リリカルクロスSEEDAs_第01話

Last-modified: 2009-07-15 (水) 21:23:10

「それでも・・・・・・守りたい世界があるんだーーーー!!」
彼女たちに教えてもらったことを無駄にしないためにも。
「うおぉぉぉぉぉぉっ!!」
彼女たちのいたあの平和な世界にするためにも。
フリーダムはプロヴィデンスにサーベルを構えて向かっていく。
顔が落とされた。関係ない、突き進む!
「!?」
フリーダムのサーベルがプロヴィデンスを貫く。
そして、ジェネシスの動力炉がジャスティスの核爆発で破壊される。
しかし、そのジェネシスの余波によりフリーダムは光に包まれる。
「!?・・・・・あれ、この感覚どこかで・・・・・」
キラが答えを導き出す前に彼を光が飲み込んだ。

 

「!?」
気がつくと肌寒く、そして浮遊感があった。
キラの目の前には綺麗な月と星々の輝き。ここが宇宙じゃないのは分かるが・・・・。
(浮遊感?)
その疑問を感じたときには重力を激しく感じる。
そう、落ちているような感覚だ。
(って、ほんとに落ちてる!?)
キラは焦った、機体からいつの間にか出ていて、しかも空の上。
下を見てみる、まだ高度があるためか少し考える時間がある。
(!?)
だが、考える時間は必要なかった。下を見ればここがどこだか判断がついた。
「フェイトちゃん!?それにアルフさんまで!」
下には懐かしい人たちがいた、一度だって忘れたことはなかった人たちだ。
どうやらキラはまたこの世界に来てしまったらしい。
だが、さらに驚く。
「何かと戦ってる?・・・・・押されているのか?」
状況を見れば、不利なのが良く分かる。加勢をしないといけない。
「デバイスは・・・・・」
キラの手にはいつの間にか白と青のクリスタルが収まっていた。
「ストライク」
『Yes, my master.』
久しぶりに魔法を使うことになるが、やるしかないのだ。

 

「いくよ!ストライク!」
『Yes, sir.』
「空中戦だ、エールでいく!」
『Aile mode. Set up.』
バリアジャケットに身を包み、シールドを前に向け結界にぶつかる。
「ぐうぅぅっ!」
結界が固い、このままでは中に入ることが出来ない。
その時、フェイトが吹き飛ばされるところが見える。
「フェイトちゃん!!くそっ、ストライク!」
『Yes, sir. Full power.』
赤い翼からの光が強くなり、キラは無理矢理にでも結界内に入り込むことが出来た。
「よし!行くぞ!」
キラはライフルを構えるとフェイトのほうに向かった。
だが、キラは気付かなかった。自分の動きが前と違っていることを・・・・・・。

 

「紫電一閃!」
女剣士は魔力が一気に集まった剣を振りかぶる。
それをバルディッシュで抑えるフェイトだが、斬り砕かれる。
フェイトの顔が驚愕し、動きが止まる。
女剣士はさらに剣を振りかぶる、その光景がスローモーションのように見えた。
(やられる!)
フェイトがそう思い、目を瞑った瞬間だった。
女剣士の剣に連続で青い魔力弾が当たり、剣の軌道が逸れる。
「何っ!?」
女剣士が空を見上げると魔力のサーベルを持った青年が急降下してきた。
「うおぉぉぉぉぉっ!!」
「ちぃっ!」
それを剣で受け止めるが、青年の方が勢いがあり、女剣士は後ろに下がる。
フェイトは瞑っていた目を開くとそこには赤い翼を広げる、青年の姿があった。
「キラ・・・?」
「フェイトちゃん、怪我はない?」
キラは女剣士から目を逸らさず、優しい声で聞いてくる。
「え?あ・・・だ、大丈夫。バルディッシュも・・・・本体は無事だから」
「分かった、少しそこにいて。僕がやるから」
「仲間か?」
キラはその言葉にサーベルを女剣士に向けると答えた。
「友達だ」

 

キラは直ぐにサーベルを構えると女剣士に突っ込んでいく。
(速い!?)
女剣士はキラのサーベルを受け止め、打ち合いとなる。
(くっ!このサーベルじゃ、あの剣に勝てない!?・・・・・なら!)
(・・・・・強い、だがデバイスはこちらが上!)
打ち合いから一転、キラは全速力で上に飛んでいく。
「!?」
キラの行動に驚き、反応が遅れる。
「でえぇぇぇぇぇい!」
キラはライフルを乱射しながら急降下してくる。
それを女剣士は障壁で軽々とガードする、だがこれはキラの予想通り。
シールドを取り出すと、障壁に向けて投げる。
それも障壁に押さえられ、ぶつかり合い火花を上げる。
「こんなもの」
(こちらの障壁のほうが強度がある、ヤケになったか?)
「これなら!・・・・・どうだ!!」
キラはさらにライフルを構える、狙いは相手の障壁ではなく・・・・・・。
引き金を引き、青い魔力弾がキラのシールドにぶつかり爆散する。
「何だと!?」
その爆発により障壁が破られる。
そして、その爆風の中からシュベルトゲベールを振りかぶったキラが落ちてきていた。
「うおぉぉぉぉぉっ!!」
「!?」
どうにか剣で受け止めるもさっきの爆発で重心が不安定だったため下に叩きつけられる。

