《設定集Ⅰ C.E.74~78編》

Last-modified: 2021-09-10 (金) 00:00:58

キラ
「こんにちは。なんか主人公をやらせてもらってるキラ・ヤマト改め、キラ・ヒビキです。
台本形式はこういう時のお約束? みたいなものらしくて、いつもとは勝手が違うけど・・・・・・付き合ってもらえたら嬉しい、かな。
えぇと、当SS【艦これSEED 響応の星海】は『ぼくのかんがえたさいきょーの劇場版ガンダムSEED』×『艦隊これくしょん』のクロスオーバー二次創作になりますが、今回はガンダム側のオリジナル設定を、こんなノリで茶番と解説を交えつつ幾つかの設定を資料集として公開することになりました。第一弾なんだって」

 


「なお注意点というか、前提として。
この設定集で紹介するモノはあくまでバックグランドを構成するもので、必読ではない。これを読まずとも普通に楽しめるSSを書くことを作者は心掛けている・・・・・・らしい。
つまり知ってたらちょっと本編が楽しくなる、程度のものでしかないわけさ。例えるならWikiみたいなデータベースだね。ここで初出の用語なんかも沢山登場するみたいだけど、別に知る必要も覚える必要もないから、適当に読んでほしいそうだ。・・・・・・の割に、14話は露骨に設定集に誘導しようとする書き方だったように思えたけど。
あと公式外伝アストレイの設定全般は意図的に無視してるので、そこんところも宜しくだそうだ。
あ、紹介が遅れたね。特三型駆逐艦二番艦の響だよ。我ながらしち面倒くさい性格の私も、何故だか主人公ってことになってるんだけど・・・・・・しかもヒロインも兼ねてとか正直こなせてる自信はないな。巷で流行ったフリーダム響が羨ましいよ」

 

キラ
「大丈夫だよ、きっとちゃんと出来てるって。・・・・・・少なくとも僕よりはマトモに出来てると思うよ」

 


「ああ・・・・・・原作におけるキラの扱いについては、シン・アスカの扱い共々未だに尾を引いてるみたいだね。でも、近年はネタに昇華されつつあると聞くけど」

 

キラ
「だと良いけどさ。その主人公云々とかヒロインとの関係云々とか、僕というキャラにあんまり良い印象持ってない人が結構多いってイメージが僕自身の中にあるよ・・・・・・」

 


「そこはほら、そういう時代だったって割り切るしかないだろう。とやかく言っても仕方ないさ。
・・・・・・っていうかさ、今更だけど私がヒロイン役だって? ならそのうちキラとくっついたりするの? ・・・・・・愛とか恋とか、教えてくれるのかい?」

 

キラ
「じゃあ作者憧れのメタ会話を軽くこなしたところでね、早速いってみよう。お品書きは以下の通り」

 


「見事なまでにスルーしたね」

 
 
 

1章・シンの機体について

 

2章・C.E.74~78の軍事技術等について

 

3章・本編に登場予定はないけどC.E.では重要なポジションに就いていた、とある機体について

 
 
 


「計3章だね。この第一弾では12話で触れたプランやシステムについての再掲とか、新型MSとそれに使われた技術についての詳細とかを語っていくよ。それと、3つの章の内容は結構絡み合ってるから、行ったり来たりして見比べないとわかりにくいかもって。
データベースとしてそれはどうなんだい・・・・・・?」

 

キラ
「作者さんの力量不足としか言えないんじゃないかな・・・・・・。文章力とか構成力とか。そうそう、艦これ世界側の設定は第二弾で扱う予定だから、今回の艦これ要素は限りなく0に近いみたい。
まぁそれはそれとして、とりあえずはデスティニーについて見てみよう」

 
 
 
 

1章・シンの機体について

 

GRMF-EX13F Riot-Destiny
ライオット‐デスティニー
全高:17.99m
重量:72.68t

 

シン・アスカを専属パイロットとして開発された、GRMFシリーズ全領域対応型換装機系統13号機。
元来シン・アスカに合わせて調整されていた【ZGMF-X42S デスティニー】の特性を継承しつつも更に踏み込み、パイロットの変則的かつ特殊な要求にも最大限応えられるよう建造された機体である。

 

本機は万能性と拡張性を極限まで高めた機体が、状況に応じて複数開発された『特定のコンセプトに沿って多数の兵装を1つのフレームに集約させた専用複合兵装』を組み合わせて装備することで戦場を「能動的」に支配するという、従来の換装機の形をより簡易化・洗練化させた『完全掌握戦闘』を設計思想としている。
これまでの換装機はその祖である【GAT-X105 ストライク】に倣い、汎用性に秀でた素朴な機体をベースとし、敵の数やその特性、地形等といった要素から最適な戦術を選択、僚機や基地の全面支援を前提として戦場へ向かうという「受動的」な形態がポピュラーであった。一見あらゆる状況に対してフレキシブルに立ち回れるとされがちな換装機だが、その実情は常に状況に対して電撃戦を仕掛けるか後手に回るかの二択であり、巨大なバックパック型のユニットの換装に必要な手間も含め、刻一刻と変化していく戦場に換装機能のみで対応しようとするほど泥沼に嵌まってしまう一面も持っている。
これはあらゆる選択肢を持っているからこそ陥りやすい運用面での罠であり、これを完全に克服するにはバックアップが充実した大部隊で運用するか、【ZGMF-X56S インパルス】のように専用設備を有した母艦や基地と連携するしかなく、そのどちらにせよ戦場での換装の際には絶対的な隙を数秒間晒す必要があった。

 

単騎での戦場制圧を望まれるGRMF-EXナンバーに名を連ねる本機は、それら換装機の負の要素を総て逆転。単体で先代機を超える戦闘能力を備えた万能機を、手軽に換装できる【専用複合兵装】によって連続的に特化機に仕立てる上げることで、真の意味であらゆる状況に対してフレキシブルに立ち回り、且つコントロールできるMSとして完成した。
それを実現可能としたのが本機最大の特徴でもある、機体各所に連結可能な全12基の【マルチアーマメント・バインダー】、第四世代式ドラグーン‐システムで運用される無人大型飛行武器庫【シルエットフライヤーMk‐Ⅲ】、機体の状況に応じて機体環境を随時能動的に最適化させる【対話型火器管制支援AIユニット】、そして四肢にそれぞれ搭載された小型高出力ジェネレーターユニットと超高伝導強制冷却装置による過剰なまでの大出力であり、これらはシン自身の戦闘データやアーサー・トラインら元ミネルバクルーの助言を参考にして搭載されたという経緯をもつ。

 

敵の反撃を許さない超攻撃的な戦闘能力を持ちながらも、その機体構造自体はシンプルであるが故に堅牢性と信頼性は非常に高く、本機はMSとしての常識を覆す多角的かつ高度な戦術を瞬時に採択できる史上最もタフでクリエイティブな機体なのである。

 
 
 

【基本装備】

 

[AMI-CGU09S 20mmチェーンガン]×2
両側頭部に搭載された小型電磁駆動式小口径高初速機関砲モジュール。

 
 

[PE-EC/RD510A『エストレーモ・フィオキーナ』高エネルギー多用途拳部ビーム砲]×2
両AMI-SS/RD013G先端部に装備された、高出力オープンバレル型小型ビームキャノン。
ABS徹甲炸裂式高エネルギービームスパイクの形成と、短射程収束型ビームの射出が可能。また、可変式オープンバレルを構成するクラスタ型ECC形成機構は、接触したビームシールドやサーベル等を形成する特殊電磁場そのものに干渉可能であり、更に徹甲炸裂式スパイクを打ち込むことで敵機のビームデバイス自体に直接ダメージを与えることができる。

 
 

[PE-EC/RD500L『カヴィッリア・マルテーロ』高エネルギー多用途踝部ビーム砲]×2
両アンクルガード外側部に搭載された、高出力旋回式小型ビームキャノン。
ABS超高反発式高エネルギービームスパイクの形成と、短射程速射型ビームの高速射出が可能。超高反発式スパイクは扱いが難しいものの、極めればデストロイ級MSですら弾き飛ばすことができるポテンシャルを持つ。

 
 

[DMI-QB05『ヴォーパル・エッジ』ビームブーメラン]×4
両ショルダーガード末端部と両サイドスカート前部にマウントされた第三世代式ビームブーメラン。
二枚刃型のビームブーメラン、ロングビームサーベル、対装甲大型実体ナイフとして機能する。

 
 

