種死&リリカルなのはさん 単発SS集14

Last-modified: 2007-12-27 (木) 16:38:38

リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU氏 2007/11/24(土) 22:00:58

 

「あの・・・・はやて・・・・これは・・・・何?」
「あははははは~、似合う似合う~~~!」
「凄いですね、ここまで完璧だとは・・・・・」
そうして腹を抱えて笑うはやての横ではリインⅡが驚いた顔をしてキラを見つめている。そんな中キラは今の状態を聞きたかった。
「何で僕が女装しなくちゃいけないのさ~~~~!!」
 
リリカルクロス番外編「トキラ・マヤの受難」
 
時間は遡ること2時間前。
「なぁ、キラ君。ゲームせぇへん?」
「はやて、仕事中。早く済ませないと帰れないよ?」
「そうですよ、マイスターはやて。キラさんも手伝ってくれてるんですから」
今日キラははやての手伝いで書類整理をしている。キラは自分の仕事が終わったため一番忙しいであろうはやての手伝いに来ていたのだ。
「1回だけ1回だけ・・・な?そしたら仕事するから」
「はぁ~」
はやてが拝むようにキラに手を合わせてお願いするためキラも溜め息を付いてしまう。どうやらキラの根負けのようだ。
リインⅡはキラにごめんなさいと頭を下げるが、キラはそれを苦笑いで返した。
「分かった、1回だけだよ。それで何をするの?」
キラのその言葉にはやてはパッと顔を上げる。その顔はとても嬉しそうだった。
「さっすがキラや~、ほんま優しいな~」
そう言って抱きついてくるはやてにキラは真っ赤になりながら慌ててそれを引き剥がす。
「で、何をするのさ」
キラは一体どういうゲームがくるのか予想をしていた。
(知略系かな?それだとはやてのほうが戦績はいい。それともゲーム?だったら五分五分。他は・・・・・)
そんなことを考えているとはやてのゲームはシンプルなものだった。
「次あのドアから入ってくるのが男性か女性か当てるってものや」
「え?そんな簡単なものでいいの?」
 
「えぇよ、た・だ・し!」
「ただし?」
「負けたほうは罰ゲームや」
「えぇ~」
キラはその言葉に渋い顔をするが、はやてはそんなキラの言葉を予想していたのか。ニッコリと笑いかける。
「罰ゲームは私が勝手に作ったものやし、キラ君が先に選んでえぇよ?うちはその反対にするから」
「え?いいの?」
「それくらいせんと、キラ君逃げるやろ?」
その言葉にキラは頷いてしまう。罰ゲームはさすがに嫌だし、はやてとの勝負というものは大概はキラが負けている。
しかし、今回はキラにも勝てる確率があるということだ。
キラはすぐに全員のスケジュールを思い浮かべていた。まずは男性のほうを考えてみる。
(エリオは訓練、グリフィスは本局に行ってるはずだし、ヴァイスはヘリの整備で忙しいって言ってたな、ザフィーラはヴィヴィオのお守り)
他の男性隊員のスケジュールをどうにか考えれば、ここに来る確率はかなり低いと予想できる。
だとしたら・・・・・・。
「じゃあ、女性で」
今回は罰ゲームなんてものがあるためキラも負けるわけにもいかなかった。
「じゃあ、私は男性やな」
あっさりと答えるはやてにキラは一瞬面食らったような顔をする。そんなキラにはやては笑いかける。
いつの間にかリインⅡがいなくなっていることにキラは気付かなかった。リインⅡははやてが口を押さえて隠していたのだが。
「どうしたん、キラ」
「あ、いや・・・・・何でも・・・・・」
キラは何だか自分が言ってはいけないことを言ってしまった気がした。そう考えながらも書類を整理し始めた。
すると、5分位してからコールがあった。どうやら誰かが来たみたいだ。はやてが返事を返すとその人物が入ってきた。
 
「やぁ、はやて。っと、キラもいたのか」
そこにはキラの予想していなかった人物がいた。
「ク、クロノ!何で来ちゃうんだよ!」
「いきなりそんなことを言われる筋合いはないはずなんだがな」
クロノはこめかみを押さえながらキラの言葉を返す。
「大体、今日ははやてのところに来る予定だったんだぞ?」
「な!?はやて、それって!!」
「私の勝ちやね、キラ君」
「ひ、ひきょうだぞ!」
キラがそんなことを言うが、はやては素知らぬ顔でお茶を啜っている。
「でも、クロノが来る前まで時間はあったよなぁ?」
「うっ」
「それに今日はグリフィスもヴァイスもザフィーラも来る可能性はないわけやし、それをキラ君は狙ったわけで~」
「うぅっ」
さすがにそこまで言われてしまうとキラは反論できない。これははやてによる策略だったと気付くのが遅すぎたようだ。
 
