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《第11話:ナスカ級争奪戦》

Last-modified: 2018-06-25 (月) 20:08:57

夕立が疾る。
空母級の艦載機が唸りを上げ、戦艦級の主砲が火を噴き、軽巡級と駆逐級の魚雷が交錯し、硝煙と爆炎で焦げた大気を切り裂いた。金色の髪と真っ白なマフラーとが尾を引いて、一陣の風となる。

 

「――」

 

異様なほどの前傾姿勢で。時には手刀を海面に突き込んで、鋭角に複雑に機動する。
空恐ろしいほどの速さで。時には至近に迫る魚雷を射貫き、その爆圧すら利用して。
数多の深海棲艦による一斉射も、まるで弾丸自体が自発的に少女を避けていくかのよう。それが当然だとばかりに、白露型駆逐艦四番艦改二式の夕立はほんの掠り傷すら負わず、二つ名の【狂犬】の如く敵陣ド真ん中へと切り込んだ。

 

「――・・・・・・さぁ」

 

切り込んで、更に深く。
踏み込んで、更に速く。
負の情念が凝り固まったかのような存在であるところの深海棲艦すら戦慄させ、畏怖させるほどの、ちっぽけな駆逐艦らしからぬ『威』を振りまいて疾る。
そして。
独特の語尾が特徴的で、平時は結構なドジッ娘な、まだまだあどけなさの残る少女は。
響の師匠でもある、佐世保第一艦隊一番隊の切り込み隊長たる【ソロモンの悪夢】は。
ゾッとするような妖艶で凄絶な笑みを『圧』として、ひどく平然に死を宣告した。

 

「最高に素敵なパーティー、しましょ?」

 

太陽が西に傾きつつある15時の福江島南方沖であった。
再びの大気圏内用大型輸送機・ヴァルファウによる空挺降下により、異界の宇宙船・ナスカ級周辺にまんまと展開されてしまった深海棲艦群の内、前衛として立ちふさがっていた敵水上打撃部隊――戦艦タ級と空母ヲ級を中心に構成された計20隻の高火力艦隊――と、これを突破すべく攻撃を仕掛けた【金剛組】との戦闘が始まってから、既に約2時間が経過していた。
繰り出された敵航空戦力による爆撃と、水平線越しの長距離砲撃に足止めされつつも粘り強く、金剛の指揮によってジリジリと距離を詰めていった2時間の末、今この時になって漸く状況は近接機動戦へと推移したのだ。
そこは駆逐艦の距離。満を持して放つは一点突破の布石。
翔鶴と龍驤は、制空権の取り合いに全力を尽くしている。
時雨と摩耶は、護衛として艦隊の対空防御に徹している。

 
 

今こそ全力でやってこいと、金剛に送り出された夕立の独壇場と成るのは必然。
普段は護身にしか用いない、弟子にも最後の手段と教えていた戦技を解放する。

 
 

一息で、誰の予測も想像も超えて少女は、敵陣奥深くにて艦載機のコントロールに専念していた空母ヲ級の眼前に踊り出ては無造作に魚雷を投擲した。

 

「まず一隻」

 

続けてスライディング。燃えさかるヲ級の背後に回り込み、敵艦の集中砲火をやり過ごした夕立は直ぐさまトップスピードへ。着弾の衝撃で荒れ狂う海上をスラロームするようにいなして、否、むしろ加速に掩体にとフル活用して、異様な前傾姿勢のまま戦艦タ級に急迫。
かと思えば、高波の傾斜を利用して勢いよく跳躍。
同時に真北から砲撃音。程なく、水平射撃された計8発の一式徹甲弾が多数の深海棲艦を捉え、その内1発は軽空母ヌ級を貫通して更に駆逐ハ級2隻を海の藻屑とした。金剛の必殺フルバースト(一斉精密狙撃)が見事に炸裂した瞬間だ。
これには、辛くも徹甲弾を回避した流石のタ級も動揺する。動揺すれば隙が出る。隙を見逃す道理はない。

 

「二つ」

 

フルバーストを避けつつ空中での砲撃にて駆逐イ級後期型を仕留めた【狂犬】は、クルリと一回転してタ級の両肩へと『着地』する。

 

「三つ・・・・・・にはならないっぽい?」

 