[EAAWU-VF/RD10 機動兵装ウイング]
背部メインスラスター基両脇に備えた左右5対の計10枚から成る、PE-SW/RD02S『アーレ・スパーダ』高エネルギー収束ビームウイング発生装置を内蔵したSRCPSスラスター搭載型大型複合可変翼。
四肢のジェネレーターを最大稼動させた「エクシード‐シフト」時では、その莫大な出力でもって瞬間移動と見紛うほどの凄まじい瞬発力と加速力を発揮しつつ、長大なビームサーベルと化した光の翼によって敵機をすれ違いざまに切り刻むことが可能となる。

 
 

[EAAWU-VF/RD10S 機動補助ウイング]
両サイドスカート後部に備えた左右3対の計6枚から成る、ミラージュコロイド散布・制御装置一体型のSRCPSスラスター搭載型小型複合可変翼。
「エクシード‐シフト」時では、周囲半径10km以内の敵機のセンサー・レーダーシステムを麻痺させる強力なジャミングフィールドを展開することができる。

 
 

[PE-BSE014『ベルフェクト・フルゴール』ビームシールドジェネレーター]×2
両PE-EC/RD510A上部に装備されたECC型高出力ビームシールド発生装置。
機動兵器が持ち得るデバイスとしては最高峰の防御性能を発揮する装備であり、ABSバレットを除くあらゆる攻撃を完全にシャットアウト可能。

 
 

[AMI-SS/RD013G 強化型ラミネート・アンチビームシールド]×2
両前腕部に装着された可動式ガントレット型ELABシールド。
小型ながら旧式のMS用大型ラミネート・アンチビームシールドと同等程度の防御力を有する。また、ELラジエーターユニットとしての機能も最大限利用する為に、先端部に搭載されたPE-EC/RD510AとPE-BSE014をサポートする役割も担っている。

 
 
 

【DMI-DF/RD10E シルエットフライヤーMk‐Ⅲ搭載装備】

 

[DMI-DO/RD07B マルチアーマメント・バインダー]×12
専用複合兵装の運搬と機体制御補助に特化した、【対話型火器管制支援AIユニット】によって管理・制御される簡易型第四世代式ドラグーンユニット。
機体制御補助コンピュータユニットと小型ジェネレーターを有するバインダーは、1基につき専用兵装を1基懸架可能であり、底部に装備されたフレキシブルアームを介して他バインダーや機体各所に設けられたハードポイントと接続できる。懸架された各種専用兵装はAIを通じて独自に展開・使用が可能であり、採択できる戦術の拡大に貢献している。

 
 

[PE-R21『イザナミ』ビームライフル]×3
フライヤーの主武装としても運用される、衝撃力と速射性に優れた高出力ビームライフル。
MA-BAR78Fに類似した形状を持ち、ストック部にはECC型高エネルギービーム刃を形成するPE-SE05『イザナギ』ビームサーベルを1基マウントしている。

 
 

[PE-GS/RD25F『レーヴァテイン』ハイデンシティ大型ビームソード]×2
オーバードライブ‐システムを搭載した、MPS製の芯とEVPS製の外装を有する全長23mの片刃型中折れ式専用斬艦刀。
ビーム発振器部に導入された複列位相式高エネルギー体共振制御システムにより、同世代機のものとすら一線を画する程の、桁違いの出力のビーム刃を形成可能。荷電式超高周波振動刃にECC型高エネルギービーム刃を纏わせる特殊複合刃を採用しており、刃渡り16mの大型実体剣、最大で1000mにも達する超大出力ビームソード、二刀の柄同士を連結した双刃型の薙刀、高出力中射程ビーム砲としての機能を備える。
非使用時はDMI-DO/RD07Bだけでなく、本体のハードポイントにも直接マウントが可能。また、鍔部にはPE-GS/RD24D『ミストルティン』ビームダガーをマウントしている。

 
 

[PE-GC/RD07M『ティフォーン』ハイデンシティ多用途プラズマビーム砲]×2
オーバードライブ‐システムを搭載した、通常のビームシールドであれば確実に突破することができる性能を有する全長21mの大出力中折れ式専用プラズマビームランチャー。
可変式ロングバレルの形態によりその破壊力を維持したまま、狙撃・照射に適した長射程の「ブラスター‐シフト」と、速射・拡散に適した短射程の「ブレイカー‐シフト」との使い分けができる。更にESFバレルを展開する対艦用の「デストロイ‐シフト」では、掠めるだけでMSを撃墜してしまう強力なプラズマの奔流を広範囲に撒き散らす性質を有した、新鋭戦艦の陽電子砲クラスの超高威力ビームを射出可能となる。
また、ストック部にはPE-LC/RD05H『エキドーナ』ヘビーレーザーキャノンを内蔵している。

 
 

[FMA -PUC24C『ミトラス』中距離多目的複合重砲ユニット]×2
フレーム上部に200mm径14連装中距離誘導ミサイル発射管と110mm径8連装短距離高機動誘導ミサイル発射管2基と36mmショートレールガン2基を、下部に240mmレールキャノンと3銃身80mmガトリングガンを懸架した実弾兵器特化の重砲撃戦用装備。

 
 

[FMA -PUC28C『ヴァルナ』中距離多目的複合重砲ユニット]×2
フレーム上部にオープンバレル型伸縮式ビームショットガンと3連装ビームマシンガン2基と6連装回転式大容量エネルギーパックユニットを、下部に2連装高エネルギー収束ビーム砲と3銃身ビームガトリングガンを懸架したビーム兵器特化の重砲撃戦用装備。

 
 

[FMA-PUS32A『ブリューナク』高機動戦闘補助モジュール]×2
フレーム上部に短射程2連装高エネルギーパルスレーザーガン一体型プラズマチャージャーポッドと旋回式ハイブーストスラスター基を、下部にELラジエーターユニット一体型三次元複合空間認識センサーユニットと格闘戦用トライデント型ロケットアンカー射出機構を搭載した近接高速戦用装備。

 
 

[FMA-PUS35A『アインヴァル』局地戦攻略補助モジュール]×2
フレーム上部に16mmチェーンガン搭載型2連装300mm多目的リニアランチャーと70mmマインニードルガンを、下部にゲシュマイディッヒ・パンツァー展開機構と高エネルギーフォノンメーザー砲内蔵型格闘戦用ハンマークロー型ロケットアンカー射出機構を搭載した水中・施設内戦用装備。

 
 

[FMA-PUS54S『ヤグルシュ』拠点防衛戦闘支援モジュール]×2
フレーム上部に5連装回転式マガジンユニット搭載型350mmマルチプルロケットランチャーとデルタ型有線式リパルシブフィールド発生装置3基を、下部に長射程ヘビーレーザーキャノンと95mm径18連装対MS中距離高速誘導ミサイル発射管2基と三次元複合空間認識センサーユニットを搭載した後方支援・防衛戦用装備。

 
 

[FMA-PUS55S『アイムール』広域戦術管制支援モジュール]×2
フレーム上部に広域超分解能多次元量子レーダーユニットと旋回式マルチブレードアンテナとデュートリオンフィールド展開機構を、下部に高指向性NJウェーブ照射ユニットと300mm二段加速式超長距離精密狙撃用ロングライフルと230mm径10連装対艦長距離高速誘導ミサイル発射管を搭載した後方支援・電子戦用装備。

 
 
 

【特殊装備】

 

積層式EVPS装甲
VPS / MPS複合骨格
SRCPS推進機構
ヴァルキュリア‐システム
ブリュンヒルデ‐システム
ミラージュコロイド散布機構
RD専用対話型火器管制支援AIユニット「デスティニー」
自己修復型マイクロマシナリーテクノロジー

 
 

――――

 


Это ужасно(これはひどい)。なんかのっけから専門用語のオンパレードが・・・・・・」

 

キラ
「専門用語というより、造語の嵐だね。これは2と3と併せて読まないとチンプンカンプンだ。あくまで、C.E.78後期にロールアウトした機体のデータでしかないから。
それと作者としては設定画も描きたかったらしいけど新型フリーダムだけで力尽きたそうだよ」

 


「フィーリングが伝わればいい・・・・・・のかな? とにかく、こんな機体にシンが乗ってるんだぞって。
私達の世界に転移した時点で武装の大半を喪っていて、エンジンその他諸々も機能不全になってたんだってさ。よく稼働可能レベルまで持ち直したもんだよ。
・・・・・・設定画については、物好きな誰かに描いてもらうのをほんのり期待しよう」

 

キラ
「えー、SSでの初出はシンと天津風のラッキースケベを描いた短編だね。あれの日付は11月26日って設定で、この設定集投稿時点での最新話は、デスティニー初出撃を描写した14話――つまり11月11日なわけだから、短編が若干ネタバレになっちゃってるのか」

 


