種死&リリカルなのはさん 単発SS集15

Last-modified: 2007-12-29 (土) 10:34:46

伊達と酔狂 ◆3NDcoAsIJo氏 2007/11/30(金) 23:02:42
決戦!機動六課

 

JS事件から数ヵ月後
「は~い、そこまで」
なのはの一声で訓練は終了し、整列した。
「じゃあ次はコレやるよ」
そう言ってなのはが指を指した瞬間何処からともなくエアホッケーの台が現われた。
「なのはさん?これって・・・」
ティアナが全員を代表して聞くと
「エアホッケーだよ?知っているでしょ?」
「そりゃ知っていますけど・・・何故?」
「たまにはこうやって息抜きみたいな事も大切でしょ?それにただのエアホッケーじゃあないよ。外壁に当たると不規則に跳ねたり
マレットやパックに魔力を込められるようにしてあるから、舐めてると痛い目に遭うから気をつけてね?」
「それならエアホッケーでなくても良いんじゃ・・・?」
「甘いよティアナ。エアホッケーは相手の一瞬の隙を狙ったり不規則に変化する動きに対応したり・・・etc
それらの観点よりエアホッケーは素晴らしい訓練なんだよ」
なのはが熱く『エアホッケー自論』を語りだしたので新人達は仕方なく納得したのであった。

 

しかしそれを聞いたキラとアスランは
((絶対嘘だな、何かしら理由付けして仕事中に自分達も息抜きしたいといったところか(な))
二人してそう考えたが隊長はなのはとフェイトなので何も言わなかった、寧ろ休む暇すら無いのだからたまには良いかと黙認してしまったのだ。
それが後々取り返しのつかないことになるとはこの時点で誰も知る由も無かった・・・

 

「それじゃあまず第一試合は副隊長のキラとアスランだよ」
フェイトの一言に二人は驚いた
「お、俺達も参加するのか?」
アスランの問いに
「当たり前でしょ?副隊長なんだから訓練を手伝うのは当然でしょ?なのはと私も参加するし」
(ヴィータとシグナムでも良いじゃん)
と思ったがいつの間にか消えていた。
仕方ないな、といった顔でキラは
「分かったよ。アスランも良いでしょ?ね?」
親友にそうまで言われたのでアスランも折れた。

 

「まず基本ルールを説明するね?今回はTFP2ルールを採用するよ。試合は7点先取でデュースは無し。
サーブは失点した方から、素手で止めたりは駄目だよ。パックが場外に飛んだ場合はファールとなり、やり直し。
どちらかの陣地に止まった場合はそのままインプレーとなるからね」
(ねえアスラン?TFP2ルールって何?)
(分からんな)
「あっ!どちらか一方がコスプレする必要は無いからね?」
(フレンドパ○ク2の事か)
「じゃあ早速やるよ」
こうして一回戦は始まった

 
 

試合は互いに点の取り合いで3対3まで進んだ。
「やるね、アスラン」
「お前こそ」
そんな最中
「お~、やってんな~見に来たで~」
「来たですよ~」
「遅れちゃいました」
はやてとリインとシャマルが現われた。
「はい、頼まれたもの」
そう言ってシャマルはなのはに何かの容器を渡した。
「言い忘れてたけど負けた方はシャマル先生特製の栄養満点で疲労回復などに役立つ「シャマル汁」をコップで一気飲みだからね」
(罰ゲームじゃん・・・)
それを聞いたキラとアスランは
(負けられん!!)
SEEDが発動。
そして一気に目で追うのが精一杯なハイレベルな試合展開になった。
「アァァァスラァァァァァン!!」
「キィィィラァァァ!!」

 
 

「あれが、ヤキンドゥーエを生き残ったパイロットの力かよ・・・」
シンは二人の試合を見てそう呟いた・・・

 

