リリカルクロスSEEDStrikerS_第05話

Last-modified: 2008-06-30 (月) 11:52:20

「うわ~、これが・・・・」
「私たちの新デバイス・・・・ですか?」
スバルとティアナが見つめる先に青い宝石の首飾りと、赤のラインと黄色の宝石のついたカードが浮いている。
「そうで~す、設計主任あたし、協力なのはさん、フェイトさん。
レイジングハートさんとリイン曹長。プログラムはキラさんもやってくれました」
シャーリーは元気良く返事をする。キラは笑いながらそれを見つめていた。
「ストラーダとケリュケイオンは変化なしかな?」
「うん、そうなのかな?」
「違いま~す」
そう言いながらリインがキラの肩に下りてくる。それを見上げるエリオとキャロ。
「変化なしは外見だけですよ」
「リインさん」
キャロはリインⅡを見て嬉しそうに微笑む。それにリインⅡも笑って返した。
「2人はちゃんとしたデバイスの使用経験がなかったですから
感触に慣れてもらうために基礎フレームと最低限の機能だけで渡してたです」
「あ、あれで最低限?」
「ほんとに?」
エリオとキャロはリインの説明に目を丸くしてしまう。それをキラはおかしそうに笑った。
「皆が扱うことになる4機は六課の前線メンバーとメカニックスタッフが
 技術と経験の推移を集めて完成させた最新型
 部隊の目的に合わせて、そしてエリオやキャロ、スバルにティア、
 個性に合わせて作られた文句なしに最高の機体です」
リインⅡが両手を挙げるとティアナたちのデバイスが宙に上がり、リインⅡの周りで止まる。
「この子達はまだ生まれたばかりですが、いろんな人の思いや願いが込められてて
いっぱい時間をかけてやっと完成したです」
そうして、4つのデバイスは持ち主の前へと飛んでいく。
「ただの道具と思わないで大切に、だけど性能の限界まで思いっきり全開で使ってあげてほしいです」
「うん、この子達もね、きっとそれを望んでるから」
シャーリーが話していると、なのはが入ってきた。
「ごめんごめん、おまたせ~」
「なのはさ~ん」
リインⅡはなのはの方へと飛んでいく。
「ナイスタイミングです。ちょうどこれから機能説明をしようかと」
「そう、もうすぐに使える状態なんだよね?」
「はい!」
なのはの言葉にリインⅡは元気良く答えた。

 

