運命と最強_第06話

Last-modified: 2007-11-19 (月) 13:27:25

午前六時、朝ごはんの支度をするため、はやては起きた。
隣で寝ているヴィータを見て微笑み、キッチンへ向かう。
廊下を移動している時、あくびをしながらカナードが歩いてきた。
「カナード、また夜更しか?」
「ああ、仕事が中々終らんのでな。まったく、石田の奴も無茶なところを紹介してくれたものだ」
「カナードは身分が無いんやからしょうがないやんか、紹介してくれただけでもありがたいと思わんと」
ちなみに身分所は『落としてなくした』ということにしてある。
「ふっ、そうだな。どころで、コーヒーを入れてくれるとありがたいのだが」
カナードの何気ない要求にはやては微笑みながら
「うんええよ、ご飯の前にいれるわ」
「すまんな、出来たら呼んでくれ」
そういい、自分の部屋に向かうカナードを
「カナード」
はやては呼び止めた。
「何だ?」
「おはよう」
笑顔であいさつするはやてに
「ああ、おはよう」
カナードも答えた。
リビングについたはやてが見つけたのは
眠りについているシグナムとザフィーラだった。
二人に毛布をかけ、朝食の支度を始めるはやて。
しばらくし、目覚めた二人にコーヒーを差し出す。
調理を手伝いに訪れるシャマルと寝坊してくるヴィータ。
はやての声でリビングに来るカナード。

 

八神家ではいつもの朝が始まっていた。

 
 

:同時刻

 

海鳴市公園(結界内)

 

「プリスティス!」
プリスティスを放ち、クロノ目掛けて攻撃を行うプレア。
クロノはバインドで拘束しようとするが、訓練を重ねるたびにプリスティスの動きにが不規則に、素早くなり中々捉えることが出来ない。
「(訓練を重ねるたびに動きが捕らえにくくなっている、恐ろしい操作能力だ)」
そこで操ってるプレア本人を攻撃しよとスティンガーレイを放つが、プレアはそれを避けクロノから遠ざかる。
「なるほど、接近戦をあきらめ、遠距離から攻撃が・・・だけど・・まだ甘いよ」
そう言い、クロノは地面に向かってブレイクインパルスを放つ。
その衝撃で地面が隆起し、足場が悪くなる。
「地形を変化されて・・足場を・・」
地面を移動しながらの回避は難しいと判断したプレアは空に逃げようとするが、何かを感じ、飛行を中断する。
「(うん、その空域には設置系バインドを仕掛けてある。感知できるようになったか)」
クロノが放つスティンガーレイを回避しようとするが、足場が悪いため動きが遅くなるプレア。
そのチャンスをクロノが見逃すはずが無く、スティンガーレイをプレアに向けて容赦なく放った。
避けきることを断念したプレアはPhase shiftと実体盾で防ぐ。
「くっ・・・でも、このくらいなら」
攻撃が止み、シールドから顔をあげたプレアが見たのは目前でブレイスキャノンの発射体制に入っているクロノだった。
「・・・まいりました」
肩を落とすプレア
「以前みたいにバインドに引っかかることも少なくなってきたし、操作能力や回避にも磨きがかかっている、成果は出てるよ」

 

クロノはプレアの長所である「誘導操作型魔法」と「反応速度」を高めることに重点を置き、訓練を行っていた。
プレアは確かに優れた魔力を持っており、一般的な攻撃魔法を覚えさせることもできた。
だが、今回の敵は一対一でなのはを打ち負かす能力を持った強敵であるため
クロノは初期のなのはのように、下手に魔法を覚えさせるのに時間を置くより、その分プレアの長所を伸ばすことにしていた。
(実際この方法により、魔力はあったが魔法関係に関して当時素人だったなのはが、魔力はほぼ同等でなおかつ幼い頃から英才教育を受けたフェイトに勝っている)
その結果、今のプレアは『攻撃を徹底的に回避、もしくは防ぎ、誘導操作型魔法の連続攻撃で確実にしとめる』
このスタイルが確立していた。
ドレットノートの性能やプレアの空間認識能力により、高度な操作系魔法を使いながら行動制限の心配が無いプレアにとって
この戦闘スタイルは自然に身についていった。
回避する側にとって最大の脅威である『バインド系魔法』もクロノやユーノの特訓によって
バインド魔法や配置系バインドが発する魔力反応、バインドにかかったときの解除方などを学び、
いざという時の防御に関しても、Phase shiftと実体盾という二重の防御手段があるため、ぬかりはなかった。
(なにより、今回の敵は接近戦重視のため、距離を開けて戦えるプレアの戦闘方法は都合が良かった)