可愛らしく小首を傾げながらも、とりあえず無防備な頭部めがけて主砲の50口径12.7cm連装砲D型改二を連射。
通常、駆逐級の主砲如きでは戦艦級の装甲は抜けない。でなければ、戦艦の存在意義がない。であるから、頓着する必要はない。再び轟いた砲撃音を合図に再度跳躍した夕立は、金剛の狙撃をまともに喰らったタ級を無視して、弾丸のように次の獲物に飛び掛かった。
背後からの機銃掃射すらノールックで躱し、縦横無尽に戦場をかき回す駆逐艦娘に、深海棲艦はもはや照準を定めることすらままならない。オカルトじみた完全回避能力。まるで、世界が夕立の為だけにあるかのような光景だった。
やりたい放題とは正にこのこと。
極めて自然に、敵が予測も想像もしなかった未来にスルリと入り込めてしまうのだから、先んじて敵のやりたい事の悉くを潰して潰して潰しまくれてしまうのだから、結果彼女だけが好き勝手振舞えるというのも、極めて自然なことである。かの壮絶を極めた第三次ソロモン海戦の夜のように、彼女はつかみ所のない風となる。
カリカリにチューンしてあるとはいえ基本スペックだけを見れば特筆すべき点はない、駆逐艦娘としては実にオーソドックスな夕立が最強と謳われる所以だった。その『威』と『圧』は益々強くなる!

 

「これで、五つ!」

 

手刀を舵代わりに直角ターンしつつ、右大腿部に備えた61cm四連装酸素魚雷発射管から、安全装置を解除した一発の魚雷を射出。それを掴むが速いか、全速後退中のヲ級の土手っ腹に突き刺した。
爆発。これまでの砲撃戦も含めれば、これで敵艦隊の空母級の過半数を撃沈したことになる。
拮抗していた航空戦に、明確な変化が生じていた。

 

「ひとまず、お役目は果たせたっぽい?」

 

状況は遂に掃討戦へ。
制空権を確保した方が勝つ。直上の空から、たった二人で敵航空部隊を制しつつある翔鶴達の艦載機、その勇ましい唸りが聞こえてきた。
これに呼応して打ち合わせ通り、時雨と摩耶も攻勢に加わって【金剛組】は夕立に続いて突撃を敢行。総崩れとなった敵艦隊は、その半数以下の戦力で、しかも殆ど無傷で呆気なく殲滅された。有象無象のイロハ級の艦隊では、一鎮守府の主力である彼女ら【金剛組】を止めることなどできやしないのだ。
しかし彼女らは勝利を喜ぶこともなくそのまま、全速力でナスカ級へと向かう。
今し方撃破したのは所詮、敵の前衛なのだ。本番はここからで、現在ナスカ級は敵の潜水艦・重巡混成部隊に曳航されている真っ最中なのである。これを阻止できなければ、一時の勝利などなんの意味も無い。
急ぐ必要があった。
敵の増援が接近しつつある。

 
 

南東からは、南洋諸島海域から馳せ参じた【軽巡棲姫】率いる高機動水雷戦隊が。
南西からは、超弩級重雷装航空巡洋戦艦レ級と多数の空母級を擁した大規模空母機動部隊が。
にわか仕込みの戦力ではない、殲滅を絶対とした増援が。当初の予測通りに、しかし想定以上の質と数で。

 
 

金剛達は知る由もない。
ナスカ級の存在が、深海棲艦達にとっても予期せぬものであったことを。その存在が、彼女達を恐慌させ、暫く戦準備に専念しようという方針をひっくり返してでも確保せんと突き動かす程の、衝撃であったことを。
故に動くは精鋭、狙うは短期決着。それを、この増援は如実に物語っていた。

 

「うへぇ~、あんなに沢山・・・・・・流石にちょっと骨が折れるっぽい~」

 

思わずぼやいてしまう。艦娘の戦場の常ではあるが、どんなに倒しても無限湧きする敵との数の差は覆しようがない。その上【姫】とレ級まで出張ってきたとなると、正直これ以上の戦闘続行は危険だ。尤も、オーダーさえあれば気合いと根性を見せる気概はあるが。
すると、合流した白露型駆逐艦二番艦改二式の時雨が、げんなりしながら航行する夕立に言った。

 

「でもこっちの援軍も間に合ってくれたようだよ。やってやれないことはないさ」
「時雨おねーちゃん」
「お疲れ夕立、相変わらずの大暴れっぷりだったね。流石はボクらの妹、響のお師匠様だ」
「むぅ~、だから師匠呼ばわりはやめてっていつも言ってるっぽい。・・・・・・、・・・・・・援軍って、もしかして?」
「ご明察。君のかわいいお弟子さんもいるよ・・・・・・ってごめんごめん、ちょっとからかい過ぎたね」

 

【いぶき丸】。佐世保からの援軍、十の艦娘に護衛され進撃する一隻の通常艦艇が北東より、この戦闘海域に突入してきたのだと。
まだ諦めるには早く、挑戦を続けるだけのカードはあるのだと。時雨は落ち着き払ったトーンで続ける。

 

「そうそう、金剛から伝言。夕立は響と一緒に、水雷戦隊を押さえてくれって。ボクらはまず曳航隊を引き剥がしにかかるから、また別行動。踏ん張りどころだよ」
「りょーかい。そーいうことなら、夕立ももっともっと頑張らなきゃ」

 

