「第7話」

Last-modified: 2014-02-24 (月) 11:43:15

皆さんこんばんは、聖杯戦争の濃密な夜はまだまだ続きます
鋼と鋼がぶつかり合い、鮮血が飛び、血反吐が撒き散らされる戦場
闇夜の中で誰にも悟られず静かに、常識では認識不可能な惨劇を留まる事なく発生させ続けます

 

そのような戦場の中、運命は二人の男を結び付けます
一人は漆黒の殺し屋「衛宮切嗣」この聖杯戦争で最も苛烈に、貪欲に聖杯を求める男
もう一人は虚無の神父「言峰綺礼」只一つの願いも無く、只運命に流されるままに戦う男

 

「この聖杯戦争は何なんだ・・・」
今、冬木の街に闊歩する英霊はガンダムと呼ばれる鉄巨人とその担い手達
漆黒の殺し屋「衛宮切嗣」の眼に映るのは更なる絶望か、しかし戦いの嵐はノンストップで吹き荒れるのです!
それではFate/stay GUNDAMfight・レディィィィゴォォォォオオオオ!

 

冬木市新都、そこに衛宮切嗣の拠点の一つがある
魔術師は工房を構えるもの、魔術師としての力を十全に引き出すためである
故に一介の安ホテルに工房を、拠点を構える魔術師はいない・・・はずだった
そのホテルの一室をノックする、一定の規則正しさをもって、合図としてだ
扉が開かれる、でてきたのは20代の黒髪の女性
「先ほど遠坂邸で動きがありました、映像は記録したので確認してください」
感情を感じさせない声、しかし少し焦りが込められた声、異常事態として緊急の連絡をいれたのだ
映されていたのは三体の鉄巨人・・・それは
「ガンダム・・・ッ」
セイバー:刹那・F・セイエイの駆るガンダムの似ている
世界に終末を招く機械神、それがこの冬木に4騎・・・
この冬木どころか世界すら危ういかもしれない
しかし考える事は他にもある

 

「舞弥、この展開をどう見る?」
切嗣は黒髪の女性に問う
「出来過ぎのように思えます、待ち構えていたとしか思えません」
舞弥と呼ばれた女性が答える、久宇舞弥(ひさう まいや)、東洋人としてはいささか風変わりな風貌
彼女は日本人ではない、この名前も偽名である、本当の名前は・・・もう誰にもわからない
「敗退した二人のマスターはどうなった?」
切嗣が再び問う
「一人は教会に避難し監督役の保護下におかれたようです、名前は言峰綺礼」
答える舞弥、そして指示を出す切嗣
「冬木教会に使い魔を一匹放て、監督役の神父にバレないようギリギリの距離を
コントロールも片手間で、実際には何もしなくていい、監視するフリでいい」
黒髪の女性に指示を出す切嗣
言峰綺礼、そのマスターも仔細な情報が集められていたが謎の多いマスターだった
切嗣の抱いた感想は「虚無の男」であった

 

本来ならば教会の出世街道を進むはずが裏組織に身を落とすような真似をした男
更には3年前に異端である魔術の習得を遠坂時臣の下で始め、令呪をさずかり師と破門
その間に習得した魔術は数多く・・・治癒魔術においては師すら越える
疑問に思うべき点は数多くの魔術を「積極的」に習い、あと一歩のところまで突き詰めて次のジャンルに乗り換える
まるでそれまで培った物を屑同然に捨てるかのように・・・
こいつはきっと危険な男だ、この男の人生にはきっとただの一度の情熱も無い、信じる物は何も無く、心の中は怒りと絶望
だとしたらこの男が聖杯を求める理由は何なのだ
敗北した以上はそれも杞憂となるだろうと考えは衛宮切嗣には存在しない、情報は出来得る限り集め対策を練るべきだ

 
 

