嫌な既視感の予兆の光景
差出人不明のメールが来た。
メイリンのウイルスチェックをパスしている以上、危険なものではないだろう。
(だがなんだ?見てはいけないような気がする……)
嫌な予感はするものの、見ないわけにもいかない。
『ベリークルシミマス!アスラン!』
メールを開くと、モニター一杯に満面の笑みを浮かべたミイラ男が映った。
赤と緑の包帯を巻いているのはクリスマス仕様のつもりだろうか?
(血塗れのようで不気味さがアップしてるようにしか見えないがな)
『酷いですねぇ。せっかくおめかししたのに……』
「だからなんで考えている事がわかるんだ!?」
『前にも言ったじゃないですか。「あ・い・ゆ・え・に」ですよ?』
ピシッと音を立ててアスラン愛用の湯飲み(100¥ショップで購入)にヒビが入る。
『あ〜あ、やっぱり安物はダメですねぇ。』
(落ち着け、これはニコルの罠だ。去年は迂闊に挑発に乗ったせいで酷い目にあったじゃないか。)
『そうそう、最近オーブではお茶っ葉まで節約しているそうですね?』
「それがどうした?」
いつの間にか音声メールと会話しているアスラン。傍から見れば変人だ。
『そんなものより貴方のリ○ップ代(二ヶ月分で約6000円也)を減らした方がいいんじゃないですか?』
「ニコル!お前は未来まで殺す気か!?お前が欲しかったのは……!」
アスラン は こんらんしている!
『この間オーブ軍の皆さんに教えてあげたんですよ。「アスラン・ザラはハゲ隠しに金を湯水の如く使ってる」って。』
怪しげなミイラ男の言葉を聞き入れる人間などいるのだろうか?
『恥ずかしかったから張り紙してきただけなんですけどね。匿名で。』
人、それを怪文書と呼ぶ。
「偽議長は暗黒の世界を…何!?最近部下が冷たかったのはお前のせいか!?」
一瞬で立ち直るアスラン。悪口は絶対に聞き逃さないのだ。
『そんな四面楚歌なアスランに、ニコルサンタからプレゼントがあるんですよ?』
「どうせまたコラ画像だろうが!」
『酷いなぁ…今回はちゃんと女性なのに……』
「…そんなに言うなら見せてみろ。」
『ハイ、ここをクリック!』
クリックするとあの懐かしきウエディングドレスが映し出された。
「おおっ!」
期待を込めてさらにクリックすると……
『アスラン!責任取ってよね!』
ウエディングドレス姿のミーアが映し出された。
『あはははは!男なら責任取らなきゃダメじゃないですか!』
「ニ〜コ〜ル〜!」
『まあ、冗談はこれ位にして…ここをクリック!』
騙されちゃダメ…ダメなのに…クリックしちゃう!カチカチッ!
『アスランさん、責任とって下さいね♪』
ウエディングドレスでお腹がぽっこり膨らんだメイリンが映し出された。
『あはははは!これは責任取らなきゃいけませんねぇ!あはははは!』
「……」
『おっと、ジンに見つかってしまったようです。また遊びましょうね?』
後には肩を震わせるアスランだけが残された……
おまけ
「オーブ軍全軍メサイアに向け出撃!ニコルを宇宙の塵にしてやれ!」
「お、落ち着けアスラン!」
「離せ!HA・NA・SE!」
前 戻 次