「くぅ、そこか!」
アスランはキラのショットを先読みしたが
(しまった、またか!)
「そこぉぉぉ!」
キラはわざと空振りをしてフェイクをし、アスランの体重移動が始まった瞬間を狙って逆サイドの外壁目掛けて打ち、
見事に得点をゲットし5対3と優勢になった。
「流石キラ君、相手の裏をついたナイスな判断」
「ああいうのも有りなんですか?なのはさん」
スバルの質問になのはは
「有りだよ。時間差で相手のリズムを崩したりする高度な心理戦の一つだよ」

 

(複雑な変化を与える外壁を狙って寸分違わないショットを打ってくるなんて・・・まさかあいつ俺の動きを完全に読んでいる、
なんて恐ろしい奴なんだ・・・しかしこのままでは負けてしまう・・・それだけは避けたい・・・こうなったら・・・)

 

「キラ、少し話しがあるんだ」
そう言ってアスランはパックをキラの真正面にゆっくりと放った。アスランの不可解な行動にキラは戸惑ったが、相手の出方が分からないので
取り合えずそのままキラもアスランの真正面に打ち返しそのままラリーを続けた。
「何かな?」
「この前の連休、お前はなのはとヴィヴィオの三人で翠屋に行ったそうだな」
「そうだけど・・・それが?」
「それと練習後にスバルとアイスを食べに行っているそうだな」
ピキッ
何処からか音が聞こえた様な気がしたキラだったがそのまま続けた。
「あと最近はかなり夜遅くまでティアナの練習に付き合ってるそうだな」
ビキビキッ
「さらに俺達に隠れてフェイトと一緒に泊りがけで何処かに行ったらしいな」
キュピーン!
後ろから刺すような視線で冷や汗ダラダラになりながらキラは
「あれは極秘任務で誰にも話すなって・・・何でアスランがそのこと知ってるのさ!?」

 

「そんなことラクスが聞いたらどうなるだろうな?」

 

ビクッ!
キラはその場に固まりアスランに得点を許してしまった。
「ア、ア、アスラン、今ラクスは関係無いんじゃ?」
キラは生命の危機を感じながらアスランに訴えた。
(すまないキラ、だが俺もこんな所で負けるわけにはいかないんだ!)
(このまま長期戦になるのは何かとマズイ。ならこっちだって)

 

「アスラン、そういう君だって」
キラもアスラン同様普通のショットを放った。
「な、何だ?」
アスランは嫌な予感がしたので、ラリーを続けずさっさと終わらせようと本気で打ち返した、
がキラは難なく打ち返してきた。
「カガリにプロポーズしたり、メイリンって子をザフトから連れ出したり一体何がしたいの?」
ゴゴゴゴゴッ
「ひぃ!はやてちゃんが鬼の形相に」
「キラ!人聞きの悪いことを言うな・・・あ゛っ!」

 

こうして激戦の末遂にキラが勝利した。

「キラ君おめでとう。勝者にはご褒美が必要だね」
そう言ってなのははレストリクトロックでキラを拘束した。そしていつの間にかなのは、フェイト、スバル、ティアナが
デバイス片手に笑顔で立っていた。
「キラ君、ちょっと(の間)だけ(死ぬ程)痛いの我慢出来る?」
「あの~、せめてバリアジャケットだけでも・・・」

 

「全力全壊!スターライト・・・」「雷光一閃!プラズマザンバー・・・」「一撃必倒!ディバイ~ン・・・」「ファントム!」
「「ブレイカー!!」」「バスター!!」「ブレイザー!!」

 
 

――これは流石に駄目かな・・・
キラの意識は途切れた。

 
 

「惜しかったな~アスラン、まぁこれでもググッと飲んで」
そう言ってorz状態のアスランにはやては声をかけた。アスランは顔を上げるとそこには
シャマル汁入り大ジョッキを持った笑顔のはやてがいた。
「はやて、確かコップ一杯の筈なんだが・・・」
「男なら細かいこと言わんと一気一気」
そう言って無理やりアスランに飲ませたのであった・・・
そしてアスランは天昇した・・・

 

