グラハム・エーカーが異世界に介入するようです_001

Last-modified: 2011-10-23 (日) 12:11:05
 

グラハム・エーカー少佐は対ELS戦で大型ELSに特攻、自爆して亡くなった。

しかし彼自身知らなかった事だが彼はイノベイドだったのだ。

イノベイドは既に成長した状態で誕生し、その後成長も老化も基本的にはしない。

しかしそれでは不都合が生じる場合に備えて一定期間成長するタイプのイノベイドが数体試作された。

その内の1体が彼だったのである。

そしてイノベイドは死亡した際にはヴェーダにデータが回収されるのだが、
その際に始めて彼はその事実を知るのである。

 
 
 

「なんと言うことだ!私はイノベイドだったというのか!」

 

 「そういうことだよ。グラハム・エーカー、いや塩基配列番号0004α」

 

「貴様はリボンズ・アルマーク!何故ここにいる!いや貴様もイノベイドだったな。」

 

 「と言っても僕は君たちの創造主だったんだよ?少しは感謝して欲しいモノだね。
   で、君に話があるんだグラハム・エーカー。」

 

「話とは何かな?」

 

 「君はこうしてヴェーダにデータをサルベージされた。
   以前なら新たな体を与えられて社会に戻る所だがこれからはそれは叶わない。」

 

「もしや地球連邦の政策の為かな?リボンズ・アルマーク?」

 

 「リボンズで良いよ、僕もグラハムと呼ぶからさ。そしてその通りだよ、
   これからは新たなイノベイドが作られることはまずないだろうね。」

 

「で、話とは何だね?私は我慢弱いのだが!」

 

 「フッそうだったったね。
   この世界に見切りを付けて違う世界で新たな体を得て人生をやり直したくないかい?
   ということさ。」

 

「何とも絵空事の用にしか思えないのだがね?」

 

 「まあそうだろうね。しかし絵空事というのならここにデータとして戻ってきたと言うことが
   既に絵空事だと思うけどね、、グラハム。」

 

「むっ・・」

 
 
 

 「刹那・F・セイエイとダブルオークアンタが時空跳躍を行ったデータが有るのだけれど、
   それを精査していたら面白いことが分かってね。」

 

「面白いことだと?」

 

 「そうだよ、僕たちのように情報体である者は容易に時空跳躍が出来ると言うことと
   異世界への跳躍も可能という結論が出たのさ。」

 

「しかし逆に言えば情報体である私が跳躍してもその先には情報を受け入れる体も
  ヴェーダも無いではないのか。ナンセンスだ!」

 

 「確かにそうだね。しかし逆に言えばそれらを確保しさえすれば良いと言うことでもあるよ。」

 

「まるで既に確保しているような口ぶりだな!リボンズ・アルマーク!」

 

 「話が早いね、既に複数の異世界にヴェーダの小型端末に相当するシステムと
   イノベイドの体を作るシステムを確保してあるよ、グラハム。」

 

「ちなみに聞くが何が目的だ?リボンズ・アルマーク!」

 

 「僕たちイノベイドはいずれ生まれるであろうイノベイターを模して作られた存在だ。
   そして人類の役に立つために作られた存在でもある。
   なのにこうしてただヴェーダ内部でデータとして存在しているだけで
   何の役にも立たずノホホンとしているのもどうかと思ってね。」

 

「綺麗事を!ただ自分たちの力を見せつけたいだけではないのか?!」

 

 「綺麗事と言われればそうかもしれないね。
   しかし中には宇宙から異星体の侵略を受けて人類は滅亡の危機に瀕しているにもかかわらず
   国家間での意見が集約されず複数の計画が乱立してまさに滅亡5分前という世界がある。
   そしてある世界では女性にしか乗れない機体を巡って国家間で醜い争いが起きている。
   そして僕が君に行って欲しい世界は・・・

   コロニーに住むデザインヒューマンと地球軍が争いをし、
   その狭間で中立国が利権に与ろうと暗闘を繰り返す世界さ。

 
 
 

