのか。

ガレア

目的は時間稼ぎだからね。
それに、君をここで失うと計画に支障が出る。

ヘラクレイア

負ける、と言いたいのか。
半神となったこの身が。

ガレア

君の強さは知っている。
でも、ここは僕の計略に乗ってくれないかい？

ヘラクレイア

……ふん。

ガレア

さて、天界兵の諸君も撤退だ！
破壊活動ご苦労！

ユリクセス

待てぇぇぇッ！！
ガレア、やはり貴様か！！
　
おかしいと思ったんだ。
亜神ディアスが眠っているというのに、
天界兵がやけに上手く用兵されていたからな。

ガレア

気付いていて襲撃を防げないとは、
常勝の智将の勘も鈍ったのかな？

ユリクセス

魔術ギルドの総力で編み上げた転移妨害魔法だぞ！
それをぶち破ってくる奴がいるとか、
いったいどこの誰が予想するんだ！

ガレア

君なら予想して、対策までしてくると思ったんだけどね。
なにしろ、これは転移魔法じゃない。
女神アイギスに奪われた召喚魔法の疑似再現だ。
　
開戦前には、いつも「ディアスの加護を！」って
祈りを捧げていたんだから、僕が加護を
受けた相手がディアス様だって、気付いてただろうに。

ユリクセス

ディアスへの祈りの言葉、か。
あんなもの、戦場の作法だと思うだろう、普通は！

ガレア

ははっ、まぁいいさ。
君と話していると、すぐ罠にかけられるからね。
雑談はこれくらいにしておこう。
　
では、また会おう。
常勝の智将殿に――不敗を誓った王国の王子。

王子

…………。

フローガ

……天界兵が消え――いえ、転移しました。
恐ろしいくらいに大出力の転移魔法です。

ユリクセス

…………はぁ。
また頭痛の種が増えたぞ、まったく。

レクテ

――ふぅ、被害状況の確認終わったよー。
　
天の磐船は無事！
パルセちゃんも無事！
壊されたのは超古代文明の船体部分だけだね。

パルセ

……すみません。
本当は、私が一番に逃げないといけなかったのですが。

ユリクセス

いや、気にしないでくれ。
元が神獣である君は、人間を見捨てられないんだろう？
　
それくらい、僕も把握しておくべきだった。
人の心は難しいが、神獣の心もまた同じくだな。

