魔獣
エルオ大陸における災害の一つ。フィールドから出現する。
植物や動物の姿をしているモンスターで、一般的な動物と違い特別な力である 妖力 を持っている。
各地にあるフィールド内で発生する未熟魔獣が成長すると、 成熟魔獣 としてフィールド外に出て殺戮破壊の限りを尽くす。
また、フィールド外に出た魔獣は、大地を汚染することで 穢土 と呼ばれる不毛の土地を発生させる。
その強さは育ったフィールドの広さによって変わり、広いフィールドほど強い魔獣が出現しやすい傾向にある。
フィールドの外に出た成熟魔獣はそのフィールドには戻らない習性がある。
フィールド内で未熟魔獣を狩る職業を 冒険者 と呼ぶ。平民の隷祖や従祖で、魔石を得る事で生活している。またフィールドを管理する貴族家は成熟魔獣の出現を防ぐ為に未熟魔獣の段階で積極的な間引きを行っている。
フィールド外に出現した成熟魔獣は強大で、従祖や従祖以上のエルフ族が例え何百人居ても絶対に倒せず、脅威階級が最下位の第五位であっても足止めするのが精一杯(被害を低減しつつ妖力切れで自然死するまで時間稼ぎをする事は一応可能)。
成熟魔獣は主祖(or始祖)でないと倒せない。主祖がエルオ世界で統治者たる所以。
威力偵察で闘型を確認した上で従祖や隷祖の軍団による包囲を敷き、主祖の大火力を叩き込む事で討伐する。
被害が拡大する前に発見・討伐する事が肝要。
成熟魔獣の討伐後は 宝珠 により脅威階級を確定し、また名前を定める。一般に古代語で付けられる事が多い。
フィールド
霧のようなもので覆われた魔境。
魔獣を生み出す。
大陸各地に存在していて、小学校グラウンド程度の小フィールドから小国程度の特大フィールドまで様々なサイズのものがある。
フィールドのサイズが広いほど、脅威階級の高い成熟魔獣が出現しやすい。
大陸北部は極めて多くのフィールドが存在する為、霧の大地と呼ばれている。
フィールド内は未熟魔獣の蠱毒のような働きをしていて、生き残って成長した魔獣は成熟魔獣としてフィールド外へ進出し破壊の限りを尽くす。
逆説的にフィールド内には未熟魔獣しか居ない為、重度の穢土汚染が発生しない。
フィールド内部は探知魔法が発動しにくい性質を持つ。
また地形や気候が外部と全く違う環境になっている。希少鉱物などの有用な資源が取れるフィールドも存在する。
ニューネリーフィールド
ニューネリー市南方にあるフィールド。
ヒノキのような香りがする岩塩が採取できる。
レヴィオスフィールド
王都レヴィオス近郊にあるフィールド。
王都のフィールドとも呼ばれる。
金や鏡石が採取できる。
スレイド族の里があったフィールド
霧の大地にあるフィールド
スレイド族はフィールドの中に村を作って暮らしていた。
エレクティオン山の麓を覆うフィールド
常に豪雨のフィールド
エレクティオン山を水源とする大河の水源になっている。
アルペオの大フィールド
ジンカーエン帝国の皇帝直轄領、アルペオ地方に存在する。
銀がざくざく取れる夢のようなフィールド。
かつて大魔獣メアスレスを生んだ。
闘型
魔獣のタイプの傾向
万能型、汚染特化型、疫病特化型、拡散型、拡散特化型(爆散型)などがある。
また、妖力の特性により耐久型、重層型などの分類もある。
戦闘経緯から推測するもので、こちらも名前と同様に明確なルールなどは無い模様。
実在する獣に似た成熟魔獣は戦闘力が高いものになりやすい(戦闘能力が高いことで有名な成熟魔獣は獣型が多かった)。
水辺に住む生き物のかたちをした成熟魔獣は汚染能力のが高い傾向にある。
一部の成熟魔獣は 「拡散特性」 と呼ばれる特殊能力を有する。
巨体から小型の魔獣を生み出して撒き散らし、広範囲に被害を与える。
本体の戦闘能力が低くても、仮に討伐に失敗すれば周囲の村や都市に壊滅的な被害が発生する。
妖力と体力
魔獣が特別な能力を行使する為の力を妖力と呼ぶ。
成熟魔獣がフィールド外に出ると妖力は減る一方で、妖力が尽きると自然に死ぬ。
魔力による攻撃を受けて体力がゼロになっても死ぬ。
また妖力は魔力に対して弱い特性がある。
