運命と最強_第02話

Last-modified: 2007-11-19 (月) 13:25:18

八神家

 

:闇の書発動直後、はやての部屋

 

「なんだ?こいつら?」と思うと同時にカナードは彼女達が只者ではないと感じていた。
「(くっ、尺だが正直誰か一人でも戦って勝てるかどうか・・・・・だが、はやてだけでも逃がさねば・・)」
懐にしまっている拳銃を抜こうとしたとき、
「おい」
はやてより小さい赤髪に少女が声を上げ
「こいつ、気絶してるみたいだぞ」
律儀に目をくるくる回してるはやてを見下ろして言った。
「(気絶したのか・・・・・これは石田に見てもらった方がいいな、)」
カナードは改めて4人を観察し
「(冷静に見れば、俺はともかくはやてに対する敵意はなさそうだ)おい」
カナードの声に4人は反応した。
「とりあえずはやてを病院に連れて行く、文句はないな」
「・・・・わかった、主をこのままにしておくわけにはいかないからな」
「・・・・・主?貴様ら(その前に答えろ」
そう言うと、ピンク色の髪の女性はいつの間にか出した剣『レヴァンティン』をカナードに向けた。
「貴様は誰だ?リンカーコアを持ってるということは魔術師のようだが、事と次第によってはこのまま返すわけには行かん」
「(リンカーコア?何だそれは?)物騒な奴だ、むしろお前らこそ何者だ?だが質問を質問で返すわけにはいかんな、
俺はカナード・パルス、そこで伸びてる八神はやての」
一瞬間をおき
「家族だ」
カナードはそう答えた。

 
 
 

海鳴大学病院

 

「はやてちゃん、よかったわ何とも無くて」
「すんません、ご迷惑おかけしました」
「ううん、いいの。で、誰なの?あの人たちは?」
石田先生が指差す先には妙に筋肉質な看護師に囲まれてるヴォルケンリッター4人組みだった。
その一・無表情のシグナム。
その二・「やってらんねぇ~」という表情をしているヴィータ。
その三・困惑しているシャマル。
その四・まじめな顔で時折見犬耳を動かすザフィーラ。

 

・・・明らかに怪しい(特に一名)
「どういう人達なの?6月とはいえあんな格好で、言ってることも支離滅裂、カナード君並に怪しいわね」
「はははは・・・・・(どない説明しよ、カナード同様親戚ってことで・・・ってカナードはどこいったんや~!!)」
はやてが困惑し、シグナムが思念通話で話そうとしたその時、「親戚だ」助けの声が響いた。
「カナード、どこいっとったんや?」
「受付を頼んだのよ、それで『親戚』ってどういうこと?」
「こいつらは俺同様はやての親戚でな、はやての誕生日にわざわざ外国から来たんだ。コスプレまでしてな」
「親戚?」いぶかしむ石田先生。
「だが登場の仕方が悪かった、こっそりベッドの下に潜りこんで12時丁度に這い出てくるとは・・・正にホラーだ」

 

・・・確かに怖い。
「そ・・そうなの?」
妙に引きつった石田先生の質問に
「はい、そうです」
真顔のシグナムが答えた。

 
 
 