「あんなに仰々しく出撃して、後にみんな無事に帰還し、ゆっくり整備に没頭できる状況になっていると。
現在進行形で渦中にいる私達にとっては、朗報なのか拍子抜けなのか・・・・・・」

 

キラ
「といってもまだまだ序盤らしいからね、僕達の物語。作者さんの構想だと先はまだまだ遠いみたい。これぐらいネタバレでもなんでもないのかも。ゼノブレイド2のPVにヒカリがいたようなものだよ」

 


「私達の鎮守府、苦戦しかしてないんだけど・・・・・・これまだ続くの?」

 

キラ
「頑張るしかないよね。じゃあ次は、こんなデスティニーの形作るC.E.の技術についてかな」

 


「・・・・・・うわぁ。これまた無駄に拘ってる上に、無駄に長い・・・・・・読むのも一苦労だ」

 
 
 
 

2章・C.E.74~78の軍事技術等について

 

【ユグドラシル‐プラン】

 

C.E.75Marに新地球統合政府が打ち出した外宇宙開拓を主眼とした全国家参加前提の世界復興計画。
ユニウス戦役において故ギルバート・デュランダルが【デスティニー‐プラン】導入の前準備として行ったロゴス解体とそれ伴う既存の経済システムの破壊は、それにとってかわる筈だったプランが結果的に導入されなかったことで、世界を史上最悪の混乱状態に陥らせた。ロゴス壊滅による経済破綻・インフラ崩壊、二度の大戦によって減少しすぎた総人口、加速的に悪化していく自然環境、自らの行為に恐怖し疲弊した心、暗躍するテロ組織等といった数多の問題は混乱を更に拡大させ、戦後の復興活動に対する大きな壁として立ち塞がった。

 

それらへの対処こそが、新地球統合政府の役目である。

 

政府は問題に対応する為に、複数の巨大な公共事業計画を提示・主導し、全人類に自主的に従事させることによりインフラの整備と雇用問題の解決、人類の活性化、世界の復興を並行して達成させようと画策した。それは、まず目の前の派手なパフォーマンスに取り込ませることで、細々とした精神的な問題を先送りにしたい政府の苦肉の策であり、時間稼ぎの一手でもある。手法や目的としては再構築戦争後の宇宙開拓ブーム、第二次世界大戦直前のアメリカやドイツでみられた経済政策の再現であり、それを指摘・批判する声も少なくない。
そうした状況下で立案・実行された【ユグドラシル‐プラン】は、以下9つの要素から構成される。

 
 

1・地球主要都市及び宇宙国家プラントの復興。
2・新経済システムの構築とそれに伴う法の整備。
3・オービタルリング型自律型惑星防衛機構『ノルン』の建造。
4・第一軌道エレベーター『ウルズ』、第二軌道エレベーター『ヴェルザンディ』、第三軌道エレベーター『スクルド』の建造。
5・ヴァルキュリア‐システムによるバブル型亜光速航法理論とゲート型超光速航法理論の確立。
6・非回転型自律巡航式宇宙コロニー『ニダヴェリール』シリーズの建造、それによる火星圏と木星圏の探査及び開拓。
7・超巨大外宇宙探査・移民用環境宇宙船『ヴァナヘイム』シリーズの建造、それによる外宇宙の開拓。
8・地球環境の回復。
9・外宇宙進出による、総人類ネクスト・ステージ移行の促進。

 
 

これらを最大の目標としているが、実際に総てをクリアするには技術と時間と資源がいくらあっても全く足りず、超巨大外宇宙探査用環境宇宙船の建造とゲート型超光速航法理論の確立を抜きにしても100年以上の歳月は必要不可欠と考えられている。その為、この遠大で夢物語に等しい計画は、途中であってもある程度復興が進み、世界情勢が鎮静化した時点で目的は達成されたと判断される。
その一方でオービタルリングと軌道エレベーター、バブル型亜光速航法理論、人工重力制御技術による非回転型自律巡航式宇宙コロニーはC.E.80 apr時点で実用化寸前の段階まで漕ぎ着けており、これは当初の予測を大きく上回る快挙であった。皮肉にも戦争によって高められた工業力と技術力の産物ではあったが、これにより宇宙開発と地球復興の速度は大きく向上するだろうと見込まれている。

 

【ユグドラシル‐プラン】はその名の通り、北欧神話をモチーフとしている。北欧神話では、宇宙を形作る9つ世界における神々の闘争が主題とされており、全てはやがて訪れる最終戦争で滅び消え去り、より良き新しい世界が誕生するのだという。 ならば今のこの世界は最終戦争を終えたばかりの、いずれ消えゆく世界なのではないだろうか。そして未来に芽生えるより良き新世界の礎ではないだろうか。そうした想いから新地球統合政府は闘争の終焉を願い、一連のプロジェクトやシステム名に北欧神話由来の名を与えることにした。
それは【デスティニー‐プラン】とは対極に位置する、不確かな未来に希望を託す行為であるといえる。

 
 

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「これは12話でシンが語ってたヤツの再掲かな。世界樹計画ってだけあって、今のC.E.世界の根底を支えているものなんだよね?」

 

キラ
「そうだよ。ガンダム側の設定のほとんどがこのプランと何かしらの関わりがあるから、抑えておきたいところだよ。
というのも、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』のその後である『劇場版』を妄想する時に、真っ先に考えるべきは地球圏の復興がどれくらい進んでるかっていう舞台設定だから。あんまり荒廃したままだと、そもそも新型MSなんて造ってる余裕なんかないだろうし、かといってその逆はあまりにもリアリティーがない。復興活動をしようにもロゴスと運命計画がないから、結局立ち往生しちゃうんじゃないかなって思う。
そこで考えたのが・・・・・・まぁ誰でも思いつくであろうこの世界樹計画と新地球統合政府なんだよね。この二つについての批評は12話でシンがやってくれてるから、そっちも参照してほしいな」

 
 

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【GRMFシリーズ】

 

Gamut
Repress
Maneuver
Fighter
「全領域制圧可機動戦闘兵装」

 

GRMFシリーズとは旧地球連合とプラントの統合を経てC.E.75 Janに成立・発足した、新たな全地球規模の国際組織である「新地球統合政府」直属の設計局が開発したMS群に使用される機体系統の形式記号の一つであり、主に旧ザフトのZGMFシリーズに相当するような汎用性の高い有人式人型戦闘機種に用いられる。
なかでもGRMF-EXナンバーは、それの上位機体として元プラント統合設計局所属メンバーが主導で開発する、専属のエースパイロットにのみ搭乗を許された所謂「ガンダム‐タイプ」の高性能MS群である。

 

その存在意義は「健全な抑止力」である。統合政府とそれに付き従う国家を敵視し、テロ行為を散発的に繰り返す小規模組織が少数といえども存在する情勢、彼らが奪取・運用する前大戦の機動兵器を無力化し効果的に戦意を喪失させるにはやはり、圧倒的であり尚且つ長距離高精密誘導高速ミサイルや大量破壊兵器に頼らない、明確な「個」を備えるプロパガンダも必要であった。
もとより新時代を担う新地球統合政府が運用する機動兵器として、いかに高性能であろうとZGMFシリーズやGATシリーズといった「前大戦の遺物」は相応しくないという世論があり、そこにUltra Compact型デュートリオン核融合炉やMPSマテリアルをはじめとした新型相転移金属各種といった革命的新技術が次々と登場したことが後押しとなって、新たなMSの規格を開発しようとする流れが生まれたのだった。そこには複雑化・細分化の一途を辿っていったMSの構造及び系統を一旦簡易化・統一化する狙いも含まれている。
なお、表立った活動こそ制限されているもののZGMFシリーズやGATシリーズもいまだ現役であり、まだまだ成熟しきっていないGRMFシリーズをサポートする形で運用され続けている。

 

試験機である【GRMF-X01A セカンド‐ストライク】の働きや、ノルン条約締結によって定められた核駆動炉搭載機動兵器保有制限、敵対勢力に奪取・鹵獲される可能性等を鑑みた結果、MPSマテリアル以外の新型相転移金属各種やUC型デュートリオン核融合炉といった最先端技術はEXナンバーにのみ採用されることが決定。
通常のGRMFシリーズは改良型デュートリオンエンジンやELABシールド、VPS / MPS複合骨格、標準化の進むビームシールドに対抗する為のABSバレット射出兵装、全天周囲モニター対応型自由回転式球状コクピットモジュール等といった準先端技術を標準装備とすることと相成った。

 

