リリカルクロスSEEDAs_第10話

Last-modified: 2007-12-28 (金) 10:36:17

「やめてくれ、はやてちゃん!闇の・・・・いや、夜天の書!!」
キラは闇の書に呼びかける。闇の書は少し驚いたようにキラのほうを見ると言った。
「お前が死ぬことを主は望まない」
その瞬間キラはバインドに捕まると闇の書の障壁の中に捕まってしまう。
「「キラ(くん)!」」
「デアボリック・エミッション」
闇の書が詠唱を続ける、その瞬間大きかった魔力の塊が凝縮されていく。
「空間攻撃!?」
「闇に、染まれ」
闇の書の詠唱が終わり、魔力の塊が球形に大きく広がっていく。
『Round shield.』
なのははフェイトの前に出ると防御魔法を展開し、直撃を防ぐ。
「なのはちゃん!フェイトちゃん!くそっ!」
キラは障壁の中から叫ぶことしか出来なかった。
魔法が消えるとなのはたちの姿はなかった。どうやらうまく隠れているようだ。
「良かった」
キラは安堵のため息をつくとバインドを外そうと力を込める。そんなキラに闇の書は話しかける。
「お前はそこでじっとしていろ、そうすれば死ぬことはない」
「そんなこと・・・・出来るわけないじゃないか」
「何故だ」
「誓ったんだ・・・・・守るって」
「あの二人を・・・・か?」
「違うよ・・・・皆をだ!フリーダム!」
『Load Cartridge. High MAT mode. Set up.』
「うおぉぉぉぉぉ!!」
キラが雄たけびを上げ、バインドと障壁を打ち破りその蒼き翼を広げる。
「みん・・・な?」
「そうだ。なのはちゃん、フェイトちゃん、はやてちゃん。シグナムさんにヴィータちゃん、シャマルさんにザフィーラさん・・・・それに」
キラは闇の書を見て笑いかける。
「夜天の書・・・・君もだ」
「!?」
その言葉に闇の書は驚いて固まってしまう。
「君も助けたいんだ」
「私は・・・・私は主の望みを叶えるのみ」
「まったく・・・・はやてちゃん関係の人は皆頑固だな」
キラはそういうとライフルとシールドを構える。
「それじゃあ、力づくでも止めるよ!」

 

なのはとフェイトは建物の影に隠れていた。
「なのは、ごめん。ありがとう、大丈夫?」
なのははフェイトも庇いながら防御魔法を展開し、辛うじて防いだものの魔力を相当削られていたのだ。
「うん・・・・大丈夫」
心配そうに聞いてくるフェイトに何とか答えるなのは。
「あの子、広域攻撃型だね。避けるのは難しいかな。バルディッシュ」
『Yes, sir. Barrier jacket, Lightning form.』
フェイトはバリアジャケットをソニックフォームからライトニングフォームへと変える。
「はやてちゃん」
なのはは悲しそうに建物の向こうを見つめる。
「なのは!」
「フェイト!」
「ユーノくん、アルフさん」
ユーノとアルフがなのはたちに合流していた。

 

「主よ、あなたの望みを叶えます」
「それを君は、はやてちゃんは望んでいるのか!」
再度闇の書に語りかけてみるが聞いていないようだ。
「愛おしき守護者たちを傷つけた者達を今、破壊します」
「違う!はやてちゃんはそんなこと絶対に望まない!」
『Gefängnis der Magie.』
「・・・・結界魔術!?」
その瞬間、広範囲を結界で囲まれていた。
どうやらなのはたちを逃がさないようにするためのようだ。
「スレイプニール、羽ばたいて」
『Sleipnir.』
その瞬間闇の書の漆黒の翼が大きくなり、羽ばたいた。
キラは闇の書の前に移動すると両手を広げる。
「君の守護者たちをやったのはあの二人じゃない!だから止まってくれ!」
「・・・・・邪魔を・・・・するな。お前には・・・手を出したく・・・・・ない」
「言っただろう、僕は守ると。だから退くわけにはいかない」
「そうか・・・・お前もあの者たちと同じというわけか」
「だから、あれはなのはちゃんたちじゃ!」
「うるさい」
闇の書はキラに手のひらを向けながら言うと次の瞬間キラは強烈な力によって吹き飛ばされる。

 

