キラ様第17話

Last-modified: 2009-10-31 (土) 23:56:24

今まで生きてきて、これほどまで因果応報という言葉を実感した経験は俺には無い。
それが俺のせいと分かっていても、心のどこかでは責任の所在を他人に擦り付けてきた。
しかし今回、ストライクという戦力を失ったのは紛れも無く俺の責任だ。些細な
事から物事の歯車は狂う、そして狂った歯車はそうは簡単に元には戻らない。ならば俺に
今出来る事は何だろう?狂った歯車を元に戻す事か?・・・・いや、違う。
そうでは無い、今の俺に出来る事、それは・・・・・・。

レジスタンスの仕掛けた巨大落とし穴から黒煙が舞い上がっている。その黒い煙は
これからの自分へ降りかかるであろう困難を指し示している様でもあった。
実際、PS装甲装備、全地形対応、武装変換可能なストライクをここで失ったのは大きな
痛手だ。ラゴゥのコクピットで俺はぼんやりとそんな考えにふけっていた。やれやれ
これから大変だな・・・。一気にテンションが下がる。そしてコクピット内には
カガリの排泄物の臭いが充満し、俺のテンションをさらに下げた。一方のカガリは
一応泣き止んだ様だが、自分の生み出した異臭の発生源から目をそらし下を俯いたまま
すすり泣いていた。・・・・・何故こうも物事が思い通りに行かない?何故ストライクは
死にこんなゴリラが生き残ってやがる・・・?何故ここはこんなにも臭い?
俺の中で段々と怒りの炎が渦巻いてゆく、俺は腰にしまっていた拳銃を取り出し
スライドを引き弾を装填すると、カガリの頭めがけて引き金を引いた。銃声がコクピット
内にこだまし、カガリは脳天から血を吹きその場に倒れこんだ、すかさず倒れたカガリに
銃弾を撃ち込む、胸、腹、頭、所構わず乱射した。狭いコクピット内に空薬莢が飛び交う。
気が付くと拳銃のスライドは後退し、弾は尽きていた。コクピット内には血と肉片が
飛び散り、臓物の異臭と硝煙の臭いが充満している。マガジン一本分の銃弾を至近距離から
受けたカガリの死体は見るも無残、もう誰の死体なのかも分からない状態だった。
俺はフゥ、と息をつくとシートに深く腰を着いた。・・・ついにやっちまった・・・・。
今まで死んだ奴ら、トール、フレイ、虎、兄貴、みんな本編では死ぬ予定だった奴らだ
だがこいつは・・・死亡予定は無い・・・。でもまぁ、どうにかなるだろ・・・。
コクピットのハッチを開き、カガリの死体を蹴り出した。
「さようならカガリ」
ハッチを閉め、ラゴゥを旋回させると元来た進路を引き返した。早く帰って
コクピット内を掃除しなければ・・・。

 

俺がバナディーヤ基地へ戻ると、すでにレジスタンスが基地全ての掌握を完了していた。
俺の機体はラゴゥだったが、レジスタンスももう周知の事なのか、皆手を振りながら
俺の帰還を歓迎してくれた。俺はその足で基地内に停泊中のアークエンジェルへ向かった。
ラゴゥの接近を感知し、アークエンジェルの右足が開く。ラゴゥで勢い良くそこから
格納庫へ乗りつけ、コクピットから降り立った。すぐに整備班がワラワラとラゴゥの元へ
集まってくる。
「旦那、ご苦労様で・・・・うっ!?」
一番乗りでコクピットの中を覗き込んだマードックが、内部の惨状を目の当たりにし
言葉を失った。
「な・・・何ですこれは?一体何が・・・・」
「お前らのよこした整備兵Aがいきなり自爆しやがったんだ、あいつ体に爆弾
埋め込まれてたんじゃねーのか?」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・何だよ?」
「・・・・そういう事にしておきやしょう・・・・、清掃活動急げ!!」
マードックの掛け声と共に整備員が掃除機やらブラシやらを持ってコクピットに
雪崩れ込んだ、皆一心不乱に掃除をしている。ファブリーズと消臭ポットも忘れないでね。
よく見ると俺の服は血で真っ赤だった。何だか気持ち悪くなってきたのでシャワーを
浴びる為にこの場を後にしようとした時、マードックが後ろから声をかけてきた。
「そういやぁ、何か捕虜がどうとか言ってやしたぜ?後で見に行ってやってくだせぇ」
「捕虜?ザフトのか?」
「えぇ、詳しい事は知らんのですが、赤服の捕虜も居るそうで」
「赤服・・・?」
「何でもデュエルとバスターのパイロットらしいんですがね」
「マジか?そいつらの機体はどうした?」
「収容済みです、損傷も少なかったんでデュエルにストライクのOS入れて
整備してますがね」
「君は相変わらず仕事が早くて助かるよ、またラミアス艦長とみんなでワイワイ
楽しもうじゃないか」
「へへへ・・・期待してやすぜ旦那」
そうか、そうか、そういえば居たな、あの二人。ここであの二機が手に入ったのは
不幸中の幸い。ストライクに比べて多少スペックは見劣りするが
ガンダムなら文句は言えないな。