それから台を二台にして試合を同時進行したが、
「フェイトちゃん、私達に隠れて二人で泊まった話聞かせて欲しいな?拒否権はないよ」
「なのはこそ、ヴィヴィオ連れて実家に行くとかどう考えても両親への挨拶だよ?」
「お父さん達キラ君なら任せられるって言ってくれてたし・・・」
「私なんか同じベットで寝たよ!」
「それなら私だって一緒に寝たもん!・・・ヴィヴィオと三人だったけど・・・」

 
 

「スバル、アンタ訓練終わった後私達と帰らなかったのはアイス目的?それともキラさん目的?」」
「両方!」
「どっちかにしなさいよ!」
「じゃあキラさん!」
「駄目!」
「そういうティアだって毎晩嬉しそうに自主連行くじゃん!」
「うっさい!!」

 
 

なのはVSフェイト、スバルVSティアナがあまりにも
白熱したため台が壊れ、結局そのままその日の訓練は終了した。

 
 
 

キラとアスランは医務室に運ばれいてベットに寝かされていた。シンとエリオは見舞いに来たが二人の様子を見て、
六課の女性陣の本当の恐ろしさの片鱗を垣間見た気がした。
「アンタら日常生活少しは自重しろよ、特にキラさん。翠屋ってなのは隊長の実家だろ?本当に何考えてるんだよ」
「なのはがヴィヴィオを連れてどうしても行きたいって言うから、で店に入ってなのはのお母さんと話していたら
何故かお父さんとお兄さんにいきなり斬りつけられて大変だったよ」
「・・・・・・・」
流石高町家は一風変わってるなと思うシンであった。
「アスランさんは・・・まだ駄目そうですね」
エリオはアスランの方を見たがベットの上でうなされていた。
「それで試合はそれからどうなったの?」
キラはナイフで林檎を剥いているシンに問いかけた。
「なのはさんやフェイトさん達が台ぶっ壊したから終わりましたよ。おかげであんなのと勝負しなくて済んでマジで助かったけど・・・
明日から大丈夫なのか?喧嘩になったりとか」
「何かフェイトさんは帰る時、負けずに頑張ろ、って張り切ってましたよ」
「・・・そうなんだ・・・ハハ・・・はぁ・・・」
キラは途方に暮れた。

 
 

次の日から女性陣のアタックは苛烈を極めたという・・・

 
 

伊達と酔狂 ◆3NDcoAsIJo氏 2007/12/02(日) 23:01:33
ある日のキラ・ヤマト

 

フェイトの場合

 

その日キラはクロノから緊急の相談を受けた。
「すまないがキラ、君に頼みたいことがあるんだ。とある場所でロストロギアが発見されてだな…
君にその調査を依頼したいんだ」
クロノが普段とは少し違う様子だったのでキラは
「わかりました。僕に出来ることならお手伝いします」
それを聞いたクロノは安堵した表情で続けた
「実はコレは極秘任務でな…他言無用で頼む。例えなのは達であろうと話してはいけない、いいな!」
「は、はい」
キラはクロノの気迫に押されて返事をした、それほど今回の任務は重要なのだろうと身構えた。
「あ~それと今回は少数精鋭ということで君とフェイトの二人だけだから、詳細はフェイトから聞いてくれ
じゃあ頼んだぞ」
そういって通信は切れた。

 
 

「ふぅ~」
クロノは大仕事を終えたといった表情だった。
「色々大変だね、クロノ君」
「何時からいたんだ、ヴェロッサ?」
「ん~?君が通信を始めたくらいかな?」
「最初からかよ…」
そういってロッサはクロノの見ていた資料に目を通した。
「しかしこのロストロギアはそれほど大変な代物じゃないだろ?それなのに君の義妹と彼を駆り出すなんて…」
「実はな…」
それは数日前…
クロノは仕事中にフェイトから通信を受けた
「久しぶりだね?お兄ちゃん」
「仕事中にお兄ちゃんは止めてくれ…でなんだ?」
「実は頼みたいことがあってね、ある場所でロストロギアが見つかったんだって、それでその調査を機動六課に依頼して欲しいんだ。
クロノの権限で私とキラに」
クロノはフェイトの言っていることが理解できなかった。
「それなら周辺の部隊に任せればいいだろう、わざわざお前達が出るほどの危険な物ではないから…」
「クロノ最近同僚の人たちとキャバクラにいったんだってね?エイミィがそんなこと聞いたら…」
そこまで聞いたクロノは家庭崩壊の危機を察知して
「よぉし!お兄ちゃんに任せろ!」
そして今に至った。

