「連合兵戦記(仮)」間章 戦火に覆われる地球 開戦編

Last-modified: 2014-03-06 (木) 19:53:46

突如炸裂した核の閃光を目撃した者たちは、全員戦場にいることすら忘れ、呆けた表情でそれを見ていた。
「あれは、核か?」
最初に口を開いたのはステーションで指揮を執っていたザフト軍の司令官だった。
その閃光が収まった時、先程まで圧倒的多数の敵軍に勝利を収めたことへの喜びに溢れんばかりだった指揮所は、真空のような静寂に包まれた。
だが、その静寂は、数秒と立たず、各防空エリアのザフト軍部隊からの情報を求める無数の通信によって打ち破られた。

 

喧噪の巷とかした指揮所で茫然とする彼らの目の前でユニウス7はガラス細工の様に真空の宇宙で音も無く崩壊していった・・・・

 
 
 

直ちにユニウス7周辺でザフト軍を中心とした救助部隊の決死の救助活動が行われた。
だがデブリが発生する中での救助活動は困難を極め、逆に救助活動中の小型艇やMSに損失が出る始末であった。
最終的に243721名ものプラント市民が犠牲となった。
その中には、プラント評議会 国防委員長 パトリック・ザラの妻であり、農業技師でもあったレノア・ザラもその中にいた。
この被害を受け、ザフトのアジテーターによる演説宣伝の嵐と理事国の傲慢な対応を受けた中でも長年、比較的穏健派が多数だったプラントの世論は、ザフト強硬派の宣伝工作と、初期の情報の混乱に伴う地球連合各国の
自作自演説の主張等によって数日と立たず、強硬派が世論の大多数を占める結果となった。
この時、一部ではコロニーに対する核攻撃という衝撃的な事態を受けてパニックとなったプラント市民の中には、比較的理事国よりであったメディア
を襲撃する者さえいた。
また初期に理事国を中心とする地球連合加盟国が出した自作自演説は、連合側がこの戦争で犯した最大の愚策として
一部の歴史家に指弾されているが、これは、当時の連合側・・・・宇宙艦隊を派遣した大西洋連邦は、連合艦隊が核を装備していた
ことは認識していたものの、メビウスが搭載している核弾頭は対艦隊用であり、プラントを瞬時に崩壊させるような
威力は、直撃でもない限りありえない、ましてザフトが防衛網を展開し、未知のジャミング(当初連合側は、ニュートロンジャマーをこの様に認識していた)装置を運用している状況下で
コロニーに直撃させる程の至近距離にまで接近できるなど有得ないと考えていた為であり、むしろ常識的である。

 
 

この『血のバレンタイン』事件が発端となり、地球圏は人類史上最大の戦火に包まれることとなった・・・・

 
 

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