蒼き自由と青き厄災_01話

Last-modified: 2008-09-21 (日) 19:26:03

最近、妙な夢を見る。見たこともないところで戦っている自分。
そして自分の機体が蒼い翼を持つ機体とぶつかりあうところで夢は終わる。
「また同じ夢かよ。」 オルガが目を覚まして呟いた。
そこにはいつも通りの風景、ベッドと机と本棚が置いてある自分の部屋。「今日は・・・あぁ、地上本部に出頭だった」
どうでもよさそうに言うと着替えを済ませて"相棒"を起こしに行く為に部屋を出る。
夢を見る。夢の中で僕は蒼い翼を持つ巨人に乗って戦い、青い巨人とぶつかりあうところで夢が覚める。
「今日もこの夢か…。」キラは目を覚まして呟いた。
「やっぱり、僕の記憶に関係しているのかな?」すると、部屋の扉を叩く音が聞こえてきた。
「キラ、もう起きてっか?」
「あ、うんちょっと待って。」
聞こえてきた"仲間"であり"友人"であるオルガの声に返事をすると、キラは着慣れた時空管理局の制服に袖を通し、部屋のカーテンを開く。
「今日もいい天気になりそうだ。」
そこには見慣れたミッドチルダの風景が広がっていた。

 

部屋を出る。
「ゴメン、お待たせ。」「別に気にしてねぇ。さっさと行こうぜ。」
二人は車を停めてある駐車場に向かいオルガが運転席にキラが助手席に乗りこむ。
「まだ、間に合うだろ?」
「オルガが安全運転してくれればね。」
「あぁん、まるでオレが運転したら事故るみてぇじゃねぇか。」
オルガがぼやきながら車を発進させる。
「そういえば、またあの夢を見た。」
「あぁ、オレも見たな。」
「オルガ、あの夢僕達の記憶に関係あるのかな。」
キラは不安だった、自分達には一年以上前の記憶がまったくない事が。
「さぁな、あんま興味がねぇ。気にしたって仕方ねぇしな。
だからお前も気にすんなそんな事。」

 

「うん…そうだね。ありがとうオルガ。」
キラが微笑んだ顔をオルガに向けるとオルガは
「だから、気にすんなって言ってんだろ。それよりよ。」
少し恥ずかしそうに言って話題を変える。 「一体何の用だ?あのオッサン。」
「オルガ、レジアスさんにオッサン呼ばわりしない方がいいよ。また鉄拳制裁されるから。」
キラは自分達の直属の上司であり、自分達に居場所を与えてくれたレジアス・ゲイズ中将を思い出す。
「ケッ!どうせ聞こえやしねぇよ。」
「とにかく、行けばわかるんじゃない?」
「まっ、そういう事だな。」
ちょうど、大きな地上本部の建物が見えた。

 

二人が車を停めて中に入ると、眼鏡をかけた冷たい印象の女性が待っていた。
「オーリスさん。」
「遅かったな。レジアス中将は執務室でお待ちになっている。」
オーリスと呼ばれた女性はそう言って歩きだす。二人はそれに続いて歩き出した。
「閣下、キラ・ヤマト空曹、オルガ・サブナック陸曹両名を連れて参りました。」
「通せ。」
執務室の扉の前で、オーリスとレジアスの短いやり取りの後、執務室の中に通される二人。
「オルガ・サブナック陸曹及び、キラ・ヤマト空曹、陸士108部隊での出向任務を終えただ今出頭いたしました。」
オルガが報告するとレジアスが微笑みながら、「いつも通りで構わんぞオルガ、キラ。」
そう言った。

 

オルガはすぐに姿勢を崩し、キラは少しして姿勢を崩した。
「報告書は読んだ。今回お前達を呼んだのは次の任務に関してだ。」
「次の任務?どこに潜り込むんだよ?」
オルガが尋ねる。
「機動六課だ。」
「機動六課?という事は教会側や本局に対する弱みを探れと言う事ですか?」
キラが冷静に言う。
「そうだ。もうすぐアレの準備も整う。」
「アインヘリアルと戦闘機人かよ。」
「そして、"ダガー"もだ。いいな、ヤツも近いうちに合流させる。嗅ぎつけられるなよ。」
「だとよ。キラ、ヘマすんなよ。」
退室後、オルガが不敵な笑みを向ける。
「オルガこそ。」
キラも笑みを向ける。
今、自由と厄災は新たに動き出す。