アキレア

お前、人の気持ちわかんないもんな。

ユリクセス

ああ、特に戦闘狂の気持ちはな。

アキレア

何をぉッ！？

キャリー

あの……ところで、
こちらのパルセさんって何者なんでしょう……？

パルセ

はっ、すみません。この姿では初対面ですよね。
――お久しぶりです、キャリーさん。
私はパルセ、神獣ユニコーンです。

キャリー

…………へ？

クリッサ

神獣ユニコーンだよ。
戦ったこと、あるでしょ？

キャリー

えっ、でもユニコーンって、
飛空戦艦に合体してるんじゃ……。

ホリー

私たちと意思疎通がしやすいように、
自動人形の身体を持ってもらったんです。

パルセ

ただ……こうして人型になったせいなのか、
飛空戦艦本体との接続が上手くいかなくて。
その隙を突かれてしまいました……。

ユリクセス

起動が遅れたのが痛手だったな。
完成後、より警備の厳重な王城の真横に、
飛空戦艦を持ってくる計画だったんだが。

アイシャ

敵側にいた、新手の指揮官の計略かな。
前に、戦闘記録で似顔絵を見た覚えがあるよ。

ユリクセス

奴はガレアだ。
南方諸国で雇われ指揮官をしていた時に、
相手をしたことがある。

アキレア

……誠実でまっすぐで面倒なやつだったな。
鬼畜で意地の悪いユリクセスとは真逆だった。

キャリー

ん……？
まっすぐな人なら相手をしやすいのでは？

ジェローム

そうでもないんですよ。
本当にまっすぐな指揮官というものは、
裏をかくのが仕事の用兵家の、さらに裏を突いてくるもので。

ユリクセス

定石に従うわけでも、定石の裏をかくわけでもない。
こうすれば勝てるという己の理論を、
まっすぐ貫いてくるから、まったく作戦が読めない。

アキレア

この世界に存在しない定石を、
自分の頭ん中で作っちまうんだよ。
そんな化け物が――天界側についたってことだ。

フローガ

……さらに、あの転移魔法も問題です。
飛空戦艦建造現場には、
魔術ギルドの総力を上げた妨害魔術があったのに。

グリム

人類の転移魔法じゃ、
妨害魔術の範囲内に乗り込むことは絶対にできません。
私の召喚術も止めるレベルですからねー。

フローガ

それを破壊して転移を成功させたということは、
つまり敵側は、どんな場所にも
乗り込める転送魔法を手に入れたのでしょう。

ユリクセス

おそらく、要塞宮殿の再起動が近いんだ。
あの場所の魔力とディアスの権能があれば、
女神アイギスの召喚魔法を疑似再現できる。
　
だがここで止まっているつもりはない。
さて、暗い顔をするのはここまでだ！
王子、連中に好き勝手させておくつもりはないんだろう？
　
パルセ、何があればお前の本体を起動できる？

パルセ

超古代文明の船、その修理が必須です。

ユリクセス

本体が起動しない問題は？

パルセ

修理と並行して、接続の上手くいってない箇所を、
私の制御が届く形に繋ぎ直しましょう。
何なら、磐船に圧をかけてもらいます。

アマツ

いわふね、怒るとこわいよー。

ユリクセス

よし、じゃああとは……。

アキレア

……修理用の、超古代文明の船のパーツ？
さすがにそんなアテはねぇぞ？

ユリクセス

アルレット、エフトラ、プロメ、
この近くに飛空戦艦ドックの遺跡はないか？

アルレット

遺跡のアテはあるけど……。
ただ、そのどれが飛空戦艦用なのかは――

ヘルメルク

――ふぅ。

アンナ

…………ッ！？　何者ですか！？

ヘルメルク

お困りのようだね？
自由を愛する旅人が、君たちを手助けに来たよ。

ペルセナス

――ヘルメルク、どうして協力するつもりになったの？
もしかして正義のハートに目覚めた？

ヘルメルク

義理を果たしに来ただけだよ。
王子には世話になってるし。

ペルセナス

……いつの間に？

ヘルメルク

ペルセナス、気付いてないのかい？
自由を愛する僕が、
自由気ままに物質界を旅するためには――
　
――まぁいいや。
ペルセナスに話しても理解してくれないだろうし。

ペルセナス

なにをぉ！？

ヘルメルク

まぁ、信じてって言っても
信じられないのは分かるよ。
でも、僕は王子に勝ってもらう必要がある。
　
ただ、パパにもその部下にも、
色々と義理があるから、
それを果たしてからここにきたってこと。
　
その証明に――さぁ、到着したよ。
超古代文明の遺跡、そのいち。
　
どう？
使えそうなスペアパーツが満載だと思うんだけど。

エフトラ

間違いありません。
これは……超古代文明時代の造船ドックです。

アンナ

半信半疑でしたが……ヘルメルクが
協力してくれるというのは、
嘘ではなかったようですね。

パルセ

……使えそうなパーツの反応があります。
ちょうど破壊された整流装置の――すごい、
アップデートバージョンみたいです！

アルレット

おっほー！
あれ副砲の撃発装置のスペアじゃない？
あっちのは――なにあれ見たことない！　最高！

アキレア

おいおい、まぁ待てって。
こういう場所には先客ってものが――ほらな？

セリド

わっ……ま、魔物です！
皆さん戦闘準備をー！！

プリニース

――これは、歴史的大発見だ……。
アナベラ、フェリシア、コレット！
資料の中身を見ないように収集開始！！

アナベラ

えっ、どうして見ちゃいけないのさ。
知的好奇心を殺せっていうのかい！？
帰るまでお預けとぉ！？

コレット

片付け中に読み始めるとそのまま朝まで
読み耽るからじゃないですかねー。

フェリシア

その代表格がプリニースなのにねぇ。
あ、コレットも同類よね。

クリッサ

どう？　補修用パーツは足りそう？

パルセ

パーツは豊富にありますが、
ここの在庫だけでは、まだたりなさそうです……。

ホリー

それじゃあ、他の遺跡も探さないといけませんね。

ヘルメルク

まぁまぁ、僕にまかせて。
世界中旅してきたんだから、
遺跡のひとつやふたつ、どんどん紹介してあげるよ。

セリド

（……あの人、この前私の家を
襲撃してきたヘルメルク本人ですよね？
どうしてこんな協力的なんでしょう）

オラティル

（亜神に筋の通った理由を求める方が無理な話だよ。
セリド、君だって自覚、あるんじゃないかい？）

タリエ

（娘のことになると
突然挙動不審になるものね、セリドお母さん？）

セリド

（た、タリエちゃんー！？）

オラティル

まっ、事情なんて単純なものだと思うよ。
どっちの味方だとか、誰が正しいだとか、
急いで決めたがるのは人類だけなのさ。
　
だからこそ、短い一生を駆け抜けていく、
彼らのことを眩しいと
思ってしまうんだよね、私たちは、さ。

