錬金術士と賢者の石

アンナ

王子、どうやら報告にあったアルケミストが
いるのはここのようです。

コリン

来たか。お前が王子だな。
私はコリン……。
そう、コリンだ。

アンナ

あなたは……。
もしや報告にあったアルケミストですか？

なぜ王国を実験場にしようと……？

コリン

私は錬金術によって、この世の真理を見たい。
そのためにはこの賢者の石を使い
この国を実験場にする必要がある。

だが、王子よ。お前の存在が邪魔だ。
私の願いのためにも、倒させていただく。

いけ！　魔物たちよ！
賢者の石の力によって
王子たちの防御力は低下している。

その隙を狙うのだ！

アンナ

賢者の石……！？
もし彼女の言葉通りだとしたら
王子、ここは慎重に行きましょう！

コリン

チッ……。
そう簡単にはいかないか。

だが「あのお方」に譲り受けたこの力……。
素晴らしい……。
これさえあれば真理を見る日も近い……。

アンナ

いったい彼女は何なのでしょう。
それと先ほど話していた賢者の石……。
とりあえず後を追た方ががよさそうです。

コリン

まっていたぞ、王子。

さぁ、賢者の石よ。
再び我らにその力を貸すのだ……！

アンナ

また防御力を……！
王子、お気を付けください！

コリン

クククク……分かったぞ……。
賢者の石の更なる力を発揮する方法が……！

これで魔物のシャドーを従えることができる……。
ふは……、ハハハ、ハハハハ……。

？？？

コリンよ、賢者の石を上手く
使いこなせているようだね。

コリン

この石さえあれば真理を……。

？？？

そうだね。その石の力を使いこなせば
君の望む真理を見ることができるさ。

コリン

真理を見たい……。
そのためなら私はどうなっても……。

？？？

ふむ……。もう会話もできないか。
自我を失いかけてるみたいだね。

……所詮は人間。そろそろ限界が
近づいているようだねぇ。

ここからが面白い所だ。
さぁ見せておくれ、強大なる力に弄ばれて
苦悩する姿を。

コリン

真理を見たい……。
真理……真理を……。

コリン

ククク……。さすがは私だ……。
これなら人間を操ることができる……。

王子の兵士すら……、
我ら、の……操り人形だ……。

アンナ

これ以上あの危険な石を使わせるわけには
いきません。

コリンさん、どうかお止めください！
これ以上はあなたにも何が起こるか……！

コリン

黙……レ……。
邪魔ヲ……スルナ……。

アンナ

意識が賢者の石に持っていかれて……！
しかし、まだ彼女を救う手立てはあるはずです。
王子、後を追いましょう！

コリン

賢者の石を……最大限にィ……。
これで王子の防御力も……キャハハ……。
紙切れ同、ゼン……。

王子……王子……。
あんたを倒セバ……真理を……。

アンナ

もう完全に意識を奪われて……。
王子、彼女を救うには賢者の石を
断つしか方法はなさそうです。

彼女を解き放つためにも応戦しましょう……！

コリン

……。

アンナ

大丈夫ですか！？

コリン

……。

アンナ

心ここにあらずと言った感じですね……。
ひとまず王城に……。

グレーターデーモン

ふぅ……。やはり人間ごときが扱えるシロモノでは
なかったか。残念なことだ……。

だがまぁ、面白い物も見れたし、
賢者の石を媒体に地上に降りることが
できただけでも良しとしよう。

アンナ

あなたは……！
彼女に何をしたんですか！

グレーターデーモン

ん～？　真理を知りたいというその願いを
叶えてやったまでだよ。

賢者の石によって、自我が失われていく様は
じつに滑稽だったねぇ……。

彼女は今なにが見えているんだろうねぇ。
真理、それともただの夢かな。
興味深いねえ……。

アンナ

なんてひどい……。

グレーターデーモン

この女を救いたいのかね？
……そうだな。指定した場所でワシと戦え。
この前の屈辱を晴らさなくてはな。

君たちと戦うことをずっと楽しみにしていた。
最高の戦場を用意してまっている。

アンナ

コリンさん！！

コリン

……。

グレーターデーモン

無駄だ。この女は完全に
こちらの支配下にある。
解放するにはワシらに勝つしかない。

さあ、君たちを滅ぼすために
最高の布陣を用意した。
楽しもうじゃないか。

グレーターデーモン

おっと。言い忘れていた。
君たち虚弱な人間がワシに勝てる道理が
ないことを教えなくてはな。

ワシの攻撃力は5000だ。
どうだ、絶望しただろう？。
さぁ一人ずつ粉砕してくれよう。

アンナ

ご、ごせん……。
相変わらず常識離れした攻撃力ですね……。
上位のデーモンというだけのことはあります。

王子、ここが正念場です。
あのデーモンを倒すことができれば
コリンさんを開放することができるはずです。

コリン

うぅ……。

アンナ

お気づきになりましたか？

コリン

……そうか。私は……。

情けないものだな。
真理を求めて事を起こしたのに……。
賢者の石も、私の手には残らなかった。

……だがまぁ、人間が簡単に知れる真理など、
本物の真理ではない。
学者として追い求めることに終わりはないからな。

アンナ

どうやら本来の彼女に戻ったようです。
安心しました……。

コリン

王子たちにも迷惑をかけた。すまないな。
改めて、私はアルケミストのコリン。
また会うことがあれば、覚えておいてくれ。