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第19話〜俺と僕〜

Last-modified: 2013-04-22 (月) 18:40:49

よく見たらスカイグラスパーが2機……カガリも出撃してるの? おまけに強いよ! 
どっちがカガリかムウさんか判別できない。
「アークエンジェル、領海に入ってくる気配ありませんが、どうします?」
「う~ん、入ってくると思ってたけど……このままじゃ、本当にやられそう……」
「そうですね。時間の問題かと」
確か、カガリがオーブ領に入れって命令したんだよな……じゃあ、このまま見ててもアークエンジェル
入ってこないね。ホントに無駄に頑張って、迷惑な身内だな……
でも、今回の出撃の裏の目的は、アスランたち相手に実戦を経験したいってのと、戦闘データ満載の
アークエンジェルの捕獲。あと個人的な希望でフレイと……
だから、このままアークエンジェルを沈めるわけにはいかない。
「しょうがない。もう入ったって事にしちゃって下さい。宣言よろしくお願いします」
「い、いいんですか?」
「構いませんよ。人員は傷つけずに落とします。船体に関しては、どうせ修理しなきゃいけないし、
 そうすれば、文句は言わないでしょ。それにザフトを攻撃するわけじゃ無いから、ザフトから
 領海外で攻撃を受けたとは言われませんよ」
「ですが、それでは肝心のザフトとの戦闘は?」
「アークエンジェルを落すときに、領海内に着水するようにします。そうすれば多分ですが、
 追ってきます」
「そうでしょうか?」
「彼等だって、アークエンジェルとオーブの関係は疑ってます。完全に撃墜したと確認をするまで
 引き下がらないかと……それに因縁の相手でしょうから自分の手でって思うんじゃ?」
特にイザークはそう考えるはず。
「なるほど、分かりました」
さてと……強引な宣言をしてもらって、後は僕が上手くやれば……
「シン・アスカ、M1、行きます!」
心の中でミーティアのメロディーが流れ出す。うん。絶好調。近付いてくるアークエンジェル。
その上にはストライクが……さてと、もうすぐ射程距離だよ。
「フッ、見せてもらうよ。昔の僕の力を」
お? 撃ってきた撃ってきた。でも余裕で避けちゃう♪……あれ? 何かさ……撃ち方が上手い?
正確に言えば艦砲射撃を避ける動きを狙って撃ってる? それも無意識の行動に感じる。
「なんで、こんなベテランみたいな?」
……考えていてもしょうがないや。それよりこっちから攻撃。
お? シールドで受けた。感心だね。避けたらアークエンジェルが傷付くって分かってるじゃない。
でも、何時までもシールドは持たない……
「ちょっ?」
ビームサーベルで弾いた? この頃の僕にそんな技能……って、シールド投げるな! 
そんなシンみたいな…撃ってきた?……これって?
「させない!」
頭がクリアーに……弾けた。
とっさに身体が動いた。シールドを使ったトラップ攻撃。シンと戦った経験が役にたった。
「強い……」
凄いぞ僕。格好良いぞ僕……じゃ無く、変じゃない?
「あ?」
アークエンジェルが舵を切ってる……このままじゃオーブ領海に落せない。
「僕との戦いに夢中になってる場合じゃ無い!」
アークエンジェルの下方に回り込み、一気に後方へ突き抜ける。バ、バランスが……
なんとか突破……さて、上手くタイミングを合わせて…………………………ここだ!
ビームライフルでエンジンを破壊。ゆっくりと高度を下げるアークエンジェル……
ばっちり♪ これで、着水したときは言い逃れのしようが無いほど完璧なオーブ領。
ふう……良い仕事した。帰ったらマユちゃんに褒めてもらって、アークエンジェルに居るフレイに……
「え!」
アークエンジェルの高度が下がり、僕と同じくらいになった時……いきなりストライクが飛び出した。
「くっ!」
……危なかった! 右腕だけで助かった!……だけど、まだ油断は出来ない。
左手にビームサーベルを持ってエールパックを壊す。これで……え? 推力が落ちてる?
さっきの攻撃でシュライクもやられていた?
……落ちちゃった………向うもだけど、海上じゃ動きが取れない……何かライオンと一緒に川に
落ちた気分……うわっ! こっちの隙を伺ってる。何で僕がこんなに好戦的になったんだよ?
ん? イージスが突っ込んできた!? なに考えて!?
「キィィィラァァァァァァ! 今、助けるぞぉぉ!」