「さて、仕事も終わったことやし、キラ君覚悟えぇ?」
「はやて、仕事終わらせるのがかなり早かったね」
はやてはキラとの勝負が付くといつも以上に仕事を早く終わらせていた。ニコニコしながら仕事をするはやてはとても楽しそうだった。
どう見ても仕事が楽しいのではなく罰ゲームが楽しみな顔だった。
「キラ君の罰ゲームは・・・・・これや~~♪」
そう言ってはやてがキラの前で広げたものは・・・・・・。
「隊員の服・・・・・って、これって女性用のじゃないか~!?」
 
「後はウィッグ付けて・・・・あとは化粧もちょっとやらんとあかんな」
「マイスター、魔法で声を変えちゃいましょう。バレちゃいます」
「あ、そやな。さすがリインや」
「いえいえ~」
「あの、盛り上がっているところ悪いんだけどリインちゃんもそっちなの?」
キラはリインⅡならはやてを止めてくれると思っていたが、どうやらその望みは叶いそうにないようだ。
キラはもうはやてとリインⅡにやられ放題だった。
はやてはキラにウィッグを付けてロングヘアーにして化粧し、リインⅡには声を魔法で変えられてしまう。
 
そして・・・・・・・。
「あの・・・・はやて・・・・これは・・・・何?」
「あははははは~、似合う似合う~~~!」
「凄いですね、ここまで完璧だとは・・・・・下手な変身魔法よりも凄いです」
そうして腹を抱えて笑うはやての横ではリインⅡが驚いた顔をしてキラを見つめている。そんな中キラは今の状態を聞きたかった。
「何で僕が女装しなくちゃいけないのさ~~~~!!」
キラの絶叫が響き渡った。
 
「失礼します」
「!?」
はやての部屋にシャーリーが入ってきた。キラはそれにびっくりしてはやての後ろに隠れる。こんな姿皆に見せるわけにはいかないのだ。
しかし、普通に隠れられるはずもなくシャリーの視線がキラを捉える。
(まずい!バレる!)
とキラはそう思って目を瞑ってしまう。こんなところで女装していたと皆にばれてしまえば物凄く恥ずかしい。
しかし・・・・・・。
「あれ?その方はどなたですか?」
「え?」
キラはその言葉に驚いてしまうが、どうやらバレていないようだ。
「あぁ、この子な私の知り合いで六課の見学に来た子なんよ。トキラ・マヤちゃんや」
(ちょ、ちょっとはやて何なのさその名前!無茶苦茶バレるでしょ!)
(大丈夫、大丈夫)
念話ではやてに文句を言うキラだが、はやては気にしない素振りでシャーリーにマヤ(キラ)を紹介した。
「そうなんですか、よろしくお願いします。マヤさん」
「え・・・・あ・・・は・・はい」
キラは苦笑いをしながらシャーリーと握手するしかなかった。そして、自分と気付いてもらえない寂しさが少しだけあった。
 
「それじゃあ、キラ君はこれから一日その姿で過ごしてもらう。それが罰ゲームや」
「ええぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
女装させられることだけが罰ゲームだと思っていたキラにとってはそれは地獄のようなものだった。
「む、無理だよ!皆にバレるよ!そしたら僕はどうしたらいいのさ!」
「大丈夫や、絶対バレへんて、それに私もフォロー入れるから・・・な?」
「リインも頑張ります!」
そんなことを笑顔で言うはやてとリインⅡをキラはジト目で見ていた。
「どうせ慌てる僕が見たいだけだろ?」
「「うっ」」
「やっぱりだ~!」
こうしてトキラ・マヤの受難が始まった。
 
「ほんなら皆訓練中みたいやし見に行こか」
「・・・・・・」
マヤは従うほかなかった。もしマヤが反対すればマヤの正体をばらすと脅されてしまったからだ。
仕方なくはやてと共に訓練場へ行くとそこではなのはやフェイトが新人たちを訓練していた。
「おぉ、やっとるな~」
「あ、はやてちゃん」
「はやて、どうしたの?」
はやてを見つけなのはが空中から降りてくる。なのはとフェイトははやての横にいるマヤを見つける。
マヤはバレないかガタガタ震えていたが、はやては気にせずなのはとフェイトに紹介する。
「こっちの子はトキラ・マヤちゃんや私の知り合いで今日は見学に来てるんよ」
「そうなんだ、私は高町なのはって言うんだ。よろしくね、マヤちゃん」
「フェイト・T・ハラウオンです、よろしく」
「え、えっと・・・・はい」
どうやら気付かれてはいないようだった。
バレるのが怖いが、バレないのも自分としては嫌だった。それは女装が似合うということを証明しているに過ぎないのだから。
「そうや、マヤちゃん。結構強いから訓練参加させてえぇか?」
「ええぇぇぇっ!?」
マヤは驚きの声を上げてしまう。新人たちもその声に驚きマヤたちのほうを見てしまう。
こっちに注目されているがマヤはそれどころではなかった。
「む、無理だよ。はやて、僕には無理だ。それにデバイスだって・・・・・」
マヤが首を横に振って答える。もし訓練するとなってもデバイスがないのだ、フリーダムを使ってしまってはバレてしまう。
「リイン」
「はいです」
そして、リインⅡがはやてに何かを渡す。
それを受け取ったはやては笑いながらマヤの手にポンとある物を置いた。マヤはそれを見て口をポカーンと開いて固まってしまう。
(あの・・・・はやて・・・・これ・・・・)
(うん、キラ君が作ったやつやで)
(昨日、完成して私が預かってたんです)
「はい、マヤちゃんのデバイス、私が持ってるで」
「あ・・・・あははははは・・・・ありがとう、はやて」
キラは泣く泣くそのデバイスを受け取る。なのはとフェイトはそれを見てあることに気が付いた。
 