 

「一体何でフェイトがそんなこと知ってるんだ…」
それを聞いたロッサは
「あ~、それなら僕が。たまたま彼女に会ってね、面白い話として話したんだよ」
「お前かよ…」
友人はちゃんと選ぼうと思ったクロノであった…

 

キラは取り合えず任務の内容を聞くためにフェイトを訪ねた。
「フェイト、さっき君のお兄さんから連絡があって…」
それを聞いたフェイトはキラを引っ張って自室まで連れてきた。
「ちょ、ちょっとフェイト。どうしたのさ」
「キラ、コレは極秘任務だから誰にも聞かれちゃ駄目なんだよ?(特になのは達には)」
そう言ってフェイトはキラに任務の内容を伝えた。

 

それからさらに数日後
任務はあっという間に終わった(そもそも普通の局員で充分な内容の任務だったので)がもう日が暮れてだいぶ遅かったので
手配してあったホテルに泊まることにしたのだが
「ゴメンねキラ、ホテルが『何故か』一部屋しか取れてなくて」(勿論フェイトの計画)
「仕方ないよ、僕はソファーで寝るからフェイトはベット使ってよ」
そう言ってキラはソファーで寝る準備をしたが、
「駄目だよキラ、キラだって疲れてるんだし…一緒に寝るべきだと思うよ!」
フェイトの発言にキラは固まったが
「いやそれはまずいでしょ?」
と反論した。
「大丈夫だよ、ベット結構広いし。私は気にしないよ?(寧ろ大歓迎)」
フェイトにそう言われて渋々キラは了承したのであった。
「じゃあ私先にシャワー浴びてくるね」

 
 

(ふふふ、とうとうキラと…)
しかしシャワーを終えて出てきたらキラは既にベットに横になっていた。最近激務が続いていたのでその疲れが出たのであろう。
「……」
フェイトは絶句した。何だか腹立たしくもなってきたがキラの寝顔を見たら起こすのも悪い気がしたのでそのままにしておいた。
(キラの寝顔可愛い、頬っぺたフニフニしちゃえ)
しかしそこでフェイトは
「そうだ!一緒に寝たっていう既成事実♪」
極力薄着でそのままキラに抱きつく形で眠りについた。

 
 

次の日の朝、キラの目に最初に飛び込んできたのはTシャツと下着だけで自分の横に寝ているのフェイトだった。
「!!!」
(あれ?昨晩の記憶が無いぞ、夕食で多少アルコールを飲んだが酔うほど飲んでいない…確かフェイトがシャワーを浴びにいってそれから…)
キラは記憶の糸を手繰り寄せたが何も思い出せなかった。
「ん?ん~~」
フェイトが目を覚ました。キラは
「お、おはようフェイト。あの~このことなんだけど…」
キラはフェイトに恐る恐る聞いてみたが
「ん~、ひどいよキラ(先に寝てるんだもん)」
まだ寝ぼけているのだろう。一番大事な部分を抜かし舌足らずな喋りだった。
それを聞いたキラは
(ひどいって…僕はなんて事を…)
盛大に勘違いしていた。
(まずリンディ提督に挨拶に行かなくちゃな、それとクロノ提督もか…手強そうだな…)

 

その後キラがこの勘違いに気付くまで結構な時間を要した。フェイトから何も無かったと聞いたキラはガッツポーズをして喜んだそうな…

 

なのはの場合

 