 

「さて、今日はここまでにしよう。今日からフェイトと学校だろ」
そう言い、プレアにドリンクとタオルを渡す。
「はい、本日もありがとうございました」
クロノに向かって頭を下げるプレア。
「いや、君はよく頑張ってるよ。協力ではなく、局員としてスカウトしたい位だ」
リンディのようなことをいうクロノ。
さすが親子である。

 
 
 

聖祥小学校

 

「さてみなさん、実は先週急に決まったのですが、今日から新しい友達がこのクラスにやってきます」
その先生の言葉に「私は知ってるわよ~」と言いたげなアリサ。
「海外からの留学生です。フェイトさんプレア君どうぞ」
「「し、失礼します」」
先生の言葉を合図に教室に入る二人
フェイトたちの姿を見て騒ぎだすクラスメイト
「あの・・・フェイト・テスタロッサといいます」
「プレア・レヴェリーといいます」
「「よろしくお願いします」」
拍手で歓迎するクラスメイト。
フェイトとプレアの学校生活が今始まった。

 
 

・・・・そして・・・・・・・

 

休み時間、早速質問タイムも始まった。
Q「ねぇ、向こうの学校ってどんな感じ?」
Q「すっげ~急な転入だよね、なんで?」
Q「日本語上手だね、どこで憶えたの?」
Q「前に住んでたのってどんな所?」
A「えっと・・・・・その・・・あの・・・」
質問攻めに混乱するフェイト
「あ~、しょうがないな~」
そんなフェイトの状況を見かね、助けに入るアリサ
「はいは~い、転入初日の留学生をそんなにわやくちゃにしないの」
アリサの助けにほっとするフェイト。
「質問は順番に、フェイトが困ってるでしょ」
こうしてアリサ仕切りの元、フェイトの質問タイムが新たに始まった。

 

「にゃはは・・・・・・プレア君は大丈夫かな?」
「プレア君なら、ほら」
すずかが指し示す方向には
Q「ねぇ、向こうの学校ってどんな感じ?」
A「それほど変わりはありませんよ」
Q「すっげ~急な転入だよね、なんで?」
A「両親の仕事の都合です。僕もびっくりでした」
Q「日本語上手だね、どこで憶えたの?」
A「叔父が日本人なんですよ」
Q「前に住んでたのってどんな所?」
A「自然が多い静かな所でしたね」
Q「フェイトちゃんと一緒に転校してきたよね?どんな関係?」
A「フェイトちゃんとは親戚同士です、会うのは初めてですけど」
見事に対処しているプレアがいた。

 
 

:学校から帰宅後

 

なのはの部屋

 

学校が終った後、アリサ達と高町家を訪れ雑談し、
その後アリサ、すずかと別れたなのは達はなのはの部屋で今回の事件について話していた。
「あの女の人、シグナムは何か強い目的があって行動していると思う」
フェイトは戦った敵について思ったことを話し、なのはも
「私もあの人達が闇の書の完成を目指す目的を知りたいと思っているの。でも話が出来そうな雰囲気じゃなかったし…」
しょんぼりしながら答えた。
「強い意志で自分を固めてしまいますと、人の言葉はなかなか入ってきませんから…」
自分で発した言葉に、プレアはカナードのことを思い出した。
戦うことしか出来ないと信じて疑わなかった彼
人を殺し、自分の存在を認めさせようとした彼
「(「彼には僕の言葉は届いたのでしょうか・・・・・)ですけど、言葉をかけるのは、思いを伝えるのは無駄じゃないと思います」
二人を見据え反すプレア。
その言葉にフェイトはうなずき
「実はね、私となのは会ったときは敵同士だったんだ」
フェイトはプレアに語りだした。
「敵同士だった私に、なのはは何度も私に伝え、語りかけてくれたんだ」