GRMFシリーズの型式番号は、機体の特性やコンセプトに最も適合した系統記号と、その系統内での実験機・試作機等もカウントした通しの開発ナンバーとを組み合わせたものが贈られる。なおC.E.80Apr時点で計26種がロールアウト、内14種が量産機として少数生産・実戦配備するに至っている。
その主な任務は、新地球統合政府が打ち出した【ユグドラシル‐プラン】によって建造される外宇宙開拓拠点や深宇宙探査任務用無人MS群GSXシリーズの警護、反統合政府勢力やテロ組織といった敵対勢力への牽制・制圧である。

 
 
 
 

【GRMFシリーズの系統記号】

 

『汎用機系統』
 A・全戦域対応型汎用機
 B・格闘戦重視型汎用機
 C・射撃戦重視型汎用機
 D・機動戦重視型汎用機
 E・電子戦重視型汎用機

 

『換装機系統』
 F・全領域対応型換装機
 G・装甲増設型換装機
 H・機構分割型換装機
 I・装甲換装型換装機
 J・局地戦特化型換装機

 

『可変機系統』
 K・戦術増強型可変機
 L・戦略変更型可変機
 M・戦域変更型可変機
 N・局地戦特化型可変機
 O・電子戦重視型可変機

 

『戦術特化機系統』
 P・高機動遊撃特化機
 Q・重兵装強襲特化機
 R・重装甲防御特化機
 S・特装単独任務特化機
 T・広域戦術管制特化機

 

『局地戦特化機系統』
 U・陸上戦闘特化機
 V・空中戦闘特化機
 W・水中戦闘特化機
 X・施設内戦闘特化機
 Y・高重力戦闘特化機
 Z・無重力戦闘特化機

 
 
 
 

【ロールアウトしたGRMFシリーズ】

 

『試作実証機』
 GRMF-X01A セカンド‐ストライク ・・・ 各種最新技術の情報収集と試験評価を目的とした試験機
 GRMF-X01F ジャベリン ・・・ 「クラスタジャケット‐システム」の試験評価を目的とした試験機
 GRMF-X01S ロプト ・・・ ロキス・ローランがテストパイロットを務めた、隠密任務を主とした試験機
 GRMF-Y07A イレイザー ・・・ 量産型ジャスティスをコンセプトに開発された、エース用の高性能汎用機
 GRMF-Y05C ケイオス ・・・量産型フリーダムをコンセプトに開発された、エース用の砲撃戦用汎用機
 GRMF-Y03H アウェイク ・・・ 量産型インパルスをコンセプトに開発された、エース用の高性能換装機
 GRMF-Y05K アイギス ・・・ イージスの変形機構を継承した高機動近接戦用可変機

 

『制式量産機』
 GRMF-02A ヴァン ・・・ 旧ザフト系MSの流れを汲む、新地球統合政府の主力汎用機
 GRMF-04A ヴァルク ・・・ ヴァンの上位機として開発された、熟練者向けの汎用機
 GRMF-03B オーガ ・・・ 前衛としての近接格闘戦に長けた白兵戦用汎用機
 GRMF-02C ユーゼス ・・・ 中衛としての火力支援に長けた射撃戦用汎用機
 GRMF-03F セガール ・・・ 旧連合系MSの流れを汲む、新地球統合政府の主力換装機
 GRMF-09F セルージュ ・・・ セガールの上位機として開発された、熟練者向けの換装機
 GRMF-07K メサイア ・・・ セイバーの変形機構を継承した高機動射撃戦用可変機
 GRMF-03M シュドナー ・・・ ガイアとアビスの特性を併せ持った、陸上戦と水中戦をこなす可変機
 GRMF-04O ディスターブ ・・・ 情報撹乱や妨害工作に長けた電子戦用可変機
 GRMF-02R パラディア ・・・ 集団による拠点防衛戦・迎撃戦を得意とする防御特化機
 GRMF-01T ソロモン ・・・ 最新鋭のレーダー・センサーを多数搭載した指揮管制機
 GRMF-01W レイス ・・・ 高い防御力と近接格闘能力を有する水中戦闘特化機
 GRMF-03X マフィラ ・・・ 施設内・市街地での制圧戦・防衛戦を本領とするCQB / CQC特化機

 

『専用機』
 GRMF-EX02G ???・・・ イザーク・ジュール専用の重装甲高速強襲型換装機
 GRMF-EX03Q ???・・・ ディアッカ・エルスマン専用の中遠距離砲撃戦特化機
 GRMF-EX04H ???・・・ ルナマリア・A・ホーク専用の重武装広域遊撃型換装機
 GRMF-EX09L ??? ・・・ アスラン・ザラ専用の高機動白兵戦特化型可変機
 GRMF-EX10A ??? ・・・ キラ・ヤマト専用の万能汎用機
 GRMF-EX13F ライオット‐デスティニー ・・・ シン・アスカ専用の万能換装機

 
 

――――

 


「これも再掲・・・・・・、・・・・・・いや、自重しようよ。二次創作なのにこんなのまで考えてなんになるの」

 

キラ
「これでもまだ氷山の一角だから・・・・・・暇な大学生時代っておっかないよねって話だよホント」

 


「で、これSSに登場するの?」

 

キラ
「ほとんど出ないんじゃない? 地球圏で主力になってるセガールは何度か名前だけ紹介されてたけど」

 


「専用機のところ、ほとんどブランクになってるんだけど」

 

キラ
「そこはほら、状況が進んだ時の設定集第三弾用ということで。因みに試作実証機の【GRMF-X01A セカンド‐ストライク】についての説明が3章の内容なんだって」

 


「そろそろ理解が追いつかなくなってきた」

 

キラ
「頑張って。今、援軍を要請したから」

 
 

――――

 

【新型相転移金属各種】

 

相転移金属、通称PSマテリアルは一定のエネルギーを通す(通電する)事で「表面の分子配列を相転移し、ある一種の純エネルギー体に変換する」性質と「電圧を上げる事で保有するエネルギー量が上昇する」性質を有する特殊金属である。
その性質を利用したPS装甲は「接触した運動エネルギーや熱エネルギー等を、自らの有するエネルギーで相殺・無効化する」特性をもって、破格の防御性能を誇る装甲としてその名を馳せた。
PSマテリアルの本質は「エネルギーを得ることで金属の性質を変換させる」ことにある。その考えをより押し進めて研究した結果、今までの常識では考えられなかった多様性と性質を有したPSマテリアルがC.E.74からC.E.78にかけて次々と開発された。それは戦争によって蓄積されたデータから開発されたものもあれば、全くの偶然の産物として誕生したものも存在する。

 

『EVPS』
 エネルギー容量と剛性を大幅に強化した、ナノサイズの空洞を有する可変相転移金属。
 主に機動兵器の外部装甲として使用される。

 

『MPS』
 硬度・耐久力そのままに形状をフレキシブルに変化させる変形式相転移金属。
 主に機動兵器のフレームとして使用される。

 

『LPS』
 PSマテリアル特有の、発光による負荷排出効果を強化した相転移金属。
 主に機動兵器や戦艦のラジエーターとして使用される。

 

『RCPS』
 特殊な負荷とエネルギーを与えることによって強力な斥力を放射する斥力生成型相転移金属。
 斥力を用いた推進装置や重力制御システム、リパルシブフィールド形成等、軍事分野だけでもその使用用途は多岐にわたる。
 ヴォワチュール・リュミエールに並ぶ、C.E.最大の発明の一つ。

 
 
 
 

【EVPS装甲】

 

Enhanced
Variable
Phase
Shift

Armor
「強化型可変相転移装甲」

 

エネルギー容量と剛性が大幅に強化された、ナノサイズの空洞を有する可変相転移金属製外部装甲。
VPS装甲と比べ非常に軽量で対衝撃性に優れる上に、一定以上の出力なら18m級MSでも1~2発の高出力荷電粒子ビームを弾く程の圧倒的防御力を発揮する。だが、その驚異的な性能に比例して駆動・維持に必要なエネルギー量は恐ろしく膨大であり、ハイパーデュートリオンエンジンでも供給量が足りず、実戦で使用するにはUC型デュートリオン核融合炉の登場を待たねばならなかった。しかし、それでも常時ビームを無効化する程のエネルギーを全身に掛けた場合では、UC型デュートリオン核融合炉のエネルギー供給量すら大幅に上回り、機体の最大連続稼働時間が10時間を下回ってしまうという結果が報告されている。
その為、EVPS装甲搭載機はかつてのNJC非搭載型PS装甲搭載機の二の轍を踏むことにならぬよう、装甲制御システムとブリュンヒルデ‐システムを連動させた。具体的には、機体を破損させる可能性を有する脅威に対して、パイロットが回避・防御が間に合わないと知覚した上で、被弾する瞬間・部位をある程度のレベルで予測・認識することによってシステムが自動的に出力リミッターを解除、通常時は事前に設定された通りのエネルギーで展開している装甲の出力を、数秒の間だけ上限まで引き上げるよう設定している。