シャーリーが4つのデバイスのモニターを表示して説明を始める。
「まずその子達皆、何段階かに分けて出力リミッターをかけてるのね」
「一番最初の段階だとそんなにびっくりするほどのパワーが出るわけじゃないから
まずはそれで扱いを覚えていって」
シャーリーの言葉にキラが続いた。
「で、各自が今の出力を扱いきれるようになったら私やフェイト隊長、
 キラ隊長、リインやシャーリーの判断で解除してくから」
「ちょうど一緒にレベルアップしていくような感じですね」
なのはとリインⅡがその続きを説明する。
「あ、出力リミッターっていうとなのはさんたちにも掛かってますよね」
ティアナの質問になのはは頷いて答える。キラも頷いていた。
「あぁ、私たちはデバイスだけじゃなくて本人にもだけどね」
「「「「え?」」」」
「リミッターがですか?」
なのはの言葉にティアナたちは目を丸くして驚いてしまう。
「能力限定って言って僕たちの隊の隊長や副隊長は皆掛かってるんだ」
「私とフェイト隊長、キラ隊長、シグナム副隊長にヴィータ副隊長、リインフォース副隊長」
「はやてちゃんもですね」
「うん」
なのはたちの説明にいまいち理解できないスバル、エリオ、キャロにシャーリーが分かるように説明をする。
「ほら、部隊ごとに保有できる魔導師レベルの総計規模って決まってるじゃない」
「あぁ、はい・・・・そうですよね」
スバルとキャロは苦笑いを浮かべながら頷いた。
「1つの部隊で優秀な魔導師を保有したい場合はそこにうまく収まるよう
 魔力の出力リミッターを掛けるですよ」
「まぁ、裏技っちゃ~裏技なんだけどね」
「ウチの場合だとはやて部隊長が4ランクダウンで隊長たちは大体2ランクダウンかな」
その言葉にティアナは驚いてしまう。4つもランクを落とすのは相当なことだ。
「4つ、八神部隊長はSSランクのはずだから・・・・」
「Aランクまで落としてるんですか?」
ティアナの言葉にエリオが続いた。
「はやてちゃんも色々苦労してるです」
「なのはさんやキラ隊長は?」
「私は元々S+だったから2.5ランクダウンでAA。キラ隊長は・・・・・」
なのはは苦笑いをしながらキラを見る。キラも苦笑いをしていた。
「実はS+ランクの試験、フリーダムを本局に預けることになっちゃっててさ。
ストライクで受けたんだ。それで見事不合格」
そう言ってキラの視線の先をティアナたちが追うと奥の方に蒼い二対の翼が重なったデバイスが浮いている。
あれがキラの本当のデバイス、フリーダムだ。
「本局から返ってきて、ついでに計画していた改造をしようと思ったんだけど
未だにうまくいかなくてね、ストライクを今も使っているわけなんだ」
「キラくんの場合、フリーダムならS+ランク以上には相当するの。でも、今回はそれが功を奏したのかな?」
「だからキラ隊長は2.5ランクダウンしてAなんだけど」
「フリーダムが返ってくればAAランクなのです」
「一応、魔導師レベルがそのおかげでごまかせて1ランク得しているんだ」
ある意味、これも裏技になるのだろう。
「まぁ、実際は今でも魔導師レベルは少し超えちゃってるんだけどね」
「そこ等辺は色々はやて部隊長やカリムさん、クロノ提督が根回ししてくれたんだ」
キラに続いてリインが悲しそうにはやてのことについて語りだす。
「隊長さんたちははやてちゃんのはやてちゃんは直接の上司のカリムさんか
部隊の監査役クロノ提督の許可がないとリミッター解除が出来ないですし。
許可はめったなことでは出せないそうです」
リインⅡの言葉にはやての苦労の一部が分かり、エリオもキャロも悲しそうな顔をする。
「まぁ、隊長たちの話は心の片隅くらいでいいよ。今は皆のデバイスのこと」
なのはの言葉でリミッターの話はこれまでとなった。

 

「新型もキラさんやなのはさんがまとめた皆の訓練データを基準に調節してるから
いきなり使っても違和感はないと思うんだけどね」
エリオとキャロはキラの方を向く。キラはそれを笑顔で返す。
キラが訓練が終わると休憩所で何度も訓練の様子を見ていた理由が分かったのだ。
「午後の訓練の時にでもテストして微調整しようか」
「遠隔調整も出来ますから手間はほとんどかからないと思いますよ」
「ふぅ、便利だよね~最近は」
「そうだね、10年前は大変だったからね」
キラとなのはは昔のことを思い浮かべながら笑い合っていた。
シャーリーはスバルのほうを見ると口を開いた。
「あ、スバルのほうはリボルバーナックルとのシンクロ機能もうまく設定できてるからね」
「ほんとですか!」
「持ち運びが楽になるように収納と瞬間装着の機能も付けといた」
「ありがとうございます!」
その言葉にスバルは嬉しそうに笑ってお礼をシャーリーに述べる。

 

「キラさん、ちょっとフリーダムのことについてなんですが」
ティアナたちは自分たちのデバイスを見ながら話しているとシャーリーがキラに話しかけてくる。
「やっぱりキラさんが前から言っていたドラグーンシステムですか?
結構無茶な設定です。なのはさんの場合と色々と違うところがありますから」
「そっか。ありがとう、シャーリー」
「いえいえ、キラさんのデバイスは普通の物と違うものですから大変興味深いんです」
シャーリーは目を輝かせながらフリ-ダムを見つめる。とても楽しそうだ。
「本局から返ってきた時、フリーダムに何も変化なかったんだよね?」
「はい、フリーダムの調査も問題なしでした。今からドラグーンシステムについて考えます。
マリエル技官が出来なかったことですが、やってみます」
「構わないよ。ごめんね、無理言っちゃって」
「そんなことありません。あと今のフリーダムなら使うことは可能ですよ。
少し皆と一緒に訓練されたらどうですか?」
その言葉になのはが笑いながらキラの肩を叩いた。どう考えても一緒に訓練しようという顔だった。
「そうだね、フリーダムも使っていないと感覚鈍るだろうしね」
キラはその顔に苦笑いを浮かべながら頷くしかなかった。