…………深く考えちゃダメだ。
続いて、他の3機も……まあ、これは助かった。これで当初の目的が達成できる。
訓練通り、3機で1機のGに当たってる。
まずはバスターのPSダウン。大丈夫かな? デュエルを残すなと言っておいたけど……イザークだと
ムキになって向かってくる可能性が……次に落ちそうなのは……
「キ、キラ……だ…い…じょ…う…ぶ…か?」
君の方こそ大丈夫? 色んな意味で。ハッキリ言って変だよ。
で、思った通りイージスが落ちた。次に落ちるのは…………デュエルでした。
助かった。凄いドキドキした。
そして、M1部隊がブリッツとストライクに別れて、銃を向ける。
ストライクには……アサギさんだ。彼女は容赦ないから気を付けてね。変な動きしたら死ぬから。
「さあ、速やかにオーブの領海から引け!」
そこで馬場さんが再度の警告。ブリッツのパイロットは会う前に僕が殺しちゃったから知らないけど、
聞く限りでは思慮深い人だったらしいし……
「分かりました! こちらも、これ以上は逆らいません!」
「よし! 投降しろとは言わん! 大人しく去れ!」
「分かりました。ですが、仲間を助けてもよろしいでしょうか?」
「無論だ。我等は領海に侵入したから追い払っただけ。貴官らを殺す気は無い」
「ありがとうございます。ですが、もう1つお願いが?」
「なんだ?」
「あの船を、こちらに引き渡していただきたいのですが」
う~ん……こんな人だったんだね。冷静に状況を見ながら少しでも有利に事を運ぼうとしてる。
ごめんね。色んな人。特に御両親とバルトフェルドさん。……彼の損失は痛かったよ。
彼が生きてたら、ネオザフトにとっても有益だったに違いない…………アスランと引き換えにして
良い命じゃ無かった。
「残念だが、それは出来んな。それでは我等がザフトに加担した事になるでは無いか」
「そうでしょうか? 戦況は僕たちが圧倒的に優位でした。その艦が貴国の領海に入らなければ、
 間違いなく撃墜していました。もっとも、本当にその艦が領海に入ったとは見えませんでしたが?」
「それでは、貴官は我が軍が連合に戦争を仕掛けたように見えたかな?」
「いいえ。どちらかと言えば守ったように……そもそも、貴国はその艦をどうする気で?」
す、鋭いよ! うん。実は僕がアークエンジェルは捕えたいって言ってたんだ。
だから、君の言うとおり、守ったんだよ。
「どうもこうも、見ての通り、この艦は自力では動けまい。ならば武装解除させた上で、クルーを拘束。
 後に艦は破壊、クルーは連合に引き取らせる」
「…………どう考えても、ザフトにとっては面白く無い話ですね」
「それは分からんでもないが…ここで彼等を引き渡す方が中立から外れている事くらい分かるだろ?」
「………まあ、中立に関しては疑問が無いでもありませんが、一介の軍人である僕が口出しする
 問題ではありませんし、そちらの言い分、理解できます……」
おお? 冷静だ。ここでイザークだったら、なにが中立だキシャマァ~!って叫ぶよ。
軍人の分を外れ、無理に拗れた話にしない。凄いよニコル。
「残念ですが、引き下がります。それでは貴国が中立国としての立場を守ってくれると信じてます」
「………分かった」
痛い、痛いこと言ってくる。実際は真っ黒だよね。オーブって。
そして、ニコルは動けない3機を助けて……何故かイージスに触れるのを躊躇ってる?
あれ? ニコルってアスランと仲が良かったって聞いてたけど?
変だな?…アスランと仲が悪くなったって事……じゃあ、唯一の欠点が無くなったって事じゃ?
話を聞く限り、アスランを尊敬さえしてなければ、何の欠点も無い人物だったんだし。
それって完璧超人じゃない……あ、何か嫌そうにイージスをグゥルに乗せた。
そして、去って行くザフと軍……後は……
「教官……如何なさいます?」
そして、ストライクを取り囲んでいたアサギさんたちから……さっきからストライクが僕の隙を
伺っていることは気付いていた。
あのね。僕は君を助けてあげたんだよ。
それなのに、そんな態度とって……お仕置きが必要だね。
「壊さない程度に」
「了解!」
一斉に火を噴くM1部隊のガトリング砲。
ストライクが成すすべも無くもがいてる……
う~ん。悲惨だな…………あ、PSがダウンした。
「アークエンジェルに告ぐ、全武装を解除せよ!」
そして、馬場さんが通告。これにてミッションコンプリート♪