ヘルメルク

――はい、超古代文明の遺跡そのに。

ネフティ

砂漠にも超古代文明の遺跡があったんですね……。

オラティル

砂漠どころか、
世界中のあらゆる場所に埋まっているよ。
大半はプロメが溶かしてしまったけどね。

プロメ

あぅぅぅ……。
ですがそれは、今の時代の人類を思ってのことで……。

ユリクセス

分かっているとも。
それぞれが、それぞれに正しいと思ったことをする、
その点に限っては人類も亜神も変わらないだろう？

ヘルメルク

むしろ、悪事を働こうと考えない分、
亜神の方がタチが悪いとも思うけどね。
　
人には悪いことをしようと思って悪事を働く輩もいる。
でも、亜神というのは己を律する法と権能に基づき、
正しいと考える行いを実行せんとするものだから。

ユリクセス

なるほど、確かにそれはタチが悪い。

アキレア

おい、なんで俺を見るんだよ。

ユリクセス

いや、頼れる相棒がいて良かったなと思っただけだよ。
それより、ここにも魔物が巣食っているかもしれない。
全員、周囲を警戒しながら――

アキレア

――その必要は、もうないぜ？
あっちからお出ましだ。
王子！　警備のゴーレムが来るぞ！

壊れかけた機甲兵は自爆して、
自身の周囲にダメージを与えます。

……ッ！　この耳鳴り……！
要塞宮殿の転移魔法です！　新手が来ます！

……僕が呼んだわけじゃないよ？

それくらい分かってるよ！
ヘルメルクは変なやつだけど、嘘つきじゃないし！

天界の守護兵は
待機状態の間は
攻撃を行いませんが、
HPが徐々に回復します。
　
行動を開始すると、
回復効果は無くなります。
　　　　　　（1/2）
　
天界の守護兵は、攻撃を複数回
行うと攻撃性能が変化します。
　
4回目以降の攻撃は防御、
魔法耐性を無視し、
攻撃無効化、女神の加護の
影響を受けません。
　　　　　　（2/2）

キャリー

ふぅ、片付きましたね。
でも場所がバレたってことは……。

アンナ

はい、調査に時間をかけるわけにはいきません。
パーツの回収を急ぎましょう。

パルセ

手分けして使えそうなパーツを探しましょう。
エピウス、アマツ、手伝ってもらえますか？

エピウス

ふぇぇっ！？　私ですかぁ！？

パルセ

私の設計担当のひとりじゃないですか。
力を貸してください。

アマツ

アマツ、てつだうよー。

パルセ

アマツは特に、磐船との
動力伝達に使うパーツをお願いします。
できれば、現状よりも頑丈なものを。

アマツ

まっかせてー。

王子

…………（にこにこ）

アキレア

ん、どうしたんだ王子、にやにやしやがって。

アリア

嬉しくもなりますよ。
だって、みんなが自分で考えて、
なすべきことの為に全力を出しているんですから。

アキレア

ん……？　当たり前のことだろ？

アリア

えぇ、当たり前のことです。
その当たり前が、
ようやくこの世界に帰ってきたんです。

アミー

誰もが疲れ切った世界では、
ただ、英雄という願いを皆が追いかけるもの。
　
しかし、皆が己の意志で立ち、歩み、抗う世界なら、
英雄と同じ願いを並び立って追いかけられるもの。

コハル

べんべんべ～ん♪
ふふん、物質界はようやく、負けない戦いから、
勝ち取りに行く戦いを挑めるようになったのさ。

アミー

おおコハルさん！
どうです、一曲セッションでも。

コハル

にゃふふ、それは今度にしておこう。
今は猫の手も借りたいし、
ゴブリンの手も借りたい時だろうからね。

アミー

たしかに！　ではパーツ集めに出動！

コハル

さぁて……外はどんなことになってるやら。
集め終わって、脱出する時が大変だろうねぇ。

ホルエス

――皆さん、ご無事でしたか！

ハシム

すまんな、遺跡内部まで救援に行きたかったが、
こっちも天界兵に包囲されちまった。

アサル

どうにか第一波は抑えましたが、
敵は転移魔法を使っているようです。
おそらく、間を置かずに第二波が来ます！

パルセ

……なぜ、こちらに？
私の破壊が目的なら、
手薄な飛空戦艦本体を狙ってくるのでは。

ケイティ

むしろあちらの戦力を考えれば、
同時襲撃もありえるはずですが……。

ユリクセス

――これは、本当に時間稼ぎなんだろうさ。
　
ガレアは飛空戦艦の完成は防げないと読んだんだ。
だからこそ、破壊できないのなら、
対抗策が整うまで時間を稼げばいいと判断した。