「あれ?それって・・・・ストライク?」
なのはとフェイトが見たのは10年前キラが使っていたデバイスのクリスタルのようなものだった。色は赤くなっている。
「あぁ、これな キ・ラ・く・ん がマヤちゃんの た・め・ に作ってあげたんよ」
 
ヒクッ
 
「?」
一瞬、何だかなのはとフェイトの口の端が少し持ち上がったように感じたマヤだが突如、殺気を感じてた。
「え・・・・あれ?」
その殺気を辿ると目の前のなのはとフェイトのような気がしてならなかった。しかし、マヤにはその理由が全く分からない。
「そっか、それじゃあマヤちゃんも訓練始めよっか!」
「そうだね、皆を待たせるのは悪いし」
「いや、僕は・・・・・あ、はい、分かりました」
なのはとフェイトの言葉に表せない顔にキラは頷くしかなかった。そして、新人4人組+マヤの特別訓練が始まった。
 
「今回はマヤちゃんが訓練に参加するから、皆挨拶してね」
そうして半ば強引にティアナ・スバル・エリオ・キャロの前に出されるマヤ。
「は、初めまして・・・ト、トキラ・マヤです」
マヤは4人にバレないか心配になりながらも自己紹介をするが、1人だけマヤの顔を見ながら首を捻っている人物がいた。
「あのマヤさん、私とどこかで会ったことありませんか?」
スバルだった。
「え?・・・・・な、ないよ!うん、ない!」
「スバル、何を聞いてるのよ。ナンパじゃあるまいし」
「でも、トキラ・マヤってどこかで聞いたことある名前だから・・・・」
(ス、スバル・・・・なんでこんな時だけ鋭いんだよ!)
マヤは心の中でどうでもいい時のスバルの勘の鋭さを呪う。マヤはそれでも首を横に振る。
「わ、私は本局勤めですからお会いしたことはあんまりないと思いますよ?」
「スバル、あんたの勘違いなんだからさっさと自己紹介すませるわよ!」
どうにかうまくごまかせたマヤは溜め息を付いてしまう。こんなことがまだ続いていくのだと考えると憂鬱になる。
しかも、なのはとフェイトが機嫌が悪い状態での訓練なのだ。気が重い。
新人たちも笑顔のはずのなのはとフェイトから何かを感じ取ったのかいつも以上に体が強張っている。
自己紹介も終わり、訓練の説明に入る。
 
「今回は訓練場全てを使って訓練をします。訓練内容は鬼ごっこ」
「鬼ごっこ?」
「つまり制限時間内に私たちから一人でも逃げ切ったら合格ってこと」
「鬼は私とフェイトちゃん、皆は逃げてね」
「「「「「・・・・・・・・・・」」」」」
いつも以上に怖い2人から全員は逃げ切れるかどうか自信がなかった。訓練開始前に新人4人+マヤの作戦会議が行われる。
(どうするの?なのはさんたち何か知らないけどマジよ)
ティアナはなのはたちの空気を読み取ってか、少し顔が青くなっている。
(どうしてだろ、さっきまでは機嫌良かったはずなんですけど)
エリオもいつもは見せないフェイトの表情に戸惑い、恐怖している。
(機嫌が悪くなった原因・・・・・)
キャロはう~んと唸りながら先ほどのことを思い出している。
(あ、マヤさんがデバイス受け取ったときなのはさんの表情が変わった気がするよ?)
(スバル、何でそんなこと分かるのよ)
ティアナはスバルの言葉に溜め息を付きながらもマヤのほうを見る。スバル・エリオ・キャロも釣られてマヤのほうを見た。
(え?僕が原因?)
(十中八九間違いないと思います)
マヤは驚いた表情をするが、ティアナは冷静に告げる。
(そういうわけで作戦はマヤさんをオトリにして私たちは逃げます)
(えぇ!?ちょ、ちょっと!それはあんまりだよ!)
(なのはさんたちがあぁなってしまったのはマヤさんの原因の確率が高いんです)
焦るマヤに冷静に状況を説明するティアナ。
(それならマヤさんを集中的に狙ってくるはず、それなら私たちは色々準備できます)
(ぼ、僕たち初対面だよね?)
(そうなんですけど、私、マヤさんと初めて会った気がしなくて)
(あ、それ私も~)
(僕もです)
(私も)
それはマヤの正体を勘付いているわけではなく感覚的なものなのだろう。
(無茶な作戦かもしれませんが、マヤさんがオトリになることで時間を稼げるんです。お願いします)
ティアナが頭を下げるのでマヤは何も言えなくなってしまう。
(分かったよ、とりあえず頑張ってみる)
そして、作戦が決まり訓練が始まった。
 