 
 
 
 

【VPS / MPS複合骨格】

 

Variable
Phase
Shift
/
Metamorphosis
Phase
Shift

Compound-Frame
「可変相転移 / 変形式相転移複合骨格」

 

特定の電圧と信号を与えることによって硬度・耐久力そのままに形状を連続的に変化させる変形式相転移マテリアルと、機体環境に連動してフレキシブルに剛化・軟化する可変相転移マテリアルを組み合わせて構成された複合骨格に、新式のMPS相互連動型低電力高トルク関節駆動装置を搭載した新世代フレーム。
【ZGMF-X20A ストライク‐フリーダム】と【ZGMF-X42S デスティニー】に各々採用された関節駆動システムを統合・発展させた性質をも有しており、従来のものに比べシンプルでスリムな構造であるにも関わらず高いパワーを発揮可能で、更に柔軟性と堅牢性・敏捷性と耐久性をそれぞれ高い次元で両立させている。
EXナンバーと可変機系統、一部換装機系統を除くGRMFシリーズの機体は、同規格の「マルチスタンダード・フレーム」と呼ばれる最低限の機能のみを備えた基礎骨格を中核としており、それぞれの機体系統の特性に合わせて調整・強化を施したものを使用している。

 
 
 
 

【ECC形成機構】

 

Energy
Complete
Closure-Field

Formation-Mechanism
「エネルギー完全閉鎖フィールド生成機構」

 

ヴォワチュール・リュミエールの量子膜と強力な特殊電磁場を用いて、生成された荷電粒子やプラズマといったエネルギーを内部に封じ込める「完全閉鎖型高エネルギーフィールド」を形成・制御する機構。
このフィールドは封じ込めたエネルギーの特性を殺さずに、内部で循環・蓄積・圧縮させ、拡散を防ぎ外界と隔絶させる役割を持つ。その為フィールドに満たされたエネルギーは、大気やアンチビームフィールド等に減衰されることなく、その増幅された破壊力の全てを対象に伝達させることが可能となる。フィールドを用いて生成されたECC型高エネルギー体の表面は擬似的に半物質化しており、例えばこの機構を導入したビームサーベルは実体剣とエネルギー剣双方の性質を有する半結晶状の刀身を形成する。
このフィールドを弾殻のように扱い様々な性質や属性を与えてやることで、対防御兵装に特化した特殊複相エネルギー弾「Anti Beam Shieldバレット」を形成・射出することができる。一射毎に莫大なエネルギー消費と相応のチャージタイムが必要となるが、普及が進む高出力ビームシールドや磁場偏向式電磁防御壁の他、依然ビームに対しては無敵に近い防御力を誇る特殊鏡面装甲「ヤタノカガミ」を突破することが可能となる。

 

徹甲式・・・貫徹力特化   反発式・・・衝撃力特化   反応炸裂式・・・空間攻撃特化
榴弾式・・・破壊力特化   旋回式・・・掘削力特化   徹甲炸裂式・・・内部破壊特化

 
 
 
 

【ELABシールド】

 

Enhanced
Laminate
Anti
Beam

Shield
「強化型ラミネート・アンチビームシールド」

 

排熱機構とビーム拡散機構を大幅に強化したラミネート・アンチビームシールド。
PSマテリアルにおける発光による負荷排出効果を強化したLPSマテリアルをラミネート装甲内部に組み込むことで、装甲全体に蓄積させた負荷を光子の形で一度に大量に排出することが可能となり、排熱効率を飛躍的に上昇させることに成功した。更に、表面を超高周波振動型電磁場拡散マテリアル「マフツノカガミ」でコーティングすることにより、実体盾でありながら高出力ビームシールドを凌駕する程の対ビーム性能を獲得している。
ビームシールドや磁場偏向式電磁防御壁の突破・破壊を目的としたABSバレットに対しても優秀な防御力を発揮し、ガントレットサイズまで小型化しても旧式のMS用大型ラミネート・アンチビームシールドと同等程度の防御力を維持できることから、基本的にECC型ビームシールド発生装置とセットで運用される。
なお、その負荷を蓄積・放出する特性を転用し、高性能放射排熱装置としても活用できる他、内蔵するLPSマテリアルも通常のPSマテリアルに比べ対衝撃防御能力が劣っているわけではない為、限定的ながらトランスフェイズ装甲と同様の機能を発揮できる。

 
 
 
 

SRCPS推進機構(サーシファス・スラスター)

 

Suspected
Repulsion-Field
Create
Phase
Shift

Thruster
「擬似斥力場生成式相転移推進機構」

 

特殊な負荷とエネルギーを与えることによって強力な斥力を放射する、斥力生成型相転移マテリアル(RCPSマテリアル)とECC形成機構を組み合わせた新世代スラスター。
RCPSマテリアルが放射した斥力を「完全閉鎖型高エネルギーフィールド」に封じ込めることで限定的な時空歪曲場を生成し、ヴォワチュール・リュミエールを介して特殊光圧推進エネルギーと同調させつつ任意方向へ噴出することで推進力とする。
単体での単純な瞬間最大推力こそ従来型の超伝導電磁推進機関(イオンバースト・スラスター)に劣るものの、光波翼を纏った半結晶状のエネルギーウイングから得られる爆発的な加速力と即応性、推進器の位置や向き等といった物理的制約に縛られない自由な機動能力、無限の加速すら可能とする圧倒的な持続性は、それを補って余りある利点となっている。その特性上、SRCPS推進機構は姿勢制御用スラスターとしての性格が強い為、現状は主推進機構たるイオンバースト・スラスターとセットでの運用を前提としている。
また、複数のSRCPS推進機構を三次元的に配置して擬似斥力場を膜状に展開すれば、接触した物体の運動エネルギーを増進・減退させるリパルシブフィールドを形成可能。ゲート状のフィールドを介することで、複数の粒子ビームを纏めて単体の高エネルギー収束ビームとして射出したり、大質量実体弾の軌道を偏向したりすることができる。

 
 

――――

 

瑞鳳
「お待たせしました瑞鳳です♪ キラさんと響のためなら私、頑張っちゃうわよ! ・・・・・・ナニコレイミワカンナイもぅ帰りゅぅ・・・・・・」

 


「なんで彼女を巻き込んだ! 言え、なんでだ!! 明石先生とかシンとか、適任は他にいただろう!」

 

キラ
「いや、響が楽になるかなって。・・・・・・二人には忙しいからって断られたし、他に空いてるのって夕立ちゃんぐらいだったし」

 


「消去法か・・・・・・! ・・・・・・仕方ない、やっと仲直り(?)できたんだ。瑞鳳は私が護る」

 

瑞鳳
「響・・・・・・! うぅん、私も頑張る! 一気に感想と解説いっちゃうわよ!!」

 

キラ
「あ・・・・・・ここそんなに重要なとこじゃないから、さっさと流して次にいこうとしてたんだけど」

 

瑞鳳
「・・・・・・」

 


「呼び出すタイミング最悪すぎないか・・・・・・。うん、やっぱりキラは基本鬼畜なのでは?」

 
 

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【ヴァルキュリア‐システム】

 

Voiture・lumiere
All dimension
Linked
Kinetic repulsion energy
Yield element
Removal & compress
Jet & distortion
Active control

SYSTEM
「ヴォワチュール・リュミエールを全次元へ連結、斥力エネルギーから生じる要素の転移・圧縮と噴出・歪曲を能動統制するシステム」

 

【ユグドラシル‐プラン】の根幹を成すVALKYRJA理論によって完成した、人類初のバブル型亜光速航法システムである。これはSRCPS推進機構が出力した時空歪曲場を、機体全体を包み込むよう球状に展開して周辺時空間そのものに干渉しつつ、球内部を亜空間化させる事によって成立するものである。

 

システムによって全方位に張り巡らされたバリアは、通常であれば全ての物質に万遍無く影響する慣性や抗力、重力波といったエネルギーを量子膜で吸収、膜内の時空歪曲場で統合・圧縮しつつ反らし、膜外へ噴出する特性を有しており、その一部を自らの運動エネルギーとして利用することができる。
これにより、直進を続けることで蓄積する慣性や抗力、宇宙塵等との衝突エネルギーを更に加速力にシフトさせていくというプロセスを経ることで、有人機を短時間で亜光速にまで達せさせることが可能となった。
また、システムを起動したマシンは運動量保存則や万有引力といった物理法則から擬似的に隔絶されることから、作用反作用の原理に依存した従来の推進機構とは一線を画する、新次元機動とも言うべき圧倒的マニューバを実現することができる。

 