 

       母の命令が絶対だった自分

 

「友達になりたいって、痛みも悲しみも、分け合いたいって」

 

    そんな私にも必死に語りかけてくれた女の子

 

「なのはの言葉があったから私は救われた、最後の最後で自分を取り戻すことができた」
フェイトは手を胸に当て
「旅立とうとする母さんに、自らの偽りない思いを伝えることができた。そして、今はこうしてなのはと共に語らうことが出来るようになった。」
笑顔で答えた。
「『思いを言葉にして伝えること』それは二人が共通して持つ、強い信念なのですね」
「うん、言葉を伝えるのに戦って勝つことが必要なら、それなら、きっと迷わずに戦かえる気がするんだ」
フェイトはなのはを見据え
「なのはが教えてくれたんだよ、そんな強い心を」
「そ・・・そんなことないと思うけど」
そう言い、微笑むフェイトに照れるなのは
「(お二人とも、とても強いです)」
プレアは自然にそう思えた。

 
 

:一週間後

 
 

深夜、都市上空

 

収集から帰還中、ヴィータとザフィーラは管理局に補足されてしまい、
局員達が張った捕獲結界内で武装局員に取り囲まれていた。
「管理局か・・・」
「でも、チャライよこいつら・・・返り討ちだ!!」
返り討ちにしようと息巻くヴィータ。
その時二人から離れていく局員達
不審に思うヴィータに「上だ!!」ザフィーラは即座にヴィータの前に出てシールドを張った。
「スティンガーブレイド・エクスキュージョンシフト!」
クロノの声と共に多数の光の矢が二人に目掛け放たれた。
すべてが直撃し、煙に包まれる二人
「はあ・・はあ・・・少しは通ったか?」
煙が晴れ、クロノが目にしたのは光の矢が刺さっているザフィーラだった。
「ザフィーラ!!」
心配するヴィータ
「気にするな・・・この程度でどうにかなるほどヤワじゃない!!」
「上等!!」
ザフィーラの頼もしさにやる気が出るヴィータ。
クロノが次を仕掛けようとしたとその時、エイミィからの通信が入った。
「武装局員、配置終了。OK?クロノ君」
「了解」
「それから今、現場に助っ人を転送したよ」
クロノは驚き近くのビルを見ると、そこには
「なのは、フェイト、プレア」
ヴィータとザフィーラを見上げる3人がいた。
「あいつら」
苦々しい目で見つめるヴィータ
「レイジングハート」
「バルティッシュ」
「ドレットノート」
「「「セーット、アップ!!!」」」
三人の声に反応するデバイス
だがその時、溢れる魔力の奔流と共に、新たな鼓動がなのはとフェイトを包む。
「えっ、これって?」
「今までと違う」
驚く二人、そこへエイミィから通信が入り、レイジングハートとバルディッシュは、
それぞれの主人のために自ら望んで、自らの意志で新たなシステムを搭載したことをなのは達に告げる。
そしてなのはとフェイトは、呼ぶ。

 

レイジングハート・エクセリオン。

 

バルディッシュ・アサルト。

 

生まれ変わった自分のデバイスの名を
そして、バリアジャケットに包まれた三人が現れた。

 
 

結界外

 

シグナムとカナードはヴィータ達が包囲されていると聞き、
万が一のために援護に向かおうとしていた。
「強層型の捕獲結界か、ヴィータたちは閉じ込められたか」
『行動の選択を』
レヴァンティンはシグナムに回答を求めるが
「レヴァンティン、お前の主は仲間を見捨てるような腰抜けか?」
カナードがレヴァンティンをからかうように質問で返す。
『否!!』
即答するレヴァンティンに小さく笑うシグナム
「そうだレヴァンティン、私達は今までもずっとそうしてきた」
カートリッジがロードされ炎に包まれるレヴァンティン
「いくぞ、カナード!」
「ああ、いいだろう!!」

 