妖力0で死んだ場合は躯が塵となって消える為、宝珠を探すのが困難になる。(例:エルシニア)
体力0以外で死んだ場合は躯が残る。(例:シベルクローガ)
成熟魔獣が妖力を多く残した状態で(≒早期に)討伐されるほど、獲れる宝珠の色は濃くなる。
腐食反応
魔法攻撃などの魔力が妖力に反応して、妖力を対滅させる現象。
魔力の妖力に対する優位性は、主祖を始めとした魔力持ちがエルオ大陸における支配地位を確立する根拠になっている。
腐食反応を極大化させる為に、一般的に累積では無く瞬発の魔力投射が重視される。
魔石と宝珠
魔獣からは魔石と呼ばれる石が獲れる。成熟魔獣から獲れる魔石を特に宝珠と呼ぶ。
魔石は球形をしている。魔絶石などの原材料になり、有用な資源として平民界隈などで取引される。
宝珠は貴族家のステータスとして管理される。
宝珠のサイズと成熟魔獣の強さは相関関係がある為、脅威階級の指標になっている。
宝珠の直径が小さいほど強く、色が濃いほど残存妖力が多いとされる。
具体的な関係は下記の脅威階級を参照。
大きくて透明に近い色の宝珠は「我が家は弱い成熟魔獣を討伐できずに、妖力を消費しきるほど暴れ回らせました」という貴族にとって不名誉極まりない証拠品となる。
逆に、とても小さくとても色が濃い宝珠は武勲の証として絶大なステータスになる。
脅威階級
魔獣の脅威の度合いを示す階位。
過去の経験則によって一位から五位に分類されていて、一位が最も脅威度が高い。
討伐後に獲られる宝珠のサイズによって確定される。
- 第一位 - ビー玉(直径15㍉ほど)
- 第二位 - ピンポン玉(直径40㍉ほど)
- 第三位 - (暫定)野球ボール(直径70㍉ほど)
- 第四位 -
- 第五位 - ボーリング玉(直径210㍉ほど)
ピンきりはあれど、一般に脅威階級第三位は平均的な主祖一人に相当する。
脅威階級は数字の他に、各地方で出現したご当地魔獣に由来するローカルな基準で呼ばれる。
例えば脅威階級第二位の魔獣シベルクローガは
クオルデンツェだと、カリエステーベ級魔獣シベルクローガ
アテラハンだと、アーリアルマ級魔獣シベルクローガ
司祭は、ケンタルク級魔獣シベルクローガ
と呼ぶ。基準魔獣の選出の基準も領地・勢力毎に様々。
基準魔獣
脅威階級のローカルな呼び名の基準となる魔獣。
司祭の基準
第一位 … バーリオーラ
第二位 … ケンタルク
第三位 … エンザルフ(暫定)
第四位 …
第五位 …
クオルデンツェの基準
第一位 … バーリオーラ
第二位 … カリエステーベ
第三位 … ノーステッタ
第四位 … モーモカーフ
第五位 … アルクノア
アテラハンの基準
第一位 …
第二位 … アーリアルマ
第三位 …
第四位 …
第五位 …
成熟魔獣一覧(脅威階級別)
第一位
歴史上で2例しか認められていない大魔獣。
複数の主祖であっても討ち取るのは困難で、妖力消費による自然消滅を祈る程度しか出来ない大災害。
バーリオーラ
1600年前に出現。詳細不明
メアスレス
700年前、始祖ゼスが没した数十年後に大陸西部に出現した魔獣。大魔獣、大災厄とも呼ばれる。
ゼス協聖高会は3度にわたり討伐軍を派遣し、3度目は高位司祭100人以上+大量の低位司祭を編成したものの敗北し撤退を余儀なくされた。その後力尽き自然死。
いかづちを纏う巨大な三本尾と六本足をもつ狐の姿をしていた。
エルオ大陸主祖殺害数ランキング2位
エルシニア(暫定)
レヴィオス領のフィールドから出現した成熟魔獣。
レヴィオス領から西進し、大陸を横断して、帝国最西部で力尽きた。
魔力を持つ人間だけが感染する、措置しなければ10人に9人が死亡するような強力な奇病を各地にまき散らし、戦闘以外にも人から人への感染によって数多くの主祖・従祖が没した。疫病特化型ではないらしい。
宝珠が見つかっていないため脅威階級は定まっていないが、レヴィオス家は脅威階級第一位の成熟魔獣にしか用いられていなかった「大魔獣」の呼称を広めている。
エルオ大陸主祖殺害数ランキング1位
第二位
大陸全土で見れば数十年単位の頻度で出現している。
ケンタルク
司祭の基準魔獣。