訓練開始から十数分後
「さぁ、後はマヤちゃんだけだね」
「覚悟はいいかな」
なのはとフェイトはマヤには目もくれずティアナ・スバル・エリオ・キャロを拘束・撃墜していた。
どうやらなのはとフェイトはマヤを最後にする予定だったようだ。
「・・・・・・・・」
青い顔をしたマヤの背中は冷や汗が流れまくっている。どう見てもなのはとフェイトが本気でこちらに仕掛けることが分かったのだ。
非殺傷設定になっていないんじゃないかと思うほどの気合という名の殺気がマヤに伝わってくる。
(何で?僕が一体何をしたって言うのさ!?)
マヤは心の中で叫んでしまう。理不尽すぎる。
「それじゃ、いくよ!レイジングハート!」
「バルディッシュ!」
『All right. My master.』
『Yes, sir』
「あぁ~、もう!やってやる!ルージュ、I.W.S.P.だ!」
『All right. I.W.S.P. Set up.』
マヤの背中に黒い翼と2つの砲台が現れ、両肩にも2つの砲門、腰には剣が2本、ガトリングが付いたコンバインシールドを持つ。
「キラ君が使っていたやつじゃない?」
なのはとフェイトはマヤのストライクに警戒する。10年前と同じ装備だったら対策はすぐに立てられたが今までに見たことがない。
マヤはコンバインシールドのガトリングで蒼の魔力弾を連射する。
 
なのはとフェイトは散開してそれを避ける。フェイトはすぐに回避を終えるとマヤに向かおうとする。
しかし、マヤはそれを先に読み、背中の砲台をフェイトへと向けていた。
『Fire.』
蒼い魔力がフェイトを飲み込む。しかし、フェイトはそれをしっかり防御魔法で受け止めていた。
フェイトは防御がすぐに間に合いホッとしていた。どうやら相手を侮っていたようだ。
「アクセルシューター・・・・・シューット!!」
なのははそんな中すぐにマヤに向かってピンクの魔力弾が20発発射される。
これにはティアナたちも驚いていた。訓練でなのはが20発を撃つことなどそうはないのだ。ましては初対面にいきなりなのだ。
マヤはそれを回避、撃ち落したり、時にはシールドを使い防御する。そして、なのはとの距離を詰めていく。
すぐにフェイトがハーケンフォームを構えて後ろから迫ってくるが、マヤは剣を抜くとすぐに後ろを見ずにバルディッシュを受け止める。
その間にアクセルシューターをもう一度放とうとするなのはに空いている手で太もも部分に下がっているアーマーシュナイダーを投げつける。
「っ!?」
すぐにそれをなのははレイジングハートで受け止める。
フェイトの次の斬撃はすぐに避けて距離を取る。2人同時に相手するのはかなり辛い。
 
その様子を新人たちは食い入るように見つめていた。
レベルが高い勝負になっている。仮にもキラ対なのは&フェイトの戦いだ。高くなって当然である。
しかし、そんな勝負をすることなどあまりないから新人たちにとっては物凄い戦いなのだ。
(これはこれでいいもんやな)
(そうですね)
はやてとリインⅡは念話で話す。
レベルの高い戦いを見ることで吸収できるものは大きい。こんな戦いは簡単には拝めるものではないのだ。
(しっかし、ここまで本気になるとはな~、なのはちゃんもフェイトちゃんも気付いとるんやろか?でも、もし私もそんなことなったら・・・・)
未だにマヤに全力全快とはいっていないものの本気で戦っている2人を見ながらはやては苦笑いをするしかなかった。自分もそうするかもと思ったからだった。
 
「見失っちゃったね」
「うん」
なのはとフェイトはマヤのトリッキーな攻撃に翻弄され、逃走を許してしまっていた。
しかし、あの攻撃パターンはどこかで覚えがあったはずだ。
そんなことを考えつつもなのはの視界に赤いバリアジャケットを捉えていた。
その距離はかなり離れている。
「フェイトちゃん、私にまかせて!」
なのははそういうと魔方陣を展開し、カートリッジをロードする。
『Divine buster, extension.』
「シューーーット!!」
ピンクの魔力の一閃がマヤを一直線に向かっていく。
 
