リリカルクロスSEED_第03話

Last-modified: 2007-12-27 (木) 16:22:50

「ストライク!」
『Yes. sir.』
青のバリアジャケットに身を包みキラが盾を構えて向かっていく。
それに反応して黒い化け物も体当たりをしてくる。
キラはそれを見越して大きく跳躍、化け物の真上に飛びライフルを構える。
青い魔法の弾の数発が化け物を貫く。
キラは盾を投げ、化け物の顔に命中。すかさずアーマーシュナイダーを構え接近戦へと持ち込む。
道場で恭也に剣道を教えられている所為か接近戦の身のこなしが上手くなっているのを感じる。
出来得る限り相手の体力を削るとキラは化け物から距離を置く。
「なのはちゃん!」
「準備オッケーだよ!キラくん!」
そういうとなのははレイジングハートを構える。
『Stand by. Ready.』
「リリカルマジカル。ジュエルシード、シリアル20。封印!」
 
バリアジャケットから普段着に戻る二人。
「お疲れ様、二人とも」
ユーノが二人にねぎらいの言葉をかける。
「うん、ありがと」
キラはそれに笑いながら答えるが、なのはにそんな余裕はなかった。
帰り道、レイジングハートを引きずるなのはを見て、ユーノは心配そうに声をかけた。
「大丈夫?なのは?」
「うん、大丈夫なんだけど。少し疲れた」
そういうと倒れそうになるなのはをキラがそっと支えた。
「無理しないで、なのはちゃん」
「ありがと、キラくん」
「すぐには動けそうにないか・・・・・・しょうがない、よっと」
「うわっ!?」
キラはなのはをお姫様抱っこしていた。
「キ、キキキキ、キラクン!?」
「じっとしててね」
そういうとキラはゆっくり歩き出した。
最初は真っ赤になりながら慌てて下りようと説得していたなのはもさっきの戦闘の疲れか眠ってしまっていた。
それを見ながらユーノとキラは微笑んでいた。
 
「キラく~ん、そろそろ時間だよ」
「あ、は~い!」
道場で恭也と美由希と一緒に素振りをしていたキラは士郎に呼ばれて返事をした。
「そういや今日はサッカーの試合だったか」
「はい、何か欠員が出たみたいで士郎さんに出てくれと頼まれて」
「なるほど、キラ君なんでもこなしちゃうしね~」
「あ、あはははは。それじゃ、いってきます」
キラは苦笑いをすると道場から出ていった。
ジュエルシードやストライク、魔法、元の世界のことなど考えることは山ほどある。
それの所為で悩みすぎて最初は部屋からあまり出ていなかった。
しかし、士郎に時々誘われて士郎がコーチ兼オーナーを務める翠屋JFCに顔を出すようになった。
キラも調度いい気分転換になるため時々は来るようになり、今日はその試合の日だった。
 
「キラ~、頑張りなさいよ~!」
「頑張ってくださいね」
アリサやすずかに応援されたキラはにっこり笑って手を振っていた。
(頑張ってね、キラくん)
(頑張って)
(ありがと、二人とも)
キラはなのはとユーノに念話で返事をするとポジションに付いた。
「キラって本当に何でもこなすわよね~」
「そうですね、成績優秀・運動神経抜群・性格も優しい・顔もカッコイイとそういう話を良く聞きます」
「わたしも聞いた、何かファンクラブが出来てるらしいわよ」
「ふぇ~、そうなんだ~」
なのははそんな返事を返しながらキラを見ていた。そう言われて見ると何だかカッコイイ気がした。
この前のお姫様抱っこのことも思い出しそうになって顔を赤くしていた。
試合はキラが司令塔として活躍、キーパーのファインセーブなどのおかげで翠屋JFCの勝利となった。
 