「キラ君、今度の連休何か予定ある?」
JS事件からしばらく経ったある日、なのはは唐突にキラに質問した。
「いや、特に予定は無いけど…」
それを聞いたなのはは心の中で歓喜したが、平然を装って
「そうなの?それじゃあ今度ヴィヴィオと一緒に出掛けようと思うんだけど一緒にどうかな?」
キラは少し考えて
「遠慮しておくよ、親子水入らずで楽しんできなよ」
なのはにとってこの返答は予想の範囲にであった。なのでヴィヴィオに合図を送った。
(ほらヴィヴィオ、さっき練習したとおりにね)
「キラパパも一緒に行こうよ~」
キラはヴィヴィオに甘い事をなのはは承知していた。だからそれを逆手に取った作戦だった。
「ん~、じゃあヴィヴィオがそういうならご一緒しようかな」
「「やった~」」
なのはとヴィヴィオは手を取り合って喜んだ。
「それで何処に行くの?」
「翠屋」
キラはよく分からないといって顔だったので付け加えた
「私の実家だよ」
キラはそれを聞いた瞬間何か嫌な予感がした…

 

そして当日…キラとなのははヴィヴィオと手を繋いで海鳴市商店街を歩いていた。
「ここが私の生まれた場所なんだ」
ヴィヴィオは珍しそうにキョロキョロと周りを見渡していた。それを見たキラは微笑ましく思いながら
「うん、凄くいい感じの所だね。周りに自然も多いし」
そう言われてなのはは素直に嬉しかった。

 

「さ、着いたよ」
翠屋に三人は入っていった。丁度客があまりいない時間帯みたいだった。
「いらっしゃいませ…」
なのはの母である桃子は急な来客に驚いた。
「なのは~」
そう言ってなのはに抱きついた。そして隣にいる青年と女の子に気付いた。
「なのは、こちらの方は?」
「キラ・ヤマトです。ほらヴィヴィオもちゃんとご挨拶しないと」
キラにそう言われ
「はじめまして、高町ヴィヴィオです」
「高…町?」
桃子が混乱しているとそこへ何処からともなく父親の士郎と、たまたまドイツから帰ってきた兄の恭也が
いきなり斬りかかってきた。
「「貴様よくもなのはを~!」」
「いや僕は何も…」
「「問答無用!」」
「御神流奥義之陸“薙旋”」
「御神流斬式奥義乃極“閃”」
キラはそれらのバケモノじみた攻撃を間一髪で全部避けた。
「な、何!?」
恭也はキラの動きに驚いた
(この動き只者じゃない)
第二撃を叩き込もうとした二人はなのはの説得で取り合えず刀を収めた。

 

それから取り合えず全員でテーブルにつき、一番最初に口を開けたのが一家の大黒柱の士郎だった。
「それで君はうちのなのはとは一体どんな関係なのかね?」
「えっと、なのはさんの同僚です…」
「それでその子は?」
何かヤバイ空気だったのでなのはが口を開いた。
「ヴィヴィオは私が引き取って養女にしたんだ」
なのははヴィヴィオについて士郎たちに説明した。あとキラとの関係も『凄く』仲の良いお友達と説明しておいた。
その後桃子の提案でキラとヴィヴィオを夕飯をご馳走になった。そして完全に酔った士郎はキラに
「キラ君!なのはの事頼むよ。この娘は危なっかしくって」
「お父さん!もう…」
「ヴィヴィオちゃんも美味しい?」
「うん!美味しい」
桃子はヴィヴィオを気に入り可愛がっていた。

 