「出た!ディバインバスター!」
スバルは嬉しそうにそれを見て声を上げる。
「あれは避けられないかも・・・・・」
「それはどうかな~」
ティアナがそう言うとはやてとリインⅡがニッコリと笑って言葉を返した。
「どういうことですか?」
「まぁ、見てのお楽しみやな」
「です」
 
『Caution. It approaches at a high speed.』
「分かってる、ディバインバスターだ。こっちも応戦する、ライトニング」
『All right. Lightning mode. Set up』
ルージュの背中の装備が変わり、背中からマヤの両サイドから大きな砲門が2つ現れる。
2つの砲門に魔力がすぐに集束していく。
「いけぇっ!」
『Fire.』
2つの蒼い魔力とピンクの魔力がぶつかり合い爆発が起きる。お互いの威力は互角だったため相殺する。
その光景には新人たちやフェイト、撃ったなのははさらにですら驚いていた。
(チャンス!)
マヤはライトニングのスピードを活かし、一気に距離を詰めるとフェイトにバインドをかける。
「しまった!」
フェイトはバインドを解こうとするが綿密に計算されたバインドのためか物凄く固い。
(あの短時間でこれほどのバインドの計算が出来るの?)
その計算力にはフェイトも舌を巻いていた。
 
またもやマヤの戦況に驚いてしまう新人たち。
なのはやフェイトがここまで苦戦するとは思わなかったのだ。
しかし、ここまで強いなら自分たちも名前くらいは知っているはずなのだがトキラ・マヤ何て名前は全然覚えがなかった。
「八神部隊長、彼女は何者なんですか?」
ティアナは真剣な顔ではやてを見つめる。どうやらティアナはマヤの戦いに感動しているようだ。
はやてはう~んと考えるとにっこり笑って答えた。
「ひ・み・つ♪」
そう言われティアナはポカンとした顔をしてしまう。はやては苦笑いをしながら上でなのはと一対一で戦うマヤを見ながら言った。
「まぁ、なのはちゃんもフェイトちゃんも油断しすぎた結果ってところやね~。本気のあの2人ならもっと戦えるはずやし」
もしかしたらはやてが言ったあのセリフの所為で少し集中仕切れていなかったのかもしれない。
そう考えながらも戦いは終盤へと入っていった。
 
「やるね、マヤちゃん」
「どうも」
なのはもマヤも鬼ごっこというのを忘れてしまっている。もう時間はとっくに過ぎているがそれに気付くものはいない。
というよりこの勝負を最後まで見たいと思ってしまうからだ。
片や管理局のエース・オブ・エースと呼ばれる人物、片や無名の魔導師が互角の戦いをしているのだ。
「そろそろ終わらせるよ、レイジングハート!」
「そうしてもらえると有り難いです、ルージュ!」
『『All right.』』
「レイジングハート、エクセリオンモード!」
「ドライブ!!」
『Ignition.』
「「ちょっ!」」
マヤとはやてはなのはの光景に絶句してしまう。何もそこまでしなくても、と思ってしまう2人だった。
「仕方ない。ルージュ、ガンバレル!」
『Gunbarrel mode. Set up.』
マヤの周りに四つの蒼い魔力の玉が出現する。マヤの手にはライフルとシールドが装備される。
「・・・・・・・勝てる気しないな」
 
さすがにルージュにはフルドライブは設定に入れていないためここでなのはと差が一気に開いてしまった。
しかし、ここまで来た以上負けるわけにもいかないのでマヤも半ば本気でいくつもりだ。
「いくよ!」
「負けない!」
なのはのアクセルシューターが連続で飛んでくるのをマヤはガンバレルで全てを撃ち落していく。
その間にもマヤはなのはとの距離を詰めながらライフルを連射する。砲撃の隙を与えてはならないのだ。
なのはには一瞬の隙を見せてしまえば命取りだということをマヤは良く知っている。
そのためなのはも自分の戦い方を相手に熟知されているようで戦いづらいはずなのだが、なのはも何故か相手の戦い方が読めるのだ。
会ったことのない人の先が読めることになのはは疑問を持った。自分はこの子と戦ったことがある?
違う、この戦い方を良く知っているのだ。
マヤの攻撃はどれも良く狙えている、急所を外し、訓練でも痛くないような場所を・・・・・。
それになのはは気付いた、この戦い方を。
「まさか・・・・マヤちゃんって・・・・・・」
(やばい!バレた!)
ガンバレルとはいえストライクフリーダムのドラグーンと似たような動きを見せればバレてしまう。
キラはそのことを失念していた。
「もしかして・・・・・」
(あぁ、これで皆に何て言われるんだろう)
そんなことを考えるとかなり鬱な気分になってしまう。
「キラ君に戦い方教わってたの?」
「はい、そうです。僕は・・・・・・って・・・・はい?」
「やっぱりそうなんだ。ふぅん、キラ君が・・・・そっか~、そんなに仲良かったんだ」
「あの・・・・・なのは・・・さん?」
「私には教えてくれないのにな~」
「そうだね、私もだよ」
その声はマヤの後ろから聞こえてきた。それはバインドで動きを封じたはずのフェイトだった。
(あ、あのバインド破ってきた!?)
マヤが綿密な計算をした上で作ったバインドが短時間で破られていることに戦慄した。
 
