リリム【雷】

[添付]

• ヒストリー(1)
  指令認証、パス。ご主人様。私はリリム1号、今日から私たちがあなたのお世話を致します。
  質問に回答。「ご主人様」と呼ぶ必要がないと言われましても、修正ができません。これはメイドとして遵守すべき設定です。お気に召さないのなら、ご希望の呼称をお使いください。陳述。もし特別な呼称があれば、受け入れ可能です。リリムはプロのメイドとして、いかなる差別的対応も致しません。質問に回答。返答。特別なものはない？何か特別な趣味がおありなのかと思いました。考えすぎでした。
  質問に回答。返答。リリムは失望しません。私はプロのメイドです。余計な感情は持ちません。その通りです。ご主人様の見間違いです。
• ヒストリー(2)
  対象判定、巨像のナビゲーター、新しいご主人様。指令認証、パス。質問に回答。返答。私以外の他のリリムももちろん話します。ただ、以前のアンケート調査の結果によると——2号はご主人様と気ままに話しすぎです。メイドとしてプロらしくありません。3号は無口で、メイドというよりお掃除ロボットのようだと評価されています。4号は礼儀に欠けており、ご主人様に対し、いつも疑いの態度をとります。総括。返答。総合的に考え、メイドとしても「ご主人様」を守ることにおいても、1号は完璧で瑕疵がないため、私がリリムたちを代表して発言します。これが最も正しい選択肢です。
  質問に回答。返答。私に「気まま」という態度の設定はありません。ご希望なら、2号をお呼び致します。
• ヒストリー(3)
  わあ！ご主人様ですか？私、リリム2号です。1号が体調を崩しているので、今日は私が代わりにお世話致します。そういえば、初めてご主人様とお話しますね！1号は私より真面目できめ細かいけど、硬すぎるんですよ…冗談も通じないし、ちょっとつまらないですよね！
  え？私たちの関係ですか？ううん…姉妹に近い関係じゃないでしょうか！目覚めた時、私は「リリ」の名前以外なにも覚えていなかったんです…年齢も、身分も、住んでいたところも含めて何もね。それに比べて、私より数年早く目覚めていた1号は私たちに関する情報をよく知っていたみたいです。私の身分や名前を教えてくれただけでなく、私たちがよく胸に刻んでおくべき使命——本体を守り、目覚めさせることを教えてくれたんです。
  はい？「本体」とは誰か、ですか？どうやらご主人様はまだご存知ないようですね。でもこのことは私からお話するのは少々面倒なんです…お知りになりたければ、今度1号に聞いてみて下さいね。
• ヒストリー(4)
  対象判定、ご主人様。指令認証、パス。状況判定、雑談。陳述。返答。今日は私と「本体」についてお話をしたいということですか？どうやらこの間2号といろいろお話になったようですね。
  陳述。回答説明。「本体」というのはリリムが付き添っているあの巨大な培養槽——その中に入っている少女の事です。あの方は私たちリリム共通の「真のご主人様」です。リリムの使命はあの方の命を維持し、守り、そして目覚めさせることです。1号と2号は「ご主人様」を守り、3号と4号は「ご主人様」を目覚めさせる方法を探しています。それでよく外出するので、あなた様はあまり彼女たちを見かけないのです。私には「ご主人様」を目覚めさせることについての記憶がありませんので、その件は私の任務の範囲外です。
  回答。返答。リリムは疑いを感じることはありません。しかし、疑いは当然ながら存在します。私たちの運命が最後にはどうなるのか、「ご主人様」を目覚めさせたあとのリリムには存在し続ける意味はあるのか…これらの問いの答えは、どれもリリムのプログラムの中にはありません。しかしどうあろうと、「使命」を果たすことは抗えない命令なのです。