八神家
特に問題が無かったため、即日退院したはやてはシグナム達から闇の書についての説明を受けていた。
どのような解釈をしたのか、はやては「衣食住きっちり面倒見る」宣言をし、騎士達を困惑させた。
「どうすればいいのだ?」と今までに無い扱いに困惑している騎士達に笑いながらカナードが
「お前達の主はそういう奴だ、覚悟を決めろ」と言い、無理やり納得させた。
それから騎士達を含む6人家族(5人と一匹?)となり日々を静かに過ごしていたある日、
カナードがリビングで録画した「世界遺産」を見ているとき、道場帰りのシグナムが入ってきた。
「主たちは?」との質問に「シャマルとヴィータと一緒に買い物だ、ザフィーラは知らん」と答え会話終了。
それきり途切れる会話、まぁ、口数が少ない二人だからしょうがない。
静寂の中
「カナード、ひとつだけ聞きたかったことがある」
先に口を開いたのはシグナムだった。
「何だ?」目は未だに「世界遺産」を見ているカナードが答えた。
「お前は、お前がいた世界に未練は無いのか?」
「どういうことだ?」
「主から聞いた、お前は突然こちらの世界に来たと、要は事故のようなものだ、元いた世界に未練は無かったのか?」
シグナムの質問はもっともなものであった、自分が当たり前のように過ごしていた日常が急に変わること。
自分がいた世界とは全く別の世界に飛ばされ、帰ることが難しいこと。常人なら混乱しても可笑しくないことであるが
「ないな」カナードはきっぱりとそう答えた。
「だが、全く無いといえば嘘になる、俺にも目的があった、ある男を倒して自分の存在を証明するという目的が」
そして顔をシグナムの方に向け
「だが、そんなことはどうでもよくなった。お前たちを見ていると自分が目指していたものが馬鹿らしくなってな」
最強のコーディネーターといっても所詮は人間レベルである。空を飛んだり魔法が使えたりすることは出来ない。
「家族はいないのか?」
「はやて同様、俺にはそんな物は無い、元いた世界に関しても認め合わないもの同士がただ殺しあったり罵りあったりするだけのツマラン世界だった」
「そうか・・・スマンな、へんなことを聞いて」
「いや、俺からも聞きたい、お前達は今の生活はどうなんだ」
いぶかしむシグナムにかまわず言葉を続けるカナード
「はやてを「主」と呼んだりすることや、戦士としての気迫、とても真っ当な暮らしをしていたとは思えん、今の暮らしに戸惑いは無いのか?」
カナードもつい最近まで「平凡な日常」とはかけ離れた生活を送っていた。
おそらくは同じ「平凡な日常」とはかけ離れた生活を送っていたであろうシグナムが、今をどのように感じているのか興味を持っていた。
カナードの質問に数秒間をおき、シグナムは答えた
「確かに戸惑いはある、今までの主は私達を道具としてしか扱っていなかった」
(こいつらも、同じか・・・・)
「だが今の主は我々を家族として扱ってくれてる、このような扱いは今までには無くてな、正直今でも戸惑うことばかりだ。だが」
シグナムは微笑み
「今このときが・・・幸福と思えるのは確かだ」
そう答えた。
カナードは「そうか」とだけ答え、また「世界遺産」を見始めた。今度はシグナムも混ざり。
しばらくし、妙に打ち解けたヴィータ達が帰宅し、昨日と代わらない夕食風景が八神家で見られた。

 
 
 

・だが・・・・

 

「はやて~、アイスたべていい?」
「ええよ」
「俺がもう食ったぞ」
「カナード、てめぇ!!」
「おちつけヴィータ・・・・情けない」
「美味かったぞ『抹茶アイス』」
「キサマァ!!そこになおれ!!レヴァンティンの錆にしてくれる!!」
「「大人気ないのはどっちや(だよ)」」

 
 

・幸せな日常は・・・・

 

「ぐっ・・・不覚(バタッ」
「ギガ・・・まず・・(パタッ」
「わふぅ~・・・・(ぐにゃ」
「はかったな・・・シャマル・・・・(ガシャーン」
「ええ!この漫画の通りに作ったのに」
「『OH,○Yコ○ブ』・・・・さて、どこから突っ込んだらええやろ」

 
 

・突然崩壊を始める・・・・

 

おまけ

 

カナードと「世界遺産」を見始めてまもなく、時計が午後4時を指した。
「カナード」
「何だ?」
「テレビを(時代劇なら見せんぞ」
沈黙
「・・・小豆アイスでどうだ」
「3本だな」
「ふざけるな、1本だ」
「じゃあ、あと一時間待つんだな」
また沈黙
「・・・・いい夕焼けだな」
「そうだな・・・・・。うむ、この時代の海は綺麗なものだ。」
「・・・・・・2本だ」
「4本に増やすぞ」
「貴様・・・・・いいだろう、もっていけ!!!」