アキレア

だから初手でヘラクレイアなんざ出してきたのか。
あいつ、自分から神の試練を乗り越えまくって
半神になった化け物女だからなぁ……。

ユリクセス

ともあれ、今は無事にパーツを
飛空戦艦まで持ち帰るのが先決だ。

アキレア

よっしゃ、じゃあ包囲する気で来る敵さんを、
がっつり返り討ちにしてやろうか！

フローガ

転移魔法を感知！
敵が来ます！！

アキレア

……なんだァ、あれ？
ただの天界兵だってのに、「神」の気配がするぜ。

オラティル

神の加護を受けている……？
いや、もっと異質な……。
　
これは、伝承に謳われる者だけがまとう気配だ。
こんなにわらわらと、出てきていい類のものじゃない。

ホリー

彼らが、一騎当千の強者ってことですか！？

オラティル

いや、それなら多少なりとも
見覚えのある戦士がいるはずだ。
連中の顔なんて、ひとりも見たことがない。
　
何者かが、あの戦士たちに神の力を与えているんだ。
放っておけばさらに力を増してくるだろう。

アキレア

さっさと倒せばいいんだな！
行くぞ王子、全員なぎ倒す！！

？？？の影響により
各種天界兵の
攻撃と防御がアップします。
　
この効果はミッションの
時間が経過するほど
強力になります。

アイシャ

天界兵の増援が途切れた。
王子、今が好機だよ。

レン

この隙が意図的なものだという可能性は？
敵は転移魔法を持っています。
こちらの移動にあわせて強襲してくる可能性も……。

アイシャ

その可能性も織り込み済みで、
ここは進軍するしかないかな。

レン

……なるほど。あちらは時間稼ぎが目的。
だとしたら、ここでの足踏みは
相手の利にしかなりませんね。

アリア

よし、それじゃあ――全軍、行軍開始！
敵は転移魔法を仕掛けてくるはず。
魔術師は魔力の乱れを見逃すな！

パルセ

……あとは、私の役割。
　
今度こそ、「私」を起動させてみせます。

エピウス

だ、大丈夫、です……。
設計中に、何度も確認しました……。
　
あなたは、とてもいい船です。
きっと、応えてくれます……。

パルセ

……はいっ！

サンドゴーレムは
HPが50％以下になると
ブロックされていない間は
味方の遠距離攻撃の
対象にならなくなります。

――王国近郊

一般兵

魔術ギルドより報告！
複数の転移魔術の反応あり！　神聖騎士団です！

ロイ

やれやれ、とうとう来ましたな。

ジェリウス

魔術ギルドの総力をあげた妨害魔術を貫いてくるとは。
亜神ディアスの転移魔術は凄まじいな。

ベルナール

おや、もしや臆したかジェリウス殿？

ジェリウス

面白い冗談だ、ベルナール殿。
この場には、ひとりたりとも
神聖騎士団を恐れる者はいないさ。

ギャレット

そのとおりだ。
俺たちの後ろには、王国の民がいる。
神聖騎士団の連中、一兵たりとも逃しはしない。

ベルナール

ははっ、確かに。
誰かを守る戦いというものは、奮い立ちますな。

ストレイ

……見えた。
敵はまっすぐこちらへ向かっている。

ジェリウス

よし、総員迎撃準備。
王子は今、世界の命運を賭けて戦っている。
その背中を守るのが、俺たちの使命だ。

ギャレット

さぁ来いよ、神聖騎士団！
全員鉄くずにしてやる！！

白い鎧の神聖騎士は、
戦場にいる神聖騎士の総数に応じて
攻撃力と防御力がアップします。

ロベルト

負傷者はいるか！？