二人はコツンと拳を突き合わせて、別れた。時雨はナスカ級へ、夕立は南東の水雷戦隊に向かって、それぞれの成すべきを成す為に進む。
そしてほぼ同時に、戦闘態勢を整えた【榛名組】から一人、南東に向かって先行する影。見慣れぬ大型のライフルとシールドを引っさげて疾走する、特三型駆逐艦二番艦特装試作型改式の響。
図らずも張られようとしている師弟の共同戦線に、夕立は再び凄絶な笑みを浮かべた。
どんなに不利な戦局でも、二人なら覆せる。その確信の発露だった。

 
 
 

《第11話:ナスカ級争奪戦》

 
 
 

「金剛からの発光信号を確認!」
「これは――ッ、・・・・・・旗艦榛名より全艦に通達! 瑞鳳と鈴谷は直ちに航空隊を発艦、【金剛組】に航空支援。 【多摩組】は進路そのまま、お姉様達と合流して曳航隊排除を最優先に。【いぶき丸】は北方に一時退避を!!」

 

木曾が叫ぶように報告し、榛名が矢継ぎ早に指示を出し、

 

「お任せにゃー。【多摩組】複縦陣、最大戦速、対艦対潜戦闘よーいにゃ」
「翔鶴さん達のサポートね。よぅし、烈風改、発艦します!」
「んじゃまぁ一丁、鈴谷のカッコイイとこ見せてやりますかねぇ! 強風改、いっけぇー!!」

 

多摩がマイペースに応じ、瑞鳳と鈴谷が艦載機を放ち、キラと明石を乗せたままの【いぶき丸】が北へと舵を切る。
疾風怒濤。
おっとり刀で駆けつけた面々は素早く状況を把握し、整然とした作戦行動を開始する。目標は渦中にある【金剛組】のフォローだ。艦隊護衛を得意とする多摩達と別れ、榛名達はT字戦で敵水雷戦隊の頭を抑えるよう進路を南西へと向ける。

 

「榛名達は先に、南の水雷戦隊を潰します。単縦陣、取舵20、第五戦速! 木曾、方位2-2-5に三集四散々布帯で先制雷撃開始。・・・・・・響さん、先行を許可します。夕立さんと合流して【軽巡棲姫】の足止めを第一に」
「装填完了――仕掛けるぞ。おい響、わかってるな? 無理だけはするなよ」
「わかってる。私だっていつまでも独りよがりしてられないさ。相手が相手だし、程々にやってみるよ」
「響ー! 頑張ってねぇー!」
「うん。任せて瑞鳳」

 

そして響が、扇状に射出された12発の魚雷を追走するようにして、単身艦隊から飛び出した。
キラが微調整してくれた試作艤装の機嫌は良好。段階的に出力を引き上げながら、少女は敵艦隊がいるという水平線の先を睨み付ける。

 

(さて・・・・・・【姫】相手に駆逐級二隻で足止めなんて、本来分が悪いなんてもんじゃないけど・・・・・・Было бы неплохо。師匠との共闘ならできると思えるところが恐ろしいな)

 

金剛と榛名は絶対に、できないと思ったことはやらないしやらせないと、響は信頼している。つまりこの作戦を採ったということは、自分達師弟の力量を彼女らも信頼してくれているということだが、流石にこれまでの戦闘とは毛色の異なる任務内容だ。身の引き締まる思いになる。
足の速い艦を先行させて敵を攪乱し、長距離攻撃で一気に殲滅する佐世保艦隊十八番の機動戦術。だが、それが最も有効な状況であるとも解っているが、今回ばかりはこれまでのような有象無象の雑兵相手とはわけが違う。
仮に。もし仮に、今までのように激情に駆られて暴走してしまえば。

 

(そうなったら確実に死ぬな。でも、なんでだろうね。そうならないって確信があるんだ)

 

前に木曾に言われた言葉が、脳裏に蘇った。
今更になってその言葉の意味を理解できた気がする。なるほど、であればどこまでも冷静に冷徹に、ただ任務遂行だけを意識するだけでいいと吹っ切れた。
それに、でなければ全てが、文字通り全てが台無しになってしまうことも事実。些細なミスの一つが命取りになる世界に飛び込む以上、余分な感情は不要だ。
それだけの敵を、今から二人だけで相手取らなければならない。こんなところにまで出張してこなくてもいいのに。

 
 

コードネーム【軽巡棲姫】。

 
 

