赤い翼のデモンベイン01

Last-modified: 2013-12-22 (日) 19:51:09

一人で窓を見ていると、とても凄いものを見たんだ♪

じゃなくて、ヘンな電波を受信したので書き込んでみる。

目指せスレ活性化、デモベクロス種、最終回風味



「キラァーーーーー」

 フレイの呼びかけが響く。

 彼女はナコト写本の手助けでデウスマキナ・リベルレギスを召喚し、悪鬼と化したフリーダムへ吶喊する。



「フレイ!? どうしてそんなに、そんなに僕が……」

 錯乱しながらキラは全五門になる砲身を、迫り来るリベルレギスに向け撃ちまくった。

「うぁ、ぐぅ、あう」

「フレイ、しっかりしなさい! 伝える言葉があるのでしょう?

 彼を取り戻すのでしょう! なんのために魔術の秘奥たる私を借りているのですか?」

「そんなコト、分かってるわよ、わかってるけど……きゃあ」

 デウスマキナは召喚する者によってその位階と形態、機能を変化させる。

 適正はあったがズブの素人であるフレイのリベルレギスでは、フリーダムの猛攻を耐え切ることができず、リベルレギスは全身を灼かれ、溶かされ、解かされてゆく。

 そのダメージはデウスマキナを維持するフレイに還る。

 フレイの頭は、闇の質量を持った狂気に絶え間なく苛まれ。

 肉体はリベルレギスのダメージを反映するように、やきごてに当てられたかのように傷ついていく。



「通信は繋がっているのですから。一言叫べば相手は止まります。」

「分かってるって言ってるのよ! そんなコト大声で言えるわけないでしょうが!」

 コクピット内で口論をしながらも、フレイは防御など忘れたかのように、左腕を飛ばされ、足を融かされ、頭を撃ち抜かれながらも、キラの元へ愚直に追いすがる。



 逃げるフリーダム、追うリベルレギス。

 フリーダムは時間を追うごとに形が歪になり、砲の威力が跳ね上がっていく。

 リベルレギスは時間を経るごとにカタチが砕け、存在が希薄になっていく。



 しかし、フレイの執念がキラの恐怖を上回ったのか、文字通り身を削りながらリベルレギスはフリーダムを抱きとめた。

「こないで、こないでよフレイ!」

「そうは行かないわよ! あなたは私と一緒にアークエンジェルに帰るんだから」

「嘘だ! フレイも僕を殺すんだろう!? 僕が人間じゃないから、

 化け物だから、生まれちゃいけなかったから」

「ああもう、誰に吹き込まれたのよ、そんな下らないゴタク。

 あなたは私の言うことを聞いていればそれで良いのよ!」

「私が、連れて行くって言うんだから、さっさと従いなさいこのバカキラ」

「フレイだって気持ち悪いって言ったじゃないか!

 コーディネイターなんて皆死んでしまえって!

 僕みたいなスーパーコーディネイターなんか死んだほうが良いって思ってるんだろう」

「そうよ、私はパパを殺したZAFTが、コーディネイターがだいっきらいよ!

 でもあなたは特別なのよ! 嫌ってないから早く戻りなさいよ」

「なんだよそんなムチャクチャ! 信じられるわけ無いだろう!?

 君だって僕を利用したいんだSEEDを持ってるから、強いコーディネイターだからまた前みたいに僕を利用したいんだろォー」

「違うわよ!!!」

「嘘だ!」

「ですからフレイ、正直に告白するのが一番だと」

「あんたは黙ってなさい!」



「僕は、僕は戦争を終わらせなくちゃ……

 こんなナチュラルとコーディネイターが争う悲しい時代を終わらせなくちゃいけないんだ!」



「向いてないんだから、偉そうなこと言ってんじゃないわよ、キラの癖に!

 あなたは私にに甘えてるぐらいがちょうど良いのよ!」

「あっちに行ってくれよフレイ! 僕はもう君とは別れたんだ! 関係ないんだよ!」

「イヤよ!!!」

「やめてよね、そうやって僕を好き勝手に」

「あなたが好きだからよ!!!!!!!」





 暴れていたフリーダムが静止する。

「嘘、だ」

「嘘じゃないわ、サイやトールに宿題やらされて、モビルスーツに乗るのが怖くて泣きべそかいて、

 戦争して苦しんでたキラ・ヤマトを、フレイ・アルスターは愛しているのよ」

「うそだ」

「本当よ。わたしに利用されてるって分かってても、私を愛してくれたキラ・ヤマトを好きになっちゃったのよ」



(どうせこうなるのですから、早く告白すれば被害が少なかったのに)

 エセルドレーダは内心愚痴りまくっている。



「ハッチを開けなさいキラ、そんな電波、私の美貌を見ればすぐに消し飛ぶんだから」

「フレイ?」



 しばしの沈黙の後、ゆっくりとフリーダムのコクピットが開いていく。

 赤い機体がほどけて、地球連合の制服のフレイと、一冊の本に収納されていく。

 魔術のせいか、宇宙空間でもノーマルスーツはいらないらしい。



「フレイ、僕は」



 彼女がゆっくりと流れてくる。

 キラもまたベルトを外すとフリーダムの外へ流れていった。

 

 二つの影はゆっくりと近づいてゆき、やがてひとつになった。いや、なりかけた時。

 おもむろにフレイはキラのヘルメットのバイザーを上げる。

 キラはパニックになりかけたが、なぜか息をできることに気づいて安堵し。

 ずっと好きだった彼女の顔をまじまじと見つめた。

 フレイは今まで見たことが無いほど、こぼれるような満面の笑みを浮かべ。

「キラ、ずっとこうしたかったの」

 そう言って、腕を振り上げ…………振り上げ?

 ナイフで傷つけたのか、欠けた五芒星のような印をつけた手の平を時速45キロの速度で振り下ろし、

「心配かけさせるんじゃないわよ、バカーーーー!」

 キラの顔面に直撃させた。



「これで電波は消し飛んだはずね、大丈夫キラ?

 体おかしくされてない?」

 しかしキラは失神しているため返事をすることが出来なかった。



 再び魔術を発動させ、アークエンジェルに飛んでいくフレイとキラ。

 しかし、その背後でフリーダムのデュアルアイが不気味な光を発していた……。







 つづく





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