ここで戦死なんざ許さねぇからな！

グスタフ

ロベルト殿！　こちらに負傷者が！
お急ぎくだされ！

ロベルト

おうよ！　任された！！

ジェイク

……敵の攻勢が止まらない。
連中、戦法を変えてきたな。

オスカー

これまでは、兵の損耗を
ある程度抑える戦い方をしていましたが……。
今日のこの戦い方は、まるで――

冒険者

――兵を使い潰す、戦い方だな。
ちっ……指揮官が変わると、
こうも悲惨なことになるのか。

マリウス

さて、この防衛戦もどれだけ保たせられるか……。
敵が意思なき鎧ばかりなのだとすれば、
いずれ、生身の我々が先に損耗していくはず。

コジュウロウ

なに、耐え抜くのみよ、マリウス殿。
今に巨大な船が、
戦況を覆すべくやってくるでござろう。

マリウス

……王子は、幸せ者だな。
誰もがその帰還を信じて疑わない。
　
いいだろう。
この身も貴様を信じ、戦い抜こう。
王国の翼を伴い、見事凱旋してみせろ、王子！

ユリクセス

――レクテ、改修作業の進捗は！？

レクテ

磐船、ユニコーンは大丈夫！
動力伝達の調整がメインだからね！
船体部分だけ被害が大きかったから、まだかかりそう！

ユリクセス

わかった！　焦らず全速力で頼む！

レクテ

あいあい！
エピウス、そっち手伝いに行くよ！

エピウス

あ、ありがとうございますぅぅぅ。
猫の手も借りたい状況でぇぇ……。

レクテ

全部終わったらミネット商店で打ち上げしよ！
期間限定にゃんにゃかスイーツ！

エピウス

はっ、はい！　がんばります！

ユリクセス

パルセ、船との接続はどうだ？
起動できそうか？

パルセ

……もう少し、時間をください。
先の起動実験の時よりも、
私の言うことを聞いてくれるようにはなりましたが……。

ユリクセス

大丈夫だ。
その時間を稼ぐのが僕らの仕事だからな。
思いっきり甘えてくれ。

パルセ

助かります。
クリッサさん、ホリーさん、
引き続きサポートをお願いします。

クリッサ

わかった。
何がなんでも、飛空戦艦に話を聞いてもらわないと。

ホリー

幻獣ユニコーンもやる気になってます。
必ず成功させましょう！

ユリクセス

…………ふぅ。

アキレア

お前、激励は得意なんだよな。

ユリクセス

当たり前だ。
僕の仕事は皆に気持ちよく戦争してもらうことだぞ。
彼女らの戦場は、今は飛空戦艦の起動準備だ。

アキレア

で、俺たちの戦場は、
あのでっけぇ女の相手ってことか。

ヘラクレイア

――このまま無視されるのかと思ったぞ。
勝手に破壊活動を始めるところだった。

アイシャ

悪いね、今取り込み中なんだ。
襲撃は後日にしてもらえる？

ヘラクレイア

それは出来ない相談だ。
私の仕事は、これが最後だからな。

アキレア

……ん？　最後？
どういうことだ？

ヘラクレイア

ディアス様との契約は、ここまでだ。
各々、託された使命はあるが……。
　
私の使命とは、この武力をもって
飛空戦艦を破壊すること。

アキレア

あぁ？
ひい爺さんの部下ってわけじゃないのか？

ヘラクレイア

我々は、単純な契約関係に過ぎない。
私の場合は、ただ、
半神となる試練を与えてくれた恩義に応えるのみ。
　
ゆえに――最後の戦い、手は抜かないぞ。
　
王国の王子、貴様の実力を私に見せてくれ。
私はまだ高みを目指せると、人類の可能性を証明しろ。

