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destinyから10年後の世界。
10年前に勃発したプラント(デュランダル)対オーブ連合首長国との戦争は熾烈を極めたが、
それが収拾した後は、とりあえず平和な時代が続いていた。
しかし、プラント(ラクス)が地球侵攻作戦を開始したことによって、
地球圏は再び動乱の時代を迎えようとしていた。
強大な直衛軍を率い、オーブに来寇するラクシズ軍総司令官キラ・ヤマト。
それに立ち向かうは、オーブ軍司令サイ・アーガイル。
豊饒なる才能は、ラクシズの野望を撃ち砕けるのか……?
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主な登場人物
サイ・アーガイ(ナチュラル)
短期間だが、元オーブ連合首長国・代表府首席補佐官 兼 軍総司令をも兼任した異端の人。
ある事件で失脚し、政界を引退して民間事業に着手していたが、再び訪れた動乱の時代に否応なく表舞台に戻 される。
カガリ・ユラ・アスハ(ナチュラル)
現オーブ連合首長国・代表首長を務める才媛。
昔と違い、多くのスタッフから多様な意見を出させ、その中から最も良い意見を取捨選択できる柔軟な思考を 持つに至る。
再び訪れた動乱の時代に対してサイを呼び戻す。
ロンド・ミナ・サハク(コーディネイタ―)
現オーブ連合首長国・代表府首席補佐官 兼 総合作戦本部長。
アスハ代表の補佐をしている。オーブの実質の要。『鋼のミナ様』とも呼ばれてる。
ラクス・クライン(コーディネイタ―???)
女帝。ラクシズ総帥。天空の覇者。圧倒的で不可思議なカリスマを誇る。
キラ・ヤマト(スーパーコーディネイタ―?)
白服。ラクシズの攻撃軍総司令官。アスハ代表の実弟であり、ラクスの愛人でもある。
プロローグⅠ
C・E83 6月3日 ――ヘリオポリスⅡ近辺及び再開発宙域地区――
ディアッカ・エルスマンの部隊を先鋒としたザフト遠征軍による猛攻が続いていた。
オーブ宇宙軍第2機動艦隊は既に総兵力の3割を切っており、ほぼ壊滅状態にあった。
――オーブ宇宙軍第2機動艦隊旗艦”クサナギⅡ”艦橋――
「守備艦隊は、ほぼ壊滅か……」
ソガ中将は呟く。
不可侵条約失効と同時に電撃的な侵攻作戦――
ザフト遠征軍先鋒部隊を指揮するのはかつて共に戦ったディアッカ・エルスマンだという。
「不可侵条約失効直後とはいえ、完全に裏ををかかれるとは……な」
オペレーターの声が響く。
「ソガ司令!完全に包囲されています!!」
「MS部隊も壊滅状態です!」
入る情報は全て最悪の状況ばかりだ。防御体制のシステムの隙間を完全に衝かれ、
艦隊がヘリオポリスⅡを離れた隙にすかさず揚陸部隊が侵攻した。
この宙域にある防御の要とも言うべき、ヘリオポリスⅡ大混乱のうちに制圧されつつある。
こちらの機動艦隊もディアッカの卓越した指揮により、ほぼ一撃で急所を衝かれ壊滅状態にされた。
かつての味方とはいえ恐るべき男だ。
そこに全チャネル周波に女性の声が流れる。
その演説はプラントの女帝ラクス・クラインの声である。
表情豊かな美声がNJCにより電波の波に乗り、この宙域全てに木霊する。
『わたくしはラクス・クライン。オーブ人民並びにわたくし達の『地球浄化計画』の為の地球侵攻拠点としてオーブに属するこの宙域の租借を願います。
――アスハ代表はこの要請に速やかに応じてください。これ以上無益な戦闘を……』
ラクス・クラインの声明文を聞きながらソガは、
「もはや、是非もなし……これより、残存全艦撤退の準備に入る。包囲網の一角を崩すぞ!」
「ですが……」
完全な包囲網の陣形を整えた敵軍はこちらの4倍の兵力である。敵中突破は正直難しい。
一角を崩しながら、敵中突破試みようとする艦が次々と火に包まれる。
2隻、3隻とかろうじて突破するが次の瞬間に火達磨になる。
何とか包囲網から脱出しようとするが上手くいかない。
そこに、力強い男の声が全周波に乗って流れる。
『私はザフト先鋒隊指揮官のディアッカ・エルスマンである。降伏せよ。貴軍は既に戦闘継続能力を保持しておらず。
貴軍に名誉ある降伏を望むものなり。これはラクス・クラインの名に於いて私が保証する……繰り返す……』
「ディアッカ・エルスマンか……降伏は容易い。だが……」
かつての上司であったトダガ名誉司令の最後が胸中に浮かぶ。
「ラクス・クラインに膝を屈するわけにはいかんのだ!!」
クサナギⅡは反転しつつローエングリーンⅡ型は斉射する。味方艦を1隻でも多く逃がす為に。