 

「うん、はやてはもう向こうに着いてる頃だと思うよ」
フェイトは車を運転しながらグリフィスと通信をしていた。
「はい、お疲れ様です」
「私はこの後公安地区の捜査部に寄っていこうと思うんだけどそっちは何か急ぎの用事とかあるかな?」
「いえこちらは大丈夫です。副隊長2人は交代部隊と一緒に出動中ですが
 なのはさんとキラさんが隊舎にいらっしゃいますので」
フェイトはハンドルを切って車線を変更しながらグリフィスの言葉を聞く。
「そう」
フェイトがそう答えた瞬間、アラートの文字がグリフィスのモニターの横に現れる。

 

六課隊舎の方では少しデバイスについての質問などをしていた時だった。
いきなりのアラートに全員の緊張が走る。
「このアラートって・・・・」
「1級警戒態勢!?」
「グリフィスくん!」
なのはの言葉にモニターのグリフィスは即座に答える。
『はい、教会本部から出動要請です』
グリフィスがそう告げるとグリフィスの横のモニターにはやての姿が映る。
『なのは隊長、フェイト隊長、キラ隊長、グリフィス君。こちらはやて』
「うん」
『状況は?』
『教会騎士団の調査部が追っていたレリックらしきものが見つかった』
もう1つのモニターにリニアレールの映像が映る。
『場所はエイリム山岳旧領地区。対象は山岳リニアレールで移動中』
『移動中って・・・・』
「まさか・・・・・・」
フェイトもなのはもはやての言葉に驚いてしまう。
『そのまさかや内部に侵入したガジェットの所為で車両の制御が奪われてる。
 リニアレール車内のガジェットは最低でも30体。
 大型や飛行型の未確認タイプも出てるかもしれへん。
 いきなりハードな初出動やなのはちゃん、フェイトちゃん、キラ君いけるか?』
『私はいつでも』
「私も」
「大丈夫だよ」
フェイト、なのは、キラは真剣な顔で頷いた。
『スバル、ティアナ、エリオ、キャロ。皆もオッケーか?』
「「「「はい!」」」」
ティアナたちは力強く返事をした。
『ようし、いいお返事や。シフトはAの3、グリフィス君は隊舎での指揮。リインは現場管制』
『はい!』
「はい」
リインⅡとグリフィスも返事を返す。
『なのはちゃん、フェイトちゃん、キラ君は現場指揮』
『「「了解」」』
『ほんなら機動六課フォワード部隊、出動!』
「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」
『了解、皆は先行して私も直ぐに追いかける』
「うん、それじゃあ皆、いくよ!」
なのはの言葉に全員が頷いた。

 

その後、すぐにヘリに乗り込んだフォワード部隊は目的地まで運ばれることとなった。
ヘリの中にはなのは、キラ、リインⅡ、そしてティアナたちが準備をしている。
「新デバイスでのぶっつけ本番になっちゃったけど練習通りで大丈夫だからね」
「はい」
「頑張ります!」
「エリオとキャロ、それにフリードもしっかりですよ!」
「「はい!」」
「危ない時は私やフェイト隊長、キラ隊長、リインがちゃんとフォローするから
 おっかなびっくりじゃなくて思いっきりやってみよう」
「「「「はい!」」」」
エリオは不安そうにしているキャロに気が付いた。
「大丈夫?」
「あ・・・・ごめんなさい、大丈夫」
そう言うが緊張しているのは目に見えていた。自分も少し緊張しているから無理もなかった。
機動六課の初出動はこうして幕を開けたのだった。