アイシャ

王子、敵が来るよ！
迎撃準備を！

王子

…………ッ！！

　
レナータ

――伝令！　緊急事態です！
王都へ向けて、多数の神聖騎士団員が出現！
防衛部隊が接敵しました！

ユリクセス

想定通り……だが、早すぎるな。戦況は？

レナータ

襲撃があることを前提に防衛線を構築したので、
どうにか押し留めることには成功しています。しかし、
敵は疲れを知らないリビングアーマーですから……。

ユリクセス

なるほど、ヘラクレイアをこちらにぶつけたのも、
手薄になる王都に神聖騎士団を送り込んだのも、
効率的に時間稼ぎをするためらしいな。

アイシャ

どうする？
このまま敵の策に乗り続けたら、あっちの望みどおり、
ディアスが目覚めちゃうと思うけど。

ユリクセス

おそらく、今僕らは同じことを考えているはずだ。
ここに世界最速の船があるんだ。
こいつを使って王都まで飛ぶしかない。

アイシャ

お見事。完全に同意見だよ。
パルセを手伝いにいかないと。
さて、どっちが行く？

ユリクセス

僕は人の気持ちとかいうものが察せないらしいからな。
ここは昔からの王国のやり方を知っている、
伏龍の軍師殿にすべてお任せするさ。

アイシャ

うん、任された。
期待してるよ、常勝の智将殿。

？？？の影響により
亜神ヘラクレイアと
一部の天界兵は、
攻撃と防御がアップします。
　
この効果はミッションの
時間が経過するほど
強力になります。

ヘラクレイアから攻撃を
受けると「毒」状態になり、
一定時間継続ダメージを受けます。
　
毒によるダメージは、女神の加護や
攻撃の無効化の影響を受けません。
　
　　　　　　（1/2）
　
ヘラクレイアの攻撃を受けた
味方ユニットは2秒間、
攻撃力が減少します。
　
この効果は、状態異常に対する
ユニットの能力では
軽減、無効化できません。
　　　　　　（2/2）

ヘラクレイア

――どうした、まだ私は死んでいないぞ。
神殺しの王国軍の実力、こんなものではないだろう。

ユリクセス

好き勝手言ってくれる……！
時間稼ぎだとか言っておきながら、
戦いを楽しみ過ぎだぞ、あの女！

アイシャ

――ふぅ、よいしょっと……。
どう？　ヘラクレイア、片付いた？

ユリクセス

まったく。
王子配下の部隊が叩き潰したはずなのに、
まだまだ戦うつもりみたいだぞ。

アイシャ

そっか。
でも、勝利条件を先に満たしたのはこっちだよ。
伏龍と常勝が、先に半神から一本取ったってこと。

ユリクセス

飛空戦艦が起動したのか！

アイシャ

正確には、言葉を聞いてくれるようになったかな。
あとはパルセが、自分を説き伏せるだけ。

パルセ

――皆さん！　飛空戦艦に搭乗を！
まだ接続は完全ではありませんが、
このまま、無理やり飛ばします！

ユリクセス

よし、総員乗艦！　ひとりも残すな！
このまま仮設ドックは放棄する！

エピウス

パルセ、大丈夫……？
飛べそう……？

アルレット

みんながついてるよ。
落ち着いて、正確に命令を伝えて。

アマツ

いわふね、げんきいっぱいだよ。

プロメ

超古代文明の船も、磐船のエネルギーを得て、
いつでも飛べる状態にあります。

レクテ

磐船の出力は安定してる。
船体への動力伝達も完璧。
あとは、管理頭脳であるパルセが船の主導権を握るだけ。

パルセ

――はい。
　
あなたは、私です。
神獣ユニコーンであり、天の磐船であり、
超古代文明を受け継ぐ、空を征く船よ。
　
私の言葉が、届いていますか？
これはあなたの言葉です。
私とあなたは、同じ願いのために生まれました。
　
――人類を守る。
そのために、今こそ、目覚めてください。

ヘラクレイア

…………ッ！？
なんだ、この振動は……まさか、この巨艦が！？

パルセ

…………繋がりました。
この子は、飛べます。王子、命令をお願いします。

王子

…………。

レクテ

ん？　どしたの？　――名前？
あっ、あぁ！　この子の名前は！？
起動命令出せないよ！

パルセ

それなら、この子が自分で教えてくれました。
読み方は――
エフトラ、アルレット、王子に伝えてくれますか？

アルレット

ああ、船体に古い言葉で大きく書いてあったっけ。
飛べないまま時代の終焉を迎えた、
この子にふさわしい名前だったよね。

エフトラ

……暁をもたらす者。
夜を割き、神秘の時代を終わらせ、人の時代へ至る者。

王子

…………（こくり）
　
――ドーンブリンガー、起動。

パルセ

了解。
払暁級戦艦一番艦、ドーンブリンガー……起動します。

　
ヘラクレイア

……飛んだ、か。
戦いだけならば引き分けだが、
勝利条件を満たしたのは、王子たちか。
　
初めての……敗北、だな。
ああ……契約は果たされたよ、ディアス。
私は敗北したが、望む戦いを得た！

