蒼き自由と青き厄災_03話

Last-modified: 2008-10-04 (土) 00:12:39

 機動六課に来て数日が過ぎた、ある日の訓練
「しっかり耐えろよ。スバル。」
「はい、ヴィータ副隊長。」
 訓練も個別スキルの習得になり、新人フォワード達はそれぞれに別れ、訓練を行っていた。
「アァァー、かったりぃなぁ。」
 愚痴っているのはご存じオルガ・サブナック。「クッソォ、キラの奴一人で逃げやがって。」
 キラは午前中は部隊長に呼び出されている。
「オルガァ!!次はお前の番だ!!」
スターズ分隊副隊長のヴィータが怒鳴る。
「アァ!?うっせぇチビ!!怒鳴んなウゼェんだよ。」
怒鳴り返してオルガは訓練に戻る。
「うるせぇ、さっさと構えろ。あたしとグラーフアイゼンにブッ叩かれたくなかったらな。」
 ヴィータがハンマー型のデバイス、グラーフアイゼンをこちらに向けて言う。

 

「うっせぇ、このハンマードチビが!」
オルガはヴィータを見下ろして更に言う、
「テメェのへなちょこハンマーなんざ効くかよチビ。」
 するとスバルが念話で「オルガ、言い過ぎだよ。」
と注意するがオルガは全く反省しない。
すると、
「アイゼン!!」
『ギガントフォルム』
突如としてグラーフアイゼンが巨大化した。
「なっ何ィ!!?」
『TP(トランスフェイズ)システム起動』
カラミティが自動的に防御機能を展開するが、
「ブッ飛びやがれェェ!!!!」
ヴィータの渾身の一撃を防ぎきれるはずも無く、「ドォワアアァァ!!!」
弾丸のごときスピードで吹っ飛んで行った。
 それを見ていたスバルは、今後絶対にヴィータ副隊長は怒らせないと心に誓った。
一方訓練場の外では、
「姐さんは訓練に参加しないんですかい。」
「私は古い騎士だからな。」
機動六課ライトニング分隊副隊長のシグナムとヘリパイロットのヴァイス・グランセニックが訓練の様子を見ていた。
「あれ、シグナム副隊長にヴァイスさん何してるんですか?」
 シグナム達の方にキラが歩いてきた。

 

「お、キラじゃねぇか。訓練の方はどうした。」
「僕は午前中は八神部隊長に呼ばれてたんです。」
 キラは話しながらヴァイスの横に来る。
「あれ?シグナム副隊長は訓練に参加しないんですか?」
 キラは少し意外そうに聞く。
「私は古い騎士だからな。教えてやれる事は近づいて斬るぐらいだ。」
 シグナムがキッパリと言う。
「ある意味、すげぇ奥義ではあるんすけど。」
 ヴァイスもキラも苦笑する。
 すると、訓練場から凄い爆音と共に何か叫び声のようなものが聞こえた。
「また派手にやったなぁ、お前の相棒は。」
「ここまで来るとある意味大物だな、サブナックは。」
 ヴァイスとシグナムがそういうと、
「そういえば副隊長、八神部隊長が頼んでいた書類を早く提出して欲しいと言ってましたよ。」
 キラは今の事を見なかった事にしようとシグナムに話題をふる。
「私は書類仕事は苦手なんだ。」
 シグナムはキッパリと答え、さらには
「明日にはフェイト隊長が報告書と一緒に提出してくれる筈だ・・・・たぶんな。」
 まるで、遠くを見るようにシグナムは呟いた。
「あの、ヴァイスさん。」
「なんだよ。」
キラとヴァイスは小声で話す。

 

「もしかして、シグナム副隊長って働くの嫌いなんじゃ・・「キラ・ヤマト。」」
 キラは前方から今まで感じたことのないような殺気を感じ、シグナムの方を見る。
「そういえば、まだ模擬戦をしていないだろう。」
 そこには、鬼がいた。美女の姿をした鬼がいた。
「え、ええ。け、けどガジェット相手なら・・・」
「いや、何時どんな敵と戦うかわからんからな。ちょうどいい機会だし、私が訓練相手になろう。」
 そしてシグナムは笑みを浮かべて、
「私も部下にニートな上官と思われたくないしな。」
「いや、ニートなんて言ってな・・「とにかく、昼から模擬戦だ。文句があるのか?」・・・了解。」
 これ以上口を出せば斬られる気がキラはした。
 キラはヴァイスの方を見ると、遠くで「頑張れ。」と親指をたてて笑顔でサインを送っていた。
「あれ、シグナム副隊長にキラくん何してるんですか?」
 訓練場の方からなのはとフェイト、ヴィータが訓練を終え戻ってきた。
「あぁ、少し訓練の様子を見ようと思ってな。」
「あの、ところでオルガは?」
「あぁ、あのバカなら気絶したから医務室にフォワード達が連れてった。」
「えーっと今日は何をやらかしたんですか?」