「ぐっ!」
そのまま建物に激突しようとするところでフェイトとアルフがキラを受け止めていた。
「フェイトちゃん、アルフさん」
「大丈夫、キラ?」
「うん、なんとか・・・・加減されて撃たれたみたいだから」
フェイトたちは闇の書を見上げながら喋った。
「私がいくからユーノとアルフはサポートをお願い」
そういうとバルディッシュを構えながらフェイトは闇の書へと向かっていった。
「僕もいく!」
キラはフェイトの後にすぐに続いた。
フェイトはハーケンフォームのバルディッシュをキラはサーベルを抜く。
交錯する中二人が繰り出す斬撃を闇の書はいとも簡単に防いでいく。
キラが前になりシールドを構え突っ込む。
闇の書は手のひらをキラに向け障壁でキラの突撃を防ぐ、キラに押されることもなく平静としている。
キラの後ろから飛び上がったフェイトがバルディッシュを振り下ろすが、それも障壁に止められる。
その間にユーノが足をアルフが右腕をバインドで拘束する。
「砕け」
『Breakup.』
ユーノとアルフのバインドが砕かれる、キラとフェイトはその一瞬の間に距離を取っていた。
キラ、フェイト、なのはは三方向に分かれ、魔方陣を展開する。
『Baraeina.Target lock.』
『Plasma smasher.』
『Divine buster, extension.』
「いけーーーっ!」
「ファイア!」
「シューート!」
赤、黄、ピンクの魔力が三方向から直線上にいる闇の書へと向かっていく。
「盾」
『Panzerschild.』
三人の同時攻撃すら防御魔法により簡単に防がれてしまう。
「くそぉ!」
「くぅっ!」
「うぅ!」
三人とも防がれながらも歯を食いしばり攻撃をやめない。
「刃以て、血に染めよ」
『Blutiger Dolch.』
その瞬間、闇の書の周りを血の色をした実体化した短剣が現れる。
「穿て、ブラッディダガー」
「「「!?」」」
短剣が赤く輝くとキラ、フェイト、なのはに高速で向けて放たれる。
三人がいた場所で短剣の爆発が起こる。
爆煙から三人が飛び出してくる、三人とも障壁で防いでダメージを受けてはいないようだ。

 

「くそ、これじゃあ・・・・・」
キラは闇の書を見る。自分たちの攻撃魔法も防がれ、その上から攻撃をされる。
闇の書が手を上に挙げる。
「咎人達に、滅びの光を」
その瞬間、闇の書の足元には白の魔方陣、手の先にはピンク色の魔方陣が現れる。
その手の先に魔力が集束されていき巨大化する。
「まさか・・・・・」
「あれは・・・・」
アルフとユーノはその光景に息を呑んだ。
「星よ集え、全てを撃ち抜く光となれ」
その光景になのはは呆然と見つめ、呟く。
「スターライトブレイカー」
「アルフ、ユーノを」
「あいよ」
フェイトはアルフとユーノに距離を取るように指示する。
「貫け!閃光!」
「キラ!」
「分かった!」
アルフはユーノを抱え、キラとフェイトはなのはを抱え、全速力で距離を離す。
みるみるうちに闇の書が小さくなっていく。
「なのはの魔法を使うなんて」
「なのはは一度蒐集されてる、そのときにコピーされたんだ」
「フェイトちゃん、こんなに離れなくても」
「至近で喰らったら防御の上からでも落とされる。回避距離を取らなきゃ」
フェイトはあの攻撃を受けたことがあるためその威力を知っている。
なのははそのことに自覚がないため戸惑うしかなかった。
キラたちはアルフとユーノと二手に分かれ、ビルの間を飛んでいた時だった。

 

『Sir, there are noncombatants on the left at three hundred yards.』
バルディッシュが一般市民がいることをフェイトたちに伝える。
『Master. It confirmed it here.』
フリーダムもそれを確認する。
「「「!?」」」
キラたちは急停止する。
「助けなきゃ!フェイトちゃん、なのはちゃん!」
「「うん!」」
三人は反応のするほうへと急いで向かった。
『Distance: seventy, sixty, fifty・・・・・』
バルディッシュが近づいている距離のカウントをする。
『Twenty.』
「なのは、キラ、この辺」
「分かった」
「うん」
フェイトとキラはなのはを離し、なのはは砂煙を上げながら下に着地をする。
『Twenty, eighteen.』
フリーダムがさらに近づいてくることを告げる。
フェイトは信号機の上から、キラはさらに上に飛んで探す。
なのはが建物の間から現れる人影を見つける。
「あの~、すみません。危ないですからそこでじっとしててください」
「ん?あれは?」
キラはなのはが声を掛けた人影を見て呟いた。
なのはの声に二人の人影がなのはのほうを向く。
「え?」
「今の声って?」
砂煙が晴れ、お互いの姿が良く見えるようになった。
「なのは?」
「フェイトちゃん?」
人影がアリサとすずかということになのはとフェイトは驚いてしまう。
お互い数秒止まっていたがキラが叫ぶ。
スターライトブレイカーの魔力が集束し終えていたのだ。
「なのはちゃん!フェイトちゃん!」
「「!?」」
スターライトブレイカーが街に落ち、威力が拡散、遮蔽物への回り込みの広域攻撃魔法と化していた。