レクテ

――感無量だぁ……。
飛んでる、飛んでるよぉ……。

アイシャ

ヘラクレイアも追走を諦めたみたい。
全力で走っても追いつきようがないしね。

パルセ

王子、このまま王都へ進路を取ります。
すぐに到着しますので、戦闘準備をお願いします。

キャリー

えっ……すぐとは言っても、
帝国の船と同速くらいだとしたら
まだしばらくかかるんじゃ？

レクテ

ふっふっふ。
キャリーさん、この船はね――めちゃくちゃ速いよ。

キャリー

えっ。

アルレット

甲板に出てみる？
防護はされてるけど、たぶん吹き飛ばされそうになれるよ。

キャリー

えっ、いや、飛ばされる趣味はないですけど！？

パルセ

まだ出力が安定したわけではないので、
最大戦速を出すわけにはいきませんが……。
　
出力調整さえ完了すれば、
何の問題もなく、あの空の向こうにだって行けますよ。

キャリー

空の……向こう……？

エフトラ

この大地を覆う青空、その向こう。
藍色に移り変わっていく天蓋を超えた先。
　
私の生まれた時代では、
その空域のことを「宇宙」と呼んでいました。

キャリー

えぇと、うわ、想像もできません……。

エフトラ

要塞宮殿は、天界側の時空で、
宇宙と空の境界線上にあると推測されています。
想像できなくても、後で行くことになりますね。

キャリー

ごくり……。
私もついに、空デビュー……。

パルセ

王子、王城が見えました。
敵はすでに、王都付近の砦まで侵攻している模様です。

キャリー

も、もう到着ですか！？

パルセ

このまま砦の目前に船を下ろします。
皆さん、準備はよろしいですか？

ギャレット

――ここが最終防衛線だ！
もう下がれないぞ！

ジェリウス

来る……王子は必ず来てくれる。
総員、諦めるな！

ロイ

……む？
何でしょう、この異様な魔力の波動は……。

ヴァレリー

神獣……いや、もっと大きな……。
これは――皆、空だ！　向こうの空から！

モーティマ

へへっ、来やがったか！
それもあんなデカブツに乗って！

サイラス

あれが、要塞宮殿を目指す船、か。

パルセ

――総員戦闘配置！
私も戦場に出ます。王子、攻撃命令はお任せしますね。

アキレア

おいおい、まだ完全じゃないんだろ？　大丈夫か？

パルセ

空戦は少々心配ですが、
私個人が戦場に出る分には問題ありません。
　
それに……今は、一緒に戦いたい気分なのです。

アキレア

気分、気分か……。
なるほど、そいつぁいい。

パルセ

えぇ、とてもいい気分です。
自分でも驚くくらいに。

クリッサ

もともと、神獣だったからかな。

パルセ

そうかもしれません。
もう二度と、共に戦うことはできないと、
そう思うと、とても悲しかったと記憶していますが――
　
――今は違います。
私は……パルセは、一緒に戦うことができます。
守りたいもののために、共に、戦場に立つことが。

王子

…………（こくり）

アキレア

へへっ。お前、いいやつだな。
よぉし、ドーンブリンガーの完成祝いだ。
初陣を大勝利で飾ってやろうぜ。

ユリクセス

王子、向こうにはこの前と同じ、
「神」の気配の混じった兵がいる。
いつもの神聖騎士団員だと思うな！

？？？の影響により
一部の神聖騎士団は
攻撃と防御がアップします。
　
この効果はミッションの
時間が経過するほど
強力になります。

ホワイトクルセイダーは倒されると、
その場で復活します。
　
復活後、ホワイトクルセイダーは
強くなりますが、HPが徐々に減少し
いずれ自滅します。

神聖騎士団の千人隊長は、
戦場にいる神聖騎士の総数に応じて
攻撃力と防御力がアップします。
　
また、二種類の攻撃を
連続して行います。

アキレア

――ちっ、キリがねぇ！
あの転移魔法どうにかならねぇのか！？

フローガ

向こうには無尽蔵の魔力があります！
せめて、要塞宮殿との接続を、
一瞬でも断ち切ることができれば時間稼ぎが……。

パルセ

周辺空域の魔力を、大規模に乱せば良いのですね？

フローガ

……できますか？

パルセ

初めてなので、不安ではありますが……。
それでも、ドーンブリンガーができると言っています。
　
王子、魔力砲を撃ちます。
トリガーをお任せしたいのですが、よろしいですか？