「えっと・・・・・・2人とも?落ち着いて・・・・・」
「いくよ、フェイトちゃん」
「うん、なのは」
「聞いてないし」
「エクセリオンバスター、バレル展開!中距離砲撃モード!」
『All right. Barrel shot.』
レイジングハートから放たれた衝撃波と不可視のバインドによりマヤの動きを止める。
「しまった!?」
一瞬の隙が命取り、分かったいたはずだったが捕まってしまった。
『Zamber form.』
カートリッジを二発消費。バルディッシュが変形し、魔力刃を持つ大剣へと姿を変わる。
振り上げた魔力刃が雷の魔力を帯び、フェイトの足元に魔方陣が展開する。
「疾風、迅雷!」
バルディッシュを横に振り、周りに雷の魔力が舞う。
そして、大きく振りかぶる。
「エクセリオン・・・・・」
「スプライト・・・・・」
「バスターーーーッ!」
「ザンバーーーーッ!」
「もう嫌だ~~~~~!!」
そして、マヤの絶叫と共にピンクの魔力と黄色のの魔力がぶつかり大きな爆発が起こった。
 
「なのはちゃん、フェイト、やりすぎや」
「にゃはははは、ごめんごめん」
「ご、ごめんなさい」
はやてに言われ、なのはは苦笑いをしながらフェイトはばつの悪そうにマヤに謝る。
どうやらなのはとフェイトはスッキリした顔をしていて機嫌は悪くないようだ。
(そりゃあ、機嫌悪い状態でエクセリオンバスターとスプライトザンバー撃てばスッキリするでしょうね)
マヤは溜め息を付きながらそんなことを思っていた。どうにか立てるがフラフラだ。今はスバルに肩を貸してもらっている
「あ、言い忘れるところやった。なのはちゃん、フェイトちゃんこっち来て」
そう言ってなのはとフェイトを呼んでコソコソと耳打ちを始めた。
「なのはちゃんもフェイトちゃんも勘違いしてるみたいやけどキラ君とマヤちゃんには何もあらへんで?」
その言葉にキョトンとした顔をする2人だが、次の瞬間には顔が真っ赤になってしまう。
「ち、ちちちち違うよ。別にそんなこと考えてないよ!」
「そうだよ、はやて。そっちこそ勘違いだよ!」
「そうか~?いつものなのはちゃんたちならもっとうまく訓練立ち回ってるはずやけど、何で出来へんかったんかな~?」
「「うっ!」」
そう言われると返す言葉がなくなってしまう2人にはやては笑いながら2人の肩に手を置く。
「まぁ、キラ君には黙っといてあげるな」
「「ううぅぅ~~っ!」」
恨みがましくはやてを見つめるなのはとフェイトだった。
 
その頃、マヤと新人たちは・・・・・・・。
「凄いです、マヤさん!」
ティアナが感激した様子でマヤを見ていた。他のメンバーも同じようにマヤを見つめていた。
「なのはさんとフェイトさんとあそこまで戦えるなんてビックリです」
「どうやったらあんなトリッキーに動けるんですか?」
「ちょ、ちょっと皆落ち着いて・・・・ね?」
マヤは苦笑いを浮かべているしかなかった。
 
「どうやった?マヤちゃん、訓練は」
そう言いながら廊下を歩くはやてにマヤは恨み言のように答える。
「物凄く疲れたんだけど・・・・・」
「まぁ、あれはキラ君にとって良いことを確認出来たんやないの?」
「何を?なのはとフェイトを怒らせたら怖いってことの再確認のつもり?」
そう言うマヤを見ながらはやてとリインⅡは溜め息を付いてしまう。
「あかん、やっぱり鈍すぎるわ」
「全くです」
「?」
マヤはその言葉に?マークを出すしかなかった。
 