 

(フェイトちゃん、アリサちゃんたちを!)
(うん)
もうここで防御しないといけないと判断したなのははフェイトに念話で話しかける。
フェイトはそれに答え、バルディッシュのカートリッジをロードする。
「二人とも、そこでじっとして」
『Defenser plus.』
フェイトは下に降りるとアリサたちの周りに障壁を張る、キラはフェイトの前に立つ。
「僕がフェイトちゃんの分も防ぐからアリサちゃんとすずかちゃんのほうに集中して!」
「分かった」
フリーダムがカートリッジを消費し、シールドを中心に防御魔法を展開する
「何で、私たちの名前を・・・・・・?」
アリサとすずかはフェイトの前にいる青年が自分たちの名前を知っていることに驚いた。
その青年が誰かに似ているような気がしたが、それは分からなかった。
「レイジングハート」
なのはが呼ぶとレイジングハートはカートリッジを二発消費する。
『Wide area protection.』
広い防御面を取り、前面集中防御と背後への回りこみの防止に努める。
そして、ピンクの魔力がなのはたちを飲み込んでいく。
(なのは、なのは大丈夫?)
(フェイト!キラ!)
安全圏に離れたユーノとアルフが念話で話しかけてくる。
(大丈夫ではあるんだけど・・・・)
(アリサとすずかが結界内に取り残されてるんだ)
なのはとフェイトが今の状況を二人に報告する。
(なんだって!)
(エイミィさん!)
ユーノはエイミィにすぐに呼びかける。
(余波が収まり次第直ぐに避難させる。何とか堪えて!)
(((はい!)))
余波がなくなり、辺りが静かになる。
アリサとすずかはお互い抱き合って顔を伏せていた。
「もう、大丈夫」
「すぐに安全な場所に運んでもらうからもう少しじっとしててね」
その言葉に二人が顔を上げる。
「怖い思いをさせて、ごめんね」
キラがアリサとすずかの頭を優しく撫でた。
「あの・・・・・なのはちゃん、フェイトちゃん」
「ねぇ、ちょっと・・・・」
二人が何か言おうとした時二人の足元に魔方陣が現れる。

 

その瞬間、二人は安全な場所に転移させられていた。
「見られちゃったね」
「うん」
悲しそうななのはの言葉にフェイトは頷く。
(ユーノ君、ごめん。二人のほうを守ってあげてくれるかな)
(アルフも、お願い)
(二人はちゃんと守るから、ユーノ君、アルフさんお願いします)
アルフは渋ったが、ユーノに言われ了承した。
三人はこれからはサポートなしで闇の書と戦わないといけなくなった。
(なのはちゃん、フェイトちゃん、キラ君。クロノ君から連絡)
クロノは先日キラがハックした情報を元に仮面の男とグレアムの関係などを調べ上げていた。
そして、仮面の男だったリーゼ姉妹を捕まえ、グレアムから事の発端などを聞き出していたのだった。
(闇の書の主に、はやてちゃん投降と停止を呼びかけてって)
(はい)
なのはたちは目を閉じ念話に集中し、闇の書に話しかける。
(はやてちゃん、それに夜天の書。止まってくれ!)
(ヴィータちゃんたちを傷つけたのは私たちじゃないんです!)
(シグナムたちと私たちは!)
(我が主はこの世界が、自分を愛する者たちを奪った世界が、悪い夢であって欲しいと願った。我はただそれを叶えるのみ)
闇の書は手を自分の胸に当てて続ける。
(主には穏やかな夢のうちで永久の眠りを・・・・)
その言葉に驚くなのはとフェイト。
(そして、愛する騎士たちを奪った者には永久の闇を!)