元々は亜光速航行に求められる役割や、莫大な消費エネルギー等といった観点からデフレクター兼推進支援システムとして自律巡航式宇宙コロニーや艦船にのみ搭載される予定だったが、重力・慣性制御能力という未知で魅力的な機能を惜しんだ一部研究者達が機動兵器用に機能縮小・省電力化したものを開発。限定的でありながらもMSの戦闘能力を飛躍的に増強させる切り札としてGRMFシリーズの極一部の機体に搭載された。
機能縮小版といえどもヴァルキュリア‐システムを起動したMSは、パイロットと機体に負荷を与えずに高速度を維持したまま連続で鋭角に旋回する、接触した弾丸のベクトルを操作する、機体に掛かる作用反作用を軽減・加重する等といった非現実的な芸当すら可能とし、その戦闘能力は正に別次元の一言が相応しい。
全機能を解放した「フルドライブ‐モード」で最長3分、機能を慣性緩和能力と抵抗軽減能力のみに絞った「クルーザー‐モード」でも40分までという稼働限界があるとはいえ、これに対抗できるものは同じくシステムを起動したMSしか存在し得ない。また、そのあまりの機動性能と球状量子膜自体の防御性能が故に、通常の射撃兵器は決定打となり得なくなる為、必然的にシステム搭載機同士の戦闘は近接格闘能力が重要視される。
勿論、システム自体が吸収・捌けるエネルギー量は有限であり、その制御にも非常に高い技術とセンス、そして「ブリュンヒルデ‐システム」の利用が必要不可欠である。通常であれば専門の教育を受けたプロフェッショナルが、多人数でオペレーションして初めて十全に扱うことができるという点だけをとっても、このシステムに求められる条件の厳しさの一端が伺えるだろう。

 

ヴァルキュリア‐システムは単なる亜光速航法の制御システムではなく、その先にある超光速航法を実現させる可能性を唯一有する人類の希望である。その為システムの稼働データは大きな価値を持ち、今後の世界の行く末を握るファクターとなっていく。

 
 

――――

 

瑞鳳
「シンさん曰く、時空間転移の元凶になったヤツね」

 


「でもこう言っちゃなんだけど、おかげで私達はキラと出逢えたんだよね。状況は最悪だけど悪いことばかりじゃないって思うな」

 

瑞鳳
「そうね。転移がないまま、ずっと平穏なままでいたら私も響も疎遠なままであったわけだし。吊り橋効果みたいなものかもだけど、それでも私、今響と一緒にいられて幸せだもん」

 


「その件は、ほんとごめん。疎遠になってたこと自体、全然気づけてなかったから・・・・・・。・・・・・・ところでさっきからブリュンヒルデって名前が時々出てくるけど、これってなんだい? 14話じゃ手動制御思考制御複合式MS操縦システムってあったけれど」

 

キラ
「丁度、次の項目がそれだね。・・・・・・僕も君達二人といられて、幸せだって感じてるよ」

 
 

――――

 

【ブリュンヒルデ‐システム】

 

Brain-Multi layered
Rapid & plural construct
Unsubdued
Network
Hybrid
Independent-Operation
Linking-Control
Drive

SYSTEM
「頭脳多層化によって高速に複数構築された、非抑圧的ハイブリット型ネットワーク群の独立稼働と連結制御を駆動するシステム」

 

GRMF-EXナンバーの機体に導入された、手動制御思考制御複合式MS操縦システム。
ヘッドレストに内蔵された無線電子接続端末によって延髄部から傍受したパイロットの思考波と、パイロットの遺伝子情報を組み込んだ専用AIとを同調させ、人工的に並行思考処理能力を形成することで機体制御を行う「新式思考操縦技術」をサブに回し、メインを従来通りの手動操縦とすることでMS操縦システムの簡易化と高水準化を図ったシステムである。

 

パイロットの掌部末梢神経から傍受した電気信号を姿勢制御のサポートに使用する、従来の「神経接続型操縦補助システム」とは根本的に異なる思想によって構築された「新式思考操縦技術」は、パイロットが思い描く動作イメージそのものを同調した専用AIが翻訳・データ化し、機体全体の制御に使用するという方式を採用している。
並行思考処理能力を得ることによって初めて制御可能となるこの方式は、機体を乗り物ではなく己の身体の延長として直感的・無意識的に動かすことができるようになる他、動物が身体を動かす際に重要な役割を果たす、今までではモニターやアラートという限定的な形で視覚・聴覚に訴えることでしか再現できなかった「痛覚」や機体情報を「整理されたデータ」としてパイロットの視聴覚野に直接伝達することも可能となり、機体の追従性を飛躍的に向上させることができる。

 

なお、これ単体のみで機体を制御する「完全思考操縦」も技術的には可能であり、開発初期には並行して実用化に向けた研究が行われたが、その試みは失敗に終わっている。
思念波を傍受するだけでは情報量に限界があるとし、脳から身体に向けて送られる電気信号を延髄部で電子的に遮断・回収して機体と意識を一体化させる方式が、試行錯誤の末もっとも信頼性の高い完全思考操縦技術として開発されたが、しかしそれはパイロットの適正に依る極めて不安定な代物であった。しかも、不適合者が無理にシステムを使えばAIによるコンバートを挟んでも尚襲いかかる圧倒的な情報量に耐えられず暴走するか、自身が機体になるという独特な感覚を受け入れられず動けなくなるかという状態に陥いてしまい、またそれを受け入れられる適合者であっても、機体が負ったダメージをパイロット自身のものとして痛みを感じてしまう明確な欠点を抱えてしまっていた。結果、これは実用に耐えうるレベルにないと判断され、完全思考操縦の研究は凍結された。

 

そういった経緯を経て開発されたブリュンヒルデ‐システムは、火器管制・出力制御・基本機体制御を手動操縦が司り、それを軸として思考操縦でダイレクトに補正・強化しつつ、無意識下で姿勢制御全般をコントロールする複合式MS操縦システムとして完成。完全思考操縦のそれに劣らない追従性を実現し、更にシステムとの連動を前提に同時開発された専用の思念制御式全天周囲モニターと組み合わせることによって、コクピットコンソールの省略化、操縦の高速化と負担の軽減に成功した。
更に、搭乗者が完全空間認識能力者又は完全思考操縦適合者である場合は思考操縦システムのリミッターが解除され、仮想多次元処理によって四肢の動作と思考とを切り離しそれぞれ別の動作を同時に行わせることで、一人で一度に複数の操作を高次元で遂行することも可能となり、究極的な戦闘能力を発揮することができる。

 
 

――――

 

キラ
「元ネタは『蒼穹のファフナー』のニーベルング・システムと、『銀河機攻隊 マジェスティックプリンス』のジュリアシステム、そして『ギャラクシーエンジェル』のH.A.L.O.システムだね」

 


「平井繋がりかと思ったらなんか最後にマニアックなのブチ込んできた」

 

瑞鳳
「今時の若者は知らないんじゃないの・・・・・・? ちなみに作者がガンダムシリーズを視聴するようになったキッカケのうち、最も直接的な要因だったのがこの『ギャラクシーエンジェル』らしいわよ」

 


「どんな経緯があったんだ・・・・・・」

 

キラ
「まぁそれは置いといて。とりあえずこのブリュンヒルデは、どうやったら新型MSがストフリを超えられるかってのを考えた結果の産物みたいだね。
ストフリは確かに高性能だけど、それって僕じゃなきゃ処理できないほど煩雑な制御システムがあってのものなんだ。ストフリを超えたいけど、これ以上操縦を難しくできない。なら簡易化してしまおうって」

 

瑞鳳
「至って普通の発想ね。世の中は複雑化と簡易化を繰り返しているもの」

 


「作者曰く、一番大変だったのはバクロニム設定だって。ヴァルキュリアもだけど無駄な拘りを感じるところだね」

 

キラ
「ガンダムSEEDの醍醐味だから仕方ないよ。さて、これで2章はお終い。次でラストだ」

 
 
 
 

3章・本編に登場予定はないけどC.E.では重要なポジションに就いていた、とある機体について

 

GRMF-X01A Second-Strike
セカンド‐ストライク
全高:18.25m
重量:68.20t

 

ZGMFシリーズとGATシリーズに代わる新たなMSの規格の一つとして開発される、GRMFシリーズのスタンダード・モデルとなるべく開発された全戦域対応型汎用機系統試作1号機。

 

人類初の巨大人型有人兵器であり、その有効性と汎用性を世界に見せつけた【ZGMF-1017 ジン】と並び、その後のMSの在り方を決定づけた名機たる【GAT-X105 ストライク】の名を受け継いだ機体。
ストライクの名を冠してはいるものの、その最大の特徴であった装備換装機能は搭載しておらず、その設計思想は寧ろ【GAT-X102 デュエル】のものに近い。主にVPS / MPS複合骨格と試作型SRCPS推進機構、ECC形成機構搭載兵器といった最新技術の情報収集と試験評価を目的とした機体であり、本機が得た情報と設計図を元にGRMFシリーズは展開していく。