 

捕虜はバルトフェルドの屋敷の玄関前に整列させられていた、全員手足を縛られ
周りには武装したレジスタンスが銃を構えている。大体30人前後、その中には
赤服パイロットのイザークとディアッカも居た。他のザフト兵とは違い、二人は
捕虜の身に堕ちながらも攻撃的な目をしている。こいつは気に入らないな、自分達の
立場を分からせてやろう。俺はそばに居たレジスタンスから自動小銃を借り
二人の前に立った。そしてその銃口をイザークの眉間へ向けたが、イザークは怯むどころか
俺を睨みつけてきた。
「フン、殺すならさっさと殺せ!」
銃を向けても怯まない相手にずっと銃を構えているのも面白くない、それにしんどい。
俺は銃を下げた。一応こいつらもエリート軍人だし、修羅場も潜ってる。ちょっとや
そっとの脅しは効果無いだろうな。じゃあどうするかな?別に聞き出したい情報も無いし
とりあえず人質として連れて行くか・・・。俺がそう考えていると、後ろから
チェーンガンを持ったサイと両手に大型マチェットを持った全身血まみれのミリアリアが
現れた。何か段々こいつらのキャラ、全年齢っていう枠を超えてきちゃったな・・・・・。
サイは血走った目を見開き、捕虜を見ていたが、その中の赤い二人に反応しこちらへ
近づいて来た。赤色に反応したのか?どっちでもいいが何か恐いな・・。サイは無言で
イザークとディアッカの前に立つと、そのまま二人を注視し続けた。流石の赤服コンビもサイの
異常さに気が付いたのかサイとの目線を素早く逸らした。しかしサイは微動だにせず、目を見開き
二人を注視し続けている。やがて、その重たい雰囲気に耐えられなくなったのか、イザークが
沈黙を打ち破るべく口を開いた。
「何だ貴様!何を見ている!?言いたい事があるなら言えこの腰抜けがっ!!」
イザークがそう叫んだ次の瞬間、それに反応したサイは「あああああああ!!!」と叫びながら
いきなりチェーンガンの引き金を引いた。ウィーンと複数の銃身が高速で回転し代わる代わる
火を噴く。それを至近距離からモロに食らったイザークは一瞬で人の形を失い、上半身は肉の
塊へと変わった。その変わり果てたイザークへ対して尚も叫びながらチェーンガンを乱射するサイ。
過去にイザークだったその赤い物体は、血と肉と骨片に完全に分解され、文字通りミンチより
酷い状態となっていた。もう誰もそれを止める事は出来ない、この俺でさえ。こいつは危険すぎる・・・。
やがて弾が切れ、チェーンガンは煙を吹きながら空しくウィーンと回転を続けていた。
それを横で見ていたディアッカは、急に青ざめ、身を引いた。そしてサイのチェーンガンの
銃口が完全に動かなくなったイザークだった物体からディアッカの方を向いた、ディアッカは
必死に身を引きその場から逃げようとしている、まるで芋虫の様に。弾が入っていない銃を
向けられてビビるとは、態度がさっきとはえらい違うじゃん?大方、本気で殺さないだろうと
タカをくくってたんだろ?残念だったな、ここでは、特にこいつらには常識という概念は全く
通用しない。サイは逃げるディアッカをゆっくり歩きながら追いかけた、一方のディアッカも
手足を縛られ芋虫の様に地を這い必死に逃げている、顔は青ざめ、引きつり、半泣き状態だ。
戦友がいきなり目の前で惨殺されればそれも仕方無いのかもしれないが・・・。どうこうしている
内に、サイが逃げるディアッカの前面へ先回りし、目を見開きディアッカを見下ろしていた。
通せんぼされたディアッカは後ずさり、ブルブル震えながらサイを見上げている。正直
今のディアッカの状況に陥れば誰でもあぁなるだろう、この俺でもあぁなる・・・。