そして夜も遅くなってきたのでキラは
「じゃあヴィヴィオはなのはの部屋で泊まって、僕はホテルにでも泊まるから」
しかしそれを聞いたなのはは
「キラ君も泊まっていきなよ」
「そうだな、俺の部屋に泊まっていけば…」
恭也の発言を遮ってなのはは続けた
「ヴィヴィオもキラ君と一緒に寝たいよね~?」
「キラパパと寝た~い」
「「へ?」」
その場の全員が固まった。そしてキラは
「なのは…流石にそれはちょっと…」
「そうだぞ、なのは」
士郎も止めに入ったが
「キラパパ、ヴィヴィオと一緒に寝るの嫌なの?」
ヴィヴィオは泣きそうな顔だった。それを見たキラは
「ぐっ」
(計画通りなの)
なのはは心の中でほくそ笑んだ。
ガシッ
「キラ君、なのはの事くれぐれも頼んだよ」
「ハ、ハイ。オマカセクダサイ」
キラは観念して一緒に寝ることにした。
(前にもフェイトとこんな風に寝たような…デジャヴ?)

 

「なのはさん?ちょっと三人で寝るにはベットが小さいのではないでしょうか?」
キラはベットを見た感想を率直に口にした。
「大丈夫だよ、皆で引っ付いて寝れば。さ、ヴィヴィオ。そろそろ寝ようか」
「キラパパこっち~」
ヴィヴィオは自分の隣をポンポンと叩いてキラを招いた。
「うん…ヴィヴィオ今行くね」
三人は仲良くベットに入った。
こうして夜は明けていった…

 

次の日の朝、朝食をご馳走になって昼前にミッドに帰る事にした。
別れ際に桃子は
「キラ君とヴィヴィオちゃん、また遊びに着てね」
士郎と恭也は
「「なのはの事頼んだよ」」
キラの肩を二人でガッシリと掴んで言った。
「マカセテクダサイ」
何故か片言で答えた

 

こうしてキラの連休は終わったのであった…

 
 

神隠し氏 2007/12/03(月) 12:26:10
機動六課男性陣緊急任務この状況を打開せよ!

 

ほの暗い空間。
そこには幼い子供一人がすっぽり入りそうな白い器が6つあった。
その対面側には個室が4つ。
ドアには金具がついていて、そこには使用中の文字。
4つのうち3つの個室に表示されていた。
「なぁ…キラさん、エリオ。」
「なに?」
「なんですか?」
個室の中、ズボンとトランクスを下げ、形は違えどこれまた外にあったような白い器に腰をかけているレン。
「紙…ねぇか?」
ドジャァァァアア
エリオの個室から聞こえる激しい流水の音。
やがて流水は勢いを失い、小川が流れるような穏やかで優しい音色へと変わっていった。
「ないね。」
「ないです…。」
シンは絶望した。
「シグナムさんが作ったって聞いたときから嫌な予感がしたけどなぁ。」
自分の個室、トイレットペーパーの芯を見つめながらキラは自虐的に笑った。
無論、シン同様ズボンとトランクスを下ろし便座に座っていた。
「味もさながら、まさかお腹を下すなんて……思いませんでした。」
カラカラカラカラと芯を持て遊びながら苦しそうにエリオ。
「しかし、何だなぁ…誰か紙持ってきてくれないかな?」
小窓から差し込む淡く、蒼い一縷の月光が個室で背を丸め座るシンの背中を照らし出す。
「残念ながら、もう皆就寝の時間だね。時計をみてごらんよ。」
隣の個室から聞こえるくぐもったキラの言葉に自分の腕時計を見てみれば深夜を回っていた。
「打つ手ないですね…。
まぁ幸い、用を足すのに不自由はしないわけだし…。
個室は個室でもトイレで良かったですね。」
「けどよ、エリオ。
今は12月も半、さっきから実は気温が氷点下なんだぞ?」
「このままだと僕たち……下半身を晒したまま凍死だね……。」
自分たちの憐れな姿を想像し、他局員、特になのは、フェイト、はやての嘲笑う姿が浮かぶ。
「「「嫌だぁぁぁああ!!!」」」
それぞれの個室で頭を抱え込む三人。
と、その時、シンの個室でピピッと発信音。
空間にモニターが開き
『シン、今どこにいるの?明日はお休みだし、久しぶりにお話しようよ。』
優しい声。
「うげっ、フェイト!」
シンは慌ててキーパネルを操作し、モニターをサウンドのみに切り替える。
「な、何だぁ?フェイト?何かようか?」
『ちょっと、何で音だけにするの?』
「いや、それにはその…深い事情があって…。
それでお話がどうしたって?」

