艦内点景◆炎のX好き氏 12

Last-modified: 2016-03-05 (土) 11:38:39

艦内点景12
 
 
(パフパフ編)
右を見る。
ステラのビーチボール大が2つ、お湯にたゆたっている。
左を見る。
ルナマリアの立派な双丘が、湯に浮かんでいる。

で、下を見る。
なんの遮りも無く、ストンと視線が落ちる。
その、いっそ無残と表現してもいい自身の平面に、ティファは内心、ため息をつく。
ヤタガラス大浴場でティファが、ルナマリア、ステラと3人仲良く湯舟に漬かっている、なかなかに可愛いらしい光景である。
「大きくても良いこと無いわよ。肩はコルし、ヤラシイ目で見られるし、動くとスレるし。…ねぇ?ステラ」
ティファの視線から心情を察したルナマリアが、素早くフォローを入れる。
「でも、シンはオッパイでパフパフすると喜ぶんだおー」
ルナマリアの気遣いをブチ壊す、邪気の無いステラの発言。
「パフパフってシンの奴…なにをやらせてんのよ!?」
「んーとね。シンの顔をこんな風に挟んで…」
「説明しなくていいわよ!」
強い口調でルナマリアがさえぎる。
「ティファ。あんたとガロードは、こんな爛れた関係になっちゃ、ダメよ」
姐御モードのルナマリアがティファに力説する。
「……」
さすがのティファも、これには返事がしにくい。
「シンとステラ、"タダレテル"んだー。わーい」
何故か、はしゃぐステラ。
「喜ぶなー。褒めてない!」

「そう!女として生まれたには、男の1人や2人。悩殺しないでどうする!」
いきなり、話に割り込むのはトニヤだ。
トニヤはご馳走様な巨大バストを盛大に揺らし、洗い場で仁王立ちする。
女湯とはいえ、全裸でそのポーズは、うら若き女性として、いかがなものか。
その時、浴場の隅で『そうね…悩殺…悩殺するのよ…』とサラが呟き、
別の場所でジャミルが悪寒に襲われたのは余談。
「あちゃー…」
トニヤのセリフにルナマリアが顔をしかめる。
「パフパフ、サイッコー!男はみんなデッカいオッパイが好きなのよー」
「うぇーい!パフパフー」
トニヤはステラの手を取って、大盛り上がりだ。
「ガロードも…大きなオッパイ好き…?」
「そりゃ、もち…ラヒャイ!」
『もちろん』と、続けようとしたセリフの最後が、意味の無い奇声になる。
質問者がティファだからだ。
トニヤの常識(思い込みとも言う)では、巨乳を嫌いな男は存在しない。
だが、大きな瞳を可憐に潤ませるティファに、そんな残酷な事は言えない。
『奇跡でも起きてないか?』根拠の無い希望にトニヤはチラリと視線を下げる。
当然、奇跡は起きていなかった。
「うぉーーっっ」
ティファの真っ平らな胸に、トニヤは絶望の叫びを上げる。
そしてヘビに睨まれたカエルの様に、ティファに見つめられたトニヤは微動だにせず、脂汗を垂らし続けた。

———「ガロード…私…パフパフ頑張るから…」
「…はい?」

(おわり)
[※私は主張ある胸、慎ましい胸、どちらも好きです(笑)]
 

(パフパフブラック編)
右を見る。
ミーアの豊かなバストが、タプタプと湯を揺らしている。
左を見る。
異生物が寄生したかの様な、マリューの爆乳が見える。

で、下を見る。
視線が空間を素通りする。
ラクスは、その自らの胸部の創りだす虚無感に、黒き思いが沸き上がる。
「…大きくても、良い事無いですよ。重くて邪魔だし、伸びるから柄物トップはダメだし」
ラクスの不機嫌を察したマリューが、自爆気味のフォローを入れる。
アークエンジェルの大浴場『天使湯』でラクス、マリュー、ミーアが怪しげな緊張感の中、3人並んで湯に漬かっている。
『ある者の余裕か!』
ラクスは、そんな心の内を押し殺し、華の様に笑ってみせる。
「いえ、御2人とも立派なお胸で。私は"少し"見栄えが悪いから、羨ましいですわ」
「そ…そう…ほんの少し…ですよねー。アハハハハーッ」と、ミーア。
良く言えば謙遜、悪く言えば腹の探り合いをしている様で、3人とも落ち着かない。
一瞬の沈黙の後、3人同時に微妙な感情を交えた笑い声を上げた。
更衣室で念のため、警護に控えていたヒルダが『姫様が居ると、皆の笑顔が絶えない』と激しく誤解し、感動する。
彼女は雰囲気を読むのが不得手だった。