他にするべき事は消耗した武装の確保、キャリコM950の複雑な螺旋弾層に弾丸を込めていく
弾丸を込めるごとに銃の重みは増す、それ以上に人の命を奪うという意味でさらに重みは増す
「ワルサーを失ってしまったよ・・・」
先の戦闘でスナイパーライフルを失った、消え去りそうな声で呟く切嗣
「そのワルサーよりもな・・・イリヤの体重は軽いんだ、もう8歳になるというのに」
ワルサーWA2000、その重さ約7kg、スナイパーライフルというカテゴリーでは重い部類
唐突に愛娘の事を語る切嗣、その姿は明らかに冷徹な戦士という体裁を保ってはいない
そんな切嗣の背中を抱きしめ正面を向かせる舞弥、交わされる口付け・・・
「・・・いま必要なことだけに意識を向けてください、余計なことを考えないで」
久宇舞弥、戦場で拾った壊れきった少女だった彼女を、こんなふうに仕上げてしまったのは他でもない自分だ
だが切嗣には彼女が必要だった、魔術師殺し衛宮切嗣を正しく動作させるための補助機械として
そう、衛宮切嗣に優しい父親という側面は今あってはならないものだ
必要なのはいかなる過酷な戦いでも戦い抜ける鉄の心を持った戦士なのだから

 

藪をつついて蛇を出すという諺がある
いらぬ詮索をして被害をこうむるという話であるが・・・
「言峰綺礼様、教会付近で使い魔を発見し捕らえました」
成人男性とまったく見分けがつきようのないキャスターの使い魔が言峰綺礼に報告する
結界の外ではあったがあきらかに監督役を監視する意図で放たれたものであると
「CCDカメラ・・・」
使い魔に取り付けられた録画装置
魔術師という人種はその誇り故に世間一般のテクノロジーを忌避し軽蔑する傾向にある
だがこの戦いに魔術師としての誇りを一切持ち合わせていない人種が参加している・・・その男の名は衛宮切嗣!
その男が自分に確実な意識を向けている、ならばどうする?
現在言峰綺礼は聖杯戦争の敗退者として監督役から保護を受けている身である
しかし

 

衛宮切嗣に問わねばならないという{理由}を元に飛び出して行った

 

到着した先は凄惨な戦場であった
切嗣の行動を推察し、待ち伏せをかけた場所は冬木ハイアットホテル
そのホテルは今や無残な瓦礫の山と化していた
聖杯戦争の参加者にしてもう一人の敗退者とされていたケイネス・エルメロイ・アーチボルトの居城である
生き残ったマスターであり、聖杯戦争を放棄していないマスターを葬るべく衛宮切嗣が動くと踏んでいたのだ
魔術師はその力を秘匿しようとするためここまで手段を選ばないやり口はありえない、やはりヤツの仕業だ
綺礼は着実に標的(衛宮切嗣)を追い詰めようとしていた

 

冬木アイアットホテル32階
フロア一つ借りきって作られた魔術工房
結界の数は24層、魔力炉3基、猟犬代わりの悪霊魍魎が数十体、廊下の一部は異界化までされた
この世界において「完璧な魔術工房」であり「完璧な魔術要塞」であった
これ以上の魔術工房を望むのであれば神代の時代を生きた魔術師を現世に招くしかないだろう
踏み込めば死を免れない、たとえ英霊という存在であってもタダでは済まない
それを魔術師殺し、衛宮切嗣はいかにして攻略したか!

 

「ケイネス陣営を除く宿泊客はすでにボヤ騒ぎで退避済み・・・準備完了だ、舞弥そちらは?・・・そうか」
確認を取る衛宮切嗣、懐から取り出されるのは一つの端末
そのスイッチを押すと同時に冬木アイアットホテルの各所から

 

爆発

 

建物が崩壊を始めたのであった
その手段は建物ごと爆薬で爆破、聖杯戦争が始まる前段階から仕掛けていたものである
衛宮切嗣にとって聖杯戦争とは昨日今日に決心した戦いではない、その決意は9年前に遡るのだ
ケイネス陣営は150mの自由落下と瓦礫による圧殺、それを防ぐ魔術手段は自身が知る限りこの世に存在しない

 