カリエステーベ
クオルデンツェ領ニューネリーフィールドから300年以上前に出現した魔獣。クオルデンツェの基準魔獣。
当時ニューネリー市を統治していた貴族は一族総出で討伐にあたり多数の死者を出した。
その結果、その貴族は血が途絶えた。
コミック第10話では鶏のような姿。
シベルクローガ
クオルデンツェ領ニューネリーフィールドから出現し、ウィルクによって一晩で討伐された魔獣。亀吉。
名前は古代語で「幸運の亀甲」を意味する。
作中ではあまりにも早く討伐された為に闘型は特定できず、消去法で万能型ではないか、とされた。
実際は汚染特化型。本気モードに入るまで時間がかかるタイプだった。(作者活動報告のQ&Aより)
出現の経緯に関しては、聖高会の武闘派の低位司祭ディアナによるテロで、祝福の子を喰わせることによって促成栽培されたと予想された。
当初、「コンビニエンスストアを2つ重ねたくらいの大きさ」とされていたが、「小学校校舎を二、三棟並べたくらい」に修正された。
アーリアルマ
アテラハンの基準魔獣。
15年ほど前に霧の大地で出現し、ワーコルド河を越えてアテラハン領を襲撃した。
アテラハン家はこの魔獣を分家まで総動員し討ち取った。
その際はノヴァルフは4-5歳でザレアゼリアの留守番をしていた。
また、将の一人として獅子奮迅の働きをしたシャクナはカルミアを身籠っていた。
第三位
ノーステッタ
クオルデンツェの基準魔獣。
クオルデンツェ領エバーミルフィールドから出現した。
ヤマアラシによく似た硬質の針毛を持つセイウチ型の魔獣。成熟魔獣にしては土壌汚染の被害は少なかったが、そのぶんとにかく凶暴で戦闘能力が高かった。
カシアはこれと三日三晩戦い、出現から四日目に討伐した。
それまでに知られていない魔力保有型の魔獣であり、カシアに刻み込んだ魔力残滓はカシアが死ぬ原因となった。
第四位
モーモカーフ
クオルデンツェ領にて出現した魔獣。クオルデンツェの基準魔獣。
第五位
アルクノア
クオルデンツェの基準魔獣。オオサンショウウオのような姿の汚染特化型。
シュピアゼイク領のフィールドで出現し、クオルデンツェ領とを繋ぐ地域を汚染した。
その後、アメリア河を渡ってクオルデンツェ領でも大規模な汚染をばらまき、討伐されずに力尽きた。
ルークセ曰く「下の下から下の中」。
汚染能力に極めて特化した成熟魔獣で、汚染された土地は100年経っても浄化されていない。
汚染地域はアルクノア汚染区と呼ばれている。
実は、これは当時のシュピアゼイク当主による人為的な魔獣災害。
領地が接したクオルデンツェを攻撃し、同時に領境の大街道を通行不能にするため、
魔獣誘導の魔法を駆使して一帯に汚染を拡散し、最終的にクオルデンツェ領に放った。
この事実を知るのは、歴代シュピアゼイク当主のみ。当代マクニスが先代キンドロアからそれを聞かされたのは家督相続をした日の夜のことである。
脅威階級不明
エンザルフ
司祭の基準魔獣と思われる。エンザルフ級ならば主祖でも魔法で誘導できる、らしい。
クラミティス
エフィアル司祭が王都にけしかけた魔獣。司祭側勢力では詛獣と呼ばれている。
魔獣との詳細な違いは不明。
巨大なマイタケの土台がイソギンチャクになっているような外見の、隠匿性能を持つ魔獣。
わらび餅みたいな透明な体をしており、夜になるとほとんど目視できなくなってしまう。
魔力保有型の成熟魔獣。妖力・魔力から判定される脅威階級では第四位相当だが、実際の討伐難度は第二位(シベルクローガ)にも匹敵する。
名前の由来はエルオ大陸古代語で「キノコちゃん」といった意味合いの「クラゥ・イティフ」。
ガーナリン
エフィアル司祭が王都にけしかけた魔獣。司祭側勢力では詛獣と呼ばれている。
魔獣との詳細な違いは不明。
討伐用のコードネームは爪モグラ。紫色に輝く巨大な爪をもった、黒色の体毛のモグラ型魔獣。
槍よりも太い体毛を周囲に発射する攻撃を行った。
魔力保有型の成熟魔獣。妖力・魔力から判定される脅威階級では第五位相当だが、
並の第五位なら容易に致命傷となる主祖7人の一斉攻撃を受けてもピンピンしており