王子

…………？

パルセ

同意をいただいたと判断します。
――磐船機関、圧縮開始。

アマツ

いわふね、ぎゅんぎゅんだよー。

フローガ

なっ、なっ、なんですこの魔力の乱れ方！？

パルセ

魔力砲弾、磐船内で正常加圧中。
一角獣式魔力砲、
拡散モードに設定、バレルオープン。
　
王子、発射命令を。

王子

――放て。

フローガ

わー！　わー！　わー！？
ま、大気中の魔力がめちゃくちゃにぃ！？

ヴァレリー

なるほど、魔力砲を拡散させて、
転移魔法を展開できなくしたのか。

パレス

これなら、しばらくは時間を稼げそうですね。
ただ、この魔力の乱れも一時的な効果しか……。

ユリクセス

ともあれ、一瞬でも息継ぎできるならありがたい。
パルセ、この魔力の乱れはどれくらい保つ？

パルセ

数時間から、数日程度が限界かと。

ユリクセス

よし、その間に態勢を立て直すぞ。
王子、反撃準備だ！

フローガ

――王子、魔術ギルドからの報告です。
現在、王都から離れた地点に、
複数の転移魔術の行使が確認されています。

アキレア

直接乗り込めないから、
周囲で部隊を整えて進軍してくるつもりか……。

ユリクセス

神聖騎士団は、おそらく総力を上げて攻撃してくる。
現状、連中が生き残るには、
王国を壊滅させるしかないからな。

アキレア

じっと隠れていてくれればいいのにな。

ユリクセス

王国にとって、神聖騎士団は明確な敵だ。
何なら物質界全体にとっての敵と言い切ってもいい。

アイシャ

前騎士団長が、最後の歯止めだったね。
おそらくジメネスは、騎士団員すべての自我を奪い、
完全な操り人形に仕立て上げている。

ユリクセス

ああ。世界の敵になった以上、
もう滅ぼすか、滅ぼされるかしかないだろう。

アキレア

……ひい爺さんからしても、
そこまで汚い手段を使う奴が目覚めた後にいたら、
間違いなく使い捨てだろうな。

ペルセナス

使い捨てどころか、
自分から雷霆で抹殺しにかかるかもね。

レン

……ただ、問題はそこまで待つことができないということ。
ディアスの目覚めは、そのまま物質界の危機を意味します。

ユリクセス

そう、だから叩き潰すしかない。
全軍で攻めてくるというなら、
その全てを撃破するしか道はない。

キャリー

ドーンブリンガーの大砲で、
どかーんと何とかなりませんか？

パルセ

……王国が、消えかねません。

キャリー

ひぇっ。

パルセ

冗談です。
ですが、全軍を焼き払うほどの魔力を行使すれば、
少なくとも地形が変わるくらいの被害は出ます。
　
それに、今は要塞宮殿の
障壁破壊のために、魔力を溜め込んでおきたいので……。

ユリクセス

よって、僕らが取れる手段はひとつ。
正々堂々、全力で叩き潰すことだけだ。

？？？

――その戦、助力させてもらえないか。

アンナ

あなたは……？

ニーカ

わっ、まだ寝てないとだめですよ！
傷も塞がってないんですから！

？？？

身体のことなら、気にしないでくれ。
いつ死んでも構わないと思っている。

ニーカ

団長さん、そんな言葉聞いたら、
部下のみなさんが悲しみますよ？

キャリー

……団長？　ま、まさか。

マージ

申し遅れた。
元神聖騎士団長、雷神の騎士、マージだ。

アンナ

……こちらの味方につく、というのですか？

マージ

仲間にしてくれ、などとは言わない。
ただ……ジメネス、あいつの首だけは、私が落とす。

王子

…………。

マージ

どうせ死んだも同然の騎士ひとりだ。
参戦しても構わんだろう？

王子

…………。
…………（こくり）

ユリクセス

さて、それじゃあ準備を進めよう。
あまり時間はない、王国すべての力が必要だ。

王子

ああ。
――王都防衛戦を開始する。
王国全土に、戦闘準備を発令。
　
もう二度と、この都を落とさせはしない。

？？？の影響により
一部の神聖騎士団と
神聖騎士団長は、
攻撃と防御がアップします。
　
この効果はミッションの
時間が経過するほど
強力になります。

神聖騎士団長は、
戦場にいる神聖騎士の総数に応じて
攻撃力と防御力がアップします。
　
 　　　　　　（1/2）
　
また、神聖騎士団長の行う
突進攻撃は、
防御、魔法耐性を無視します。
また一定確率で攻撃を無効化、
女神の加護：ダメージ軽減
の影響を受けません。
　
 　　　　　　（2/2）