 

キラはそれを見届けることなくエールに換装するとフェイトのところに向かった。
「フェイトちゃん、バルディッシュは?」
「え?あ、うん。バルディッシュ」
先ほどまでの二人の戦いに見入っていたフェイトはバルディッシュの修復に入る。
『Recovery.』
バルディッシュは元に戻っていた。
「それよりキラ、何でここ・・・・・」
「アルフさんの援護にいってくる!」
フェイトの言葉が終わる前にキラは飛んでいってしまう。
「・・・・・・・」
一旦、キラを追いかけようと思ったが、フェイトは動きを止め、反対の方を向いた。
どうやらキラがあれだけ攻撃しても大きなダメージは与えられなかったようだ。
女剣士がこちらに向かってくるのが分かる。
フェイトはバルディッシュを構えると、迎え撃ちにいった。
しかし、フェイトはキラの戦いを見て思った。何か昔よりキレがなくなっていたようなそんな気がした。

 

アルフは内心焦っていた。
フェイトが気になるが、今のこの相手の強さにも焦りを感じる。
(こいつ・・・・強い。気を緩めるとやられそうだ)
同じ獣状態になっても強さは変わらない、あちらが上だ。
「まじやばいかも」
そう思った瞬間、横を青い何かが通り過ぎ相手の青い狼にぶつかっていった。
勢いが強いため青い影も一緒に近くの建物に突っ込む。
「何が・・・・?」
突っ込んで煙が上がっている中から影が浮かんできた。
それは赤い翼を展開するとアルフの近くまでやってきた。
「アルフさん、怪我は?」
「キ、キラ?何であんたが?」
「説明は後、この人たちは強過ぎる。一旦、転移して逃げないと・・・・」
「・・・・・・分かった、ユーノがいればどうにか・・・・」
(話は聞いたよ、僕も準備するからアルフも手伝って。キラも時間を稼いで!)
(分かった)
ユーノからの念話を受け取り転移の準備を始める。

 

(ヴィータ、ザフィーラ)
(何だよ、シグナム)
(青い服を着た男には気をつけろ)
(何でだよ?)
(強いからだろう、今の一撃は効いた)
その問いにザフィーラが答える。
(へぇ~、二人が言うとは驚きだね)
(油断するな。我々と同じようにやつは戦いを熟知している)
(だけど、負けるつもりはないんだろ?シグナムもザフィーラも)
(無論だ)
(当たり前だ)
(((我らヴォルケンリッターは一対一では負けない)))

 

(まずはあの男から倒すぞ!)
((応っ!))
キラは三つの魔力が跳ね上がったことを感じる。
するとフェイトと相手をしていた女剣士、シグナムが飛び出してくる。
すぐにソードに換装。シュべルトゲベールで受け止める。
「レヴァンティン、カートリッジロード」
『Explosion.』
剣から薬莢のようなものが飛び出すとレヴァンテインの魔力が高まる。
「!?」
シュべルトゲベールが折られ、下に叩きつけられる。
地面にぶつかる前にエールに換装し、勢いを殺してどうにか着地。
すぐにランチャー換装し、空中のシグナムに狙いを定めようと構える。
しかし、その瞬間には青い狼、ザフィーラが目の前にいた。
とっさに爪をアグニで受け止めるが、吹き飛ばされてしまう。
『Sword mode and Launcher mode. unavailability.』
ストライクが二つのモードの使用不能警告を発する。
「くそっ!エールモード!」
『Aile mode. Set up.』
赤い翼を展開して距離を取る。しかし、赤い服の少女、ヴィータが向かってきていた。
「ラケーテンハンマー!!」
「!?」
シールドで受け止めるもすぐに打ち砕かれ、キラは近くの建物に突っ込んでいった。
(キラ!)
フェイトは悲痛な悲鳴を上げる。
(転送の準備は出来てるけど空間結界が破れない、アルフ!)
(こっちもやってんだけどこの結界、滅茶苦茶固いんだよ)
(急いで!早くしないとキラが!!)
フェイト、アルフ、ユーノはキラを庇うように三人の相手をする。