辺りは騒然とした大混乱の中にあった、この国では拳銃を発砲するだけで新聞では三面記事、ニュースではトップを飾る
そんな平和な国でビルが突如崩壊するという大惨事が起きたのである、その混乱たるや拳銃の比ではあるまい
我先と逃げる宿泊客の混乱という二次災害で負傷する人も少なくはあるまい
その中でうずくまり泣き叫ぶ子供とそれを支える母親の姿が切嗣の目に留まる
その二人の姿が一瞬、アイリスフィールとイリヤスフィールの姿と重なった
呆然とする切嗣、それは自身が吹かしていたタバコの灰が指元に辿り付くまでつづいた
刺激的な熱さを感じてタバコを投げ、踏み潰す切嗣

 

(・・・僕には気の迷いなどという感傷に浸ることは許されない、僕が行ってきた犠牲の分別
すべての命を等価に量りより犠牲の少ない選択をする、ならば聖杯で50億の人類を救うなら
100人程度の宿泊客を巻き添えにすることなど厭ってはいけないはずなのだ)

 

ならば何故、事前にボヤ騒ぎを起こした?ケイネス陣営を確実に篭城させるため?
いや、無関係な宿泊客を巻き添えにするのを嫌ったからだ、それは・・・致命的な甘さだ
切嗣がそんな自己嫌悪に苛まれていた時、異変は起きる

 

「キリツグタイヘン、マイヤガタイヘン」
突如バイクが喋りだす・・・そして通信機から鈍い金属音が鳴り響いた

 
 

久宇舞弥は追い詰められていた、その相手は神父服を纏った男
その男がCCDカメラが取り付けられた使い魔を彼女の元に放り投げる
「言峰綺礼・・・」
久宇舞弥が男の名を告げ、男は応える
「君とは初対面のはずだが、それとも私を知るだけの理由があるのか?」
素性は容易に想像できる、ここは冬木ハイアットホテル32階を見張るには絶好の場所
そしてここまで手段を選ばぬ手口と実行力、そんな相手は衛宮切嗣以外存在しないと
恐怖する久宇舞弥、この男は強い、そして切嗣を知っている、その行動を読んで網を張っていたと!
「私にばかり喋らせるな女、おまえの代わりにくるはずだった男はどこにいる!」
問詰める綺礼・・・それに対して舞弥は決意する、もう殺すしかない、たとえ決して敵わない相手だとしても
恐怖を奮い立つ闘志で塗りつぶし、飛出し、拳銃を撃ち放つ・・・しかしその拳銃は手から弾き飛ばされる、高速で投げつけられた投擲剣であった
「黒鍵」異端討伐の代行者が好んで使う投擲剣、その刀身は魔力で形成され、隠し持ち、持ち運ぶのに有利である
「どうした舞弥?何があった?」通信機から聞こえる切嗣の声
「助けを呼ばないのか?衛宮切嗣は近くにいるんだろう?」さらに問い詰める言峰綺礼
そこにけたましいエンジン音を響かせ乱入する物がいた
その均衡を打ち破ったのは、一台のバイク、切嗣が用意し、セイバーによってひとりでに動けるバイクだった
大光量で言峰綺礼を照らして視界を奪い突進する、綺礼は超人的肉体を持った代行者だ
しかし猛スピードで突進してくる二輪車両にはねられてはひとたまりもない、それを綺礼は体軸一つずらし・・・必滅の一撃を放つ

 

中国拳法八極拳「六大開、頂肘!」

 

超人と形容する事すは憚れる、それは鬼神と呼称できる凄まじさ
その肘打ちによる一撃は、突進してきたバイクの側面を叩き、空中へと叩き出す、人間業ではない、しかしそれが異端討伐の修羅、言峰綺礼の実力
「アーーーーーーーーーーーーーッ!」間の抜けた声を出しながら転落するバイク、しかし置き土産に何物かが放った―――煙幕!久宇舞弥は逃走、追跡は不可能
逃げたかと落胆する綺礼、彼の襲撃は空振りに終わり、いたずらに衛宮切嗣を警戒させるだけとなった
そこに通信が入る「言峰綺礼様、早急にお耳に入れておかねばならぬ儀がございます。教会にお戻りください」それはキャスターの使い魔の声だった
今宵はここまでだ、聖杯戦争が続くかぎり衛宮切嗣と巡り会う機会は存在する
「アサシンを補足いたしました、しかし厄介な事がありまして・・・」
それは聖杯戦争にまったく別の嵐が吹き荒れる予兆であった。