かつて幾度ともなく、軍令部の元に編成された連合艦隊に甚大な被害を与えてきた、あんまりにも安直でそのまんまなネーミングの軽巡級の【姫】。ソロモン海に巣食う、舞鶴鎮守府所属の軽巡艦娘の神通に酷似した仮面の美女。
【姫】や【鬼】と称される深海棲艦は、世界中の海に無限湧きするイロハ級とは全く異なる特性を持つ。たった一言で簡潔に、俗的に例えるのなら、彼女らはワンオフのボスキャラだ。
まず単純に、純粋に強い。例えばいかにも駆逐然とした小さく素早い個体でも、ただの重巡級に匹敵する火力と装甲を有する程の規格外であり、そのスペックは当然艦種の格が上がる毎に強化されていく。ビームやミサイルやスラスターといったC.E.の技術を駆使した【Titan】とはベクトルこそ異なるものの、その戦闘力と同等の地力を備えているのである。
その上知能も高い。人類の言語を解し、随伴艦に的確な指示を出し、洗練された戦術を披露してくるのだから厄介極まりなく、こと戦闘においては欠点がないように見える。個体数が少なく、艦娘と同じく『一度沈んでしまえば復活することもない』点だけが救いか。
イロハ級相手に無双できる高練度の艦娘が束になって掛からなければならない、そういう存在だった。
中でも【軽巡棲姫】は水雷戦隊――軽巡級と駆逐級で構成された、一撃離脱の雷撃戦を主とする高機動部隊――の指揮に長けており、彼女の隊にまで出張られたらナスカ級どころの騒ぎではなく、空母機動部隊と挟撃でもされたら大損害は必至。
絶対に、足止めしなければ。
敵の進路を塞ぎつつ、榛名と鈴谷の砲撃で撃破するか撤退させるしかない。もしも航空戦力に余裕があれば、瑞鳳か鈴谷に手伝ってもらって水平線越しの弾着観測射撃ができるのだが、できないのだから充分に接近しなければならない。しかしそうなると【軽巡棲姫】に強襲される危険性が増し、おいそれと近づくことはできない。
故に、響と夕立で攪乱しなければ始まらない。この超高難度ミッションが必要とされる理由だった。

 

(! 敵艦隊動いたな。増速、推定40ノット、方位2-8-0から3-1-0へ転針・・・・・・逆に榛名達の頭を抑えるつもりか)

 

北西に旋回した敵艦隊からの魚雷射出も確認。これもまた、榛名達の進路を遮るよう時間差かつ扇状に展開され、此方の行動を大きく制限してきた。同時に、独走する響も砲撃されるようになり、戦況が大きく動き始める。
ここで木曾が動く。
重雷装巡洋艦としての40門もの魚雷発射管をフルオープン、並進射法の二段撃ちで水雷戦隊の進路上を面制圧する。同時に鈴谷が接近しつつある魚雷目がけて対地榴散弾を放ち爆破、必要最低限の航路を確保した。
まるで将棋だ。まだまだ互いの砲撃が有効でない距離で、艦隊運動と魚雷を駒として相手を牽制・誘導しつつ王手を狙い、盤面の先の先までを読みあう。この場合、響達は跳び駒という扱いになるか。
結果一時的に両艦隊は速度を落とし、水平線越しに併走しながら当たらない遠距離砲雷撃戦を演じることになり、膠着状態となった。

 

(両艦隊の最終的な目標はナスカ級。でも速力と位置からして、どうしたって先に到着するのは向こう。そこから乱戦になったらもう手の打ちようがなくなる。仕掛けるなら今しかない)

 

榛名達が作ってくれた接近のチャンス。ここから更に戦況が動く前に、行動しなければ。
繰り返しになるが、響達の役割は敵の足止めだ。注意を引きつけて釘付けにし、状況を有利に運ぶ為に艦隊から離れたのだ。ここでアクションを起こさず、いつ起こすのか。
丁度、ほぼ計算通りに、響は敵艦隊の南西に位置している。本隊と挟撃するにはもってこいの位置取り。しかしそれは同時に、単縦陣の敵艦隊の横っ面であることを――艦隊の全火力が集中する位置であることをも意味している。
通常、そんな所に正面から突っ込むバカはいない。

 

「バカは来るし、ここにいるからね。・・・・・・さて、やりますか」
「バカって、誰のことっぽい!?」
「そりゃ私達以外いないじゃないか。ねぇ師匠」

 

通常でも尋常でもない突撃バカ二人がここにいた。

 

「もしかしなくてもワザとでしょ!? 背中ムズムズするんだから師匠やめてってずっと――」
「それより見てよこれ。師匠が褒めてくれた防御力に更に磨きが掛かったよ。前衛は任せて」
「――・・・・・・うんわかってた。響そーいうトコ割と天然だよね。やっぱり夕立が妥協するしかないっぽい」

 

急旋回、機関出力最大。
特にドラマもなく合流した師弟は、飄々と言葉を交わしながら一目散に、最短距離で敵陣に迫る。
ここで少女らは、近づくにつれ漸く鮮明となった敵艦隊の陣容の把握に努めた。

 

「旗艦は勿論【軽巡棲姫】が1、雷巡チ級1、軽巡ツ級2、軽巡ト級2、駆逐ナ級6、駆逐ハ級8・・・・・・殆どが【Elite】タイプ以上。これは、なかなか」
「大人げない」
「ね」

 

二人はチラリと顔を見合わせては頷きあい、不敵な笑みを浮かべる。
戦艦や空母といった派手な艦種こそないが、堅実かつ強力な布陣。素早く、硬く、対空能力も雷撃能力も高いとくれば、持てる力全てを発揮するには申し分ない。
恐れず、前進あるのみ!