 

キラはフェイトに小声で尋ねる。
フェイトは苦笑して、
「今日はヴィータ副隊長にちょっと・・・。」
「今日はヴィータ副隊長ですか。」
 キラは軽い目眩を感じ、頭を軽く抑えた。
確か昨日はなのはさんだったなぁと思い出していると、
「キラくん。」
「なのはさん、何ですか?」
なのはは笑顔で、
「キラくんとオルガくんは今日の昼は模擬戦だからね。」
「えっ、オルガもですか?」
「うん。相手はシグナム副隊長とヴィータ副隊長だから、オルガくんにも言っておいてね。」
「はい、分かりました。」
 キラは頷いてオルガの担ぎ込まれた医務室に向かった。
 夢を見た。
それはいつものと違った。
 自分はカラミティを使って戦っていた。
相手の顔はよく見えないが、ただそいつ等は3人いた。
 一人は紫色の長髪、見た感じ召喚師。
 もう一人は黒髪の槍騎士。
 最後の一人は紫色の長髪、そして目を引くのは両腕のリボルバーナックル・・・だが、あれはスバルやあいつ、ギンガの使ってんのと同じもんだ。
すると、槍騎士の一撃が自分を貫いた。
「クソ、また嫌な夢見せやがって。」
「やっと目が覚めたわね。」
「あぁ?何でお前がいんだよ。っつうか、ここどこだ。」

 

「あたしも好きでいる訳じゃないわよ。」
オレンジ髪の少女、ティアナは素っ気なく答える。
「あっ、ティアナ。オルガは目が覚めたかな?」
「あっ、はい。たった今起きました。」
「おい、ティア。何でお前いつもキラには敬語なんだよ。」
「あんた自分で敬語使うなって言ったんじゃない。」
「そんなの覚えてる訳ねぇだろーがバカ。」
「あんたの方がバカに決まってるでしょ。」
「んだとぉ!!」
「なによ!!」
二人はまさに一触即発の雰囲気になる。
「二人共、ストップ。」
キラが二人の間にストップをかける。
「とりあえずティアナは先に食堂にスバル達と行っておいて。」
「はい、分かりました。」
ティアナは医務室を後にした。
「オルガ。」
「何だよ。」
キラは笑顔を浮かべてオルガに近づく。
「あれほど言ったよね?あまり問題を起こさないでって。」
「おい、俺が何時問題を起こしたってんだよ。」
「昨日はなのはさんにこの白い悪魔って言って、スターライトブレイカーを食らったよね…僕も一緒に。」
「そっ、そんなこともあったなぁ。」
オルガが怯む。
「その前は八神部隊長にこいつがSSランクなんて嘘だって言ったからミストルディンで石化されたね…僕も。」

 

「そんな昔の事は忘れちまったなぁ。」
 するとキラはオルガの胸ぐらを掴んで自分の目の前にオルガの顔を持ってくる。
「・・・・オルガ。」
「は、はい。」
「次に問題を起こしたら・・・ハイマットフルバーストゼロ距離射撃の刑だよ?」
「は、はい了解であります。」
キラの笑顔が本気で怖いと思ったオルガであった。
「オルガ。」
キラはいきなり真剣な表情になる。
「な、何だよ。」
「昼からの訓練は僕等とシグナム、ヴィータ両副隊長との模擬戦になった。」
「それで?」
「絶対に"ソード"は使わないでね。」
「わかってる。そういうお前も"ミーティア"は使うなよ。」
オルガも真剣な表情で言う。
「うん、まだアレは使うべきじゃないんだ。」
「あぁ、使うべきじゃねぇんだ。」
 そうして、自由と厄災は烈火と鉄槌との戦いに挑むのだった。