 

「あぁぁあ・・・た、助けて・・・」
ディアッカは声にならない声で助けを悲願したが、それにサイは全く反応しない。そして何の
前触れも無くいきなり「あああああああ!!!」と叫びながらチェーンガンの引き金を引いた。
しかし弾は尽きていたので銃身がウィーンと回転するだけに留まったが、ディアッカは
「ヒィィィイイ!!」と叫びながら股間の辺りが湿り出し、湯気が立ってきた。
・・・・何かメタルギアみたいだぞ・・。俺は見ているだけというのも飽きてきたのでサイと
ディアッカの間に割り込み、ディアッカの耳元に囁いた。
「おい、とびっきりの笑顔でグゥレイトォ!って叫んだら助けてやらない事もないけどね?」
「・・・・・・・・・・・」
「何だ、言わないのか。それじゃあ相棒みたいになって貰いましょうかね」
「あ!あぁ・・・・・グ・・・グゥレイト・・」
「あん?声が小さくて何言ってるのかワカンネェなぁ?」
「グッ・・グゥレイトォ!」
「何だよそんなに死にたいか、仕方ないな、じゃあ・・・」
「グゥレィトォ!グゥレィトォ!!」
「笑顔は?」
ディアッカは青ざめた顔で必死に笑顔を作りグゥレイトォを連呼し続けた。手を縛られて
いなければ親指を立てるのも加えたいが、拘束を解けばこいつはマッハで逃げてしまうだろう。
その時だった、俺はフト、自分は何かを忘れているという事に気が付いた。何だ?とても
重要な事だぞ?そう、これからの物語の進行に関わる重要な・・・・。振り返ると、ディアッカの
後ろでミリアリアがマチェットをその後頭部に振り下ろそうとしている光景が目に飛び込んで来た。
そうか!!ディアミリイベントかっ!!!俺は、この距離からミリアリアを止めるのは不可能と
瞬時に判断し、ディアッカを蹴り飛ばした。ディアッカが勢い良く吹き飛び、そこへマチェットが
振り下ろされた。間一髪!だがミリアリアは諦めず、吹き飛ばされたディアッカの方を向くと
ニヤリと笑みを浮かべ両手のマチェットを振り回しながら突撃していった。ミリアリアの進行上に
たまたま居た数人の捕虜が振り回されるミリアリアの刃の餌食となり手足が切り落とされた。
ディアッカは芋虫の様に必死にその場から逃げようとしつつも、引きつった笑顔でグゥレイトォと
何度も叫んでいる。しかし流石にこいつまで殺されたら洒落にならない、遺作はともかく痔は
将来こちら側の戦力となってくれる一材、こんな所でむざむざ無駄死にさせるには惜しい。
俺は素早くミリアリアを羽交い絞めにし、背負い投げを食らわせた。ミリアリア沈黙。
「フゥ、危なかったな。お前のグゥレイトォ、確かに俺のハートに響いたぜ」
「・・・・グゥレイトォ!グゥレイトォ!!」
「何だよ?」
俺は嫌な予感がしたのでディアッカが震えながら叫んでいるその方向を俺はチラリと見てみた。
予感は的中した、丁度今この瞬間、サイがチェーンガンの弾帯を装着完了した所だった。
俺はディアッカを蹴り倒し、自分もそのばに倒れこみ、そして叫んだ。
「全員!伏せろォォ!!」