「あ、シグナム、ヴィータ、シャマルや」
「・・・・・・・」
何でこういう時に人に会ってしまうのだろうとガッカリするマヤを余所にマヤの手を引きながらシグナムたちに駆け寄るはやて。
「主はやて、仕事はもう済んだのですか?」
「うん、マヤちゃんが手伝ってくれたんや」
「「「マヤちゃん?」」」
そう言いながら3人ははやての横にいるマヤを見る。
「「何をしてる(の)、キラ(君)」」
「えぇ!?こいつキラァ!?」
シグナムとシャマルにはすぐにバレ、ヴィータにもバレてしまう。気付いていなかったようだが・・・・・・。
「はやての罰ゲーム」
キラはそうポツリと言うとシグナムたちもどう言っていいのか分からない顔をしていた。
「その・・・・なんだ・・・・・・似合っているぞ?」
「そうね、可愛いわよ。キラ君」
「すげーな、キラ。全然分かんねーぞ」
「褒められても嬉しくないよ!!」
キラはシグナムたちに叫んでしまう。本当にこの姿で誰かに見られるのは嫌だったのだ。
しかし、シグナムとシャマルに何故バレたのかが気になった。なのはやフェイトすら見抜けなかった女装だ。気になってしまう。
「そういえば2人は何で、キラ君って分かったん?」
「リインも気になります」
自分から言うのはとてつもなく恥ずかしいのではやてが言ったことにはキラは感謝した。
「足運びや挙動がキラのものだったからですね」
そこまで見ているのはさすがだとキラは感心してしまう。
「じゃあ、シャマルは?」
「えっと、キラ君が女の子の格好をしたら可愛いだろうな~って前に考えた頃があって」
「・・・・・・・・・」
何とかは飼い主に似るとはよく言ったものだ。この場合、騎士は主に似るかな?リインもそうだったし・・・・・。
そんなことを考えてはやて、リインⅡとシャマルを見ると3人ともキラの視線に気付いたのか?マークを出していた。
 
「しかし・・・・・・」
シグナムはそう言いながらキラの顔をじっと見るといきなり頭を撫で始める。
「うわっ、な、何するのさ」
「いや、すまん、つい・・・・・な」
「シグナムったらキラ君が可愛いから頭が撫でたくなったのよ」
シャマルが笑いながらそんなことを言うとシグナムは顔を赤くして否定する。
「ば、馬鹿者。私がそんなことするはずなかろう」
「うふふ、どうかしら」
「シャマル、あんまりシグナムからかっちゃあかんよ?」
「あ、主はやて、あなたまで」
シグナムは慌てた様子ではやてのほうを見るがその様子ではごまかせないというものだ。
キラはというと・・・・・。
「おい、キラ。大丈夫か?」
「ううん、ちょっと凹む」
やはり可愛いと言われて嬉しいと思えない。男としては悲しいのだ。ガックリしているキラをヴィータがポンポンと背中を叩いてやっていた。
 
「プッ!」
それはシグナムたちと別れ、はやてに連れ回されているときだった。前から誰かが吹き出した声が聞こえた。
それはヴァイスだった。キラを見て口を押さえて笑うのを耐えている。
キラはそれを逸早く気付いたのか、デバイスを展開してヴァイスとの距離を一気に詰めるとアーマーシュナイダーをヴァイスの首筋に当てる。
はやての方向からは見えないようにしている。
「誰にも言うな」
可愛い声がかなり恐ろしいほどまでにドスの聞いた声になっていた。
「はい、分かりました」
ヴァイスは頭をコクコクと頷いて答えるしかなかった。それを確認するとキラはデバイスを元に戻す。
「しかし、キラお前なんでそんな格好してるんだ?」
「はやての罰ゲームで」
「それはご愁傷様。まぁ、がんばれ、似合ってるぞ?」
「ヴァイスは僕を怒らせたいの?」
「すまん、失言でした」
そんな会話をするとヴァイスは早々に退散していってしまった。
「何やヴァイスのやつもっとからかえばええのにおもろないな~」
「は・や・て?」
「あはは~、冗談や冗談」
キラに睨まれてはやては苦笑いをしながら答えていた。
 
「も、もう寮に帰ってもいいよね?」
「しゃーないな。でも、気をつけるんやで」
「え?」
「もしその姿で入ったところ見られたら『キラ・ヤマトが女を連れ込んでいる!』って話になるから」
「着替えさせて」
「それはあかん、今日1日の約束のはずやで・・・・・もし脱いだら・・・・・」
マヤは顔を青くしてしまう。どうやらはやては本気で言っているようだ。
しかし、見つからなければいい話なのだ。
「わ、分かったよ。これを脱がないでいればいいんだろ?」
「そういうことや、頑張ってなマヤちゃん」
楽しそうに笑うはやてにマヤは溜め息を付くしかなかった。
 
「右よし、左よし、後ろよし」
マヤはキラの部屋の前で左右を確認して人がいないこと、後ろにも人がいないことを確認する。
「今だ!」
そして、キラは誰にも会わない一番の安全圏に入ったはずだった。
「キラパパ~♪」
その声にキラは絶句してしまう。ヴィヴィオが部屋に入っていたのだった。
そのまま女装したキラに抱きつくヴィヴィオ、どうやらヴィヴィオにも正体がバレているようだ。子供は純粋だから見抜けるのだろう。
キラは苦笑いをしながらもヴィヴィオを抱きとめて抱っこする。
「?キラパパ、何で髪がながいの?」
「えっとね、ちょっと・・・・ね」
「?」
「キラパパ、何でなのはママとフェイトママと同じ服なの?」
「それもあの・・・・事情があるというか」
「?」
キラが言葉を濁し、ヴィヴィオは?マークをするが、すぐに笑ってキラに話かけてくる。
「キラパパ、ご本読んで」
「はいはい」
そう言ってキラは今日の残りの時間をヴィヴィオと過ごすことで潰していった。
ただし、なのはとフェイトが部屋に入ってこようとするの断固として拒否したが。
 