結果内
「私達は貴方達と戦いにに来たわけじゃない、まずは話を聞かせて」
「闇の書の完成を目指している理由を」
二人の願いに対し、『なに?こいつら』という顔をしながら答えるヴィータ
「あのさ~、ベルカのことわざにこーいうのがあるんだよ」
不思議そうにヴィータを見つめるザフィーラ
「和平の使者なら槍は持たない」
ヴィータの言葉に顔を合わせるなのは達
「『話し合いをしょうってのに武器を持ってやって来る奴がいるか馬鹿』って意味だよ、武装してくんじゃね~よ、ばーか」
「なぁ・・・い、いきなり有無を言わさずに襲いか会ってきた子が(わかりました)」
そういい、バリアジャケット解除するプレア
「プ、プレア君」
プレアの行動に驚くなのは達
「槍は収めました、話を聞いてくれますか」
ヴィータを見据え答えた。

 
 

念話での会話

 

「プ・・プレア危ないよ」
「無謀にもほどがある!!」
プレアの行動にクロノ以外は心配し、
クロノはプレアの行動に怒り出した。
そんな皆に対しプレアは語りだした
「『言葉を伝えるのに戦って勝つことが必要なら、それなら、きっと迷わずに戦かえる気がする』
フェイトちゃんはそう言いました。そのことには僕も賛成ですし、僕も元いた世界でそれを行いました」
カナードとの戦いを思い出すプレア。
「でも、相手は武器を持たなければ話を聞いてくれるかも知れません。
少しの可能性でも、僕は試したいんです。我が侭をいって申し訳ありません」
クロノが言い返そうとしたその時、
「私も、プレア君の意見に賛成。さっきは怒鳴っちゃったけど、私もあの子を信じてみようと思うの」
「私も、なのはとプレアに付き合うよ」
なのはとフェイトの言葉にみなは沈黙し、クロノは
「まったく・・・プレアといい、フェイトといい、なのはといい、なんで母さんが好きになったかわかったような気がしたよ」
ため息をつきながら答えた。
「わかった、任せるよ。なのはとフェイトはそのままで待機、護衛ということにすれば文句は言わないだろう、ただプレア」
「はい」
「もし向こうが攻撃をしてきたり、話し合いが決裂したら、ほぼ確実に戦闘になる、いいね?」
「わかりました、ありがとうございます」

 

「な・・なんだよ・・・・こいつ」
ヴィータはバリアジャケットを解き、真っ直ぐ自分を見つめる少年に戸惑いを隠せないでいた。
ヴィータが放った言葉はたてまえであり、話し合いをする気など元から無かった。
だが、この少年はヴィータの言葉を信じ、即座にバリアジャケットを解除した
「(罠か?だけどおかしな魔力反応はねーし・・・・・あーもーわかんねぇ!!)」
ヴィータが戸惑いを隠せないのにも無理があった
ヴィータ達が前の主の下で活動してた時も「話し合いをしたい」といってきた人達はいた。
主の命令で同行してみると、それらすべてが自分達を抹殺、捕獲しようとする罠であったため、
ヴィータは「戦闘での交渉(話し合い)」=「敵の罠」と解釈していたのだが、
「(ザフィーラ・・・)」
念話で助けを呼ぶヴィ-タ。
「(彼の言葉に偽りはなさそうだ。だが、我らのやることは決まっている)」
冷静に答えた。
ヴィータはプレアを見据え
「(あいつの魔力量は無視できねー、直に襲い掛かれば仲間が近づく前にリンカーコアを手に入れられる)」
実際、昔のヴィータだったら迷わず即攻撃に取り掛かっていただろう。
だが、はやてとの日常により、ヴィータは一般的な少女と同じ優しい心を持つこととなり、
その優しい心がヴィータの行動を揺り動かしていた。
「そうさ・・・チャンスだよ・・・・・チャンスなんだけど・・・・・・・・」

 

「何をしている!使命を思いだせ!鉄槌の騎士ヴィータ!!」

 

少年の声と共に結界が破壊され、二人の男女が現れた。
「シグナム・・・」
シグナムの登場に身構えるフェイト
「カ・・・・カナード・・さん」
カナードの登場に驚きを隠せないプレア

 

運命の子と最強を目指した少年は異世界で再び出会う。