 

しかし、残念ながら俺の叫びは、チェーンガンの銃声にかき消された。サイの叫び声と
銃声が鳴り響く、こうなってしまっては後は時が過ぎてくれるのをただ待つばかりだな・・。
銃声はものの数秒で鳴り止んだ、200発弾帯が数秒でアウトって、どれほどの連射力だよ・・・。
安全を確認し俺は起き上がった、周りを見ると辺り一面血の海、恐らくサイは撃ちながらミーアの
ごとくクルリと一回転決めたのだろう・・・。その血の海の中心でサイがプルプルしている。
しかしマズいな・・。捕虜だけならともかく見張りのレジスタンス十数名まで殺しちまった。
もうどれが捕虜の死体でどれがレジスタンスの死体なのか分からないが、これは流石にマズイ。
明けの砂漠とゴタゴタになる前にさっさとここからとんずら決めよう。
「グゥレイトォ!グゥレイトォ!!」
何だ?足元を見るとディアッカが引きつった笑顔で叫んでいる。こいつも壊れちまったか・・。
しかし、こいつをここに置いて行くのも面白くない、連れて行こう。俺はディアッカを
担ぐとアークエンジェルの方へ走った。サイはまた新しい弾帯を装填中だ、作業が終わる前に
ここを離れなければ・・。走っている最中、何人かのレジスタンスとすれ違った。恐らく
あのチェーンガンの銃声の元を確かめに行ったのだろう。そしてその数秒後、後ろから
チェーンガンの銃声が聞こえてきた。あいつは明けの砂漠を滅ぼすつもりか・・・・?
それに呼応して、自動小銃の銃声も聞こえてくる。悪いがサイとミリィはここで死んで貰おう。
奴らはハッキリ言って危険だ、もはや俺の手には負えない。やっとの事でアークエンジェルへ
たどり着いた俺は来た道を振り返りそう思った。警備兵にディアッカを引き渡し、俺はその足で
ブリッジへと向かった。
「キラ様!ご苦労様です!」
俺がブリッジへ入るとノイマン以下、ブリッジクルー全員が俺に対してビシッと敬礼をした。
何なんだ一体?とりあえず俺は軽く敬礼しながら艦長席へ腰を降ろした。
「キラ様、次のご命令は?我らクルー、どこまででもご一緒致します」
「お前ら、何だよ?その態度の豹変ぶりは?」
「我々はいつでもキラ様を敬愛し、尊敬しております!」
「・・・・・そう、ありがと」
そうか、そういう事か・・・。俺は空の副長席をチラリと見た。あのどさくさで出した
命令をこいつら忠実に再現しやがったのか・・・。まぁそういう事だろうな。
「それで、バジルール中尉は何処へ行った?」
「ハッ!中尉でしたら、気分が悪いとの事で今は席を外しております」
「気分が悪くなったのはお前らのせいだろ?」
「・・・・・・・・・」
「しかし、魔乳に続いてバジ子までもか・・・。ん?そういやラミアス艦長はどうした?」
「分かりません」
「姿を見なくなってからかれこれ一週間位経つな、居ればウザイけど、居なくなると
それはそれで何だか寂しい気がするなぁ、おい?」
「・・・・・・・・・・」
「じゃあ、行こうか。目標アラスカ基地、進路をインド洋にとれ」

 