 

「町の一区画の住人全てが神隠し(行方不明)だと?」
その内容はアサシン組の誘拐事件であった、キャスターの力を使ってアサシンを発見、補足した結果
彼らの行動と共に起きた神隠し事件、英霊であるならば不可能ではない・・・かもしれない
だがこのような惨状の隠匿など不可能である、神秘の秘匿のためアサシンは速やかに排除されなくてはならない
今後の対策を話合う綺礼と時臣、それを終え自室に戻る、そこに来客がけだるそうにソファーで横たわっていた

 

「キャスターか、いったい何の用だ」
キャスターは聖杯戦争から興味を失い、自らの城に籠っているはずだった、それがどういうわけかここにいる
「僕と同じく退屈を持て余しているみたいでね、それに興味が湧いただけさ」
水色の髪の少年が応える、そして問う
「言峰綺礼、君は聖杯に何を望む?」
その回答は綺礼にとって一つしかない
「いまだ{聖杯に懸ける願望を何一つ持ち合わせていない}理想も悲願も無い」
キャスターは意地悪く微笑む
「理想も無い、悲願も無い、ならば{愉悦}を求めればいい、人間ならば大なり小なりそれを求めて突き進むのだから」
それに対して意外なほど強く激昂し拒絶する綺礼
「馬鹿な!神に仕えるこの私によりにもよって愉悦など―――そんな罪深い堕落に手を染めろというのか!」
罪深い?堕落?なぜ愉悦が罪に結び付く?かの神は人に楽しむなと説法しているのか?そのようなワケはない
悪行で得た愉悦ならば罪だろう、しかし善行によって得る愉悦もまた存在するのだ
それを悦そのものを悪と断ずる言峰綺礼の理屈はどのようなものだろうか

 

「聖杯戦争にはいまだ何の興味もわかないけど、言峰綺礼・・・君には少し興味が湧いたよ」
愉悦というのは魂のあり方、その人の生き様、悪行を行い人々を虐げて心を満たす者、善行を行い人々の笑顔でその心が満たされる者
どちらが人間というわけではない、どちらも人間なのだ、彼は、キャスターは生前その力で多くの人間を観てきた、彼にしてみれば等しく愚かな人間である
「愉悦というのは有るか無いかではない、識るか識れないかだよ、そうだね・・・まずは内側だけでなく外にも目を向けてみるといい」
その方法に手間はさほど必要としない、キャスターの力とその方向性、それをもう一つほど増やすだけである

 

「残り五人のマスターの意図や戦略だけでなく聖杯戦争に参加した{動機}まで調べ上げ僕に語り聞かせるだけでいい」
簡単な事だ、何せ、いかなる願いをも叶える聖杯に条理を捻じ曲げ奇跡に縋った度し難い願望の持ち主が五人もいるのだ
さらに面白い願いを叶えようとしている連中もいるだろう
少なくても誰にも届かない穴に入って自殺するという{根源への到達}などという遠坂時臣に比べたらマシだろうね」
微笑を浮かべるキャスターを見て綺礼は思う・・・仮にもキャスターという存在が、求める真理の答えが見つかる根源への到達をこの男は一蹴した
そもそもこの男はどこまでも孤高だ、そして自分以外の誰をも軽蔑している、思えばサーヴァント達も聖杯を求めてこの戦いに参加している
その中でもこのキャスターほど戦う理由が希薄な存在もいないだろう、そういった意味では自分と通じるものがあると
いや、私が聖杯に選ばれた理由はきっとある、だがそれは断じて愉悦などでは無い、それは求道に費やしてきた身としては決して譲れない
真に応えを知るとしたらあの男「衛宮切嗣」ついさっきキャスターと語らったようにあの男とも語らえたら・・・いや、交わすのは銃弾と刃であろうとかまわない
私は―――{衛宮切嗣という人間を識りたい}

 

「いいだろう請け負った、天空の観測者・・・リボンズ・アルマークよ」
決意と共に応える言峰綺礼と
「ならば僕のヴェーダに直接アクセスする権限を与えよう、楽しみにしているよ?マスター」
やわらかな笑みと共に返すキャスター:リボンズ・アルマーク