魔力攻撃(治癒魔法の阻害効果、治療後の身体障害がある)で討伐隊を苦しめた。
名前の由来はエルオ大陸古代語で「モグラっち」といった意味合いの「ガー・ナールアイン」。
スレイド族を襲った魔獣
マングローブに似た巨大樹型魔獣。
鷹くらいのサイズの鳥型小魔獣を大量に放出するものであったらしい。
対処のしやすさから第五位だろうと予想されている
コミック10話登場魔獣
クマムシ型*1、イセエビ型、単眼クモ型といったコミックオリジナルの魔獣*2がイメージカットとして登場。
未熟魔獣
フィールド内で成長中の魔獣や成長過程でフィールドのキャパシティ限界に達し外界に飛び出した魔獣のこと。
成熟魔獣を抱えるキャパのない小規模フィールドでは未熟魔獣しか発生しない。
平民にとっては身近な脅威で、平民が単に魔獣と言った場合はこちらを指す。
強さはピンキリで、平民(隸祖)の自警団や従祖1人で討伐可能なものから、主祖でなければ討伐できないものまでいる。
主祖が負けることは原則ありえない。
外界に現れた未熟魔獣は、狂ったように暴れて大地を穢し、妖力を使い果たして死ぬ。
妖力を通す銀の武器を突き刺して体内の妖力を散らすのが効果的な討伐方法。
小さな村を襲った未熟魔獣
数十人の村を壊滅させるだけの強さを持つ。逃亡生活中のネピオに討伐された。
ガトーレン市に現れた未熟魔獣
平民には手も足も出ない強さ。ルークセの初陣で討伐された。
コミック10話登場魔獣
成熟前のメアスレスとフィールド内で決戦を繰り広げたタヌキ型未熟魔獣がコミックオリジナルのイメージカットとして登場*3。
コメント
- 魔獣の等級よく忘れるから助かる -- 2020-09-07 (月) 01:56:18
- クラミティスはクラミジアからかなあ -- 2021-10-26 (火) 12:24:04
- ノーステッタが何だってんだろうな。まだアルクノアに言及すんなら容易く察せるが -- 2022-02-13 (日) 18:52:48
- 獣…獣人か?やったぜ とか思ってたけど魔獣か その前の古き血胤の話とリンクしてるのかと思ってた 「交流会」に名前だけ登場する魔獣みたいですね -- 2022-02-14 (月) 10:36:22
- ノーステッタはおそらくカシアが命と引き換えに倒した魔獣でしょ。191話「最奥の間にて」で野球のボールくらいの大きさと書かれているのがそのカシアの倒した魔獣の宝珠。脅威階級第二位のシベルクローガの宝珠はピンポン玉で、第五位のアルクノア(オオサンショウウオ型)の宝珠はボウリング玉くらいの大きさ。野球ボールのが三位か四位かは不明だけど、おそらく第三位のノーステッタかなと。そしてガーダクルを罠にハメて殺しただけじゃなくて、ノーステッタを使ってカシアを死なせたのもアルペオに憑く旧き血胤だと匂わせて「あとはロミリエが知ってるから詳しく知りたければロミリエを殺すなよ?」とマクニスがウィルクを誘導しようとしたのでは。そして旧き血胤と言うと、司祭の旧家かな? -- 2022-04-04 (月) 17:42:36
- ついでに「聖巫ローナ腹黒説。なぜデュンケルは知らないはずのパラミティスとガーナリンというエフィアルが使っていた名前を名付けたのか」←襲撃前からエフィアルは2体の魔獣(詛獣)をパラミティスとガーナリンと呼んでいた(213話の最後)。討伐後にデュンケルがネーミングした事になってるけど(234話の最後)、デュンケルはローナから元々の名前を聞いたのだろうか?聖巫ローナから聞いたとしたら、なぜローナは名前を知っていたのか。キチっぷりは演技でローナは武闘派を誘導している内政チートなのか?それかローナは武闘派とも手を組んでるのだろうか?もしくはローナとは関係なくデュンケルが武闘派と協力関係にあるのだろうか?「おぞましきもの(213話)」って何?パラミティスとガーナリンの事?もしくは別のナニカ? -- 2022-04-04 (月) 18:08:54
- ↑パラミティスじゃなくて、クラミティスだぞ。この作品の読者名前間違えるやつ多いな -- 2022-04-06 (水) 02:58:33