俺が命令を出していると、ブリッジにナタルが入ってきた。俺に気づき、気まずそうに
敬礼をする。
「・・・ご苦労様です・・・大尉」
「気分が悪いそうだけど、大丈夫かな?」
「いえ・・・・・ご心配には・・・及びません・・・」
そう言いながらナタルは副長席へ着いた。辺りを見るとブリッジクルーは皆、欲望に
満ちた獣の様な眼差しでナタルを見ている。しかし、同僚に集団レイプされた割には
何だか落ち着きすぎじゃないか?本当にされたのか?いや、こいつらの反応を見る限り
俺の想像に当たらずも遠からずの事がここで起きていたはず、つまりバジ子の精神力は
そんな事では揺るがないという事か。素晴らしい、これは虐めがいがある。
アークエンジェルが発進準備をしていると、外部から通信が入った。チャンドラが何やら
問答している。そして、その内容を俺に報告してきた。
「キラ様、キサカとかいう男からの通信です」
・・・・・忘れてた。そういや居たな、ランボー・・・・。しかしどうする?奴の
聞きたいとしている事は分かっている。何て答える?カガリは僕がマガジン一本分の弾を
撃ち込みサソリの餌にしますた、とでも言うか?いやいや、まさかまさか。軽機関銃を
片手に乗り込んでくるぞ・・・。全く今日はデカイ銃の厄日だな。俺はチャンドラから
通信機を受け取り答えた。
「何ですか?」
「カガリが行方不明になった、行く先を知らないか?」
「いえ、全く存じ上げませんな・・・・・」
「だがカガリはお前とMSに乗って行ったはずだが?本当に知らないのか」
・・・・ぐっ、見てやがったのか・・・。じゃあ言い逃れは出来ない・・・。
どうする?こいつも殺すか?それとも知らん顔で通信切断して立ち去るか?だがそれは
オーブと敵対する事を意味する・・・・。
「あ、思い出したよ。カガリならこのまま俺達と一緒に行くって聞かないから
今アークエンジェルに居るよ。私の事は心配するな、だってさ」
「それは本当か?」
「あぁ・・・・本当、間違いない」
「ならば私も共に行こう」
「!?いや、マジで来なくていいよ!・・・・ってカガリが言ってた・・・」
「・・・・今乗艦した、カガリは何処に居る?」
「何で勝手に乗艦してんだよ!?誰が乗せた!?」
「メガネの男と女性兵の二人組みに乗せて貰ったのだが、それよりカガリはどこだ?」
あいつらまで・・・。厄災が一気に雪崩れ込んできやがった・・・。
「・・・・カガリは今、気分が悪いとの事で女性仕官専用室で療養中だ、男は、特に
筋肉ムキムキのマッチョマンとかは絶対に入れない禁忌の領域でだ」

 

「そうか、ならば部屋の前で待機する、場所はどこだ?」
「・・・・・・そこはレベル4ブロックだ、部外者は食堂以外勝手に出歩いて貰っては困る
分かったら食堂で飯でも食ってろ!監視付けて見張るからな、出歩いたら逮捕拘束する!」
俺は怯む事無く強い口調で通信を終了し、チャンドラに命令を出した。
「食堂に完全武装の警備兵二個小隊配置しとけ!銃と手榴弾の艦内使用も許可する」
「了解しました」
俺から通信機を受け取り、さっそくチャンドラは指示を出していた。やれやれこいつは
前途多難だなぁ・・・。その時だった、突然ブリッジに爆発音と軽い揺れを感じた。
「何だ?」
「対戦車ロケットによる攻撃です!」
「まだザフトが居やがるのか?」
「いえ、これは・・・・。この攻撃は明けの砂漠によるものです・・・」
「・・・・・・・・・」
「何故明けの砂漠が我々に対して攻撃を?」
「これより本艦はこの空域を離脱する、アークエンジェル発進」
「明けの砂漠はどうしますか?」
「放っておけ、あんな攻撃、何発食らっても屁でもない」
俺はそう言いながら遠い目で窓から空を見上げた、果てなく澄み渡った空。砂漠の空は
日差しが強いが、その分綺麗だ。今回はやたら血が流れた、と言うより飛び散った。
もうこんなグロ話は本当に終わりにしたい。いつかなるのだろうか?この世界とまでは
言わないが、俺の周りがこの空の様に晴れ渡る日が。いや、待っているだけでは駄目だ。
望む世界は自ら掴み取る、何をすればいいのか具体的には分からないが、まずはそれを探す。
そう、この世界で今の俺に出来る事はそれ位だ。だから俺は今も戦い続けている。
じゃあ行こうか、次の戦場へ。

○つづく