———「キラは大きさなんて気にしませんよね?」
「フレイは胸あったな…ハッ」
キラの名誉のため、これ以後の事は秘密だ。
 

(パフパフホワイト編)
右を見る。
フレイの突き出た胸がある。
左を見る。
ナタルの凛々しい巨乳が見える。

で、下を見る。
無い。
カガリは両手の平で、なで回してみる。
やはり…無い。
カガリ、フレイ、ナタルの3人はアークエンジェル艦内を漂っていた。カガリは再び、2人の胸を凝視する。
と、フレイは『なによ』とばかり胸を張り、ナタルは意外や頬を染め、顔を背ける。
カガリは視線を落とし、ため息とともに言葉を吐き出す。
「…無い」
呼吸をしない存在になっても、ため息がつけるという大発見に気付き、しかしどうでもいい事柄だと、また、ため息をつく。
身体を失っても、無い胸は無いまま、生えてこないものだ。
そんな常識に何故か、世の理不尽を感じる。

カガリはヤタガラスに移動してみる。
もう1人の見守る相手が見当たらず、艦内をフラフラする。
と、ゴスロリを着た、長い黒髪の少女がこちらを見つめている。
見えているのか!?
カガリが驚愕に固まっていると、少女はカガリの胸に両手を(空を切ること無く)当て、「仲間…」と小さく呟く。
潤んだ瞳がカガリを見つめる。
カガリも少女の胸に手を伸ばし、触れること無く輪郭を撫でる。
…無い。
確かに仲間だ。
2人はそのまま無言でお互いを励ましあった。

(おわり)

[※カガリとナタルが本当にまだ漂っているかは、わかりませんが(笑)]
 

(パフパフガロード編)
「なぁ、ステラ…」
ガロードがステラに話し掛ける。
ちょっと珍しいシチュエーションだ。
「なんだ?ガロード。珍しいな」
傍らにいたシンが代わりに返答し、ガロードが言葉を続ける。
「その…なんだ…。胸を強調しないで欲しいんだ」
「うぇい?」
「はぁ?」
ステラもシンも、間の抜けた相づちをもらす。
「ち…違うんだ!」
何が違うんだか。
ガロードは恥ずかしさに真っ赤になって言い訳を始める。
「ティファが…その…気にして…だから、小っちゃくて…だーーっっ」
言いたいことが言葉にできず、ガロードは支離滅裂な単語を羅列したあげく、悲鳴を挙げて頭を抱える。
それでもシンは、なんとなく事情を察する。
ティファが胸を小さいことを気に病んでるから、あまりステラに巨乳を強調するな…と言いたいのだろう。
『ガロードらしいな』シンは内心苦笑しながら、説明しようとステラに向き直る。
一時ポカンとしていたステラだが、突然『納得いった』という顔になる。
シンが説明はいらないか、と思った瞬間、ステラはガロードの頭をグイ!と掴み、自らの豊かな胸に押し付けた。
シンは呆気にとられ、言葉も無い。
ガロードも無言で両手両足をバタつかせている。
静かな中、ガロードの手足の動く音だけが、パタパタと聞こえ、やがてそれも小さくなる。

「…」
ガロード、グッタリ。
数瞬後、シンはガロードが無言な理由を理解する。
「ステラ!息!ガロードの息ができない」
「うぇい?」
ステラも何をどう勘違いしたんだか?
エクステンデットの腕力で、フカフカパフパフに顔を押さえ込まれ、ガロードは窒息し、失神していた…。

———「…ただし、命に別状無し。
『ノロケ』の次は『巨乳』か…世の中は、俺の知らない"凶器"で溢れてる様だな
…ここ、笑うとこでいいのか?」
言葉とは裏腹に、渋〜い顔でアスランが言う。
報告に来たテクス医師が『御自由に』とばかりに、肩をすくめた。

(おわり)
 
 
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