第19話~~俺と僕

し、死ぬかと思った。アークエンジェルの格納庫に戻った俺はぐったりとストライクを降りた。
ガトリング砲の雨を浴びながら、急激に減っていくバッテリー、コクピットの振動……怖かった。
「キラ! 大丈夫!?」
「ああ、なんとか」
フレイが慌てて近付いてきた……このまま抱きついてきたり…
「ボウズ! 無事か!」
…………もう良いよ。このパターン……
「はいはい。大丈夫ですよ」
「なんか不機嫌だな……まあ、やられたことは気にすんな。お前さんだって負けることくらいあるさ」
………マジでムカつく。
「それにしても、トンでもない国だな。何だよ、あのMS?」
少佐が、アークエンジェルの格納庫で仁王立ちする3機のM1を見ながら、呆れたように呟く。
それには同感。色々とおかしい。
「ねえ、私たちどうなるの?」
「さあ? でも、沈められなかったし、これから交渉だろ? カガリが居るから話は聞いてくれると
 思いたいな」
「そうよね……」
「おいおい、2人とも、そんな暗い顔すんな。大丈夫さ」
そう言われても、気分は晴れない。
フェイズシフトがダウンするまで砲撃を受け、その後動けなくなった俺は、M1の手でアークエンジェル
の格納庫に運ばれた。
オーブ軍がその気なら、俺達は今頃、こうして話す事も出来はしなかっただろう。
そして、今もM1が格納庫で睨みを効かせている。決して友軍では無い部隊を艦内に入れている状況。
「情けない……」
「ん? コクピットが…」
その時、M1のコクピットが開き、パイロットが現れた。
そして、ヘルメットをとると……
「お、女!?」
「話はついたようだ。これからオーブに案内する……よろしくな少年」

アークエンジェルはオーブ艦隊に牽引され、モルゲンレーテのドッグへと運ばれた。
そして、俺達は艦を降り、モルゲンレーテの一区画での生活を余儀されなくなった。
「まあ、恩の字かな?」
「ですね……」
これなら待遇は良い方だろう……でも、これじゃマユに会いにいけない!
どうする?……そう言えば、父さんと母さんが働いてるはず……
「キラ・ヤマト少尉はいる?」
あの時、M1から現れた女性パイロット、アサギ・コードウェルだ。
「は、はい……コードウェ…」
「アサギで良いよ。それより折り入って話があるんだけど、良いかな?」
「はあ……」
何の用だ? キラさんはOSの開発を手伝ったって言ってたけど、今のM1はすでに実戦配備された
状況だ。だったら……
「アンタもさ、アークエンジェルの修理が終るまで暇だろ? だったら訓練に付き合わないか?」
「訓練?」
アサギさんの言う事を直訳すると、実戦経験が豊富な俺と模擬戦がしたいらしい。
まあ、暇と言えば暇だし、俺もオーブ軍の不自然な強さに興味がある。
それに恩を売れば、その内、外出許可をもらえる可能性が……
「分かりました」
「そう。感謝するよ」
「あの……」
そしてフレイが挙手。
「私も良いですか?」
「え? 貴女ってMAの…」
「一応、バクゥにも乗ってました」
「へ~、驚いた……それだったら歓迎するよ。出来るだけ色んな機体と戦闘した方が良いだろうし。
 まあ、私の一存じゃ決められないから追って連絡する」
「お願いします」
そんな訳で、向うも準備があるから、時間と待ち合わせ場所を決めて、一旦は別れる事になった。
まあ、面白い。ついでにフリーダムモドキのパイロットの顔を拝んでやる。