 

(フェイトちゃん・・・・・キラくんがいるの?)
(え?あ、うん。でもこのままじゃ!)
なのはは三人の戦いを見ているうちに青い光が助けに入ってきたのが見ていた。
しかし、それがキラとは予想できなかった。

 

今のなのははヴィータにやられ、満身創痍。レイジングハートもボロボロだ。
そして、キラやフェイトたちも限界にきているのが遠くからでも分かる。
「助けなきゃ・・・・・私が・・・・」
『Master, Shooting Mode, acceleration.』
レイジングハートからピンクの翼が開く。
「レイジングハート?」
『Let's shoot it, Starlight Breaker.』
「そんな、無理だよ。そんな状態じゃ」
『I can be shot.』
「あんな負担の掛かる魔法、レイジングハートが壊れちゃうよ!」
『I believe master.』
なのははまだ決心できない。
『Trust me, my master.』
その言葉になのはは辛そうに決心をする。
「レイジングハートが私を信じてくれるなら、私も信じるよ」
そういうとなのはは結界にレイジングハートを向ける。
大きな魔方陣が現れ、魔力が集中していく。
(フェイトちゃん、ユーノ君、アルフさん。それにキラくん)
四人に念話で今からすることを告げるなのは。
(私が結界を壊すから、タイミングを合わせて転送を!)
(なのは?)
(なのは、大丈夫なのかい?)
ユーノとアルフが聞き、フェイトは心配そうになのはを見る。
(大丈夫、スターライトブレイカーで撃ち抜くから!)
「レイジングハート!カウントを!」
『All right. Count nine, eight, seven, six, five, four・・・』
巨大な魔力が集まっていく。
『Three, three, three・・・』
「レイジングハート、大丈夫?」
『No problem. Count three, two, one・・・』
そして、なのはは発射のためレイジングハートを振りかぶったその時だった。
「!?」
なのはは言いようのない気持ち悪さを感じた。
それを探って、自分の胸を見るとそこから手が生えていたのだ。
フェイトはすぐになのはの元に飛んでいこうとしてもシグナムに阻まれる。
なのはから生えた手は何か光るものを掴んでいた。それはなのはのリンカーコアだった。

 

なのはがいた場所から見える位置に緑の服の女性、シャマルは本を持ち喋る。
「リンカーコア、捕獲。蒐集開始」
『Sammlung.』
彼女が持った本が怪しく輝きだし、開いた白紙のページがどんどん埋まっていく。
なのはは自分の中から力が奪い取られていくのが分かる。
自分の胸から手が生えている恐怖感で動けないでいた。
しかし、なのははどうにか力が抜けていくのを堪えながらも構える。

 

「なの・・・は・・・ちゃん・・・」
キラはなのはの光景を見て唖然とする。
すぐさまあの手の元凶を探し、なのはのビルの近くの屋上に人影がいた。
「・・・・・見え・・・た!」
キラはどうにかライフルを構えるとビルの上にいる人物へ向けてライフルを放つ。
その瞬間、ライフルも限界を超え砕け散った。

 

「もう少し・・・・」
シャマルは蒐集に集中していたため直ぐに気付かなかった。
すると、彼女のクラールヴィントの自動防御が働き、障壁を張る。
「きゃっ!?」
それに驚いたのかシャマルは腕を抜いてしまう。
「!?」
一瞬、気持ち悪さがなくなったことになのはは気付くと構えを固める。
『Count zero.』
「ス、スターライト・・・ブレイカーーー!!」
ピンクの大きな魔力の流れが天を突き、そして結界を破りさった。
だが、なのはは撃ち終わるとそのまま倒れてしまった。

 

(結界が破られた、離れるぞ)
(心得た)
(シャマルごめん、助かった。それに大丈夫?)
(うん、大丈夫。一旦、散っていつもの場所でまた集合)
その瞬間、4つの光が分散して去っていく。
その光をキラはただ見上げるしかなかった。
「負・・・け・・・・・た、守・・・れなかっ・・・・・た」
その瞬間ストライクは粉々に砕け散る。
そして、キラはそのまま倒れてしまった。
無理な連続換装による魔力消費、そして先ほどの戦闘での大きな傷。
キラの倒れたところから赤いものが広がっていった。
そんなキラを光が包むのを誰も見ていなかった。

 

「いけないわ。急いで向こうに医療班を2チーム飛ばして!」
モニターで現場を見たリンディはすぐに指令を出した。
「中継転送ポート開きます」
「それから、本局内の医療施設手配を!・・・・・って、え?」
モニターには倒れたなのはと、そしてキラが映っていた。
この前と同じように小さくなっているキラが・・・・・・。