一人で窓を見ていると、とても凄いものを見たんだ♪
じゃなくて、ヘンな電波を受信したので書き込んでみる。
目指せスレ活性化、デモベクロス種、最終回風味
「キラァーーーーー」
フレイの呼びかけが響く。
彼女はナコト写本の手助けでデウスマキナ・リベルレギスを召喚し、悪鬼と化したフリーダムへ吶喊する。
「フレイ!? どうしてそんなに、そんなに僕が……」
錯乱しながらキラは全五門になる砲身を、迫り来るリベルレギスに向け撃ちまくった。
「うぁ、ぐぅ、あう」
「フレイ、しっかりしなさい! 伝える言葉があるのでしょう?
彼を取り戻すのでしょう! なんのために魔術の秘奥たる私を借りているのですか?」
「そんなコト、分かってるわよ、わかってるけど……きゃあ」
デウスマキナは召喚する者によってその位階と形態、機能を変化させる。
適正はあったがズブの素人であるフレイのリベルレギスでは、フリーダムの猛攻を耐え切ることができず、リベルレギスは全身を灼かれ、溶かされ、解かされてゆく。
そのダメージはデウスマキナを維持するフレイに還る。
フレイの頭は、闇の質量を持った狂気に絶え間なく苛まれ。
肉体はリベルレギスのダメージを反映するように、やきごてに当てられたかのように傷ついていく。
「通信は繋がっているのですから。一言叫べば相手は止まります。」
「分かってるって言ってるのよ! そんなコト大声で言えるわけないでしょうが!」
コクピット内で口論をしながらも、フレイは防御など忘れたかのように、左腕を飛ばされ、足を融かされ、頭を撃ち抜かれながらも、キラの元へ愚直に追いすがる。
逃げるフリーダム、追うリベルレギス。
フリーダムは時間を追うごとに形が歪になり、砲の威力が跳ね上がっていく。
リベルレギスは時間を経るごとにカタチが砕け、存在が希薄になっていく。
しかし、フレイの執念がキラの恐怖を上回ったのか、文字通り身を削りながらリベルレギスはフリーダムを抱きとめた。
「こないで、こないでよフレイ!」
「そうは行かないわよ! あなたは私と一緒にアークエンジェルに帰るんだから」
「嘘だ! フレイも僕を殺すんだろう!? 僕が人間じゃないから、
化け物だから、生まれちゃいけなかったから」
「ああもう、誰に吹き込まれたのよ、そんな下らないゴタク。
あなたは私の言うことを聞いていればそれで良いのよ!」
「私が、連れて行くって言うんだから、さっさと従いなさいこのバカキラ」
「フレイだって気持ち悪いって言ったじゃないか!
コーディネイターなんて皆死んでしまえって!
僕みたいなスーパーコーディネイターなんか死んだほうが良いって思ってるんだろう」
「そうよ、私はパパを殺したZAFTが、コーディネイターがだいっきらいよ!
でもあなたは特別なのよ! 嫌ってないから早く戻りなさいよ」
「なんだよそんなムチャクチャ! 信じられるわけ無いだろう!?
君だって僕を利用したいんだSEEDを持ってるから、強いコーディネイターだからまた前みたいに僕を利用したいんだろォー」
「違うわよ!!!」
「嘘だ!」
「ですからフレイ、正直に告白するのが一番だと」
「あんたは黙ってなさい!」
「僕は、僕は戦争を終わらせなくちゃ……
こんなナチュラルとコーディネイターが争う悲しい時代を終わらせなくちゃいけないんだ!」
「向いてないんだから、偉そうなこと言ってんじゃないわよ、キラの癖に!
あなたは私にに甘えてるぐらいがちょうど良いのよ!」
「あっちに行ってくれよフレイ! 僕はもう君とは別れたんだ! 関係ないんだよ!」
「イヤよ!!!」
「やめてよね、そうやって僕を好き勝手に」
「あなたが好きだからよ!!!!!!!」
暴れていたフリーダムが静止する。
「嘘、だ」
「嘘じゃないわ、サイやトールに宿題やらされて、モビルスーツに乗るのが怖くて泣きべそかいて、
戦争して苦しんでたキラ・ヤマトを、フレイ・アルスターは愛しているのよ」
「うそだ」
「本当よ。わたしに利用されてるって分かってても、私を愛してくれたキラ・ヤマトを好きになっちゃったのよ」
(どうせこうなるのですから、早く告白すれば被害が少なかったのに)
エセルドレーダは内心愚痴りまくっている。
「ハッチを開けなさいキラ、そんな電波、私の美貌を見ればすぐに消し飛ぶんだから」
「フレイ?」
しばしの沈黙の後、ゆっくりとフリーダムのコクピットが開いていく。
赤い機体がほどけて、地球連合の制服のフレイと、一冊の本に収納されていく。
魔術のせいか、宇宙空間でもノーマルスーツはいらないらしい。
「フレイ、僕は」
彼女がゆっくりと流れてくる。
キラもまたベルトを外すとフリーダムの外へ流れていった。
二つの影はゆっくりと近づいてゆき、やがてひとつになった。いや、なりかけた時。
おもむろにフレイはキラのヘルメットのバイザーを上げる。
キラはパニックになりかけたが、なぜか息をできることに気づいて安堵し。
ずっと好きだった彼女の顔をまじまじと見つめた。
フレイは今まで見たことが無いほど、こぼれるような満面の笑みを浮かべ。
「キラ、ずっとこうしたかったの」
そう言って、腕を振り上げ…………振り上げ?
ナイフで傷つけたのか、欠けた五芒星のような印をつけた手の平を時速45キロの速度で振り下ろし、
「心配かけさせるんじゃないわよ、バカーーーー!」
キラの顔面に直撃させた。
「これで電波は消し飛んだはずね、大丈夫キラ?
体おかしくされてない?」
しかしキラは失神しているため返事をすることが出来なかった。
再び魔術を発動させ、アークエンジェルに飛んでいくフレイとキラ。
しかし、その背後でフリーダムのデュアルアイが不気味な光を発していた……。
つづく
【戻る】【次】