紅の運命_第00話

Last-modified: 2008-01-23 (水) 23:33:16

紅の運命

 

プロローグ

 

ある世1つの界が消滅しようとしていた。
その世界は争いに続く争いの果てに消滅かけていた……
地は次々に引き裂けて行き、空は暗雲に包まれ、空から雷が瞬く間に降り注ぎ続ける。

 
 

そんな中に1人の少年はそこにいた。
年は10代半ばであり、赤を基調としたバリアジャケットを装着し、
容姿は肌は雪の様に白く染まりきって、髪もそれと同程度に染まった長い白髪…
そして、瞳は紅蓮色に染まっているが、その眼に光は灯っていなく、虚ろ眼と言う等しい状態である。

 

「キル、他の生命反応は?」

 

少年は手に持っていた剣型のデバイスに声を掛ける。
キルと呼ばれたデバイスはそれに反応するように少年へ返答する。

 

【生命反応皆無…現時点でこの世界に存在しているのは我々だけです。】
「そうか。」
【もう解除してもよろしいかと……】
「そうだな。」

 

少年はバリアジャケットを解除すると、少年の容姿は一変する。
先ほどの長い白髪は普通の黒髪になり、肌も何処にでも居るような普通の肌色となる。
デバイスは、剣型の形を維持したまま、少年の手の中に存在する
その少年は、ゆっくりと腰を下ろして行く。

 

【行かなくてよろしいのですか?】
「俺はもう疲れた。…人を憎んで憎んで憎み続けて、それを糧にしてずっと戦い続けて来た。」
【………】

 

デバイスの方は何も言わずに少年の言葉に反論することなく耳を傾ける。

 
 
 

「俺は憎しみの数だけ殺して来た。もう、何もしたくも無い…」
【まだ生きるという選択肢も存在しています、今ならまだ転送魔法を使用し、他の世界へ……】
「しつこいぞ、キル。俺に「生ける屍になれ」と言うつもりか?」
【「生きていれば、明日がある」あなたのご友人も以前、そう言っていられたので……】
「俺は沢山殺し過ぎた。……今更生きようなんてこれっぽっちも思っていない。」
【……マイスター…】
「今の俺には明日も何も無い。……あるのは、憎しみを糧として戦った後の後悔だけなんだ。」

 
 

少年の脳裏には彼が最後に戦った2人の男達の言葉が脳裏を過ぎった。
その2人の男も最後は少年によって、その身を裂かれ、命を絶つ。

 
 
 

『お前も過去に囚われたまま戦うのは止めろ!こんな事をしても何も戻りはしない!』
『戦いを続けても、何も戻りはしない!』
『なのに未来まで殺す気か?!お前は…お前が欲しかったものは本当にそんな物か?!』

 

『君は、何でそんな事を!』
『憎しみで戦い続ける事が君の運命だとでも言うつもりなのか?!』
『君は一体、何が……何が欲しかったと言うの?』

 
 
 
 
 

「(俺が欲しかったものか……そんなの今更でしか過ぎないか。)」
【マイスター、そろそろこの世界の消滅が迫っているようです……】
「分かった……!」
【マイスター、これは一体?】

 

突如、少年とデバイスは、光に包まれ始める……

 

「一体何が起ころうとしているんだ?」
【私にも分かりません、ですが、この世界を去る事になるようです。】
「(随分と短い人生だったな。父さん、母さん、マユ、レイ、ステラ、みんな……俺ももう直、そっちには行くよ……)」

 

少年は瞼を閉じて行きながら、死んでしまった家族、親友、大切な人への別れを告げて行く。
それからまもなく、少年とデバイスは光で完全に包まれ

 

……消えて行く

 
 

だが、それは彼らにとって新たなる戦いへの狼煙に他ならないものだと告げておこう……

 

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