 

「よし、此方に食いついてくれた」
「いっそ夕立達だけで殲滅するぐらいの勢いで暴れるしかないっぽい! 響、ついてこれるかしら!?」
「Конечно! 素敵なパーティー、やってやろう」
「いい返事!!」

 

水雷戦隊の反応は劇的だった。
単独行動していたとはいえ、まさか駆逐艦娘がたったの2隻で突撃してくるとは思わなかったのだろう。動揺し、少しばかり動きを止めてしまったものの、悠長にもみえた榛名達との小競り合いをキッパリ切り上げた敵艦隊は、とんでもないスピードで突っ込んでくる少女二人に全火力を集中させた。
そこに慢心や焦りはない。各個撃破のチャンスを逃す愚か者は、敵味方問わずこの戦場にいない。
速射、掃射、斉射。
牽制に誘導、そして本命の狙撃を絶妙に織り交ぜた砲撃の驟雨。これまでの散発的だった砲撃とはまったく比べものにならない、殺意の嵐。

 

「相変わらず、狙いがイヤらしいっぽい!!」
「私が防ぐよ。師匠は下がって!!」
「りょーかい!」

 

かつて連合艦隊の一員として【軽巡棲姫】と戦ったことのある夕立が吐き捨て、その当時は修理の為に留守番を余儀なくされた響が大型シールドを構えて前に出た。

 

(信じるよ、明石先生、キラ)

 

着弾。
海面が爆発的に巻き上げられ、辺り一面が白に染まる。駆逐艦の防盾如きでどうにかできる威力ではなく、普通なら木っ端微塵。むしろオーバキルに過ぎる攻撃だった。
しかし、ここで【軽巡棲姫】は彼女らが普通ではないことを理解していたので、すかさず追い打ちを指示した。特に以前、金髪黒衣の駆逐艦に散々手こずらされた経験がある彼女としては、こんな砲撃一回で終わるとは到底思えなかったのだ。
念には念を。
採択するは、可燃性の煙幕を放出するグレネードと、広範囲高密度の魚雷群とのコンビネーション。防御も回避もしようがないこの連撃、最低でも長門型戦艦の重装甲でなければ耐えられまい。
これで終わりであれと、装填完了の合図を受けて【軽巡棲姫】は追撃開始命令を下した。
そして勿論、少女二人はその思惑を当然のように凌駕する。

 

「――Урааааа!!!!」

 

まったく無傷のシールドを掲げて白の世界から飛び出した響が、吼える。
乾坤一擲。
両腰の三連装魚雷発射管を解放、狙いを前方一点のみに絞った61cm酸素魚雷を4発放ちながら、冷静沈着にひたすら直進。右腕を閃かせて構えた大型ライフルの銃口は、放物線を描くスモークグレネードを正確に捉えていた。
直後。
少女と水雷戦隊との中間で盛大な爆発が起こり、辺り一面が黒に染まった。
たゆたう水飛沫と硝煙のコントラスト。【軽巡棲姫】は直ちに部隊を散開し、その領域から距離を取らせつつ包囲しようとする。対する響は構わず、自ら切り開いた極細の航路と黒の世界を突っ切り、最も近くにいた雷巡チ級に狙いを定め肉薄する。
無論、深海棲艦達は迎撃すべしと整然とした弾幕を張るが、

 

「そんな攻撃で、フェイズシフトは! ――当たれ!」

 

甲斐無く、通電して純白に色づいたシールドに妨げられた。
ストライクの脱落した左肩部装甲の欠片を加工して拵えた、現状唯一無二の艦娘用フェイズシフト・マテリアル製防御兵装。裏面にマウントしたバッテリーパックが生きている限り、これを抜くことなど不可能。
シールド越しに襲いかかる衝撃は全身の関節でいなし、ライフルの第二射を放つ。
発砲。
命中。
撃破。
強烈な反動と砲撃音を伴って撃ち出された砲弾は、これまでは二~三発打ち込まなければ有効打を与えられなかった、魚雷の扱いに一際長けたチ級のど真ん中を一撃で貫いた。やはり狙いやすいと、響は感じた。
試製ライフル型65口径13.5cm単装砲。
分類は長砲身平射砲、仰角及び俯角駆動機構なし、弾丸に強装徹甲弾を採用したこの新兵器は、近距離での水平射撃を前提にしている。距離を取って曲射で狙う通常艦砲とは全く異なる運用が求められるが、シンプルに過ぎる機構故にその威力は巡洋艦用15cm砲の一門に相当するという。
重量もゴツい見た目の割に軽く、次弾装填速度も速い。その分長距離砲撃時の命中率や対空能力は犠牲になっているが、元より求められていない役割であるからして欠点にはなり得ないだろう。
明確な欠点があるとすれば、やはり響専用であることか。
駆逐艦用としては常識外の威力に比例して反動が大きく、また軽量であるとはいえ砲身がかなり長い為、生半可の艦娘では発砲どころか照準にも苦労するとのこと。艤装の汎用ターレットに搭載することもできず、そもそも普通であれば駆逐艦の砲にここまでの過剰火力が求められていないので、他の駆逐艦娘にとっては文字通り無用の長物だ。
故に、超重量の大型錨を振り回してきた経験を持ち、かつ特別な改修を施された響でなければ扱いきれない実験装備であり、彼女に扱われてこそ真価を発揮する専用装備である。
そして響はそのスペックを最大限活かせる実力の持ち主であり、完全に合致した親和性はより強大なうねりを生み出し、今や彼女の戦闘能力は師たる夕立に比類するまでに迫っていた。