 

スペック自体はいまだ一線を張る旧ザフトのセカンド・ステージシリーズと同等程度であり、総合戦闘能力でも【ZGMF-X42S デスティニー】や【ZGMF-X20A ストライク‐フリーダム】といったスペシャルメイドMSには遠く及ばないものの、複雑化・細分化していったMSの構造・規格の簡易化・統一化も目的として設計された経緯から、新技術の塊でありながらも非常に高い耐久性と整備性を誇る。

 

実戦への投入は想定されていなかったが、後の第二軌道エレベーター『ヴェルザンディ』防衛戦やアルカディア火星開拓基地制圧戦では文字通り常識外の機動性と火力を発揮し、新時代を担う者の名に恥じない多大な戦果を挙げた。

 
 
 

【基本装備】

 

[AMI-CGU02S 25mmチェーンガン]×2
両側頭部に搭載された小型電磁駆動式小口径高初速機関砲。
従来のガトリング式の頭部近接防御機関砲に比べ速射性は劣るものの、威力と安定性に優れている。

 
 

[PE-R01 ビームライフル]
MA-BAR73/Sと同等以上の性能を有する、量産性に優れた新規格のビームライフル。
非使用時は右サイドスカートにマウントされる。

 
 

[PE-S01 ビームサーベル]×2
MA-M941と同等以上の性能を有する、量産性に優れた新規格のビームサーベル。
非使用時は背部メインスラスター基両脇にマウントされる。

 
 

[AMI-M03『ドラコ』200mm径2連装中距離誘導ミサイルランチャー]
PE -GAU04Dとの選択式で、AMI-SS04X裏面にマウントされる小型ミサイルランチャー。
オプションマガジン込みで装弾数は最大12発であり、手持ち式携帯兵装としても使用可能。

 
 

[PE -GAU04D『インベル』2連装4銃身ビームガトリングガン]
AMI-M03との選択式で、AMI-SS04X裏面にマウントされる2連装4銃身高出力ビームガトリングガン。
駆動・発砲用のエネルギーは着脱式大容量エネルギーパックユニットから供給される為、機体本体のエネルギーを消費しない。また、手持ち式携帯兵装としても使用可能。

 
 
 

【機能検証用試作実験装備】

 

[PE-SE03X『ティルフィング』ビームサーベル]
ECC型高エネルギービーム刃形成システムの実証機として開発された試作ビームサーベル。
ECC形成機構によって生成される「完全閉鎖型高エネルギーフィールド」を用いて構成された、実体剣とエネルギー剣双方の性質を備えた鋭利なエッジを有する半結晶状の刀身を形成する最新型のビームサーベルであり、長く平たい形状の柄とECC制御用のブレード状の鍔を持つ。円錐状に形成したビーム刃で単純に敵を焼き切る従来のビームサーベルとは異なり、完全閉鎖型高エネルギービーム刃は実体剣のようにしっかりと刃を立てる必要があるものの、正しく扱えば一振りで複数のMSを高級対ビームシールドごと両断することも可能とする高い切断力と溶解力を併せ持つ。
刀身の形状はECC制御システムを調整することで変更可能であり、パイロットの戦闘スタイルや好みに合わせて諸刃や片刃、曲刀や細剣といった刀身を選択できる。

 
 

[PE-GS04X『ダーインスレイヴ』高エネルギービームソード]
PE-SE03Xによってその有効性と威力が実証された完全閉鎖型高エネルギービーム刃を、通電することで表面にプラズマフィールドを帯びる特殊合金製の荷電式超高周波振動刃に纏わせる新方式を採用した、試作大型対艦刀。
高出力PS装甲を除くほぼ全ての装甲を貫徹することができる全長13mの両刃の実体剣をベースとしており、最大出力時には最長30mにも達する半結晶状のビーム刃を形成可能。その刀身の大質量とも相俟って通常型の高出力ビームシールド程度であれば、要塞・戦艦クラスのものでさえ熱したバターのように易々切り裂く圧倒的切断力を発揮する。
また、鍔部にはデュートリオン‐システムを応用して開発された専用のエネルギーコンデンサを内蔵している。余剰エネルギーを常時圧縮充填し、一気に開放することで一時的に機体出力を大幅に上回るエネルギーを生み出すこの機構は後に、二つ以上のコンデンサを相互補完させて運用するオーバードライブ‐システムへと発展していった。

 
 

[PE-GC02X『カイルス』対シールド高エネルギービーム砲]
対防御兵装に特化した特殊複相エネルギー弾を形成できるABSバレット射出機構を搭載した、全長15mの大出力特装試作ビームランチャー。
第一期GAT-Xシリーズの登場を皮切りに急速に発展・多様化し、C.E.73時点で実弾・ビーム問わず射撃兵装が決定打になり得なくなってしまう程にまで高まった対射撃兵装用防御技術が、一般的な量産型MSにも普及しつつある現状を打開する為に開発された新機軸のビーム兵器である。
半結晶状の高エネルギー体を形成する「完全閉鎖型高エネルギーフィールド」に、莫大なエネルギーとチャージタイムを引き替えに様々な性質や属性を与えることで、あらゆる対射撃兵装用防御壁の突破・破壊を可能とした特殊複相エネルギー弾「Anti Beam Shieldバレット」を射出することができる。単純に貫通力を高めることでビームシールドやヤタノカガミを強引に突破する徹甲式や、強烈なインパクトで防御した相手を弾き飛ばす反発式、空間攻撃によって磁場偏向式電磁防御壁出力装置そのものにダメージを与える反応炸裂式の他、対シールドに留まらず榴弾式や旋回式といった様々な効果を持つ弾種を生成できることが判明し、ビーム兵器を用いた戦術の幅を大きく広げることに成功した。これにより盾と矛のパワーバランスは再び均衡状態になり、ビームシールド万能論を覆すことに成功した。
ただし、ABSバレットの弾種の切り替えにはバレットの形成・射出以上のエネルギーとリキャストタイムを必要とする為、実戦で一つのデバイスが複数の弾種を使用することは事実上不可能であることも判明した。その結果、ABSバレットはエネルギー消費率も鑑みMS一機につき二種までという制約が定められ、特殊複相エネルギー弾運用装備は無計画に使用できない「切り札」としての性格を持つことになる。

 
 

[PE-R06X『ヴェスパ』ビームライフル]
PE-GC02Xによってその威力と有効性が実証されたABSバレット射出機構の難点であった、実戦で使用するにはあまりにも莫大で非効率的すぎる使用エネルギーとチャージタイムという問題点をある程度軽減し、更に小型化を施した射出機構BⅡ型を搭載した試作ビームライフル。
最後の機能検証用試作実験装備であり、かつ最も稼働時間が長いこのデバイスが有するデータと蓄積された研究データによって、実戦レベルでの使用に耐えられる程に問題点を克服したD型が完成。このD型を基点とし、特殊複相エネルギー弾運用装備は登場から約1年の歳月を経て、遂に本格的な開発がスタートされることとなる。

 
 

[PE-GC03X『タルタロス』高エネルギープラズマ収束ビーム砲]
ECC形成機構から派生して開発された エネルギー強化フィールドバレル(ESFバレル)展開機構を搭載した、全長17mの大出力試作プラズマビームランチャー。
ESFバレルとは、砲口外部に球状の完全閉鎖型高エネルギーフィールドを形成、砲内部で生成したエネルギーを風船のように溜め込んでいき、臨界にまで達したところでフィールドを円筒状に変形させつつエネルギー収束・加速の性質を付与、満ちに満ちたエネルギーに指向性を持たせて一気に放出する非実体型の高指向性エネルギー投射バレルである。
チャージに時間こそかかるものの、通常18m級MSでは到底扱えない要塞・戦艦用大型ビーム砲のものに匹敵する程の射程・弾速・貫徹力を有するビームを射出することが可能となり、対艦・対要塞戦において特に威力を発揮する。

 
 