 

機動六課隊舎、シン部屋前。
「どうしたの?フェイトちゃん。」
「なのは、いや、ちょっとね。何か通信を音限定にされちゃってね。
いつもは映像通信なのに…。」
「私に…まかせて。」
なのははスラッと長い指を持つ手で付近の空間を撫ぜた。
複数のモニターとキーパネルが出現する。
「さて、いくよ。」
十本の長い指がキーパネルの上を優雅にして滑らかに、しかし早く、それでいて正確に踊り始めた。

 

「ッ!?」
シンは異変に気付いた。
画面には赤い文字でアラートと警告表示。
「マジかよ、ハッキング!?」
「どうしたんです?シンさん?」
「まずい、このままだと俺たちがいる位置がばれっちまう!!」
シンはキーパネルに指を走らせ対抗。
自分の端末へのアクセスパスワードを書き換えていく。
カタカタカタカタカタカタ……
「くっ!!!」
リアルタイムで複雑に書き換えていくシン。しかし、なのははあとをぴったりと張り付いてくる。

 

「ハッキングか、そういうことなら、シン!それは僕にまかせて!!!」
キラは再び水洗レバーを引きトイレの水を流し、空間を撫で、モニター、及びキーを出現させると猛烈な勢いで叩き始めた。
荒々しくも正確に絶えず動き続ける十指。
「シンさん、キラさん、こっちからも仕掛けます!」
持てる全てのテクを使い、無駄のない動きでエリオも打ち込み始めた。

 

「う~、やるねぇ~、キラ君かな?でも、私にアクセスしようとしてるラインが二本。
キラと……エリオかな?つまり……今シンを含めた三人は一緒にいるってことだね。
でもさすがに二人相手はきついなぁ。」
額に滲むを拭っていると、
「何しとるんや?二人とも…。」
買い物袋を下げたはやてが通りかかった。
「はやてちゃん、それがモニター通信でシンが映像だしてくれないそうで…」
「まぁ、プライベートがあるわけやし……」
「も、もしかすると局員同士のふ、不純異又は同性交遊かも……」
鼻息も荒くフェイト。
カタカタガタガタとキーを叩く二人を遠巻きに見ながらはやてがモニター、パネルを開く。
「それはあかんなぁ…」
舌舐めずりするはやて。
「部隊長として、部下はちゃんと管理せな…。
要は三人がいる位置を特定できればえぇんやろ?」
はやては軌道上のクロノに連絡、適当な理由をつけて六課建物全域に魔力探査をかけた。
「位置特定、空間シュミレーターの南、ここは……えと…トイレにいるみたいやね。」
はやての発言に
「三人とも…」
「意外と…」
なのはとフェイトが口を開く。
「マニアックやね…。」

 

「しまった!!!」
「「どうした(んですか)、キラさん!」」
「位置特定されたっぽい、なのは、フェイト、はやてがこっちに向かってきてる!!」
いつのまに増えたのか、キラが別に用意したモニターに三人が空間シュミレーターへと向かってくる様子が映し出されている。

 

「でも、一体どうやって……まさか、広域探査!?」
エリオが口ばしった。
「クロノ……上か!!!ッんは!?」
見えるわけでもないのに思わずトイレの薄汚れた天井を見上げ、シンは固まった。
「…変な声だして、どうしたの、シン…、」
「また腹痛ですか?」
「個室の天井付近見てみろよ…。」
キラ「こ…こんな…。」
エリオ「……え~ッ!?」
「「「トイレットペーバー………あるじゃないか。」」」
粗雑に作られた簡素な棚の上に12ロールのトイレットペーパーが備えられていた。
「「「ド畜生!!!!!!」」」
(完)