 

「いける、これなら!」

 

回避に専念するツ級の左肩部5inch連装両用莢砲一基を吹き飛ばし、更に左舷後方から雷撃を狙っていたナ級を撃ち抜く。しかし同時に、前後から2隻ずつ、押し潰すようにして砲撃しつつ突撃してくるハ級。
ここで響は軽快に疾走しつつライフルを後腰付近に持っていき、艤装に新設されたフレキシブルアームを作動させた。アームはライフルの銃床をがっちり掴んでマウントするとグルリと回転、完全な手持ち用と思われたライフルを一瞬にして自律旋回式の右肩部固定砲台へと変貌させる。そのシルエットはストライクの兄弟機である【GAT-X102 デュエル・アサルトシュラウド装備型】によく似ていた。
これに併行して、フリーとなった右掌は後腰に懸架していた大型錨をしっかり掴んでおり、たったの一動作で響は近接格闘モードに。

 

「よく来たね。迎撃(かんげい)する」

 

右肩部13.5cm単装砲と抜き打ちの打突で前方ハ級2隻を蹴散らせば、前方宙返り、180度逆さまになったタイミングで両肩部25mm連装機銃と魚雷を斉射、後方ハ級1隻をも海の藻屑に。
一挙に3隻撃沈。残った1隻は着水後、振り向きざまの横凪一閃で片づける。
回避動作と一体化した、力強くも流麗な体捌き。凄まじい格闘センスと姿勢制御能力。強力な武装を扱うに相応しい戦技だった。

 
 

これには【姫】も認識を改めさせざるを得なかった。

 
 

なんなのだこれはと、素直に驚愕した。
初撃からまだ3分も経っていないというのに、既に損耗率が2割を超えた。完全に誤算、見誤っていた。元より独走していた時点から何かしでかすのではと警戒していたが、これ程とは。
【軽巡棲姫】は自らが先陣を切って抑えねばと決意する。あの金髪黒衣の駆逐艦に匹敵する敵なら、戦術を練り直し、態勢を整えなければ。北からは敵の本隊――【榛名組】も迫っており、ここで時間を取られる訳にはいかないのだから。

 

「――?」

 

と、ここで彼女は強烈な違和感に襲われた。致命的な何かを見落としていると、本能が警鐘を鳴らす。
いない。
そういえば、いない。
銀髪の駆逐艦に気を取られていたが、あの金髪黒衣の駆逐艦はどこに消えた? まさか初撃で沈んだわけでもあるまい。あの厄介な盾に隠れるなりなんなりして、必ず生き延びている筈だと確信している。
索敵。
するよりも早く。

 

「――ッ!!!!????」

 

すぐ真後ろから底冷えするようなプレッシャー。
反射的に鋭くサイドステップすれば、頭部ぎりぎり横を投擲された魚雷がすっ飛んでいった。

 

「あれ、不意打ち失敗っぽい? まぁいっか。・・・・・・久しぶり、オルモック沖以来?」
「・・・・・・ヤハリ・・・・・・キタノネェ・・・・・・。ユウダチ、デシタカ」

 

振り向けばそこには、あまりにも気安く語りかけてくる、夕立の姿。
【軽巡棲姫】は普段使うことのない声帯を震わせ、身の毛もよだつおどろおどろしい呻き声で応える。
いつの間に、とか、どうやって、などと問う気はない。愚問だ。この大胆不敵な駆逐艦はこれぐらいの事ならサラリとやってのけるだろう。ただ、己が認めた強敵の一人である夕立に、ある種の敬意を込めて人の言葉を発した。
夕立は、名前を覚えられているとは思ってなかったのだろう。一瞬きょとんとするがすぐ口角を吊り上げて言う。

 

「今日は川内さんと神通さんの代わりに、あたし達が相手になってあげる。物足りないかもだけど、この前の夜の続きをしましょ?」
「アノフタリ、ノ、カワリ? アナタタチガ・・・・・・? ・・・・・・ソウ。デモ、カンケイナイ。コレイジョウ・・・・・・アナタタチノスキニ・・・・・・・・・・・・サセルワケニハイカナイノヨォ・・・・・・!!」