試合が終わり翠屋でなのはたちはキラと一緒に話をしていた。
ユーノが普通のフェレットじゃないという話題を芸を見せてはぐらかすなのはだった。
その後、ユーノがアリサとすずかになでまくられるのをなのはとキラは苦笑いを浮かべながら見ていた。
「「!!??」」
二人はジュエルシードの反応を一瞬感じた。
(キラくん。今のキーパーの子・・・・気のせいかな?)
(う~ん、一瞬だったから良く分からなかったよ)
キーパーの子はマネージャーの子と二人並んで街のほうへ行った。
それをキラとなのはは心配そうに見つめていた。
そういう会話をしているうちにユーノが目を回しているのを見て、また苦笑いを浮かべてしまう二人だった。
二人と別れた後、キラはさっきの感じを確かめに行くと言って街へ向かった。
キラに休んでてと言われたなのはは士郎とユーノとともに家に帰っていた。
 
「どこ行ったんだ、あの二人」
辺りを見回しながら探すが見つからない。
すると、いきなりジュエルシードの反応が強くなり、地鳴りがした。
キラの足元から木の根が出てきてキラはすぐに反応し回避した。
「発動した!?とにかくなのはちゃんと合流しないと!」
キラはなのはと念話で連絡を取ると合流場所へと急いだ。
 
合流場所のビルの屋上に着いた二人は眼前に広がる光景に絶句した。
「これは!?」
「・・・・・・ひどい」
街をビル以上の大きな木が何本もコンクリートを突き破り生えていた。
「多分、人間が発動させちゃったんだ」
(まさか・・・・・)
(あのときの子が)
気付いていた、こんなことになる前にどうにかできたはずだった。二人は自分の失敗を悔いた。
「どうにか出来ないの?」
「まずは元となっている部分を見つけないと」
「元を見つければいいんだね」
「なのは(ちゃん)?」
なのははそういうとレイジングハートを構え、魔方陣が現れた。探索魔法だ。
「リリカルマジカル、探して。最悪の根源を!」
すると、魔方陣から光の帯が現れ、街全体に広がっていった。
なのはに広がった光からの情報が集まってくる。そこから膜で包まれた二人の姿が見えた。
「見つけた!」
「本当!?」
なのはの向けた方角を見たが距離がありすぎた。
「すぐに封印するから」
「ここからじゃ無理だ、もっと近づかないと!」
「大丈夫だよ。そうだよね、レイジングハート?」
「これがストライクなら・・・・ストライク、ランチャーモード!」
『Shooting mode. Set up.』
『Launcher mode. Set up.』
レイジングハートが射撃形態へと変わり、キラのほうは手に大型砲アグニが現れる。
肩にはガンランチャーがついた装備に換装していた。
二人は銃口を目標に定める。
「いって!捕まえて(ろ)!」
『Stand by. Ready.』
『Target lock. Ready.』
「リリカルマジカル。ジュエルシード、シリアル10。封印!」
「当たれぇぇぇぇぇぇっ!!」
二つの銃口から放たれた光がまっすぐ進んでいった。
街を光が包み込みそれが晴れた時、そこには樹の姿はなかったが、その爪痕が痛々しいほどに残っていた。
そして、ジュエルシードを封印は完了した。
 
「色んな人に迷惑かけちゃったね」
「・・・・・・うん」
キラとなのははビルから周りを見渡しながらそう呟いていた。
「な、何言ってるんだ。二人はちゃんとやってくれてるよ」
そう言っても二人は首を振った。
「僕たちは最初に気付いていた、そして止めるべきだったんだ。そうすれば・・・・・」
「・・・・・・・・」
キラは悔しそうに手を握り締めていた。
「二人とも・・・・・」
ユーノはそれ以上何も言えなくなってしまった。
帰り道、怪我をしたのか、マネージャーの肩を借りて歩くキーパーを見る。
そして、なのはとキラは改めてジュエルシード集めに対する向き合い方を決める。
(キラくん)
(うん、そうだね)
二人は誓った。もうこんなことが起きないようにするために、全力を尽くすと。
「それじゃあ、頑張ることも兼ねて特訓しようか」
「特訓?」
キラの言葉に?マークを浮かべるなのは。
「なのはちゃんは、体力面が不安材料だから今からここから家までマラソン!」
「え゙?」
「そ~れ、スタート!」
キラはなのはを押して走り出す。
「え?え?えぇぇぇぇぇ~!?」
キラが少しでも明るく振舞おうと分かったなのはは、心の中でキラに感謝した。
「でも、マラソンはいやぁぁぁぁぁ~っ!」
そんななのはの声が夕暮れに木霊した。