[PE-BSE002X『ドゥールム・フルゴール』ビームシールドジェネレーター]
AMI-SS003X中央部に装備された試作型の完全閉鎖型高出力ビームシールド発生装置。
実体盾とエネルギー盾双方の性質を有する半結晶状のエネルギー盾を形成する新型のビームシールドであり、通常の高出力ビームシールドの数倍に値する防御性能を誇るだけでなく、対ビームコーティングを施した大質量砲弾や実体剣すらも弾くことが可能である。ビーム発振方式の違いから従来のモノフェーズ式ビームシールドのように内側からの攻撃を素通りさせることはできないが、優秀な展開速度・持続時間によって形成されるエネルギー盾は、その従来機の利点をまったく問題にしない程の戦闘力をMSに与える。
機動兵器が持ち得るデバイスとしては規格外の防御性能を発揮するが、ECC形成機構によって形成される対防御兵装に特化した、こちらのECCに一方的に干渉・破壊する性質を有する特殊複相エネルギー弾「ABSバレット」にはその防御性能を発揮することが不可能となる。まともに受け止めればデバイスがオーバーロードしてしまうどころか、簡単に貫徹されてしまう危険性もある為、対策としてABSバレットに対しても有効的な防御力を発揮するELABシールドと併用して装備することを推奨されている。

 
 

[AMI-SS003X 強化型ラミネート・アンチビームシールド]
左腕に装備される手持ち・前腕装着両用の試作大型ELABシールド。
要塞・戦艦用大型ビーム砲から射出される高出力収束ビームは勿論のこと、表面にコーティングされた「マフツノカガミ」の効力によってABSバレットすらも完全に防御し得る、現状最高峰の対ビーム性能を有する新型の実体盾である。
通常の攻撃にはビームシールドを、咄嗟の防御行動や対ABSバレットにはELABシールドを使用するという使い分けと、シールド中央部に装備されたPE-BSE002Xを安定して稼働させるラジエーターとしての役割を期待され、ビームシールドと併用して装備することを前提に開発された。それに加え、先端部には二又状の荷電式超高周波振動刃とウェポンバインダーを備えており、実体盾特有の高い拡張性と汎用性を最大限活用するべくデザインされている。
このデバイスの活躍により、ビームシールドの普及によって表舞台から消えつつあった実体盾の有効性が再度見直され、次期主力量産機の標準装備として実体盾が採用されるまでに至った。

 
 

[AAWU-VF/SS05X 機動制御ウイング]
背部メインスラスター基両脇に備えた左右2対の計4枚から成る、SRCPSスラスターを搭載したELラジエータープレート兼用の試作大型可変空力推進翼。
光波翼を纏った半結晶状のエネルギーウイングとして形成される擬似斥力場を展開することで、MSに斥力制御による自由自在な飛行を可能とさせる。エネルギー消費が激しいという点を除けばヴォワチュール・リュミエールの上位互換とも言える推進システムであり、【ユグドラシル‐プラン】の要となる新機軸の飛行ユニットである。

 
 

[DMI-DO/SS02X『グローリア・ドラグーン』思念制御式独立機動砲塔]×6
各々のパイロットの資質・要望に応えるべく拡張性と汎用性を向上させた第三世代式ドラグーン‐システムに、ブリュンヒルデ‐システム対応演算ユニットとSRCPSスラスターを組み込むことでより高い追従性と1G下での自律浮遊能力及び斥力制御能力を得た、計6基の試作第四世代式ドラグーンユニット。
速射性と安定性に秀でたPE-G03『クラルス』ビームガンとPE-S02B『イグニス』ビームブレイド発生装置を備え、距離・状況を問わず高い攻撃力を発揮する。
非独立機動時には、本機の主翼であるSRCPSスラスター搭載型大型可変空力推進翼下面部に左右3基ずつマウントされ、6連装高出力ビームガン兼追加スラスター基として機能する。

 
 

[DMI-QB02X『リパルサー・エッジ』ビームブーメラン]×2
両サイドアーマー前部にマウントされる試作第三世代式ビームブーメラン。
広い殺傷範囲を有しつつ変則的な軌道で敵機に突撃するビームブーメランは、軌道制御にビーム場を形成する力場と空間との相互作用を用いた、強襲・幻惑用装備として近接格闘戦時に威力を発揮する補助兵装である。だが、その立ち位置はビームスパイク又はビームブレイドを搭載したドラグーンに徐々に取って代わられており、そもそもの扱いづらさとも相まってブーメラン系兵器はエースパイロットや物好きが使用するに留まっていた需要を更に低減させていた。
しかしビームブーメラン特有の独特で先読みしづらい軌道や、アンチビームフィールドをものともせず回転飛翔する実体・ビーム複合刃の破壊力は今日の戦場においても依然有効的であり、それらは近接戦闘用にチューンされたドラグーンを上回るものであることも事実だった。そういった事情も踏まえ一部のパイロットの根強い要望で開発された第三世代式ビームブーメランは、従来型のものに第四世代式ドラグーン‐システムの量子通信誘導技術とSRCPSスラスターを組み込むことで、ビームブーメランとしての機能に特化したドラグーンとして完成した。
一見本末転倒のように思えるが、ブーメランの特性とドラグーンの追従性双方のいいとこ取りに成功した第三世代式ビームブーメランは、汎用性・多様性を増しつつより高度で複雑な軌道制御を実現しており、強力な強襲・幻惑用格闘装備としての立ち位置を確実なものとするまでに至った。

 
 
 

【特殊装備】

 

EVPS装甲
VPS / MPS複合骨格
試作型SRCPS推進機構
試作型ヴァルキュリア‐システム
試作型ブリュンヒルデ‐システム
試作型対話型火器管制支援AIユニット「ストライク」
試作型自己修復型マイクロマシナリーテクノロジー

 
 

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キラ
「2章で紹介された技術がこのストライクで試されて、巡って1章のデスティニーとかが設計されたって流れなんだ。だから本当ならこの機体の紹介を1章か2章にすべきなんだろうけど、本編に登場予定ないし。それってどうなのってことで最後に持ってきたんだって。
2と3はデスティニーの為だけに存在すると考えれば理解しやすいかもね」

 


「それでこんな構成に・・・・・・。なんにせよ、設定厨の末路がどんなものかは解った」

 

瑞鳳
「これもストライクなのね。キラさんのストライクとは違うの?」

 

キラ
「僕が何故だか乗ってたストライクは正真正銘【GAT-X105 ストライク】だね。エンジンを始めとした主要パーツが最新式のものに換装されて近代化改修が施されてたけど、E型でもルージュでもない、非常にレアな初期型みたい。まったく、どこから引っ張り出してきたんだろう?」

 


「シンが言及してた、時空間転移直前の戦闘がどんなものだったのかが気になるね。そこは全然覚えてないんでしょ?」

 

キラ
「全然覚えてない」

 

瑞鳳
「機体紹介文にあった、ヴェルザンディ防衛戦やアルカディア火星開拓基地制圧戦も?」

 

キラ
「うん。ってか、ヴェルザンディはともかくアルカディア火星開拓基地ってまだ計画段階の筈だし、もっと未来の話なのかもね。因みにアルカディアは火星の平原の名前なんだ」

 


「アルカディア平原。地表近くに氷が存在してるかもって言われてる地名か。・・・・・・ところで、当SSは現実のものに基づいた地名をそのまま使ってるけど、一つだけ完全に架空の地名が登場してたね」

 

瑞鳳
「え、そうなの?」

 


「現実世界にも、ガンダム世界にも、艦これ世界にも存在していない地名。それがこのSSの特異点であるのかもしれないね。・・・・・・っと、脱線してしまったね」

 

キラ
「いや、このストライクについて言及すべきところは他にないし、読者の皆さんに考察を促すのもいいんじゃないかな」

 

瑞鳳
「いつも考察しか促してない気がするけど? 毎回の如く謎がどうこうって引っ張ってるし、推理小説じゃあるまいし」

 

キラ
「それは僕も思ってた。風呂敷を広げすぎだと思うケド、登場人物の僕らとしては後半に一気に伏線回収してくれるのを祈るしかないね」

 
 
 

 
 
 

瑞鳳
「それじゃぁ、そろそろお開きね。・・・・・・私、ほとんど雑談しかしてなかったんだけど、良かったのかなぁ?」

 


「私だけじゃ挫けてたから、来てくれて助かったよ」

 

キラ
「第一弾はこれにて終了みたいです。第二弾、第三弾はそのうち、物語が進んだら。今のところ投稿頻度が2ヶ月に1回に落ちてるから気が遠くなりそうだけど、待っていてくれると幸いです」

 

瑞鳳
「今回だけで分量が本編SSの1.5倍なんだけど・・・・・・次もこれ位に?」

 

キラ
「いや、だいぶ少なくなる筈。それに解説の人も総入れ替えだから、ある意味では僕ら貧乏くじだったね」

 


「苦労人ポジションだし、これはどうしようもないのかな」

 

瑞鳳
「それじゃ、今回はこの辺で。ここまで見てくれてありがとうございました♪」

 


「Спасибо тебе всегда。до свидания」

 
 

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