 

堂々と宣戦布告。
言って、言われて、互いの得物を構える。それ以上はいらなかった。
先に動きを見せたのは【軽巡棲姫】――否、水雷戦隊。元より個人戦よりも集団戦を是とする彼女は、散開していた随伴艦達を集結させ、鶴翼陣を形成。南へ全速後退しつつ、夕立に火力を集中させた。
曰くイヤらしいという精密かつ濃密な狙いで、夕立を釘付けにする算段か。彼女は全力の引き撃ち――ことに制圧射撃に対しては、その圧倒的戦闘力を発揮することはできないのだ。
連動して【軽巡棲姫】も身を翻し、超加速で響に肉薄、距離を詰めると勢いそのまま回し蹴りを放つ。

 

「――ぐッ!? ・・・・・・狙いは私か!!」

 

艦艇としての重量差は如何ともしがたい。虚を突かれまともにシールドで受け止めてしまい、宙に弾き飛ばされた響が呻く。フェイズシフト用バッテリー残量が急激に低下した。
【軽巡棲姫】はどうやら【榛名組】の本隊と距離を取りつつ、まずは硬いが比較的回避能力に劣る響を潰すことにしたらしい。どちらかを放置はできないので、賢明な判断だ。
しかしそう簡単に主導権を明け渡したりはしないと、空中で身を捻って追撃の6inch単装砲を回避しながら25mm連装機銃――対空用だが撃たないよりかは遙かにマシ――と右肩部13.5cm単装砲で応射、再び突進してきた【姫】の速度をほんの僅かばかり鈍らせる。
着水。思いっきり首を振って跳び膝蹴りを躱し、反撃よりも離脱を優先する。目にも留まらぬスピードで左の魚雷を引き抜き、真後ろへと疾らせる。

 

「師匠!!」
「任せて!」

 

ついで錨を夕立に向かって投擲すれば、意を得た夕立は制圧射撃に晒されているにも関わらず、余裕綽々で錨をキャッチ。そのまま一本背負い投げの要領で、錨を全力で振り下ろす。
そして響もタイミングを見計らい、後方の魚雷を射貫けば。

 

「雑魚を片付けて!!」
「Всё ништяк!!」

 

空を飛んで水雷戦隊の後方に向かう駆逐艦の姿があった。

 

「ヤラセ、ナイ・・・・・・!!!!」
「やらせないっぽい。アナタの相手は夕立よ!!」
「ユウダチィ! ソコ、ジャマナノヨォォォ!!」

 

入れ替わり、今度こそ真っ正面から激突する二人。
随伴艦達相手に無双する響をよそに、大海原を駆けずり回りながらの高機動格闘戦が始まった。

 
 

艦娘達にとって、経過は順当と言える。

 
 

二人の少女の働きにより、水雷戦隊の動きは大幅に鈍っていた。いや、むしろ想定以上の戦果さえたたき出してすらいる。駆逐艦師弟の相乗効果は【姫】と互角に渡り合える程のものであった。
これならば本当に足止めのみならず、夕立達だけで殲滅することもできるかもと思えるほどに。
【軽巡棲姫】は焦った。
これは良くない。
深海棲艦側からすれば、より絞るなら、台湾近海に巣食う深海棲艦群からすれば、これ以上の戦力消耗は長期的に見て良くない。戦力増強の為の強行軍だというのに、こうまでいいようにされては本末転倒。
しかし、だからといってあの異界の船が人類側に渡るのを黙って見ていられるわけもなく。
かくなるうえは。
西の空母機動部隊の戦況にもよるが、プランBの決行も視野に入れる頃合いだ。

 

「コノ・・・・・・イイカゲンニ!!」
「そっちが墜ちればいいの!!」

 

クロスカウンター気味に夕立の魚雷が直撃する。装甲を抜くまでには至らなかったが確かなダメージを与えられ、これが岐点となった。
ならば、ここで拘泥する必要はなく。

 
 

思慮深い【軽巡棲姫】はある一つの決断を下した。

 
 

榛名達が放った砲弾が着弾する、約1分前のことだった。

 
 
 

 
 
 

「撤退する!?」
「あの【姫】が退いた・・・・・・・響達すごい、ホントにやり遂げちゃった!」
「うひょー! やるなぁ二人とも。こりゃ鈴谷達も負けてらんないねぇ!」

 

丁度主砲の第一射を放ったばかり榛名が目にしたものは、申し訳程度の残存戦力を率いて南へと撤退していく【軽巡棲姫】の姿だった。
予想外の顛末ではあるが、つまり金剛と榛名の作戦はカッチリ成功したということだ。これにてナスカ級周辺で大乱闘などという未来は回避され、佐世保艦隊は空母機動部隊との戦闘に専念できるようになった。
とんでもない快挙にワッと瑞鳳と鈴谷が抱き合って、すごいすごいとはしゃぐ。榛名もその輪に加わりたい衝動に襲われたが、しかしひっそり胸をなで下ろして安堵するだけに留めた。
やるべきことが山ほどあるのだから。