「デザインヒューマンとは聞き慣れないが我々イノベイドと似たものと考えて良いのか?」

 

 「全く違うよグラハム。僕らは目的を持って細胞をナノマシンで組み上げて作り出された存在だ。
   彼らは基本的には人間の遺伝子の一部をただ闇雲に改造した存在さ。
   彼らはコーディネーター(調整者)と自称しているけどね。」

 

「しかし何故戦争など起きる?」

 

 「元々コーディネーターは国家の管理するコロニーで働く労働者だったんだ。
   しかし彼らはそのコロニーを自らの物にすべく動き出したのさ。
   当然コロニーを保有する国家は怒るさ。」

 

「しかし植民地が独立することなど過去にいくらでもあっただろうに?」

 

 「コロニーは保有する国家にはコーディネーター達の流刑の地でもあったのさ。
   そしてコーディネーターは’惰弱なナチュラル’と呼んで
   遺伝子を操作していない人類を蔑む傾向が強くてね。
   ナチュラル達も’遺伝子を弄った改造人間どもが!’と嫌悪しているしね。」

 

「人はどこまで行っても進歩しないのか?」

 

 「そうさ、人類は未だ幼く誰かが手を差し伸べなければ道を誤り、滅んでしまう。
   例え異世界であってもそうならない為の手助けをするのが僕らイノベイドの使命だと思うけどね。」

 

「一応聞くが私に行って欲しいという世界以外はどうなるのだ?」

 

 「それは大丈夫さ、他のイノベイド達も暇を持て余していたので二つ返事で向かったよ。
   彼らの専用機もより強力になって活躍しているよ。
   もっとも残念ながら時間も無くて疑似太陽炉しか異世界では作れていないけどね。
   それにさっき言った異世界の一つでは木星まで異星体に掌握されていて
   とてもオリジナルの太陽炉を作れる状態じゃないけどね。
   しかし君に行って欲しい世界では時間さえあれば作製も可能だよ。」

 

「最初から少年の乗っていた様な人類がわかり合える機体は無理ということか。」

 

 「オリジナルの太陽炉を乗せたツインドライヴの機体を望むのかい?君は欲が深いね。
  既に異世界での資金や技術はオリジナルの太陽炉の作製には支障がない状態にはなっているけどね。
  木星までの移動時間は疑似太陽炉を使ったトランザムで短縮が可能だけど
  改良を加えた疑似太陽炉はオリジナルの太陽炉よりも出力は上回るんだよ?
  さらにダブルオークアンタに搭載された改良型のオリジナルの太陽炉の情報を元に高細密度化を加えた
  疑似太陽炉は1基で君の乗っていたブレイヴのダブルドライヴの出力を超えるんだ。
  残念ながら優先順位は低いと言わざるを得ないね。」

 

「口惜しいが仕方がないな。しかし疑似太陽炉がそこまで進化していたとはな!」

 

 「疑似太陽炉はその構造にまで手を入れることが出来るからね。
   オリジナルの太陽炉の場合、イオリアの設計からほとんど変化がないんだよ。
   補機類は大きく進化しているから小型化しているように見えるけどね。」

 

「して向こうの世界では何の機体を使えるのかな?リボンズ?」

 

 「ようやく信用してくれたのかいグラハム、
   それで機体だけど向こうの端末にも既にアップロードしてあるけど
   基本的にソレスタルビーイングや地球連邦が開発した全ての機体が対象になっているよ。
   後君以外にヒリングとディヴァインが同行するよ。
   既に彼らは向こうの世界で待機状態になっているよ、そして君の体もね。」

 

「何とも手回しの良いことだな。で、リボンズ、君はこの世界に留まるのかな?
  それとも他に興味を引く異世界に向かうのかな?」

 

 「フッ・・カンのいい事だね。もし興味を引く世界があったら・・考えてもいいかな。」

 

「さすれば向かうか、未だ見ぬ異世界とやらに。」

 
 
 

そうしてグラハム・エーカーはコズミック・イラの世界へと旅だった。

 
 

【戻る】 【次】