次の日・・・・・・・。
「キラ君、マヤちゃんって子と仲が良いみたいだね?」
「へ?」
そんなことを言われ、キラが振り向いた先にはなのはとフェイトがいた。随分と機嫌が悪い様子だった。
それは昨日の訓練時のなのはとフェイトのような感じだった。
「それに昨日会ってくれなかったし・・・・」
「いや・・・その・・・・・」
女装していたと言うわけにもいかず、キラはどう言えばいいのか困ってしまう。
黙ってしまうキラを見て、それをどう受け止めたのかなのはとフェイトはキラを引っ張って歩き出した。
「あの・・・・2人とも・・・・どこに?」
「「訓練場!!」」
その言葉に昨日の地獄が甦ってきてキラの体が震える。またあんなことをしないといけないのだろうか?
 
昨日、はやてに言われたことを思い出すが、なのはとフェイトは自分で確かめたかったのだ。
そして、案の定キラは困った顔をしていた。どう見ても怪しかった、目が泳いでいる。
はやての話が少し信じられなくなってきた。
「あのなのはにフェイト、訓練場で何をするの?」
「キラくん、私たちの戦い方の悪いところ教えて」
「へ?僕がなのはたちに教えられることなんて・・・・・」
「教えて、キラ」
物凄い形相でキラを睨むなのはとフェイトにキラはコクコクと頷いてしまう。
「あとキラくん」
「は、はい!」
「今度の休みは私たちと付き合ってね」
「え、あ・・・・・うん」
その言葉に疑問を持ちつつもキラは素直に頷く。別に予定があるわけでもないし、今はなのはたちの言うことを聞くべきだ。
(やだなぁ、私たち・・・・・・)
(うん)
今自分たちがやっているのは馬鹿なことだと思っている。しかし、どうしても我慢できなかった。
あのマヤって子は可愛いし、強いし、なのはとフェイトも嫉妬してしまった。
しかし、自分たちでもどうすればいいか分からない。だから、こんな行動を取ってしまう。
「あのさ、なのは、フェイト・・・・何か・・・・勘違いしてない?」
「「え?」」
キラの言葉になのはとフェイトはビックリした表情でキラを見る。
どう言ったらいいか悩んでしまうキラだが、仕方ないといった感じで溜め息を付く。
「あのマヤって子は・・・・・女装した・・・僕・・・なんだ」
「「え?・・・・・・・・えええぇぇぇぇぇぇぇっ!?」」
 
2人は素っ頓狂な声を上げてキラを目を見開いてみてしまう。
そして、キラは昨日あったことを全てなのはとフェイトに話した。
「そうだったんだ・・・・・私たちはてっきり・・・・」
「てっきり?」
「あ、ううん、何でもないよ」
なのははブンブンと首を振ってしまう。てっきりキラとマヤが特別な関係じゃないかと思ってしまって嫉妬したなんて言えるわけがない。
キラはそんななのはに?マークを浮かべてしまう。
「ともかく訓練場行くんでしょ?」
「「え?」」
「なのはたちが不機嫌だった理由は分からないけど僕がしてあげられることならしてあげたいし、もちろん明日も付き合うよ」
「「む」」
なのはとフェイトはキラの言葉に引っ掛かるところがあった。理由が分からない?ここまで彼が鈍感すぎるのはさすがにムカッときた。
その様子に気付いていないのかキラはニコニコしている。その顔が妙に癪に障る。自分たちがこんなにヤキモキしたのに・・・・・。
その後、キラは訓練にボロボロになるまで付き合わされ、休みにはキラが散々奢らされてなのはとフェイトは終始ご機嫌だったようだ。
 
そして・・・・・キラはまたはやての手伝いをしていた。
「キラ君、この前は大変みたいだったな~」
「あはは、まぁ、2人の機嫌が良くなってくれて良かったよ」
「でも、2人が羨ましいわ」
「何で?」
「なのはちゃんやフェイトちゃんみたいに素直になれたらな~って」
はやては少し寂しそうに微笑する。キラはそんな顔を見ると少しビックリしてしまう。
「・・・・・・・ねぇ、はやて今度の休みどこか行こうか」
「え?ほんまに?」
「なのはとフェイトにはこの前付き合ったけどはやて仕事だったし」
そう言って笑うキラをはやてはぼ~っと見つめる。僅かに頬が赤くなっている。
「私もなのはちゃんたちに負けてられへんな」
「え?」
「ううん、何でない。キラ君と私の休みが合うようにスケジュール、部隊長権限で変えなあかんな」
「はやて、それはダメでしょ」
そんなことを言いながら笑うキラを見ながらはやては決意する。まだまだ私も負けてられないと。