そんなわけで、フレイと一緒にMS訓練所へ向かう事になった。
トールたちも興味があるらしく、後から来れるように許可を貰ってる最中。
後で合流できるかもしれない。
「何か、楽しそうだな?」
「だって、アサギさんってナチュラルよ。それなのにMSパイロットなんて……」
「いや、お前の方が凄いだろ」
「そ、そうかな? だって向うは2速歩行のMSだし」
「OSさえ、揃えば何とかなるんだよ」
「だったら、私もM1を操縦出来るかな?」
「ああ、もち…え!?」
「ど、どうしたのよ? 大声出して?」
「今の……」
今、チラッと見えた人影……マユ?
確か向うに……
「キラ?」
「わ、悪い! 先に行っててくれ…ちょっとトイレ」
「あ、あのね……分かった先に行ってる」
「すまん」
マユらしき人影を追う……見間違いじゃ無いよな?…………あの後姿……
でもマユがこんな所に……暫くすると、この場所に不似合いな幼い後姿……似ている。
「マユ?」
「ん?……誰?」
そして少女が振り返った…………見間違いじゃ無かった……本物のマユだ……
「あの……どうしたんです?」
「あ……う…」
「え? な、何で泣いて…きゃっ!」
「会いた……かった…」
涙が止まらなかった。そしてマユが驚いてるにも関らず抱きしめて……懐かしい感触…
「あ、あのぉ~?」
「元気に…してた?」
「え、ええ…」
懐かしい再会。感動のシーン……でも、それを邪魔する声。
「やめてよね! 僕の妹に何するんだよ!」
「何言って…!…え?…」
「え?…」
「俺?」
「僕?」
俺が居る……それに何でパイロットスーツを……そして俺に向かって何て言った?
「お兄ちゃん?」
「「なに?」」
……ハモってしまった。そ、それにしても……
「お兄ちゃんの、知り合い?」
「え? う、うん」
「そうなんだ。じゃあマユのこと知ってて……あのゴメンなさい。マユ、憶えてなくて……」
「い、いや、気にしないで……こっちこそ驚かせてゴメン」
「いえ、大丈夫です♪……それに、嫌じゃ無かったです。何だか懐かしい感じがしました♪」
「あ、あのねマユ……お兄ちゃん、この人と話があるから、先に行っててくれないかな……馬場さんに
 遅れるって伝えて欲しいんだ」
「うん。分かった。……じゃあ、失礼します……あの、お名前…」
「シン」
「え?」
「じゃ無くて、キラ、キラ・ヤマト」
「じゃあ、キラさん。失礼します」
テクテクと歩き去るマユ……相変わらず萌える歩き方……では無く…
「え~と…」
「あの…」
……うん。何となく分かってきた。
俺の仮説が正しければオーブ軍の強さや、あのフリーダムカラーのM1の正体も説明できる。
向うも、どうやら俺より先に気付いたみたいだけど、さすがに聞き辛いよな……つーか、俺も聞き辛い。
だって、キラさんだろ?って言っても、はあ?って反応されたら辛いし…………そうだ。
「ユニウス7で脱出ポッド」
「ヤダ…止めてよねぇ~……あんなもの拾っちゃダメェ~」
うん。確認終了。でも俺の顔で、その死んだ魚の目は止めて欲しい。
「落ち着いて、キラさん。悪かった俺が悪かったから」
「はっ!……や、やっぱりシン?」
「うん。どうやら状況は似た感じみたいだな」
「そうだね……どうりで強かったはずだよ」
「とにかく、状況が知りたい。情報交換をしよう」
「わかった」