 

「信号弾! 深追いは危険だわ。木曾と響と夕立は一旦【いぶき丸】で補給を。榛名達は予定を繰り上げて【金剛組】に加勢します!」

 

まずは、ここで気合いを入れ直すべしとキッチリ指揮をとる。
瑞鳳と鈴谷はハッとなって慌てて離れると、艦載機のコントロールに集中する。勝ち筋は見えてきたが、まだまだ状況は予断を許さない。諸手を挙げて喜ぶには早過ぎるのだ。
いろとりどりの光が蒼穹に輝き、響と夕立、そして北方に退避していた【いぶき丸】に集結するよう合図を送った。高速哨戒船【いぶき丸】は単なる足ではなく、曳航に必要な機材や、艦娘用の燃料弾薬などを満載してもらっている。これを活用しない手はないだろう。
次はいよいよレ級率いる空母機動部隊と戦闘で、現状【金剛組】は航空戦含めなんとか拮抗しているとのことだが、だからこそここで響達の補給を勿体ぶることはない。急がば回れだ。

 

「・・・・・・それにしても、鮮やかな引き際だったな」
「ええ。多分、いや確実にまた来るでしょうね」

 

ポツリと、信号弾を打ち上げた木曾が難しい顔で【軽巡棲姫】について感想を漏らした。
まったく同感だと榛名は頷く。今まで目にした【姫】のスペックからすれば、もっと戦闘は長引いていた筈なのだ。手を抜いていたわけではないだろうが、明らかに消耗を嫌った撤退だった。それだけ響と夕立が手強かった証左でもあるが。
二人が素直に喜べない理由だった。
近いうちに再び相まみえると覚悟しなければならないだろう。その時もまた上手く事が運ぶとは限らないのだから、今のうちに対策を練っておかなければ。

 

「今回は凌げたが次はどう来るか・・・・・・なぁ榛名、次はオレも出してくれ。響とのコンビネーションならオレにもそれなりの自信がある」
「あら。嫉妬ですか?」
「そんなんじゃない、茶化すな」
「ふふ、御免なさい。・・・・・・わかりました。状況次第ですけど、確かにバリエーションは多いほど良いですね」
「そういうことだ。じゃあちょっと補給してくるぞ。すぐ追いつくからな」

 

いつも後手に回ってばかりだから、たまには此方が先手を取りたいものだと木曾は言い、踵を返した。
これもまた、まったく同感だ。
その頼もしい背中に、榛名は眩しいものを見るような顔になったが、そこで思い出したかのように彼女へのオーダーを付け加えた。

 

「あ、ちょっとまって。木曾は対空装備も増設してきてくださいね、使い捨てで良いので。当面の雷撃戦は【多摩組】に任せますから」
「応よ。いいねぇ、物資があるってのは。・・・・・・響と夕立はどうする? 少し休ませてやるか?」
「・・・・・・そう、ですね。そうしましょう。ささやか過ぎるけど、持ってきた食料も好きにしていいと伝えてくれるかしら」
「まぁそうなるな。・・・・・・オレもつまみ食いしちゃダメか?」
「榛名達にもお土産を持ってきてくれるなら許可しましょう」
「そうこなくっちゃな」

 

そうこうしていると、流石の快速で【いぶき丸】がやって来る。その甲板上で一人の男が双眼鏡を片手に、手を振っているのが良く見えた。
なんとなく榛名も手を小さく振り返してから、深呼吸。瞳を閉じて今後の方針をシミュレートする。

 

「・・・・・・よし、やってやりましょう。腕の見せ所ね」

 

ここから暫くは、榛名と瑞鳳と鈴谷だけの【榛名組】となる。他艦隊との連携がより一層重要になる。
いいだろう、ドンとこい。
響達師弟が無茶をしてくれたのだ。なら次は自分達が気張るところで、その頑張りに応える番だ。それにレ級との戦闘ならば、戦艦たる自分達が矢面に立たずしてなんとする。
金剛型高速戦艦の意地と連携を見せてやろう。
金剛と榛名のコンビもまた健在、無敵なのだと世界に知らしめてやろう。

 

「征きましょう瑞鳳、鈴谷。遠慮はいりません、派手にブチかましますよ!!」
「はい! 瑞鳳、準備万端です。いつでも!」
「うっしゃぁ! 燃えてきたー!!」

 

面を上げた榛名は、凜と声を張り上げて決意を表明する。
応じて今尚戦闘中の二人も鬨の声を上げ、高々に拳を天に突き上げた。
三人は停泊した【いぶき丸】に背を向け、全速力で次なる戦闘海域へと突き進んだ。

 
 

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