 

何一つ望みを持たない言峰綺礼に、今確かな{動機}が生まれようとしていた

 




「なぁ先生、元気だせよ」
赤い髪の陽気な西洋男が横にいる金髪の男を励まそうとしている

 

「私の魔術工房が」
金髪の男がボソっと呟く
フロア一つ借りきって作られた魔術工房
結界の数は24層、魔力炉3基、猟犬代わりの悪霊魍魎が数十体、廊下の一部は異界化までされた自慢の「完璧な魔術工房」
「仕方ねーだろ、先生だって納得済みだろ?籠ってたってMSで一瞬でドカン、それが爆弾による爆破って手段になっただけで結果はかわらねーよ」
彼らは冬木ハイアットホテル32階にいた、しかし状況の不利を悟って混乱の中逃走を決意した、持てる限りの魔術礼装を持ってである
「このような無様な戦いが時計塔に知れたらどうなる・・・私の・・・聖杯戦争の・・・アーチボルト家の名誉も・・・すべて死んだも同然だーーーーー!」
ケイネス・エルメロイ・アーチボルト、時計塔という魔術師の総本山で若くして講師の座を手に入れた天才である、しかしそんな男が冬木の町でヒステリックな独り言を喚く

 

やれやれ、美女ならともかく男相手じゃいささかやる気がでない・・・いや、前者でもやる気を出しすぎて妻に誤解されるのは嫌だ、たとえそれが今この世のどこにも存在していなくても
一応だが美女ならいる、この先生の婚約者であり、この聖杯戦争をサポートするべく一緒にいる女「ソラウ・ソフィアリ」が
もっともこの赤毛の男は彼女をイイ女と欠片も思った事はない、イメージとしては冷酷そのもの・・・いやもっと酷い、高圧的な貴人という枠組みにガチガチにハメられた人形そのものだ
こんな連中だが彼が戦う理由は存在している、彼のマスターであるケイネスは彼女を心から愛している、幸せな未来をもたらそうと考えている
これくらいの可愛げがなければとっくに見捨てている、だからこそちょっとは忍耐して励ましてやろうかななんて思っている

 

「なぁ先生、俺たちは五体満足に生きてるよ、傷一つねぇ、負傷を疑われて精密検査に無理やりかけられることもねぇ、財産はちっとばかし吹き飛んだけどよ、たかがそれだけだ」
しかし、ケイネスが望んだのは完全勝利なのだ、何一つ失わず、敵を畏敬と感嘆の元に叩き伏せ、圧倒的勝利と共に時計塔に凱旋する{魔術師としての武功}なのだ
「まぁこっから先、寝床からなんとかしなくちゃいけないわけだが先生にゃちとツライだろうな、ここは一つ、ビームの英霊、ランチャー様にまかせておきな」
赤毛の男が軽い態度で金髪の男を励まし

 

「・・・ランサーだ」
金髪の男がようやく反応する
「えっ?なに?」
わざとらしく返答する赤毛の男
「お前はビームの英霊でもなくランチャーでもなく三騎士の一角、ランサーだ!二度と間違えるな!」
ヒステリックに叫ぶ金髪の男、しかし無視されるよりはマシとケタケタ笑う赤毛の男

 

「OKOK、あんたの言うことを聞かないと背中がムズ痒くなるからな、ま、ここからしばらくはランサー:パトリック・コーラサワーにまかせな!」
パトリック・コーラサワーと名乗った男は軽快に応える

 

「どうして、こうなった・・・」
ケイネス・エルメロイ・アーチボルト、何もかも全てを思い通りにしてきた男
しかし予想外のサーヴァントの存在に翻弄され、彼の思い描いた世界は崩れ落ちようとしていた

 

ランサー:パトリック・マネキン・コーラサワー マスター:ケイネス・エルメロイ・アーチボルト MS:ジンクスⅢ(現在・完全大破)
筋力:C 耐久:C 敏捷:B 魔力:C 幸運:EX 宝具:D
クラス能力 対魔力:C

 
 

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