驚いた。こんな事ってあるんだね……それで情報交換をすることになったんだけど、中身の人格は
同じ時間から来たらしい。つまり、シンがテロリスト掃討任務から帰ってきた日。
それで、互いの現在の状況を話す事になったけど、この頃はシン・アスカよりの方がキラ・ヤマトの方が
波乱万丈な生活を送っているため説明に時間がかかる。
そこで、僕から説明する事に…………………………
「……で、そうやって一緒にエビチリを作ったんだけど、これが美味しくて」
「ふん……甘いな」
「な、何がさ!?」
「そのエビチリは失敗作だ」
「な!」
聞き捨てならない。僕とマユちゃんの合作。しかも、ちょっとエッチな会話も楽しめる。
この完璧な料理の何処が不満なんだ。
「何故なら、そのエビチリ、もっとも大事なものが欠けているんだよ」
「大事なもの?……それは?」
「それは……マ ユ エ キ ス!」
「マ、マユエキス!?」
な、何? その甘美な響きは?
「マユエキスとは、マユの手が触れた食材、口に入れた箸が触れたもの、それらの総称のことさ。
 例えば鍋を囲んだとき、結果としてマユの唾液も口にする事になる」
「そ、それは!」
「最高のものとしてはマユエキスたっぷりの雑炊……」
「そんな!……じゃ、じゃあ、あのエビチリは!?」
「そう。アンタが肝心の海老の下ごしらえをやってしまったために、マユエキスを吸収し損ねたんだ
しかも、海老の下ごしらえと言えばハンバーグに匹敵するマユエキスの豊富な作業」
「じゃ、じゃあアレは!?」
「アンタが喜んで喰ったのはキラエ…いや、身体は俺のだからシンエキス!」
なんて事を! 僕はガックリと膝を付いた。だって、マユちゃん味からシン味に……泣きそう。
そんなの認めたくない!
「そ、そうだ…………で、でも味の方は!」
「マユエキスは舌で味わうんじゃ無い! 魂で味わうんだよ!」
「た、魂!」
何だか格好言い!
「しかも、海老の下ごしらえは別の楽しみもあるって言うのに……会話を楽しんだ? 馬鹿馬鹿しい」
「な、何故?」
「海老の下ごしらえ……手が白い液体で汚れただろ?」
「う、うん……最後に片栗粉を混ぜたから」
「それをマユの手で想像してみな」
マユちゃんの手に……白い……ドロドロ……っ!
「はい、ティッシュ」
「あ、ありがとう」
鼻血を抑える。
「キラさん、アンタはマユとの会話の誘惑に負けて、大事なチャンスを失ってしまったんだ」
……分かる。分かるよ! 僕は……なんて過ちを!
僕は僕の姿をした英雄を見た。デカイ! これがマユちゃんが生まれた時から兄をしている男のオーラ!
それに比べて僕は……何てちっぽけな……
「やはり、アンタにマユは任せられないな」
「くっ!……」
悔しいけど……反論出来ない! 認めるしか無いのか!?
でも、マユちゃんを譲りたくは……
「で、でもマユちゃんは、今は僕の妹なんだよ」
「ああ、確かにな……この身体はアンタのもの……つまり兄妹では無い…………だが、手はある。
 何も一緒に暮らすのは兄妹だけの専売特許では無いだろ?」
「ま、まさか!?」
「そう、俺がマユを引取るには…………結婚するしか無い!」
結婚?…………そ、そんな! マユちゃんがお嫁に行くなんて!……
あれ? じゃあ………ふっ
「何が可笑しいんだ!?」
「シン、随分と落ちぶれたね。それとも僕の身体を得て血迷ったのかな?」
「な、なにが!?」
「結婚? そんなことしたら……もう妹じゃ無くなるんだよ?」
「え?………マユが妹じゃ無い?」
「君はもう2度と、マユちゃんからお兄ちゃんと呼んで貰えなくなる」
「マユから……」
「……しかも、マユちゃん人妻になっちゃうよ?」
「マユが人妻?………ダメだ! 人妻が嫌いってわけじゃ無いけど、マユには合わない!」
「そして……処女じゃ無くなる」
「!!!!!!!!!」
がっくりと膝をつくシン……見た目は僕だけど……
「君は一時の快楽に負けて大切なものを失うつもり?」
「お、俺が間違っていた……俺は……」
「そう。マユちゃんの魅力は、俗人には分からない……でも、君なら」
「ああ、分かる。マユとの正しい付き合い。それは手を出したくても出せない、あの悶々とする苦しみ!
 マユの兄として産まれたこの身を喜び! それと同時に呪う!」
「分かってくれたんだね」
「ええ。ありがとう……もう少しで己を見失うとこでした」
「気にしないで、僕も逆の立場だったら……」
そう。逆の立場だったら、僕だってマユちゃんに結婚を申し込む。
でも、そうしたら……お兄ちゃんって呼んでくれなくなる! そんなの……
「キラさん……よくぞ、この短い期間に、これほどのマユ道を……」
「ううん。まだ分からない事がたくさんある……さっきまで僕はマユエキスの存在さえ知らなかった。
 いや、見落としてたんだね……奥が深いよ。マユ道は……良かったら、もっと教えてくれないかな?
 ……ダメ…かな?」
「俺で良かったら……キラさん……」
シンが手を差し出す。暖かい手……同じ道を選んだ男の手。だったら……
「シン……」
僕は、その手を握った。これから…
「「一緒に萌えよう♪」」
おお! 何だか感動のシーンだよ。目頭が熱いよ! 頭の中では"君は僕に似ている"が流れ……
「シン・アスカ教官、シン・アスカ教官、内線873まで、ご連絡ください」
……何? 良いところで、この無粋な放送は? これからマユ道について語り合うんだから。
「あ?……ヤバイ」
何故かシンが焦ってる。
「どうしたの?」
「俺……訓練に呼ばれてたんだ」
「…………実は僕も」
時計を見ると…………
あれ? 3時間も経過している。情報交換終ってないよ。むしろ何も分かってない。
「とりあえず急ごうか」
「そうだね」
情報交換は後に回して、取り合えず急ごう。

続く

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